咲き誇る陰で、

藤岡 志眞子

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4 薔薇にはマグァ◯プ

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明日の舞踏会のためスキンケア、ヘアケアを入念に行う。
イケメンに手を取られた時に慌てないように指の毛も処理した。昨日ネイルサロンに行って男ウケの良いベビーピンクのグラデにした。
エステも行ったし(つるつる)、今日一日水で過ごした。(明日の朝にはスッキリなはず。)明日もプチ断食すればドレスも素敵に着こなせるはず。
と、鏡に映る自分を見る。

あぁ、髪の毛が、なぁ…。

コーラルの髪色は真っ黒。パメラは正反対にブロンドで、コーラルの深紅のドレスが映える髪色だ。脱色を試みた事もあったが、髪にコシがありしっかりした髪質。なかなか色は抜けず最終的には汚いまだらになってしまった。
それ以降髪色に執着はしない。と決めたが、やはり唯一のコンプレックスに変わりはない。
背はあまり高い方ではないが、形の良い豊満な胸とくびれたウエスト、高めの腰と長めの膝下。そして、細い足首!(どや)
腕も細長く色は白い。青く見える血管が弱々しさを醸し出しているが…顔がキツい。
瞼幅が広めで眉毛が上がり気味、目はぱっちりとしていて睫毛も長いがやや猫目。瞳は碧く、ばっちりアイライナーを引くと恐くなる。
細く高い鼻も顔のキツさを強調し、少しぽってりした唇に真っ赤なリップを合わせると食われてしまいそうな口元になってしまう。

明日はナチュラルメイクの方が良いのかしら。

しかし、舞踏会には厚化粧の舞台メイクみたいな女がわんさか来るに違いない。真っ赤なドレスに負けてしまうし…。
悩んでいるとカーラが部屋に入ってきた。

「コーラルの髪は本当に綺麗ね。つやつやしていい香りで。」

そりゃそうだ。薔薇の者特権のローズオイルのヘアケア用品(激高)を惜しげもなく毎日使っているのだ。ブラシで梳かすたびに良い香りがふわっと香る。

「でもお母様、私も…ブロンドが良かったわ。」

カーラの髪もブロンドで、コーラルは父の髪色に似てしまった。

「何を言ってるの、ないものねだりだわ。パールはあなたみたいになりたかったって言うし。」

なれるか、ブス。まず、痩せろ。

「お母様、明日のメイクなんだけど。リップはナチュラルな方が良いかしら?」

「…そうね。ドレスが紅だから紅が良いんでしょうけど。スッピンでもコーラルの顔は強いから、」

顔面強いってか。

「でも、大丈夫よ。みんなバレエメイクみたいな顔で来るわよ。リップは紅でバシッと決めて、アイメイクは薄めのブラウン系で行ったら?睫毛もあまりマスカラは塗らずにアイライナーも細めで。どう?」

「そうね。一回メイクしてみるわ。ありがとうお母様。」

まだ一日ある。攻め過ぎない、だけど目を引く(更なる)美人になるため、コーラルは何回もメイクを練習した。

結果。

「わからない。」

舞踏会三十分前。玄関ポーチには馬車が待機している。
何回も練習するが、毎度同じ顔になる。顔が、強過ぎる…。
結局、カーラの言った通り、ベースメイクは薄付きで、ブラウン系のシャドウにブラウンのアイライナーを薄く細く引き、ビューラーでナチュラルに睫毛を上げ、(上手くいったぁ!)、マスカラもブラウンに統一。(下睫毛には塗らない。パンダになるしケバくなる。瞬きすると絡まるしー。)
パウダーはキラキラを抑えテカリを予防する程度、チークは無し(忘れた)。
リップは堂々のディープレッドをチョイスした。リップライナーで輪郭を縁取り、リップスティックで塗り潰す。ティッシュオフしてもう一度軽く塗り、真ん中だけにグロスを置いた。

よし。

髪は軽く巻いて降ろしただけ。ヘアアクセサリーは付けない。(ダサい。)
耳にはダイヤモンドのロングピアス、首にはビロードのリボンチョーカー、左手にプラチナのブレスレット。右手中指に控えめなルビーのリングを嵌める。そして(自慢の)左足首には、小さいパール(姉じゃないよ。)の付いた、細いプラチナのアンクレットを付けた。
靴はヒール七センチの黒のエナメルのミュールを履く。(辛い。歩きたくない…。)最後にローズの香水を軽く吹いて、完成。
クラッチバッグを持ち、いざ出陣。

待ってろよ、イケメン!
覚悟しろよ、女ども。






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