咲き誇る陰で、

藤岡 志眞子

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❾ 婚活、親の方が必死。

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「見てるだけだったら、見てるだけだったらなぁ。」

兄さんが手に持った万年筆をくるくると回しながら、壁に寄りかかる僕を見ながら悩ましく言う。

「背はそこそこあるし、意外と肩幅があって俺とは違う顔立ちだがイケメンだ。舞踏会の時みたいにそのうざったい前髪を上げるなり切るなりしたら、その色っぽい切長の目と、割と高い鼻と。あとは笑えば綺麗な歯並びの白い歯が武器になるのになぁ。」

しみじみ見られて恥ずかしくなる。

「なんだよ、舞踏会で結果が出せなかった僕を慰めてるのかよ。」

「いやぁ?薔薇のコーラル様をその気にさせたんだろ?街中噂だ、うちの病院でも話がそこらで聴こえるよ。」

だけど、あちらからの連絡は、来ない。

「蜂太郎、待ってないで花でも持って伺ったらどうだ?あちらから連絡は来ないぞ?そうしろ、今すぐ花屋に行け、なっ?」





(薔薇)

「コーラルを尋ねる者はまだいないのか。」

「はい。でもまだ舞踏会が開けて三日です、」

「三日も経てば結果がわかったようなもんだ。コーラルは駄目だったんだ。パールのこともある。我が家は私の代で終わりだ。」

「そんな。まだわからないじゃないですか。」

「薔薇は牡丹と違って称号が(金)しかない。…男が生まれてればな。(薔薇の男はモテるからなぁ…。)女しかいなくてしかも婿を取らない、嫁にいかないとなると(蒲公英)だ。」

「二十五歳まであと七年あります。大丈夫ですよ、パールだってまだ、」

「七年後には私達みんな蒲公英だ。こんなことならカーラのところに婿にいけばよかったな。」

「私が…男の子を産めばよかったのです。」

「それは、責めていない。」

責めた癖に。




はーい、ここで向日葵王が定めた決まりをご紹介。

花(五花(ごか)には、(金、銀、銅)と三つの称号があります。
金は今言った通りで、婿(嫁)を取りその花を継承するか、嫁(婿)にいって他の花になるかの二択です。
銀は結婚しなくても継承権があり特に問題はありませんが、(銅)がある場合、結婚しないと(銅)になります。
銅は孫の代まで銀と同じで、それ以降は金と同じ条件になります。

牡丹は(金 銀)の二つ。
薔薇は(金)のみ。
桜は(銀)のみ。
白百合は(銀 銅)の二つ。
菊は(金 銅)の二つ。   こんな感じです。

[位(レベル)はあるの?]

ありません。 が、
単色、色の組み合わせで勝手にグループ同士で順位をつけている人達は多くいます。それだと、

牡丹、白百合、桜、菊、薔薇という好条件重視の順位と、
牡丹、菊、薔薇、白百合、桜という色の順位があります。

どちらもトップは牡丹でカーラの実家です。カーラが結婚する前はカーラの家も(金)でした。カーラは一人娘でお嫁にいくかどうか迷い、結局同じく一人息子の薔薇の家に嫁いだのです。(薔薇の男は人気がありますからねぇ。威張ったんですかね?)
この場合、カーラの家の牡丹は薔薇になり婚家の金も受け継ぎます。
そして、コーラルの親父も言っていましたが、ここからがシビア。二十五歳までにコーラルが結婚するか、パールが再婚しなければカーラの実家も蒲公英になってしまうのです。(だから婚活必死なんですね。)

ちなみに蜂太郎の家は白百合の銀。(キアヌとカンナが言ってましたねー)結婚しなくても白百合でいられるし、兄のキアヌが既に結婚し五人の子供がいるので安泰の安泰です。
薔薇の金からしたら羨ましい限りですが、金という誇りもあるみたいですよ?

さあ、金の誇りとは?銀に勝るとも劣らない特権とは?

次回 [やっばり、金がいい!」 お楽しみに! (嘘)
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