38 / 40
38 羽ばたきの降格
しおりを挟む
「フローラの販売承認、同時に当院での処方についての承認会議を開始する。処方に関しては医師の厳重なる判断が必要である。」
「副作用や依存症状が今まで使用されていた鎮痛薬に比べて強い・・・しかし効き目も大きい。末期患者や緊急性のある患者には適用したいね。」
「そうですね。」
院内会議でフローラの使用について意見交換がされていた、といってもほぼ決定案件である。と共に、キアヌの白百合(銀)の称号も約束されたようなもの。これで権田原家、病院の経営は安泰である。五人(今年もうひとり増える予定)の子供と恐い妻もいる。(蒲公英)になるなど口が裂けても言えない・・・良かった、本当に良かった。
安堵のため息を漏らしたキアヌに理事長であり継父であるライオネルが話しかけてきた。
「キアヌ、今回の話・・・キアヌが持って来たと聞いたが。」
「は、はい。わたしのところに来ているMRに勧められまして。先程あったように安全、とは言い切れない薬ではありますが使いようによっては患者の為になる薬です。」
「・・・そうだな。痛みに苦しむ患者は見ていられないしな。」
そう言って誰もいなくなった会議室の長テーブルにふたり向かい合って座った。午後の強い日差しが眩しく射している。
「向日葵王様になんて言われたんだ。」
え。
「ポアルラ、だろ。」
「・・・・・・。」
「王様の(お好きな)薬だ。医療と銘打って販売を寛容化し、そのうち合法だといって民間にも広まるだろう。キアヌ、そのきっかけをつくったのはお前になるんだぞ。」
「そ、そんな。私は治療薬として許可を得た訳で・・・それに、これはお父さんのためでもあるんです。」
「白百合の(銀)のためか。」
「蒲公英になるわけにはいきません。」
「この先どうなるかわからんが、さっき言ったことの通りになるんだとしたら、一族ひとつが(蒲公英)になった方が良いと思わないか?(蒲公英)の経営する立派な病院、医師はたくさんいる。称号にこだわることなんか、」
「お父さん、お父さんはもうご年齢で子供たちも立派に育ちました。ですが私はまだまだです、これから生まれてくる子供もいるのです。この病院も今より立派に、大きくしていきたいんです!」
「薬に溺れた道楽な考えしか持てなくなった、王様のような患者ばかり診ることになってもか?」
「・・・・・。」
「まだ、私からは正式には許可は出していない。他の役員は判を押したが私が押さねば処方、販売承認は許可されない。キアヌ、どうするか、どうしたら良いかよく考えなさい。」
ライオネルは静かに席を立ち会議室から出て行った。
王様のような、薬に溺れた患者ばかり。恐ろしい光景だろう、医師本来の技量は生かせない職場になるだろう。そして、この国は崩壊するだろう。手元にあるフローラの説明書。パラパラと捲ってからぐしゃっと丸めて、捨てた。
(城)
「あの若造、ポアルラの承認印を押さなかった、と!?」
結果を聞いた向日葵王が激昴した。厳選して悪評が出ないような弱みのある医師を選び、交換条件を出して納得させたと思ったのに・・・!これでは溺愛するポアルラが、ポアルラがぁ・・・!
王様の逆鱗に触れたキアヌは即(蒲公英)になり、父親のライオネルは白百合の(銅)に格下げされた。蜂太郎ももちろん同じである。さぁ、どうする?どうなる?
「副作用や依存症状が今まで使用されていた鎮痛薬に比べて強い・・・しかし効き目も大きい。末期患者や緊急性のある患者には適用したいね。」
「そうですね。」
院内会議でフローラの使用について意見交換がされていた、といってもほぼ決定案件である。と共に、キアヌの白百合(銀)の称号も約束されたようなもの。これで権田原家、病院の経営は安泰である。五人(今年もうひとり増える予定)の子供と恐い妻もいる。(蒲公英)になるなど口が裂けても言えない・・・良かった、本当に良かった。
安堵のため息を漏らしたキアヌに理事長であり継父であるライオネルが話しかけてきた。
「キアヌ、今回の話・・・キアヌが持って来たと聞いたが。」
「は、はい。わたしのところに来ているMRに勧められまして。先程あったように安全、とは言い切れない薬ではありますが使いようによっては患者の為になる薬です。」
「・・・そうだな。痛みに苦しむ患者は見ていられないしな。」
そう言って誰もいなくなった会議室の長テーブルにふたり向かい合って座った。午後の強い日差しが眩しく射している。
「向日葵王様になんて言われたんだ。」
え。
「ポアルラ、だろ。」
「・・・・・・。」
「王様の(お好きな)薬だ。医療と銘打って販売を寛容化し、そのうち合法だといって民間にも広まるだろう。キアヌ、そのきっかけをつくったのはお前になるんだぞ。」
「そ、そんな。私は治療薬として許可を得た訳で・・・それに、これはお父さんのためでもあるんです。」
「白百合の(銀)のためか。」
「蒲公英になるわけにはいきません。」
「この先どうなるかわからんが、さっき言ったことの通りになるんだとしたら、一族ひとつが(蒲公英)になった方が良いと思わないか?(蒲公英)の経営する立派な病院、医師はたくさんいる。称号にこだわることなんか、」
「お父さん、お父さんはもうご年齢で子供たちも立派に育ちました。ですが私はまだまだです、これから生まれてくる子供もいるのです。この病院も今より立派に、大きくしていきたいんです!」
「薬に溺れた道楽な考えしか持てなくなった、王様のような患者ばかり診ることになってもか?」
「・・・・・。」
「まだ、私からは正式には許可は出していない。他の役員は判を押したが私が押さねば処方、販売承認は許可されない。キアヌ、どうするか、どうしたら良いかよく考えなさい。」
ライオネルは静かに席を立ち会議室から出て行った。
王様のような、薬に溺れた患者ばかり。恐ろしい光景だろう、医師本来の技量は生かせない職場になるだろう。そして、この国は崩壊するだろう。手元にあるフローラの説明書。パラパラと捲ってからぐしゃっと丸めて、捨てた。
(城)
「あの若造、ポアルラの承認印を押さなかった、と!?」
結果を聞いた向日葵王が激昴した。厳選して悪評が出ないような弱みのある医師を選び、交換条件を出して納得させたと思ったのに・・・!これでは溺愛するポアルラが、ポアルラがぁ・・・!
王様の逆鱗に触れたキアヌは即(蒲公英)になり、父親のライオネルは白百合の(銅)に格下げされた。蜂太郎ももちろん同じである。さぁ、どうする?どうなる?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
#秒恋9 初めてのキスは、甘い別れと、確かな希望
ReN
恋愛
春休みが明け、それぞれに、新しい生活に足を踏み入れた悠里と剛士。
学校に向かう悠里の目の前に、1つ年下の幼なじみ アキラが現れる。
小学校時代に引っ越した彼だったが、高校受験をし、近隣の北高校に入学したのだ。
戻ってきたアキラの目的はもちろん、悠里と再会することだった。
悠里とアキラが再会し、仲良く話している
とき、運悪く、剛士と拓真が鉢合わせ。
「俺には関係ない」
緊張感漂う空気の中、剛士の言い放った冷たい言葉。
絶望感に包まれる悠里に対し、拓真は剛士に激怒。
拗れていく友情をよそに、アキラは剛士をライバルと認識し、暴走していく――
悠里から離れていく、剛士の本心は?
アキラから猛烈なアピールを受ける悠里は、何を思う?
いまは、傍にいられない。
でも本当は、気持ちは、変わらない。
いつか――迎えに来てくれる?
約束は、お互いを縛りつけてしまうから、口にはできない。
それでも、好きでいたい。
いつか、を信じて。
国宝級イケメンとのキスは、最上級に甘いドルチェみたいに私をとろけさせます♡ 〈Dulcisシリーズ〉
はなたろう
恋愛
人気アイドルとの秘密の恋愛♡コウキは俳優やモデルとしても活躍するアイドル。クールで優しいけど、ベッドでは少し意地悪でやきもちやき。彼女の美咲を溺愛し、他の男に取られないかと不安になることも。出会いから交際を経て、甘いキスで溶ける日々の物語。
★みなさまの心にいる、推しを思いながら読んでください
◆出会い編あらすじ
毎日同じ、変わらない。都会の片隅にある植物園で働く美咲。
そこに毎週やってくる、おしゃれで長身の男性。カメラが趣味らい。この日は初めて会話をしたけど、ちょっと変わった人だなーと思っていた。
まさか、その彼が人気アイドル、dulcis〈ドゥルキス〉のメンバーだとは気づきもしなかった。
毎日同じだと思っていた日常、ついに変わるときがきた。
◆登場人物
佐倉 美咲(25) 公園の管理運営企業に勤める。植物園のスタッフから本社の企画営業部へ異動
天見 光季(27) 人気アイドルグループ、dulcis(ドゥルキス)のメンバー。俳優業で活躍中、自然の写真を撮るのが趣味
お読みいただきありがとうございます!
★番外編はこちらに集約してます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/693947517
★最年少、甘えん坊ケイタとバツイチ×アラサーの恋愛はじめました。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/408954279
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる