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40 嫉妬の種
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「蜂太郎さん、」
相変わらず子供っぽい、薄緑色のワンピースにぺたんこのエナメルの靴。ぱっつりの前髪が幼さを際立たせている。そんなエイミーの後ろに見知らぬ姿が。
「エイミーさん、お久しぶりです。あ、は、はじめまして、」
「はじめまして、姉のユリアと申します。」
お、お姉さん?
待ち合わせの大学の門の前で冴えないオタクと童顔の少女。そして、長身のクールビューティー。
似てない。姉妹と言われても信じないだろう。身長差は明らかで髪の色も瞳の色も違う。顔立ちも(歳はわからないが)相応か年上に見られることが多そうな大人っぽい印象。スタイルも良いし…本当にお姉さん??
「実は、家庭教師をお願いしたいのは姉の方なんです。私は家政科大学の入学が決まってますし。姉が大学を入り直したい、と。」
「お恥ずかしいですが以前通っていた大学は(諸事情)で辞めてしまって。ですが学びきれていない自分が嫌で…私の家庭教師は、お嫌でしょうか?」
にこっと微笑む笑顔にギャップがありすぎる。
きゅん。
「では、今日は三人でお茶でも?」
「は、はい。」
きゅん…?
長い髪が風に揺れて良い香りがする。これは…
かおりん。
久しぶりのキラキラしたときめきが心に戻る。
久しぶり…?
あれ。
(スタンウィック家)
「パール、レオナルドさんはいつお見えになるの?」
リビングで寛ぐパール(靴を脱いでカウチに寝そべり片手にクッキー、片手に激甘カフェオレ)に、心配そうに母親のカーラが声をかける。婚約が内定した途端怠惰になり、以前のように日がな一日ソファから動かず飲んだり食べたりの繰り返し。ここ数週間でぱっと見でも太ったように見える。
「昨日連絡があって、何かお父様にお話があるとか何とかで。私じゃなくってお父様に用事があるみたいだけど、家には来るみたいよ。」
口にクッキーを頬張りしゃべるので、食べかすが腹の上にぼろぼろと落ちる。
汚い。
母に続きリビングに入って来たコーラルは姉のだらしない状況に辟易した。レオナルドには何も思うところはないが、さすがにこんな女と結婚させられるとなると可哀そうになってくる。
「お父様に何の話があるのかしら?」
「?さぁ?婚約パーティーの段取りかしらね??」
「出戻りでも婚約パーティーはしっかりやるのね。」
「やるに決まってるでしょ?私はスタンウィック家の長女よ?」
「ならその身体、どうにかしなくちゃね。皆様の前で恥かかないように。」
コーラルに言われ自身の腹回りを気にする。
「す、すぐ元に戻すわよ、」
「元に戻しても意味がないわ。いい加減痩せなさいよ。」
「コーラルって…私は元々ふくよかな体系なの!あんたみたいにガリッガリに痩せたら病気だわ。」
「ふたりとも、いい加減なさい。コーラルも蜂太郎さんとの婚約パーティーの話はどうなってるのよ?」
「私はしないわ。大学受験に忙しいのに、」
「何言ってるの、あなたもスタンウィック家の娘としてお披露目しなくちゃいけない立場なのよ?大学受験は許可したけれどそれを理由に伝統を無視するのは良くないわ。」
「パールがやってくれるんだからいいじゃない。」
「パールとあなたじゃ違うでしょ。」
「え、」
「え。」
三人の間に冷たい空気が漂う。
「お、お母様・・・わ、私にとっても大切な婚約、でしょ?」
「・・・そうよ?」
「コーラルと私とでは何が、違うの?私は出戻りだから・・・重要じゃない・・・?」
「そんなこと言ってないでしょ?」
「じゃあどういう意味?」
「ほら、コーラルは・・・その、」
「初婚だから??向日葵王様の目がかかってるから??」
今にもヒステリックを起こしそうなパールを宥めるカーラを横目にコーラルは椅子に座って参考書を開いた。
「とにかく、ふたりとも!ドレスを、ドレスを新調しに行くわよ。」
何にも答えになってないことを口走りながら、リビングを後にするカーラの背中を睨むパール。パールの言っている通り再婚の婚約パーティーより、初婚で向日葵王の期待を背負ったコーラルの婚約パーティーの方が注目度はあるのだ。しかし、当の本人はすんっとしていて全く興味がないといったてい。そんなコーラルを見たパールは手に持ったクッキーをゴミ箱に捨て、カフェオレをキッチンに持って行った。
今更ダイエットしたって遅いわよ。
参考書に目を通してはいるが何も頭に入ってこない。というのも、蜂太郎から連絡があり白百合の(銀)から(銅)に降格したという。スタンウィック家に婿に来るのなら問題ないがパールがレオナルドを婿に入れるのなら必要ない。そしたら私が権田原家に嫁にいく。
白百合の(銅)に・・・?
今まで通りの生活は送れないだろう。いくら実家が大病院だったとしても薔薇の(金)ほど我儘は許されない。堅実・謙虚・節約・・・・。私がもし数学者として働いても、今のような優雅な生活は送れない。こんなことを考えている近くで姉のパールはそんな心配など全くないのだ。
腹が立つ。
あぁ、なんでこんなことになってしまったのだろう。親父とお母様はこの事実をとっくに知っているのに知らんぷりだし。(きっと私と結婚してくれるような人は蜂太郎しかいない、とか考えているんだろうな。)パールの結婚が決まったから蜂太郎が(銅)でもかまわないんだろうな・・・。
少しずつ、将来への不安、親の薄情な気持ち、そして蜂太郎との関係を悶々と考え始めていた。
相変わらず子供っぽい、薄緑色のワンピースにぺたんこのエナメルの靴。ぱっつりの前髪が幼さを際立たせている。そんなエイミーの後ろに見知らぬ姿が。
「エイミーさん、お久しぶりです。あ、は、はじめまして、」
「はじめまして、姉のユリアと申します。」
お、お姉さん?
待ち合わせの大学の門の前で冴えないオタクと童顔の少女。そして、長身のクールビューティー。
似てない。姉妹と言われても信じないだろう。身長差は明らかで髪の色も瞳の色も違う。顔立ちも(歳はわからないが)相応か年上に見られることが多そうな大人っぽい印象。スタイルも良いし…本当にお姉さん??
「実は、家庭教師をお願いしたいのは姉の方なんです。私は家政科大学の入学が決まってますし。姉が大学を入り直したい、と。」
「お恥ずかしいですが以前通っていた大学は(諸事情)で辞めてしまって。ですが学びきれていない自分が嫌で…私の家庭教師は、お嫌でしょうか?」
にこっと微笑む笑顔にギャップがありすぎる。
きゅん。
「では、今日は三人でお茶でも?」
「は、はい。」
きゅん…?
長い髪が風に揺れて良い香りがする。これは…
かおりん。
久しぶりのキラキラしたときめきが心に戻る。
久しぶり…?
あれ。
(スタンウィック家)
「パール、レオナルドさんはいつお見えになるの?」
リビングで寛ぐパール(靴を脱いでカウチに寝そべり片手にクッキー、片手に激甘カフェオレ)に、心配そうに母親のカーラが声をかける。婚約が内定した途端怠惰になり、以前のように日がな一日ソファから動かず飲んだり食べたりの繰り返し。ここ数週間でぱっと見でも太ったように見える。
「昨日連絡があって、何かお父様にお話があるとか何とかで。私じゃなくってお父様に用事があるみたいだけど、家には来るみたいよ。」
口にクッキーを頬張りしゃべるので、食べかすが腹の上にぼろぼろと落ちる。
汚い。
母に続きリビングに入って来たコーラルは姉のだらしない状況に辟易した。レオナルドには何も思うところはないが、さすがにこんな女と結婚させられるとなると可哀そうになってくる。
「お父様に何の話があるのかしら?」
「?さぁ?婚約パーティーの段取りかしらね??」
「出戻りでも婚約パーティーはしっかりやるのね。」
「やるに決まってるでしょ?私はスタンウィック家の長女よ?」
「ならその身体、どうにかしなくちゃね。皆様の前で恥かかないように。」
コーラルに言われ自身の腹回りを気にする。
「す、すぐ元に戻すわよ、」
「元に戻しても意味がないわ。いい加減痩せなさいよ。」
「コーラルって…私は元々ふくよかな体系なの!あんたみたいにガリッガリに痩せたら病気だわ。」
「ふたりとも、いい加減なさい。コーラルも蜂太郎さんとの婚約パーティーの話はどうなってるのよ?」
「私はしないわ。大学受験に忙しいのに、」
「何言ってるの、あなたもスタンウィック家の娘としてお披露目しなくちゃいけない立場なのよ?大学受験は許可したけれどそれを理由に伝統を無視するのは良くないわ。」
「パールがやってくれるんだからいいじゃない。」
「パールとあなたじゃ違うでしょ。」
「え、」
「え。」
三人の間に冷たい空気が漂う。
「お、お母様・・・わ、私にとっても大切な婚約、でしょ?」
「・・・そうよ?」
「コーラルと私とでは何が、違うの?私は出戻りだから・・・重要じゃない・・・?」
「そんなこと言ってないでしょ?」
「じゃあどういう意味?」
「ほら、コーラルは・・・その、」
「初婚だから??向日葵王様の目がかかってるから??」
今にもヒステリックを起こしそうなパールを宥めるカーラを横目にコーラルは椅子に座って参考書を開いた。
「とにかく、ふたりとも!ドレスを、ドレスを新調しに行くわよ。」
何にも答えになってないことを口走りながら、リビングを後にするカーラの背中を睨むパール。パールの言っている通り再婚の婚約パーティーより、初婚で向日葵王の期待を背負ったコーラルの婚約パーティーの方が注目度はあるのだ。しかし、当の本人はすんっとしていて全く興味がないといったてい。そんなコーラルを見たパールは手に持ったクッキーをゴミ箱に捨て、カフェオレをキッチンに持って行った。
今更ダイエットしたって遅いわよ。
参考書に目を通してはいるが何も頭に入ってこない。というのも、蜂太郎から連絡があり白百合の(銀)から(銅)に降格したという。スタンウィック家に婿に来るのなら問題ないがパールがレオナルドを婿に入れるのなら必要ない。そしたら私が権田原家に嫁にいく。
白百合の(銅)に・・・?
今まで通りの生活は送れないだろう。いくら実家が大病院だったとしても薔薇の(金)ほど我儘は許されない。堅実・謙虚・節約・・・・。私がもし数学者として働いても、今のような優雅な生活は送れない。こんなことを考えている近くで姉のパールはそんな心配など全くないのだ。
腹が立つ。
あぁ、なんでこんなことになってしまったのだろう。親父とお母様はこの事実をとっくに知っているのに知らんぷりだし。(きっと私と結婚してくれるような人は蜂太郎しかいない、とか考えているんだろうな。)パールの結婚が決まったから蜂太郎が(銅)でもかまわないんだろうな・・・。
少しずつ、将来への不安、親の薄情な気持ち、そして蜂太郎との関係を悶々と考え始めていた。
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