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21 陽炎
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力のある狐憑きが、ふつうの人間のように生活すると災いが起こる。
居る時は幸運や財産を手にして繁栄するが、去った後、手にした幸運が倍になって災いへと転じる。
全く関係の無い人間までもが被る(こうむる)のだ。
安森の敷地内に居れば問題はない。
それを無視して好き勝手やると、一緒に居る家族にも何かしら不幸が起こり、取り返しがつかなくなるので、本家から口酸っぱく言われ続けている。
あかりの子供は無事生まれた。
あかりも健康、子供も健康。白だったら問題無かったのに。
子供は碧の五・五。離れ行きは避けられなくなった。
俺に全然似ていない、目も髪も肌も。
あかりにも似ていない。誰の子供なんだろう。
狐憑きは見た目が親にあまり似ない。俺みたいに、冷めた目で見る父親がだいたいと聞く。しかし母親は腹を痛めて産んだ子、いくら見た目が異様でも母性が出てきて離れ難くなる。
「早く離れに寄越してしまえ。」
「は。」
愛おしそうに片時も離さず子を抱いている。あと二日もすれば期限が終わる。
一緒に居れば居るほど離れ難くなる。
「蒼助さんの子供でもあるんですよ。何とも思わないのですか。」
そんな事はない。
「可愛いと思わないのですか。」
思わない。
「離れたくないとは思わないのですか。」
全く。
「何か仰って下さい。」
「早く寄越せ。」
「蒼助さん、」
イライラする。あんな餓鬼のどこが可愛いんだ。おやじもそう思ったはず。兄さんを離れに送ってせいせいしたに違いない。
二日後、子は離れに送られた。あかりも一緒に。
本家から、珍しく当主様直々に話があると訪問して来た。子の検査と、本家に子を預けれるかどうかの話だと手紙に書いてはあったが、本家の人間と検査認定員だけでいいところ当主様がいらっしゃるとなると、別の話があるに違いない。
現在の当主様は安森始まってまだ数人しかいない女当主である。確か三人目だ。
髪は艶のあるきれいな黒髪で腰まである。その髪を後ろにひとつに束ね、垂らしている。
面長の顔に細く形の良い眉、切長の目に、睫毛が非常に長い。目元に涙黒子があり、すっと通った鼻筋に薄い唇。実年齢よりはるかに若い。
背は人並みで、上等の紫の着物に銀錦の帯を締め、深紅の天鵞絨の肩掛けを羽織ってやってきた。さすがは安森ご当主、身に付けている物の格が違う。
「ご苦労、無事に生まれて何より。男子だったと聞くが、見た目からして如何程(いかほど)。」
「目は少し明るめですが、青や赤ではありません。肌の色は白く、髪は赤いです。」
「ん、碧といったところだろう。細かい数値を出してくれ。」
横に控えていた認定員に命令する。命令された認定員は、はい、と深く頭を下げ(ほぼ土下座)麻記の案内で、あかりと子が居る蒼助の部屋へ向かった。
「ところで、手前。嫁の調書を拝見したが、親の部分が空欄であった。何者なのだ。」
「それが、十年前に隣町であった大火事の際の孤児でして、祥庵や雪庵先生が尽力して下さったのですが、親、共に親戚、出生場所などはわかりませんでした。申し訳御座いませぬ。」
「構わん。狐憑きの嫁には好条件。変な詮索をされずに済むのでね。嫁は祥庵と雪庵とは、知り合いなのか。」
「はい、祥庵の寺で保護し、その後雪庵先生が育てました。」
「特殊医学者ふたりに世話になったのか。安森の家の狐憑きより丁重に扱われていたのだのう。」
「…はい。」
嫌味なのか、褒めているのかわからない。迂闊に返事をしない方が良いだろう。
「手前は雪冬を知っているか。」
「もちろんで御座います。以前、白の者も構わないと招集を受けた際、私だけ狐憑きの方々とご挨拶させて頂き、その時お目に掛かっております。」
「左様か。雪冬が生まれて安森全体の流れが変わり、白の手前のところにも藍が生まれた。しかし、その後も豊作で豊作で。採れ過ぎるのも良くないの。」
人の子をいらない作物みたいに。
「本家では預かれない。承知せい。」
「かしこまりました。」
「医者も足りなければ離れも足りない。他の分家もそうだと嘆いてくるが、そもそも自分らが拵えた子だ。手前も落ち着くまで自宅にて丁重に扱ってくれ、良いな。十五は上回っているだろうが、こちらも対応出来るようにいろいろ策は練っている。対応出来次第、迎えを寄越すから、それまで力の調節を祥庵と相談しつつ制御してくれ。」
「はい。」
「あと、雪庵の事だが。」
「雪庵先生が何か。」
「いつこちらに戻ってくるのか、手前からも説得願いたい。」
「安森の専属医師にお雇いになるのですか?雪庵先生は一般の町医者です。いくら特殊医学を学ばれていると言いましても、」
「うるさいな。」
しまった、いつもの癖で喋りすぎてしまった。
「雪庵を専属医師として迎えたいのではない。本家に戻って来て欲しいだけだ。」
「はい…?」
「手前は雪庵の本当の名前を知らぬのか。」
本名…?
「…申し訳御座いません、存じ上げませぬ。」
「安森 冬馬と言う名だ。天野(あまの)、と偽名もあるようだが、雪庵は渾名のようなもの。立派な名前があるというのに、罰当たりな奴。」
や、安森…。
「安森の人間であらせられるのですか。」
「手前は何も知らないのだな。だから甘いと言われるのだ。」
「申し訳御座いませぬ。ちなみに、雪庵先生はどちらの分家で。」
「…呆れるな、馬鹿か。冬馬は本家だ、紅狐憑きであらせられた、お祖母様の曾孫だ。冬嘉の、息子だ。」
え。雪庵先生が、直系の、前ご当主様のお孫様?
前ご当主様は病気で数年前水間(みま)変われた。そのため妹である目の前の方がご当主になった。結婚しているが子供に恵まれず、雪冬様を育てられた。
その雪冬様の父親が、雪庵先生。確かに名前が似通っている。なぜ気付かなかったのか…いや、無理だろう。わかる筈がない。
「冬馬は安森を嫌ってね、医者になると言って自ら縁を切って家を出た。娘が生まれたと聞いたが死んだと言われてね。狐憑きを邪険にした呪いだろう、罰当たりが。」
「む、娘さんがいらっしゃったのですか。息子ばかり三人いるのは存じておりましたが。」
「私も知らなかった。雪冬を引き取った時、違和感を感じて家の者に調べてもらった。引っ越しを頻繁にするものだから難儀した。あいつ、娘が狐憑きだからと隠して育てていたのよ。だが、死んだと証明書まで送って来ての。」
雪冬様の他に狐憑きの娘まで…どうなってるんだ。
「ご遺体はどちらへ…?本家のお墓ではないのですか。」
「知らぬ。言わぬのだ。仏になっても力がある狐憑きはおる。それがあるからしつこく問うておるのだが、口を割らん。もしや、自分で殺したのかも知れないの。」
「ま、まさか。」
「まあ、真実はわからぬ…。それと、雪冬が生まれてから、濃い色の狐憑きが生まれるようになったのは知っているな。しかし、ここ最近、どうもムラがあるのだよ。」
「ムラですか。と言いますと。」
「色通りの力は感じるのだが、返りの災いが柔らかくなってきている気がしてならない。良い事なのだが、何故だかわからず気持ちが悪いのだ。」
確かに。安記は実家と婚家を行き来する生活を送っているが、安記が不在の間の婚家で災難があった事は一度もなかった。
「だいぶ昔、大飢饉が起こった時、親を殺して食べた人間が飢饉後安森の本家の近くに住んでいたそうだ。うっかりその者と狐憑きが接触した事があってな。そしたら今回のようなムラが起こったと聞く。」
「どういった道理でそのような事になったのでしょう。」
「親を殺すというのは人道に反している。その者から出る毒気に狐憑きが負けたのだろう。という事はもしかしたら、と。わかるか。」
「…まさか。」
「嫁の親は、はなっからいないのか。」
鳳右衛門の背筋に氷が走った。
ご当主様は、私の過去を知っているのか…。
雪冬様が生まれた辺りからの話なら、あかりの親の話は関係ないはず。
いや、あかりの親も怪しくなってきたぞ。
ご当主様は何が言いたくて、私から何を聞きたいんだ…?
「同じ家に暮らしてなくとも、人を介したり同じ町や村に居たら影響は出る。それか冬馬の娘の呪いか。死んでからもご苦労な事だ。」
あかりの部屋から検査認定員と麻記が戻って来た。見立ては碧の五・五。ご当主様の見立て通りであった。
「先に言った様に手前の家で暫く世話するように。あとは、もしかしたら毒気が抜けるかもしれん。それも注意し見守る様に。」
ご当主様はそう言って家を後にした。
今、安森で何が起こっているのだ。
初めて聞く事実と憶測。結び付きが強いように思う。
雪庵先生、死んだ娘、あかりの親と私の過去。
こんがらがって固く結ばれた紐が、徐々に解けていくように、不安と期待も広がった。
居る時は幸運や財産を手にして繁栄するが、去った後、手にした幸運が倍になって災いへと転じる。
全く関係の無い人間までもが被る(こうむる)のだ。
安森の敷地内に居れば問題はない。
それを無視して好き勝手やると、一緒に居る家族にも何かしら不幸が起こり、取り返しがつかなくなるので、本家から口酸っぱく言われ続けている。
あかりの子供は無事生まれた。
あかりも健康、子供も健康。白だったら問題無かったのに。
子供は碧の五・五。離れ行きは避けられなくなった。
俺に全然似ていない、目も髪も肌も。
あかりにも似ていない。誰の子供なんだろう。
狐憑きは見た目が親にあまり似ない。俺みたいに、冷めた目で見る父親がだいたいと聞く。しかし母親は腹を痛めて産んだ子、いくら見た目が異様でも母性が出てきて離れ難くなる。
「早く離れに寄越してしまえ。」
「は。」
愛おしそうに片時も離さず子を抱いている。あと二日もすれば期限が終わる。
一緒に居れば居るほど離れ難くなる。
「蒼助さんの子供でもあるんですよ。何とも思わないのですか。」
そんな事はない。
「可愛いと思わないのですか。」
思わない。
「離れたくないとは思わないのですか。」
全く。
「何か仰って下さい。」
「早く寄越せ。」
「蒼助さん、」
イライラする。あんな餓鬼のどこが可愛いんだ。おやじもそう思ったはず。兄さんを離れに送ってせいせいしたに違いない。
二日後、子は離れに送られた。あかりも一緒に。
本家から、珍しく当主様直々に話があると訪問して来た。子の検査と、本家に子を預けれるかどうかの話だと手紙に書いてはあったが、本家の人間と検査認定員だけでいいところ当主様がいらっしゃるとなると、別の話があるに違いない。
現在の当主様は安森始まってまだ数人しかいない女当主である。確か三人目だ。
髪は艶のあるきれいな黒髪で腰まである。その髪を後ろにひとつに束ね、垂らしている。
面長の顔に細く形の良い眉、切長の目に、睫毛が非常に長い。目元に涙黒子があり、すっと通った鼻筋に薄い唇。実年齢よりはるかに若い。
背は人並みで、上等の紫の着物に銀錦の帯を締め、深紅の天鵞絨の肩掛けを羽織ってやってきた。さすがは安森ご当主、身に付けている物の格が違う。
「ご苦労、無事に生まれて何より。男子だったと聞くが、見た目からして如何程(いかほど)。」
「目は少し明るめですが、青や赤ではありません。肌の色は白く、髪は赤いです。」
「ん、碧といったところだろう。細かい数値を出してくれ。」
横に控えていた認定員に命令する。命令された認定員は、はい、と深く頭を下げ(ほぼ土下座)麻記の案内で、あかりと子が居る蒼助の部屋へ向かった。
「ところで、手前。嫁の調書を拝見したが、親の部分が空欄であった。何者なのだ。」
「それが、十年前に隣町であった大火事の際の孤児でして、祥庵や雪庵先生が尽力して下さったのですが、親、共に親戚、出生場所などはわかりませんでした。申し訳御座いませぬ。」
「構わん。狐憑きの嫁には好条件。変な詮索をされずに済むのでね。嫁は祥庵と雪庵とは、知り合いなのか。」
「はい、祥庵の寺で保護し、その後雪庵先生が育てました。」
「特殊医学者ふたりに世話になったのか。安森の家の狐憑きより丁重に扱われていたのだのう。」
「…はい。」
嫌味なのか、褒めているのかわからない。迂闊に返事をしない方が良いだろう。
「手前は雪冬を知っているか。」
「もちろんで御座います。以前、白の者も構わないと招集を受けた際、私だけ狐憑きの方々とご挨拶させて頂き、その時お目に掛かっております。」
「左様か。雪冬が生まれて安森全体の流れが変わり、白の手前のところにも藍が生まれた。しかし、その後も豊作で豊作で。採れ過ぎるのも良くないの。」
人の子をいらない作物みたいに。
「本家では預かれない。承知せい。」
「かしこまりました。」
「医者も足りなければ離れも足りない。他の分家もそうだと嘆いてくるが、そもそも自分らが拵えた子だ。手前も落ち着くまで自宅にて丁重に扱ってくれ、良いな。十五は上回っているだろうが、こちらも対応出来るようにいろいろ策は練っている。対応出来次第、迎えを寄越すから、それまで力の調節を祥庵と相談しつつ制御してくれ。」
「はい。」
「あと、雪庵の事だが。」
「雪庵先生が何か。」
「いつこちらに戻ってくるのか、手前からも説得願いたい。」
「安森の専属医師にお雇いになるのですか?雪庵先生は一般の町医者です。いくら特殊医学を学ばれていると言いましても、」
「うるさいな。」
しまった、いつもの癖で喋りすぎてしまった。
「雪庵を専属医師として迎えたいのではない。本家に戻って来て欲しいだけだ。」
「はい…?」
「手前は雪庵の本当の名前を知らぬのか。」
本名…?
「…申し訳御座いません、存じ上げませぬ。」
「安森 冬馬と言う名だ。天野(あまの)、と偽名もあるようだが、雪庵は渾名のようなもの。立派な名前があるというのに、罰当たりな奴。」
や、安森…。
「安森の人間であらせられるのですか。」
「手前は何も知らないのだな。だから甘いと言われるのだ。」
「申し訳御座いませぬ。ちなみに、雪庵先生はどちらの分家で。」
「…呆れるな、馬鹿か。冬馬は本家だ、紅狐憑きであらせられた、お祖母様の曾孫だ。冬嘉の、息子だ。」
え。雪庵先生が、直系の、前ご当主様のお孫様?
前ご当主様は病気で数年前水間(みま)変われた。そのため妹である目の前の方がご当主になった。結婚しているが子供に恵まれず、雪冬様を育てられた。
その雪冬様の父親が、雪庵先生。確かに名前が似通っている。なぜ気付かなかったのか…いや、無理だろう。わかる筈がない。
「冬馬は安森を嫌ってね、医者になると言って自ら縁を切って家を出た。娘が生まれたと聞いたが死んだと言われてね。狐憑きを邪険にした呪いだろう、罰当たりが。」
「む、娘さんがいらっしゃったのですか。息子ばかり三人いるのは存じておりましたが。」
「私も知らなかった。雪冬を引き取った時、違和感を感じて家の者に調べてもらった。引っ越しを頻繁にするものだから難儀した。あいつ、娘が狐憑きだからと隠して育てていたのよ。だが、死んだと証明書まで送って来ての。」
雪冬様の他に狐憑きの娘まで…どうなってるんだ。
「ご遺体はどちらへ…?本家のお墓ではないのですか。」
「知らぬ。言わぬのだ。仏になっても力がある狐憑きはおる。それがあるからしつこく問うておるのだが、口を割らん。もしや、自分で殺したのかも知れないの。」
「ま、まさか。」
「まあ、真実はわからぬ…。それと、雪冬が生まれてから、濃い色の狐憑きが生まれるようになったのは知っているな。しかし、ここ最近、どうもムラがあるのだよ。」
「ムラですか。と言いますと。」
「色通りの力は感じるのだが、返りの災いが柔らかくなってきている気がしてならない。良い事なのだが、何故だかわからず気持ちが悪いのだ。」
確かに。安記は実家と婚家を行き来する生活を送っているが、安記が不在の間の婚家で災難があった事は一度もなかった。
「だいぶ昔、大飢饉が起こった時、親を殺して食べた人間が飢饉後安森の本家の近くに住んでいたそうだ。うっかりその者と狐憑きが接触した事があってな。そしたら今回のようなムラが起こったと聞く。」
「どういった道理でそのような事になったのでしょう。」
「親を殺すというのは人道に反している。その者から出る毒気に狐憑きが負けたのだろう。という事はもしかしたら、と。わかるか。」
「…まさか。」
「嫁の親は、はなっからいないのか。」
鳳右衛門の背筋に氷が走った。
ご当主様は、私の過去を知っているのか…。
雪冬様が生まれた辺りからの話なら、あかりの親の話は関係ないはず。
いや、あかりの親も怪しくなってきたぞ。
ご当主様は何が言いたくて、私から何を聞きたいんだ…?
「同じ家に暮らしてなくとも、人を介したり同じ町や村に居たら影響は出る。それか冬馬の娘の呪いか。死んでからもご苦労な事だ。」
あかりの部屋から検査認定員と麻記が戻って来た。見立ては碧の五・五。ご当主様の見立て通りであった。
「先に言った様に手前の家で暫く世話するように。あとは、もしかしたら毒気が抜けるかもしれん。それも注意し見守る様に。」
ご当主様はそう言って家を後にした。
今、安森で何が起こっているのだ。
初めて聞く事実と憶測。結び付きが強いように思う。
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