Brain Nunber

藤岡 志眞子

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number.1 見つけ出された女の子

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此処から遥か遠い国。山脈が連なり年中雪が残っている。
そこの拓けた土地に父親のいない親子が住んでいた。
母親は現地の人間らしく、娘は母親とは人種が違うようで髪の色も目の色も全く似ていなかった。顔も、どうやら性格も。
母親と話をしようにも言葉が訛っているのか、知名度の低い言語なのか全く通じなかった。
ただ、女の子を指差してから書類の数字を指差して、身振り手振りで譲って欲しいと交渉したら承諾してくれた。
辺鄙な所で金も無い。女ふたりで明日食べるのも大変だったのだろう。

特派員が探し見つけてきた女の子、エナ。
こちらに連れてくるにあたり、絵菜と漢字をあてた。

絵菜は類稀なる計算能力に長けていて、研究所の人物ファイルに載っていた。
いつ誰が探してファイルに名を連ねていたのか分からないが、最後のチャンスだと思った。
藁をも掴む思いで絵菜を連れてきたのだが、他の者とは桁が違った。
例題の数式を全てミスなく解き、何と言っても速さが違う。まるでコンピュータで計算しているかのようだ。

使える。

当社下で保護し、同じく暗号解読に躍起になっている他社の者に見つからないようにする。場所は侵入不可能、逆探知、空からの監視もできない秘密の場所。
樹海のような森林の中に作られた(ベース)。

絵菜を監視員兼ボディガードと共に送る。その仕事を任されたのは当社のエース、リウ。
そして、然(サト)、奏(ソウ)、景(ケイ)、唯一女の棗(ナツメ)にした。
交代制で絵菜をみる。皆ほぼ同世代で若い。歳が離れたおじさんより早く心を開くだろう。

絵菜、君の計算能力でタイムリミット迫る(爆弾)を止めるんだ。







モニターにびっしりと数字が並ぶ。
それを見て絵菜が手元の紙に数式を作り、計算していく。紙とボールペンがどんどん消費されていく。絵菜の足元には計算し終わった紙が散らばっていた。

四、十五、八、百二……絵菜が紙に書かれた数字を指差す。全てで十七個。
即座に本部に連絡をし、その数字を伝える。
数分後、第一ロック解除との連絡が来た。

「絵菜、解除出来たぞ、ありがとう。」

「………。」

絵菜は私達の言葉が通じない。別の言語も皆無だ。もしかしたら、あの母親としか通じない言語を使っていたのだろう。しかし、頭は良い。きっとすぐに言葉も覚えるはず。

「リウ、本日からの任務の対象者だ。歳は十七歳くらいかな。言葉が通じないがそんな事慣れているだろう?くれぐれも大切に。」

「…女だったのか。てっきりド近眼のむっさい男かと。」

「女の子で良かっただろ。可愛らしいし…手、出すなよ。」

「出さねぇよそんなガキ。」

リウは推定二十三歳の、当社の裏部署のエースだ。こいつに任せておけば取られないだろうし、死にはしないだろう。

車にリウと絵菜、運転手に当社研究室室長、蓮原 玲子(はすはら れいこ)を乗せ見送った。玲子も特殊訓練に長けている。
ナビに従い、深い森の道をひた走る。分かれ道が多く、ひとつでも間違えると辿り着けない。一つ目のゲートに着く。ゲート横にある機械にナンバーを入力。その後、玲子、リウがそれぞれ瞳のスキャン、指紋の照合をしてゲートのロックが解除された。
通過後また暫く走り、同じようなゲートをひとつ解除し中に入る。少し走ると洋館のような建物が見えた。(ベース)だ。

「絵菜、これから交代のメンバーが来るまでだいたい一ヶ月、リウと此処で暮らすの、…って通じないのか。」

「……ハイ。」

「言ったことわかるの?…まぁ、言葉は生活しているうちに分かってくるわ。リウ、変な言葉や汚い言葉は教えないように。喋らないように。」

「うるせぇな、喋れないじゃねぇか。」

「それ、駄目よ。気を付けて。」


ふたりを置いて玲子が乗ってきた車で出て行った。帰りの車は無い。徒歩で帰れる距離じゃない。
ふたりは無言のまま、ベースの鍵を開けた。

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