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不信
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目を開けると、隣に先生はもういなかった。
先生の中で果てた後、なだれ込むように眠ってしまったらしい。
離れないようにしっかりと抱きしめていたはずなのに、先生がいつ起きたのかすら分からなかった。
近くで何かを食べている音がして、俺は横になったまま視線を音のする方へ向けた。
先生は横の椅子に脚を組んでゆったりと座り、ぼうっと窓の外を眺めている。
月の灯りに照らされた横顔は息を呑むほど綺麗で見飽きることがない。
「何食べてるの」
俺は気づかれないようにそっと起きあがると、先生の口の中にある1粒をキスして奪って食べた。
その味は、
「にっが!」
先生は乾いた笑いを浮かべると、机においてある赤い丸形の小さなココット皿を持ち上げてカラカラと振って見せた。
「100%カカオです」
「普通のチョコかと思ったら、こんなもの食べるのかよ、歯医者って」
「いえ、単に好きで食べるんです」
先生は粒状のチョコを口に入れてポリポリと音を立てた。
先生の服は既にきっちりと整えられていて 、さっきまで俺と汗だくで繋がっていたなんて思えないほど平然としている。
それどころか更に素っ気なくなった気すらする。
「高木さん」
「タケルでいいよ」
「…もう帰らないと明日に響きますよ」
名前を呼ばれなかったのが、先生に距離を置かれている気がした。
けど俺は気づかないふりをして、無理矢理会話を続けた。
「ああ、そっか。
歯医者って土曜日もやってるもんな。
じゃあ次はいつ会える?
色々知りたいんだ。
苦いチョコレートの他に好きなものは何だ
ろうとかさ」
おどけてみせても、先生には全く通用しなかった。
「次は、ありません」
「先生、俺とするの嫌だった?」
俺が聞くと、先生はクスリと自虐的に笑った。
「いいえ。
よく知りもしない人に求められることには
慣れてますから。
一度セックスすれば、皆ある程度納得して
くれるんです」
「俺はただやりたかった訳じゃない」
先生は光を失くした瞳で静かに言った。
「あなたと話をしていたら、 あなたの体温
を感じたくなって、寝てしまった。
けど落ち着いて考えると、やっぱり誰かを
信じるのは怖いんです。
もう高木さんに会うつもりはありませ
ん」
俺はもどかしさに腹が立ち、カッと頭に血が昇った。
「先生は、本当の自分が傷つくのが嫌で、逃
げてるだけだろ?
自分を守ることしか考えずに俺を見ようと
してない。
今の先生は結局、本当の先生を見ようとし
なかった奴らと同じだよ」
先生は唇を噛みしめて、傷ついた顔をして
いた。
「自分を見てもらえなくてどれだけ傷つくかは自分がよく分かってんじゃないのかよ」
「…タケルくん」
先生の瞳に少しずつ光が戻っていく。
そして、困ったように顔をくしゃっと歪ませた。
傷つけてしまった。
けど、あとには引けず謝ることができなかった。
どうしようもなくなって出ていこうとすると、腕を先生に捕まれた。
俺は構わず先生の手を思いきり振り払った。
その拍子にお茶の入っていたカップに手が当たってカップは派手な音を立てて弾けとんだ。
「ちゃんと俺を見てよ。
そして俺に信じほしいなら、先生の全てを
さらけ出してくれよ。
そうじゃなきゃ何も始まらない」
今日はすごく暖かい。
どこかで春一番が吹いたなんてニュースで言ってたっけ。
俺は顔を洗って寝癖を直すと、黒いスウェット姿でいつもの坂道をゆっくりと下っていった。
手には白い紙袋をぶら下げている。
今日は仕事も休みで急ぐ必要もない。
そして、今から会いに行く愛しいあの人との時間もこれからたっぷりあるんだから。
いや、じっくりと時間をかけなきゃいけないと言ったほうが合ってるかな。
「せーんせ」
予想通り先生は病院の外で掃き掃除をしていた。
服は最初の時と同じトレーナーにデニムだ。
俺の声を聞いた途端ぱっと顔をあげ、何か言いたそうに口をぱくぱく開けている。
神妙な面持ちの先生を前に不謹慎だけど、美人の慌てた顔ってものすごく可愛い。
俺はにやけそうな口角をぐっと噛み締めて、手に持っていた紙袋を先生の前に突きだした。
「カップの弁償」
「………え?
えっと……」
戸惑いながらも先生は袋を受け取って中身を覗きこんだ 。
「カップの弁償なのに見た感じはチョコレー
トに見えますが……」
「チョコだ!」
「………はい、チョコですね………」
堂々と言ってのけた俺を見て、先生は苦笑した。
そしてふっと笑みを消すと、うつむいてポツリと言った。
「タケルくん、この前は疑ってすみませんでした」
「俺に全部見せる気になった?」
先生は手に持っている竹ぼうきの柄をぎゅっと握りしめた。
「そう簡単にはできません。
たくさんの人にイメージを押しつけられ
て、内面を否定されてきたんです。
疲れ果ててしまって、抵抗する気も失せて
いたんです。
………けど、ちゃんと抵抗しないとダメです
ね。
その罰に」
先生はぎゅっと口を食い縛ってから、一気に言った。
「タケルくんはちゃんと私を見ようとしてく
れていたのに嫌われてしまいました」
先生は思い詰めた表情で下を向き、落ち込んでいる。
俺は思ってもみなかったことを言われてあっけにとられてしまった。
「何言ってんだよ先生。
俺、嫌いになってないぜ?
チョコ持ってきたのだって、先生のとこで
これ食べまくって歯医者として目が離せな
くしてやる為だからな。
それならケンカしても病院には来るから嫌
でも会えなくなるとかって不安にもな
らないだろ 。
あれくらいで俺が諦めると思わないで
よ」
先生はポカンと口を開けて間抜けな顔をしていた。
かと思ったら、先生の右目からぽろっと涙がこぼれた。
「ぇえ?」
俺は驚いて目を見開いた。
ひと粒こぼれ落ちたかと思ったら、チョコレート色の瞳には次から次へと涙が沸き上がってきた。
そして先生の涙はゲリラ豪雨かというくらいダーダーと溢れて流れ続ける。
「タケルくんが帰ってしまって……嫌われたと思ったらものすごい後悔が押し寄せてきて。
私は人を拒絶しながらもこんなに求めていたんですね」
興味がないふりして、本当は欲しくてたまらない。
確かに先生のセックスそのものだったと俺は一人納得していた。
それにしても先生が余りに大げさで、俺は呆れてしまった。
「そんなに落ち込むか?
どんなひどい目に遭ってきたんだよ」
「はあ、まあ色々と」
しおらしく涙をふいて鼻をすすっている先生は大の男とは思えないほどいじらしい。
おそらく一人っ子でケンカもろくにしたことがないんだろうな。
そして先生の良心につけこんだ悪いやつらに人間不信に陥るほど何かされたのかもしれない。
だって俺でさえ、こんないたいけな瞳で見つめられると、どうにかしたくなってしまう。
う~ん。
今日は歯医者も休みだろうし。
「先生の色々あった話、ゆっくり聞かせてよ。
チョコレートでも食べながらさ」
先生は何の疑いもなく、甘くにこりと笑った。
「ええ、いいですよ。
ダークチョコレートもありますよ」
「いや、俺は甘いほうが好きかな」
俺はとても甘いチョコレートを味わうために、開かれた扉の中に足を踏み入れた。
先生の中で果てた後、なだれ込むように眠ってしまったらしい。
離れないようにしっかりと抱きしめていたはずなのに、先生がいつ起きたのかすら分からなかった。
近くで何かを食べている音がして、俺は横になったまま視線を音のする方へ向けた。
先生は横の椅子に脚を組んでゆったりと座り、ぼうっと窓の外を眺めている。
月の灯りに照らされた横顔は息を呑むほど綺麗で見飽きることがない。
「何食べてるの」
俺は気づかれないようにそっと起きあがると、先生の口の中にある1粒をキスして奪って食べた。
その味は、
「にっが!」
先生は乾いた笑いを浮かべると、机においてある赤い丸形の小さなココット皿を持ち上げてカラカラと振って見せた。
「100%カカオです」
「普通のチョコかと思ったら、こんなもの食べるのかよ、歯医者って」
「いえ、単に好きで食べるんです」
先生は粒状のチョコを口に入れてポリポリと音を立てた。
先生の服は既にきっちりと整えられていて 、さっきまで俺と汗だくで繋がっていたなんて思えないほど平然としている。
それどころか更に素っ気なくなった気すらする。
「高木さん」
「タケルでいいよ」
「…もう帰らないと明日に響きますよ」
名前を呼ばれなかったのが、先生に距離を置かれている気がした。
けど俺は気づかないふりをして、無理矢理会話を続けた。
「ああ、そっか。
歯医者って土曜日もやってるもんな。
じゃあ次はいつ会える?
色々知りたいんだ。
苦いチョコレートの他に好きなものは何だ
ろうとかさ」
おどけてみせても、先生には全く通用しなかった。
「次は、ありません」
「先生、俺とするの嫌だった?」
俺が聞くと、先生はクスリと自虐的に笑った。
「いいえ。
よく知りもしない人に求められることには
慣れてますから。
一度セックスすれば、皆ある程度納得して
くれるんです」
「俺はただやりたかった訳じゃない」
先生は光を失くした瞳で静かに言った。
「あなたと話をしていたら、 あなたの体温
を感じたくなって、寝てしまった。
けど落ち着いて考えると、やっぱり誰かを
信じるのは怖いんです。
もう高木さんに会うつもりはありませ
ん」
俺はもどかしさに腹が立ち、カッと頭に血が昇った。
「先生は、本当の自分が傷つくのが嫌で、逃
げてるだけだろ?
自分を守ることしか考えずに俺を見ようと
してない。
今の先生は結局、本当の先生を見ようとし
なかった奴らと同じだよ」
先生は唇を噛みしめて、傷ついた顔をして
いた。
「自分を見てもらえなくてどれだけ傷つくかは自分がよく分かってんじゃないのかよ」
「…タケルくん」
先生の瞳に少しずつ光が戻っていく。
そして、困ったように顔をくしゃっと歪ませた。
傷つけてしまった。
けど、あとには引けず謝ることができなかった。
どうしようもなくなって出ていこうとすると、腕を先生に捕まれた。
俺は構わず先生の手を思いきり振り払った。
その拍子にお茶の入っていたカップに手が当たってカップは派手な音を立てて弾けとんだ。
「ちゃんと俺を見てよ。
そして俺に信じほしいなら、先生の全てを
さらけ出してくれよ。
そうじゃなきゃ何も始まらない」
今日はすごく暖かい。
どこかで春一番が吹いたなんてニュースで言ってたっけ。
俺は顔を洗って寝癖を直すと、黒いスウェット姿でいつもの坂道をゆっくりと下っていった。
手には白い紙袋をぶら下げている。
今日は仕事も休みで急ぐ必要もない。
そして、今から会いに行く愛しいあの人との時間もこれからたっぷりあるんだから。
いや、じっくりと時間をかけなきゃいけないと言ったほうが合ってるかな。
「せーんせ」
予想通り先生は病院の外で掃き掃除をしていた。
服は最初の時と同じトレーナーにデニムだ。
俺の声を聞いた途端ぱっと顔をあげ、何か言いたそうに口をぱくぱく開けている。
神妙な面持ちの先生を前に不謹慎だけど、美人の慌てた顔ってものすごく可愛い。
俺はにやけそうな口角をぐっと噛み締めて、手に持っていた紙袋を先生の前に突きだした。
「カップの弁償」
「………え?
えっと……」
戸惑いながらも先生は袋を受け取って中身を覗きこんだ 。
「カップの弁償なのに見た感じはチョコレー
トに見えますが……」
「チョコだ!」
「………はい、チョコですね………」
堂々と言ってのけた俺を見て、先生は苦笑した。
そしてふっと笑みを消すと、うつむいてポツリと言った。
「タケルくん、この前は疑ってすみませんでした」
「俺に全部見せる気になった?」
先生は手に持っている竹ぼうきの柄をぎゅっと握りしめた。
「そう簡単にはできません。
たくさんの人にイメージを押しつけられ
て、内面を否定されてきたんです。
疲れ果ててしまって、抵抗する気も失せて
いたんです。
………けど、ちゃんと抵抗しないとダメです
ね。
その罰に」
先生はぎゅっと口を食い縛ってから、一気に言った。
「タケルくんはちゃんと私を見ようとしてく
れていたのに嫌われてしまいました」
先生は思い詰めた表情で下を向き、落ち込んでいる。
俺は思ってもみなかったことを言われてあっけにとられてしまった。
「何言ってんだよ先生。
俺、嫌いになってないぜ?
チョコ持ってきたのだって、先生のとこで
これ食べまくって歯医者として目が離せな
くしてやる為だからな。
それならケンカしても病院には来るから嫌
でも会えなくなるとかって不安にもな
らないだろ 。
あれくらいで俺が諦めると思わないで
よ」
先生はポカンと口を開けて間抜けな顔をしていた。
かと思ったら、先生の右目からぽろっと涙がこぼれた。
「ぇえ?」
俺は驚いて目を見開いた。
ひと粒こぼれ落ちたかと思ったら、チョコレート色の瞳には次から次へと涙が沸き上がってきた。
そして先生の涙はゲリラ豪雨かというくらいダーダーと溢れて流れ続ける。
「タケルくんが帰ってしまって……嫌われたと思ったらものすごい後悔が押し寄せてきて。
私は人を拒絶しながらもこんなに求めていたんですね」
興味がないふりして、本当は欲しくてたまらない。
確かに先生のセックスそのものだったと俺は一人納得していた。
それにしても先生が余りに大げさで、俺は呆れてしまった。
「そんなに落ち込むか?
どんなひどい目に遭ってきたんだよ」
「はあ、まあ色々と」
しおらしく涙をふいて鼻をすすっている先生は大の男とは思えないほどいじらしい。
おそらく一人っ子でケンカもろくにしたことがないんだろうな。
そして先生の良心につけこんだ悪いやつらに人間不信に陥るほど何かされたのかもしれない。
だって俺でさえ、こんないたいけな瞳で見つめられると、どうにかしたくなってしまう。
う~ん。
今日は歯医者も休みだろうし。
「先生の色々あった話、ゆっくり聞かせてよ。
チョコレートでも食べながらさ」
先生は何の疑いもなく、甘くにこりと笑った。
「ええ、いいですよ。
ダークチョコレートもありますよ」
「いや、俺は甘いほうが好きかな」
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