街コン!〜十日之菊〜

SHIZU

文字の大きさ
1 / 8

高嶺の花

しおりを挟む
「何探してるの?」
18歳。4月。
大学の中で、図書館を探していた俺に、その人はそう声をかけてきた。
その人は、3年生で俺と同じサークルの、竹本優子たけもとゆうこ先輩だということを後で知る。
「図書館、探してるんです」
入学したての俺は、図書館の場所がわからず、彷徨っていた。
「私もちょうど行くから、一緒に行こう!」
彼女は俺の腕を引っ張って、連れて行ってくれた。
「新入生?」
「はい。1年の田中蒼たなかあおいです」
学部を告げると、
「それじゃあ、よく使う他の場所も、一緒に案内しとこうね!」
そう言って、頼んでもいないのに、あれこれ説明してくれる。
「私もよく迷子になったよー!無駄に広いよねー」
そう笑った彼女に、俺は恋をした。
たぶん初恋だった。


サークルの新人歓迎会の時、中学からの友達の三石亮みついしりょうが俺に、クリームソーダの上に乗っていた、さくらんぼの柄を渡して言った。
「なぁ、蒼。あれやって?」
「何で」
「久しぶりじゃん」
「しゃーねーな………ん」
と、口の中で結んださくらんぼの柄を、舌に乗せたまま亮に見せた。
「すごいな。本当。俺出来ない…」
「何がー?」
と先輩たちが聞いてくる。
「蒼ってさくらんぼの柄、ちょっと短めでも、こんな風に口の中で結べるんですよ!すごくないです?」
「確かに、短いのにすごいね。さくらんぼの柄を口の中で結べる人ってキスが上手いとか言うよね!」
「そうなんですか!?そういや実際、昔付き合ってた子、キスでメロメロにしたよなー?」
「え?マジで?どんな感じで?」
と先輩たちに言われて、仕方なく話し始めようとした時、
「遅れちゃったー!ごめんねー!」
とあの人が入ってきた。
「え?なんであなたが…?」
と優子先輩の登場に驚いた、
「優子。遅かったね。教授の話大丈夫だった?というか蒼くん知り合い?」
と3年の森田先輩が俺たちに聞いた。
「はい。道に迷ってた時に、案内してもらって…」
と答えると
「なるほど…優子らしいな」
と笑った。
その雰囲気で、2人が付き合ってるのが、俺にはわかった。
「で?今までの彼女の話、早くー!」
と亮の横で話を聞いていた、同じく3年の明石先輩が話を蒸し返した。
もうどうせ失恋したし、空気読めないのもなんだかなーと思って話し始める。


中学生の時に付き合った初めての彼女
バレンタインにチョコ貰って、ベタな感じで付き合い始めた。
付き合ったのは、気持ちに応えれば、ホワイトデーというめんどくさい行事を無視できると思ったからだ。
小遣いもなかったし。
でも付き合ったからといって、無視できるもんじゃないと後で知った。
なんでもいいから、返さなきゃダメだったって、友達に言われた。
この友達、俺を今、話のネタの生贄に捧げた三石亮。
バレンタインのお返しって事で、キスをしたら彼女は許してくれた。
だけど卒業を期に、俺たちは別れた。約2ヶ月くらいの話だった。

次の彼女は高校に入ってすぐ出来た。
別に好きだったわけじゃない。
これもまた好きだと言われて付き合い始めた。
サッカー部に入っていたし、彼女はマネージャーだった。
よくある話だろ?
本当はエースとマネージャーが付き合うのが、セオリーだと思う。
俺はエースでもなんでもない。
「何で俺なの?」
と聞くと、
「顔?」
とその子は答えた。
聞くなよ。だけど潔いな。
付き合って1ヶ月くらいして、俺たちは夜の公園でキスをした。
「んっ…はぁ…すごい」
「何が?」
「蒼くんて、キス上手なんだね…」
そうなのか?
比べる相手をほとんど知らないから、何が上手か俺には判別できない。
でも彼女にはそれが出来たんだな……まあ、別にいいけど。
俺もキスは嫌いじゃない。
でもそんな彼女とも長くは続かなかった。
半年くらい付き合って、結局、彼女はエースと付き合い始めた。
実際には付き合ってはなかったらしいんだが、なんか馴れ馴れしくしたり、腕を触ってるのを見て、まぁ心変わりしたなら、別れてあげるべきだと思った。
本当は嫉妬させたかっただけらしい。
「別れよ」
「え?なんで?」
「だって別に好きなやつ、出来たんだろ?」
「違うよ!」
「え、じゃあ何?」
「蒼くん、私が言わないとキスとかしてくれないし…それ以上のことも誘ってくれないから、私が他の人と一緒にいるの見たら、焦ったり、嫉妬したりするかと思ったの!」
「何それ。セックスしたかったってこと?ならそう言えば良かったのに」
そう言うと、跡が残りそうなくらい頬をビンタされた。
めんどくさいな。
俺、間違ったこと言った?

高2の夏、夏期講習の帰り、カフェでお茶しながら復習していると、大学生の女の人に声をかけられた。
勉強を見てくれて、帰りに
「今度お礼に飯奢ります」
と言うと、
「ありがとう。じゃあ明日の同じ時間に、ここで待ち合わせってどう?」
「わかりました。じゃあ明日…」
そう言って、次の日同じカフェに行くと、その大学生は俺を待っていた。
前日よりも、あからさまに胸元の開いた服を着て…
「予約とかどこもしてないんですけど、何系がいいですか?」
「なんでもいいよ!それか金曜日で、予約取れなさそうだし、材料買ってうちで食べる?」
なるほど…まあいいか。
部屋に着くと2人でカレーを作った。
食べ終わって、テレビを観ていた。
今日は観たかったサッカーの試合があった。
あ、もう後半じゃん。一応録画はしてきたし、まぁいいか。
「コーヒー飲む?」
「あ、じゃあ、いただきます。ブラックで」
彼女はブラックのアイスコーヒーを、俺の前に置こうとして、それをわざと倒した。
俺のズボンがびしょ濡れだった。
「ごめんなさい!今かわりのスウェット出すね」
俺は言われるがまま、ズボンを脱いだ。
だけど下着まで濡れてるんだけどな…
濡れた下着を見て、彼女は言った。
「それも、脱いで?洗濯回すから…」
「でもこれ脱いだら、俺、下半身ノーマークなんですけど…」
「じゃあ、洗濯と乾燥が終わるまで、気持ちいいことして待ってようよ?」
やっぱそうきたか…
「気持ちいいかどうか、俺にはわかんないっす。したことないんで」
「蒼くんかっこいいのにもったいないね。じゃあ、あたしが教えてあげる…」
そういうとキスをした。
そんな安モンのAVみたいなことあるんだな、なんて思いながら、俺もこの際せっかくだからと、それに乗っかった。
「んっ…蒼くん…キス上手」
「そうなんですね。前にも同じことを言われました」
「初めてって言ったくせに。嘘ついたの?」
「嘘じゃないです。キスはあります。それ以上は初めてです」
「そうなんだ…ぁん」
下着の上から触ると、俺の指が濡れていた。
「キスだけでこんなんなるんですか?」
「いや…恥ずかしい…」
自分から誘ったくせに、恥ずかしいって言われても。
俺はその日、何回したか覚えてない。求められるがままだった。
帰り際、
「あの…また会える?」
って聞かれたから、ことあるごとに相手させられるのも面倒くさいと思って、
「俺のにバレたら、2人ともんで、次はないと思います」
と適当に言い残し、乾いた下着とズボンで家に帰った…
それから彼女からの連絡はない。

とまぁこれを全部ありのまま言うと、ドン引きされるし、
優子先輩に嫌われるのも嫌だったから、やんわりと掻い摘んで話した。
「なんかすごいね…モテるんだ。で?今は?恋人いないの?」
と明石先輩が聞いてきた。
「はい。今はいません…」
「そうなんだ…」


後日、俺の探している本を、明石先輩が持っていると聞き、先輩が一人暮らししているアパートに行った。
お茶を出しながら
「はい」
と本を貸してくれた。
俺は、
「あ、ありがとうございます。これ、探してたんです。もう普通の本屋にも古本屋にも売ってなくて…借りられて、助かりました。今度、飯奢ります」
と言って、出されたお茶を飲んで言った。
課題のために必要な本だった。
少し雑談をして、帰ろうと立ち上がった時、眩暈がした。
足元がおぼつかない…
俺はそのまま後ろにあったベッドに倒れ込んだ。
目が覚めると俺は全裸だった。
時計は午後4時。
1時間くらい経っている。
立ちあがろうとして気付いた。
俺、手足、縛られてんじゃん…
「起きた?なぁ、飯はいいから、お願い聞いてくんない?」
「…何ですか?」
「付き合って。俺と」
「どういうことですか?どこに?」
「いや、そういう付き合うじゃなくて…まぁいいや。話聞く限り、たぶん蒼はノンケだから、付き合うまではしなくていい。だから1ヶ月だけ俺の相手して?」
ちょっと、何言ってるかわかんない。
「相手って…ヤらせろってことですか?」
「まあ簡単に言うとそうだね」
それ以外にどんな言い方があるんだよ…
しかもこんな状況で。俺を裸にしておいて。
「俺…帰ります」
となんとか体を起こして言う。
「単位。いいの?落としても」
「……」
「それにさ…これ見てよ」
俺が寝ている間に撮った動画。
寝ている俺に無理やりキスしている先輩。
散々キスしたあと、何故かアイマスクをされていた。
そのあと俺の体を触りながら、もう片方の手は自分のを握って動かしている。
「これ、誰にも見られたくないだろ?」
もう言葉も出なかった。
呆然とする俺の横で、先輩は説明した。
俺は舐めたり咥えたりしなくていい。
ゴムも付けるから、最後は中に出させて欲しいってことだった。
その本が無いことには、課題は出せない…
拒否すれば単位は取れないってことだ。
それにあの動画も。
俺は断れなかった。
「じゃあ1ヶ月よろしく。とりあえず、今日からね…」
そう言うと、先輩はまた俺のを触り始めた。
先輩は俺の手を縛ったまま、足の縄だけ解いた。
とりあえず俺にキスをして、俺のを舐めたりしながら、自分のを手で処理していた。
「挿れるのは待って?まだ入らないから…」
と、その後は開発とやらの作業に入った。
何、楽しみにしてて、みたいな感じで言ってんの?
もうやけくそだった。

先輩は警戒しているのか、毎日最初にすることは、俺の手を縛ることだった。
もしかしたらそういう性癖かも。
これってレイプじゃないの?
いや、脅されてるとはいえ、同意の上と見られるのかな…もうなんでもいいや。
「ほら?気持ちいいだろ?気持ちいいですって言ってよ」
「いやだ。痛い…」
先輩は、日に日にエスカレートしていった。
「もっとくださいって、言ってみろよ。ほら奥まで当たってんぞ!言わなきゃ動画ばら撒くぞ!」
「せんぱ…い……奥まで、来てる…もっとください…」
毎日色んなことされるわ、言わされるわ、もうおかしくなりそうだ。
でも感じてるフリをすると、いつもより早く終わる。
だから演技もした。
この人の慣れた感じが怖かった。
先輩はいつも俺のを舐めてから、興奮すると自分のを俺の中に入れる。
1回で終わる時もあれば、それ以上の時もあった。
約束の1ヶ月間。俺は毎日犯され続けた。
そして最後の日、何を勘違いしたのか、先輩は俺に言った。
「俺たちすごく相性がいいよな。だから本当に付き合うってのはどう?」
「…ごめんなさい!帰ります」
と借りていた本を、先輩に投げつけ、ダッシュで先輩の家を飛び出した。
途中、画材の買い出しに出ていた、優子先輩と亮に見つかった。
「どうしたの?」
「蒼?どうした?」
親友と好きな人。
この2人には知られたくなかった。
知られたら、きっともう俺は嫌われて、大事な人を1度に2人も失うんだと思った。
理由は、男とことがじゃない。
たかだか本1冊のために、言いなりになって体を捧げたと知られるのが嫌だった。
「なんでもないです…」
と言った瞬間、亮が
「なんでもないの顔じゃない…」
と俺を抱きしめた。
2人は無言のままの俺を、何も言わずに抱きしめてくれていた。

3人でとりあえず、一人暮らしの亮の家に行く。
先輩も一人暮らしだけど、流石に男2人で女の子の家っていうのも気が引けたから、亮の家にってなった。
大学ではみんながいるから、話せないと気を遣ってくれたみたいだ。
俺はこの1ヶ月、自分に起きたことを話した。
「最初は痛くて…でも何日か経てば何も感じなくなった…とりあえず1ヶ月、なんとか耐えろ!って思って……最初は俺が眠っている時の動画で脅されたけど、隠してあった撮影用のスマホで、他の日も録画されてたことを知ったんだ…最初のよりもっと…うっ」
俺は吐き気を催してトイレに駆け込んだ。
戻ってきて、なんとか絞り出す。
「今日が…約束の1ヶ月の最後の日で…さっきその動画を見せられて……こんなに…相性がいいんだから、付き合おうって言われた。感じてるフリすると、早く終わる気がするから、演技…しただけなのに…もうでも我慢できなくて、本を投げつけて帰ってきてしまった…」
2人の顔色が変わってく…
優子先輩は泣いている。
涙すら出ない俺の代わりに、涙を流しているように見えた。
ショックだろうな。
俺のこと、軽蔑したかな。
優子先輩の笑顔が好きなのに…
泣かせたいわけじゃないのに…
あ。やっぱダメだ。
言うんじゃなかった。
2人とも離れていく…そう思った。
家を飛び出そうとして、亮に腕を掴まれる。
「行かないで!話したいことある…」
「…」
「今、男にこんなこと言われても、気分を悪くするかもしれないけど…俺は今まで大事なものを失いたくなくて、言えなかった。でも伝えておきたいことがある。俺…お前が好きだ。出会った頃からずっと…」
「え?」
「思春期の頃、みんなが誰々ちゃんが好きーとか、あいつの胸でかくなってきて、エロいよなーとかって会話に、俺はついていけなかった。ただ人よりそういうのに、興味を持つのが遅いんだと思ってた。でも違ったんだ…」
俺はちらっと優子先輩の顔を見た。
真剣に話を聞いている。
亮は先輩の前で、こんなことカミングアウトして大丈夫なんだろうか?
そう思って向けた視線だった。
それに亮は気付いて、
「先輩は知ってるから大丈夫」
と言った。
それにも驚いたけど、亮は話を続けた。
「きっかけは些細なことだった。昔、サッカーしてたお前が、俺の飲んでたミネラルウォーターを、それちょっとちょうだいって言って、奪い取って飲んだことがあったんだよ…そのお前の目にドキドキした。気のせいかと思ったけど、返された水に口を付けた時、今まで感じたことない気持ちがあった。俺は気付いたんだ。お前が好きだって。でも言えなかった。言えるわけなかったんだよ…」
「…」
「今こんなことになって、俺ずっとそばにいたのに、何も気付いてやれなくて、悔しくて…」
亮が泣きながら話を続ける。
「最低なのは先輩で、お前は悪くない。だから自分のこと嫌いにならないで欲しいんだ」
亮がそう言った後、優子先輩が言った。
「そこに愛があるなら、相手が誰でも素晴らしいと思うの。だけどこれはひどい……私たち、絶対許さないから…」
そう言うと先輩たちは大学に戻った。
俺は亮の部屋で2人の帰りを待っていた。


後日、明石先輩は学校を辞めた。
実は俺以外にも、何人か被害者が居たみたいだ。
スマホに、俺以外の人を脅して撮った動画もあった。
亮と先輩が調べて、被害者と学校に言ったらしい。
明石先輩の父親は、なんかどこぞの偉い人らしくて、多額の示談金と、息子が学校を辞める、動画は全て削除する、ということを条件に、表沙汰にはしないでほしいと言ってきた。
亮と優子先輩はブチギレたけど、俺はそれでいいと言った。
思い出したくなかったし、それを他の誰かに話すのも嫌だったからだ。


2人はずっと俺を支えてくれた。感謝しかない。
あのことがあってから何ヶ月か経った頃、2年になった俺は亮の部屋で呑んでいた。
今日は亮の誕生日だった。
「いいな。お前は4月生まれだからもう酒呑めるんだー?俺はあと2ヶ月も先だなー」
「蒼の誕生日は、2人でこれ飲もうよ」
今日のところは、亮は焼酎、俺はコーラで乾杯した。
「最近どう?」
亮が俺に聞いてきた。
「どうって?」
「いや、なんでもない…」
「そういやさ。優子先輩は俺の気持ち知ってるから、大丈夫って前に言ってたけど、あれどういうこと?」
「新歓の日のすぐ後に、言われたんだ。亮くんは蒼くんが好き?って。俺がずっとお前のこと目で追ってるの知ってたみたい」
「へぇ。…なぁ、亮。俺たち付き合ってみる?」
「は!?何言ってんの?お前…」
「何言ってんの?って…俺のこと好きなんだろ?」
「いや、そうだけど…」
「嫌ならいいよ」
「い、い、嫌じゃない!でも大丈夫?嫌なこと思い出さない?それにお前は…」
「何?」
「なんでもない…」
「明石先輩と亮じゃ全然違うよ。俺はお前と優子先輩には感謝してる。ずっと支えてくれたこと、心配してくれてること、見守ってくれてること。恩返しなんて厚かましいことは言えないけど、今度は俺がお前に何か返したいんだ。こんなんじゃダメかな?」
そう言うと、亮は俺を抱きしめて呟いた。
「過去1番嬉しい誕生日プレゼントだ…」

しばらく抱き合っていた。
ふと亮の顔を見る。
顔をゆっくり近付けて、俺は亮の唇を軽く噛んだ。
そのままキスをしながら、シャツのボタンを外す…
亮が俺の手を押さえて、慌てて言った。
「ちょっ!ちょっと待って!」
「どうした?」
「…ヤバい!俺死ぬ…」
「どうして?」
「まず、そのキス!何!?そのソフトすぎる甘噛みからのディープなやつ!そんなんどこで覚えるん?」
何故か、今まで使ったことない関西弁が急に出てる。
思わず笑ってしまった。
「次は?」
「あと、お前のその眼!何、そのエロい眼!ミネラルウォーターの時と同じ!」
あー。前に言ってたな。
「6秒ルールって知ってる!?」
「6秒見つめ合ったら恋に落ちるってやつ?」
「そう。蒼の眼はダメなやつ。俺、1秒で落ちたんだから…」
「そんなのただの好みの問題だろ。他は?」
「何でシャツのボタン外すの!?」
「何でって。お前、服着たままするのが好きなタイプ?」
「そういう問題じゃない!てか服着たままでも、真っ裸でも、お前とならずっとくっついてたい!」
「……」
「……」
「何言ってんの?大声で」
「何言ってんだろ。大声で。めっちゃ恥ずかしい」
「俺たち、中学からずっと友達だったんだよ。しかもあんなことがあったから、絶対お前から俺を抱くなんて出来ないと思った。だから俺からって思って…」
俺は亮の眼を、じっと見つめた。
そして首に手を回して、またキスをした。
「おまえ…ずるい…」
「きて…」
俺は亮をベッドに連れてった。
「亮。もうこんなになってる」
「だからー。眼を見るだけで、こうなっちゃうんだって…」
「パブロフの犬だな」
俺はゆっくりと亮の全身にキスをした。
亮の柔らかい唇がすごく気持ちいい。
感じている亮が可愛かった。
「なぁ。舐めていい?」
「それ以上はもうダメなやつだから!本当に…あっ…だからダメだって…」
「お前が、あの時の痛みとか悲しみとか全部、忘れさせてよ…」
「…うん…わかった」
「だからずっと俺の側にいろよ?」
「ずっと好きだったんだ。嫌だって言われても離れねーよ」
今思えば、この時が俺たちの1番幸せな時だったかもしれない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

死ぬほど嫌いな上司と付き合いました

三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。 皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。 涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥ 上司×部下BL

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

蒼と向日葵

立樹
BL
梅雨に入ったある日。新井田千昌は雨が降る中、仕事から帰ってくると、玄関に酔っぱらって寝てしまった人がいる。その人は、高校の卒業式が終わった後、好きだという内容の文章をメッセージを送って告白した人物だった。けれど、その返信は六年経った今も返ってきていない。その人物が泥酔して玄関前にいた。その理由は……。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...