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丹花の唇
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大晦日。
俺たちは先輩の家にいる。
昼から料理をしていた。
大晦日は、先輩がおせちの代わりに、巻き寿司とかちょっとしたおかずをタッパに詰めて、毎年持たせてくれる。
俺が1人だと、ひたすら酒を飲み、お腹が空いたらカップ麺で済まそうしているのを、知っているからだ。
今年は、新も聡も来る。亮もいる。
だから昼から俺たちも手伝っていた。
「聡たちに手伝わせたら?あいつの方が料理上手いのに…新も料理教室通ってるんだしさ」
「昼間は総司くんたちと出かけるんだってさ」
「へー。あそこも仲良くなったな!みんなで新を取り合ってたとは思えないな」
「え?マジ?」
「マジ、マジ!」
先輩は驚いていた。
「まぁあの子、可愛いわよね。わかる気がする。天然というか、ピュアというか…」
とぶつぶつ言いながら、寿司を巻いている。
夜はすき焼きをしようということになった。
「亮。すき焼きなんて久しぶりなんじゃない?」
と先輩が聞いた。
「うん。もう何年振りとか」
「じゃあいっぱい食べてよ!」
「なんか、おかぁ…いて!」
お母さんみたいって言おうとして、途中で小突かれた。
亮が笑っていると、聡たちがやってきた。
こういう時って、紹介するんだよな…
何気に気まずいんだが…
「初めまして。亮さん?植本新です!こっちは川辺聡!いつも蒼さんと優子さんにはお世話になってます。よろしくお願いします」
あーなんというか、こいつほんとすごいわ。
「三石亮です。よろしくね」
「新くん!こっち手伝ってー」
「はーい」
呼ばれて、新は先輩のとこへ向かった。
この3人で何話すの…
「亮。お前が先週、先輩の家の前で見た人は、この人だよ」
「君が?」
「初めまして。川辺聡です。いつも蒼にはお世話になってます」
「どうも。こちらこそ、うちの蒼がお世話になってるみたいで…」
なんか、やめてそんな言い方…気まずさ増すじゃん。
食べ終わった後の食器を、先輩が片付けていた。
俺は隣で手伝いながら聞いた。
「クリスマス、亮が帰ってくるの知ってたんだな。それに家にも呼んでたって?」
「うん。これが最後のチャンスかと思って…」
「最後?」
「お互い素直になる、最後のチャンス」
「もしかして、煽った?」
「ん?」
「俺に好きな人ができたって。今度は本気だって言ってたって…」
「効果あったでしょ?」
「じゃあ今までも、そんな報告してたの?」
「うん。付き合ってるっぽい人ができたら、蒼に女の影が…とか男の影が…とか言うと、亮が慌てて連絡してくるの。おかしいでしょ?私に聞いてもわかんないから、本人に聞けって言ったのに、あんたにはどうでも良いことしか連絡しないから…でもそんな時、聡くんが現れた。彼は蒼の心を動かした。だから亮のことも動かせるって思ったの。大成功!」
とピースサインをして見せた。
「もしかして、隆平さんと結婚する時も、私たち結婚するからって、相手をはっきり伝えなかったのって…」
「そう。別の人と結婚するってわかってたら、こっちに帰ってこないかもって思って。帰ってきても式には来ないかもって思った。でもあんたを少し匂わせたら、どうなるかなって試したら、すっ飛んできた」
と先輩は笑う。
「あれは仕事があったから…でも酷いじゃん。俺が先輩のこと好きなの知ってたのに、他の人とくっつけようなんて…」
「まぁね。でも蒼にとって、亮は特別でしょ?私がいたから見えにくくなってただけで、あんたはちゃんと亮を想ってた。付き合ってる時も、別れてからもずっと…私は2人に、そのことに気付いて欲しかった。まあ聡くんも良い子だから悩んだけどね。でも亮の気持ち知ってたから、やっぱね…」
「うん。ありがとね」
「珍しく素直じゃない!」
と、頭をわしゃわしゃやられた。
食事の後は、こたつでみかんを食べながら、テレビを観ていた。
あぁ日本の正月って感じ。
「こういうのも久しぶりじゃない?」
俺は右に座っていた亮に聞いた。
新と聡と先輩は、キッチンでつまみと、お正月の料理の続きを作ってる。
「こたつのありがたみ…」
「ふっ。こたつ発明した人に感謝したくなるよな。酒飲んで、このまま寝られたら言うことないのに…」
「でも、蒼がいれば、俺はどこでもいい。空の上でも、海の中でも、地獄の業火の中だって…」
「俺、結構ヘビーな現世を送ってるのに、最期は天国にも行けないで、挙句、地獄で焼かれるの?やだなぁ…」
「そういうことじゃなくて…」
「わかってるよ……亮。俺はちゃんとお前が好きだよ?昔も今も。だからもう余計なこと考えるなよ?」
「俺もずっと好きだよ。昔も今もこれからも…」
「うん……みかんうまいな」
「お正月って絶対太るよな…」
「ほんとにな」
俺たちは大学生の時のように、他愛もない会話で元旦を迎えた。
俺と亮はこたつの部屋、新と聡は客間、先輩は自分の部屋で眠っていた。
明け方トイレに行きたくて目を覚ますと、新と聡の会話が聞こえた。
「失恋の傷は癒えた?」
新の声だ。
「失恋て…俺の恋人は新なのに?だから失恋ではないだろ?」
「そんなこと言ってー。めっちゃ泣いてた癖に」
あの後、泣いたのか?
「……確かに、結構本気で好きになっちゃってたからな。新、俺のこと理解してくれてありがとう」
「言ったでしょ?僕も蒼さん好きだって」
「そうだな…」
「今から乗り込む?やっぱ蒼が好きだから、返してくれーって…」
「何でだよ。俺には新がいる。お前がいればそれでいいし、そもそも返してって、俺のではないしな。それに蒼は俺と居るより、彼と居る方が幸せになれるよ。あの人が幸せならそれで良い。それより、お前はこんな俺と居て幸せなのか?後悔してない?」
「僕には聡が最上だと思ってるよ。聡は?これで幸せ?」
「…うん。この上なく」
俺は声を押し殺して泣いた。
でも、声が出そうになって、慌ててトイレに駆け込む。
俺が、傷付いた彼を支えていたつもりが、本当は俺が支えてもらってた。
癒してもらっていた。
大事なことにも気付かせてくれた。
“でも俺とかを思い出して、こんな風に泣いたりなんてしないんじゃないの?”
聡、お前1個だけ間違ってたことがあるよ。
俺は、お前のことを想って、こんなにも涙が止まらなくなるんだ。
俺も本当に好きになったんだよ。
あいつの赤い唇を思い出す…
何度も交わしたキス。
ベッドの上では、普段より少し低い声で呼ぶ、俺の名前。
「蒼」
もうそれを聴くことはないんだな。
俺は欲張りだな。
やっと欲しかったものを手に入れたばかりなのに、ほかの人を想って、彼にも想って欲しくて、こんなにも苦しいなんて。
「この上なく、か…」
気持ちを落ち着かせて、トイレを出て部屋に戻ると、亮が起きていた。
「おはよ」
「おはよう」
「昨日飲み過ぎて、トイレめっちゃ近いわ…」
「そうだな」
「こたつ、つけるよ」
「うん」
「…あったけー。こっちで仕事するんだろ?」
「うん。向こうでのやつは片付けてきた。後は全部こっちで海外の仕事も受ける。だからたまに向こう行くことはあるけど…」
「飛行機…気を付けろよ」
「ん?あ。あぁ…」
「家は?住むところ探した?」
「見つかるまではホテル住まいかな」
「…一緒に住む?」
「え?良いのか?」
「まぁ、大家さんに聞いてみないとだけど…もしダメなら一緒に住めるとこ引っ越せば良いよ」
「本当に?」
「まぁ、多分あの大家さんならダメとは言わないと思うよ。俺、気に入られてるし。亮も気に入られるタイプだと思うしな」
「助かるよ」
「うん。部屋余ってるし…ベッドとかも見に行こうか!そんなもん向こうから持ってきてないだろ?」
「…同じベッドじゃダメなの?」
「…ばか。狭いわ」
そう言って、俺は亮を見つめてから抱きしめた。
「どうした?」
「亮、今度こそ幸せになれるかな。俺たち」
「うん。というか蒼がいるだけで、俺は幸せなんだよ。だからあとはお前だけ…」
「じゃあ、大丈夫だ。俺も今、この上なく幸せだ…」
と俺が力を強めると、亮も俺のことを、きつく抱きしめ返した。
これからの1日、1年が、みんなが幸せでいられるよう、俺は神様に願った。
俺たちは先輩の家にいる。
昼から料理をしていた。
大晦日は、先輩がおせちの代わりに、巻き寿司とかちょっとしたおかずをタッパに詰めて、毎年持たせてくれる。
俺が1人だと、ひたすら酒を飲み、お腹が空いたらカップ麺で済まそうしているのを、知っているからだ。
今年は、新も聡も来る。亮もいる。
だから昼から俺たちも手伝っていた。
「聡たちに手伝わせたら?あいつの方が料理上手いのに…新も料理教室通ってるんだしさ」
「昼間は総司くんたちと出かけるんだってさ」
「へー。あそこも仲良くなったな!みんなで新を取り合ってたとは思えないな」
「え?マジ?」
「マジ、マジ!」
先輩は驚いていた。
「まぁあの子、可愛いわよね。わかる気がする。天然というか、ピュアというか…」
とぶつぶつ言いながら、寿司を巻いている。
夜はすき焼きをしようということになった。
「亮。すき焼きなんて久しぶりなんじゃない?」
と先輩が聞いた。
「うん。もう何年振りとか」
「じゃあいっぱい食べてよ!」
「なんか、おかぁ…いて!」
お母さんみたいって言おうとして、途中で小突かれた。
亮が笑っていると、聡たちがやってきた。
こういう時って、紹介するんだよな…
何気に気まずいんだが…
「初めまして。亮さん?植本新です!こっちは川辺聡!いつも蒼さんと優子さんにはお世話になってます。よろしくお願いします」
あーなんというか、こいつほんとすごいわ。
「三石亮です。よろしくね」
「新くん!こっち手伝ってー」
「はーい」
呼ばれて、新は先輩のとこへ向かった。
この3人で何話すの…
「亮。お前が先週、先輩の家の前で見た人は、この人だよ」
「君が?」
「初めまして。川辺聡です。いつも蒼にはお世話になってます」
「どうも。こちらこそ、うちの蒼がお世話になってるみたいで…」
なんか、やめてそんな言い方…気まずさ増すじゃん。
食べ終わった後の食器を、先輩が片付けていた。
俺は隣で手伝いながら聞いた。
「クリスマス、亮が帰ってくるの知ってたんだな。それに家にも呼んでたって?」
「うん。これが最後のチャンスかと思って…」
「最後?」
「お互い素直になる、最後のチャンス」
「もしかして、煽った?」
「ん?」
「俺に好きな人ができたって。今度は本気だって言ってたって…」
「効果あったでしょ?」
「じゃあ今までも、そんな報告してたの?」
「うん。付き合ってるっぽい人ができたら、蒼に女の影が…とか男の影が…とか言うと、亮が慌てて連絡してくるの。おかしいでしょ?私に聞いてもわかんないから、本人に聞けって言ったのに、あんたにはどうでも良いことしか連絡しないから…でもそんな時、聡くんが現れた。彼は蒼の心を動かした。だから亮のことも動かせるって思ったの。大成功!」
とピースサインをして見せた。
「もしかして、隆平さんと結婚する時も、私たち結婚するからって、相手をはっきり伝えなかったのって…」
「そう。別の人と結婚するってわかってたら、こっちに帰ってこないかもって思って。帰ってきても式には来ないかもって思った。でもあんたを少し匂わせたら、どうなるかなって試したら、すっ飛んできた」
と先輩は笑う。
「あれは仕事があったから…でも酷いじゃん。俺が先輩のこと好きなの知ってたのに、他の人とくっつけようなんて…」
「まぁね。でも蒼にとって、亮は特別でしょ?私がいたから見えにくくなってただけで、あんたはちゃんと亮を想ってた。付き合ってる時も、別れてからもずっと…私は2人に、そのことに気付いて欲しかった。まあ聡くんも良い子だから悩んだけどね。でも亮の気持ち知ってたから、やっぱね…」
「うん。ありがとね」
「珍しく素直じゃない!」
と、頭をわしゃわしゃやられた。
食事の後は、こたつでみかんを食べながら、テレビを観ていた。
あぁ日本の正月って感じ。
「こういうのも久しぶりじゃない?」
俺は右に座っていた亮に聞いた。
新と聡と先輩は、キッチンでつまみと、お正月の料理の続きを作ってる。
「こたつのありがたみ…」
「ふっ。こたつ発明した人に感謝したくなるよな。酒飲んで、このまま寝られたら言うことないのに…」
「でも、蒼がいれば、俺はどこでもいい。空の上でも、海の中でも、地獄の業火の中だって…」
「俺、結構ヘビーな現世を送ってるのに、最期は天国にも行けないで、挙句、地獄で焼かれるの?やだなぁ…」
「そういうことじゃなくて…」
「わかってるよ……亮。俺はちゃんとお前が好きだよ?昔も今も。だからもう余計なこと考えるなよ?」
「俺もずっと好きだよ。昔も今もこれからも…」
「うん……みかんうまいな」
「お正月って絶対太るよな…」
「ほんとにな」
俺たちは大学生の時のように、他愛もない会話で元旦を迎えた。
俺と亮はこたつの部屋、新と聡は客間、先輩は自分の部屋で眠っていた。
明け方トイレに行きたくて目を覚ますと、新と聡の会話が聞こえた。
「失恋の傷は癒えた?」
新の声だ。
「失恋て…俺の恋人は新なのに?だから失恋ではないだろ?」
「そんなこと言ってー。めっちゃ泣いてた癖に」
あの後、泣いたのか?
「……確かに、結構本気で好きになっちゃってたからな。新、俺のこと理解してくれてありがとう」
「言ったでしょ?僕も蒼さん好きだって」
「そうだな…」
「今から乗り込む?やっぱ蒼が好きだから、返してくれーって…」
「何でだよ。俺には新がいる。お前がいればそれでいいし、そもそも返してって、俺のではないしな。それに蒼は俺と居るより、彼と居る方が幸せになれるよ。あの人が幸せならそれで良い。それより、お前はこんな俺と居て幸せなのか?後悔してない?」
「僕には聡が最上だと思ってるよ。聡は?これで幸せ?」
「…うん。この上なく」
俺は声を押し殺して泣いた。
でも、声が出そうになって、慌ててトイレに駆け込む。
俺が、傷付いた彼を支えていたつもりが、本当は俺が支えてもらってた。
癒してもらっていた。
大事なことにも気付かせてくれた。
“でも俺とかを思い出して、こんな風に泣いたりなんてしないんじゃないの?”
聡、お前1個だけ間違ってたことがあるよ。
俺は、お前のことを想って、こんなにも涙が止まらなくなるんだ。
俺も本当に好きになったんだよ。
あいつの赤い唇を思い出す…
何度も交わしたキス。
ベッドの上では、普段より少し低い声で呼ぶ、俺の名前。
「蒼」
もうそれを聴くことはないんだな。
俺は欲張りだな。
やっと欲しかったものを手に入れたばかりなのに、ほかの人を想って、彼にも想って欲しくて、こんなにも苦しいなんて。
「この上なく、か…」
気持ちを落ち着かせて、トイレを出て部屋に戻ると、亮が起きていた。
「おはよ」
「おはよう」
「昨日飲み過ぎて、トイレめっちゃ近いわ…」
「そうだな」
「こたつ、つけるよ」
「うん」
「…あったけー。こっちで仕事するんだろ?」
「うん。向こうでのやつは片付けてきた。後は全部こっちで海外の仕事も受ける。だからたまに向こう行くことはあるけど…」
「飛行機…気を付けろよ」
「ん?あ。あぁ…」
「家は?住むところ探した?」
「見つかるまではホテル住まいかな」
「…一緒に住む?」
「え?良いのか?」
「まぁ、大家さんに聞いてみないとだけど…もしダメなら一緒に住めるとこ引っ越せば良いよ」
「本当に?」
「まぁ、多分あの大家さんならダメとは言わないと思うよ。俺、気に入られてるし。亮も気に入られるタイプだと思うしな」
「助かるよ」
「うん。部屋余ってるし…ベッドとかも見に行こうか!そんなもん向こうから持ってきてないだろ?」
「…同じベッドじゃダメなの?」
「…ばか。狭いわ」
そう言って、俺は亮を見つめてから抱きしめた。
「どうした?」
「亮、今度こそ幸せになれるかな。俺たち」
「うん。というか蒼がいるだけで、俺は幸せなんだよ。だからあとはお前だけ…」
「じゃあ、大丈夫だ。俺も今、この上なく幸せだ…」
と俺が力を強めると、亮も俺のことを、きつく抱きしめ返した。
これからの1日、1年が、みんなが幸せでいられるよう、俺は神様に願った。
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