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新調
竜さんはこの間より長い時間、新さんのところにいた。
今日は何回戦してんだよ!
あー!なんか腹立ってきた!
奥さんも子供もいて、よそで浮気するならまだしも、これってどうなのよ!
しかも生まれてからずっと一緒に育った友達を!
自分の奥さんよりも付き合いが長い幼馴染を!
しかも、一緒に住んで、子供達に剣術を教えてくれ?
ひどくないか!?
俺がイライラしながらトイレ掃除を終えて出てくると、竜さんを見送った新さんと鉢合わせた。
「どうした?なんか機嫌が悪いな」
「なんでもないですぅ!」
「そうか?」
そう言って、ふっと笑うと部屋に戻って行った。
なんかムカつく!
しばらくするとお杏さんが、
「今日、新は早く上がるから、あなたもここまででいいわ。また明日来れる?」
と言った。
「あ、はい!ありがとうございます。ではまた明日」
「はい。ありがとう」
そう言って俺に日給をくれた。
江戸で初めて俺が稼いだお金。
なんか不思議な感じがした。
「どうだった?続けていけそうか?」
帰り道、新さんにそう聞かれた。
「うん。明日も来てって」
「良かったな」
夜、俺が寝たのを見計らって、新さんはまた外出した。
翌朝、剣術の稽古をつけてもらった。
「着替えるぞ」
そう言われて、服を着替えると街に出た。
「どうしたの?どこいくの?」
「いいからついて来い」
しばらく歩いて、連れて行かれた店は呉服屋だった。
「ここは?」
「竜さんの店だ」
「ってことは着物を?」
「あぁ。この間頼んだものを受け取りに来たんだ」
そのとき、竜さんが現れた。
「新。いらっしゃい!…そちらの方は?」
「渉と言います。今、新さんと暮らしています」
「そうですか。新がいつもお世話になってるね。ありがとう」
なんだそのうちの新がみたいな感じ…
マウント取ろうとしたのに、なんか逆にやられた感。
「この間頼んだ着物を取りに来たんだよ」
「じゃあすぐに用意させるよ」
「あ、あとこの子の着物作りたいんだ。採寸お願いできますか?」
「えっ?」
俺は驚いた。取りに来ただけだと思ってた。
「今日はちゃんと採寸して、渉の好きな生地で着物を仕立ててもらう。ごめんな。ずっと私のを着させていて…」
「いいの?嬉しい!でも新さんのお古も好きだよ」
「そうか?」
そう言って新さんは微笑んだ。
それを見ていた竜さんは、黙ったまま俺を睨みつけていた…気がする。
竜さん自ら採寸をしてくれた。
「新とはどういう関係?」
「ただの同居人です」
「へー。じゃあ新とはまだ何も?」
「どういう意味ですか?」
「まあ、あるわけないか。君じゃ新には釣り合わない。きっとただの弟くらいにしか思ってないんだろうな」
「……」
「そういえばちょっと林太郎にも似ている気がする。…ああ、そういうことか!君は林太郎の代わりなんだな」
「どういう意味ですか?」
「そのままだよ。特別な感情などない。死んだ弟の代わりに可愛がっているだけなんだなってことだ」
人が気にしていることを、よくもまぁこうもズケズケと…
「ダメですか?あなただって、ただのお兄さんとしか見られてないんじゃないですか?」
「…ふっ。私たちは深い絆で結ばれているんだよ。それに私にしか見せない表情。私に抱かれている時の新は美しい。…そう思わないか?」
「えっ?」
「君だろ?この間、屏風の裏から私たちを見ていたネズミは」
気付かれていた。
そしてあの表情を見た俺には、違う!と否定することも出来なかった。
「……いいんです。それでも。新さんのそばに居られるなら、弟でも。ネズミでも」
そう言い返すのが俺の精一杯だった。
今日は何回戦してんだよ!
あー!なんか腹立ってきた!
奥さんも子供もいて、よそで浮気するならまだしも、これってどうなのよ!
しかも生まれてからずっと一緒に育った友達を!
自分の奥さんよりも付き合いが長い幼馴染を!
しかも、一緒に住んで、子供達に剣術を教えてくれ?
ひどくないか!?
俺がイライラしながらトイレ掃除を終えて出てくると、竜さんを見送った新さんと鉢合わせた。
「どうした?なんか機嫌が悪いな」
「なんでもないですぅ!」
「そうか?」
そう言って、ふっと笑うと部屋に戻って行った。
なんかムカつく!
しばらくするとお杏さんが、
「今日、新は早く上がるから、あなたもここまででいいわ。また明日来れる?」
と言った。
「あ、はい!ありがとうございます。ではまた明日」
「はい。ありがとう」
そう言って俺に日給をくれた。
江戸で初めて俺が稼いだお金。
なんか不思議な感じがした。
「どうだった?続けていけそうか?」
帰り道、新さんにそう聞かれた。
「うん。明日も来てって」
「良かったな」
夜、俺が寝たのを見計らって、新さんはまた外出した。
翌朝、剣術の稽古をつけてもらった。
「着替えるぞ」
そう言われて、服を着替えると街に出た。
「どうしたの?どこいくの?」
「いいからついて来い」
しばらく歩いて、連れて行かれた店は呉服屋だった。
「ここは?」
「竜さんの店だ」
「ってことは着物を?」
「あぁ。この間頼んだものを受け取りに来たんだ」
そのとき、竜さんが現れた。
「新。いらっしゃい!…そちらの方は?」
「渉と言います。今、新さんと暮らしています」
「そうですか。新がいつもお世話になってるね。ありがとう」
なんだそのうちの新がみたいな感じ…
マウント取ろうとしたのに、なんか逆にやられた感。
「この間頼んだ着物を取りに来たんだよ」
「じゃあすぐに用意させるよ」
「あ、あとこの子の着物作りたいんだ。採寸お願いできますか?」
「えっ?」
俺は驚いた。取りに来ただけだと思ってた。
「今日はちゃんと採寸して、渉の好きな生地で着物を仕立ててもらう。ごめんな。ずっと私のを着させていて…」
「いいの?嬉しい!でも新さんのお古も好きだよ」
「そうか?」
そう言って新さんは微笑んだ。
それを見ていた竜さんは、黙ったまま俺を睨みつけていた…気がする。
竜さん自ら採寸をしてくれた。
「新とはどういう関係?」
「ただの同居人です」
「へー。じゃあ新とはまだ何も?」
「どういう意味ですか?」
「まあ、あるわけないか。君じゃ新には釣り合わない。きっとただの弟くらいにしか思ってないんだろうな」
「……」
「そういえばちょっと林太郎にも似ている気がする。…ああ、そういうことか!君は林太郎の代わりなんだな」
「どういう意味ですか?」
「そのままだよ。特別な感情などない。死んだ弟の代わりに可愛がっているだけなんだなってことだ」
人が気にしていることを、よくもまぁこうもズケズケと…
「ダメですか?あなただって、ただのお兄さんとしか見られてないんじゃないですか?」
「…ふっ。私たちは深い絆で結ばれているんだよ。それに私にしか見せない表情。私に抱かれている時の新は美しい。…そう思わないか?」
「えっ?」
「君だろ?この間、屏風の裏から私たちを見ていたネズミは」
気付かれていた。
そしてあの表情を見た俺には、違う!と否定することも出来なかった。
「……いいんです。それでも。新さんのそばに居られるなら、弟でも。ネズミでも」
そう言い返すのが俺の精一杯だった。
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