忍者刀に転生した現代忍者と追放された黒狐の貴族令嬢

遙かなた

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序章

プロローグ~冒険者とは2~

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(アウラ殿!なぜこのような・・・)
「解っておりますわ!無謀で馬鹿な行動ですわ!・・・でも、あの方たちが危ないと思ったら、体が勝手に動いてしまったのですわ!」

 なんと猪突猛進でござるか・・・。
 しかし、拙者を持つ手が震えているでござる。
 アウラ殿自信も怖いと感じているであろうに、それでも前に出たという事でござるか。
 その心意気に反するのは忍びとして・・・いや、男として格好悪いでござるな。


(アウラ殿拙者が戦い方を指南するでござる!)
「っ!解りましたわ!」


 拙者の言葉にアウラ殿は顔をほころばせる。
 まるで周りに大輪の花が咲いたような可愛らしい笑顔でござるな。


(アウラ殿木の葉隠れで敵の背後に回るでござる!)
「はい!木遁:木の葉隠れ!」


 木の葉が舞いアウラ殿の姿を隠すと、アウラ殿は一瞬にしてグレイウルフの背後に回る。
 

(火遁:火吹きでござる!)
「火遁:火吹き!」


 アウラ殿の口から放たれた炎はグレイウルフの虚を突きグレイウルフは燃え盛る炎を浴びる。
 
 種族  グレイウルフ
 レベル 5
 HP:4/15
 MP:0/0
 力: 23
 器用:12
 頑丈:15
 俊敏:25
 魔力:0
 知力:9
 運: 5
 状態 やけど
 スキル:なし


 狙ったのは先ほど鑑定したグレイウルフ。
 どうやら火吹きで与えたダメージは8でござるな。
 これならばHPが満タンでも二発で倒せるでござる。

(繰り返すでござるよ!)
「木の葉隠れ!火吹き!!木の葉隠れ!火吹き!!」


 この葉隠れで惑わし、着実にダメージを与えていく。
 グレイウルフの数が1匹、2匹と徐々に減っていった。
 
  名前 アウラ=ヘルベール?
 種族 黒狐
 年齢:16
 レベル:3
 HP:7/7
 MP:0/0
 力: 1
 器用:1
 頑丈:1
 俊敏:1
 魔力:0
 知力:1
 運:-60
 状態 弱体の呪い 女神の封印
 スキル:木遁の術lv1 火遁の術lv1 鑑定

 
 アウラ殿のステータスを確認する。HPは減ってないでござるな。
 それにどうやら忍術はMPを使わないようでござる。
 これならば2つの術を繰り返すだけでなんとかなりそうでござるか?


「アオーーーーーーン!!」


 そんな拙者の希望を崩すかのように一匹のグレイウルフが遠吠えをあげるとさらに3体のグレイウルフが森の中から現れた。拙者が浅はかでござった、先に襲われていた冒険者たちが疲労の状態の時に幾度か襲われていると気付いていたはずでござったのに・・・。どうするでござる・・・。残ったグレイウルフは5体・・・3体増えて8体でござる。


「木の葉隠れですわ!」
「グルルっ」


 アウラ殿が移動するとグレイウルフたちは一斉に自分の背後を見る。
 学習してるでござる!?


(いかん、アウラ殿もう一度木の葉隠れで離れるでござる)
「こ、木の葉隠れ!」


 先ほどまでアウラ殿がいた空間にグレイウルフが飛びついた。
 危なかったでござる・・・。
 もう、火吹きと木の葉隠れでは対処できないでござるな・・・。
 何かいいスキルはないでござるか!
 だが、ステータスが最弱状態であるアウラ殿では例え強いスキルをとっても使いきれない。
 ならば・・・


 LV  4
 種類 忍者刀
 名前 カゲトラ
 攻撃力 24
 装備者使用可能スキル 木遁の術Lv1 火遁の術Lv3 鑑定
 使用可能スキルポイント 0


 火遁の術のレベルを上げるでござる。
 頼むでござるこれで術よ増えてくれ!

 火遁の術Lv3
 使用可能スキル 火吹き、紅蓮花、龍炎纏

 よし、増えているでござる!そして、拙者の知っている術でござるな!


(アウラ殿!火遁:紅蓮花でござる!)
「は、はい!火遁:紅蓮花!」


 アウラ殿の声を引き金に、アウラ殿の周りから炎で出来た花が無数に召喚される。
 そして、花々はグレイウルフへと向かって突き進み。花に触れたグレイウルフは炎に包まれた。

「す、すごい・・・」


 様子を見ていた冒険者の少女が感嘆の声を漏らす。
 しかし、本当にすごいでござるな・・・この術は里のくのいち達が好んで使っていたでござるが。
 里ではアルコールに浸した花に炎をつけ敵に投げつけるという術でござった。
 アルコールが良くしみている分、触れるとよく燃え移ったでござるが。
 魔法のある世界で使うとこうも見事になるでござるな・・・綺麗でござる。

 炎の花の中に佇むアウラ殿は炎を操る狐の妖怪のように美しく映えていた。

『レベルが上がりました』


「お、終わったんですの?」


 炎の中では妖艶に見えたでござるのに、花がなくなれば普通の少女のように目を輝かせこちらを見てくる。
 

(恐らく、一応鑑定で確認してみるで)
「グワァウ!!」
「きゃあああああ!!」

 
 くっ、一匹仕留めそこなっていたでござるか!
 しかも、こちらではなく冒険者たちの方へ向かって行ったでござる。
 冒険者たちも気を抜いていたのかグレイウルフの突撃に対応できていない。
 今からでは間に合わないでござるか・・・。


「木遁:木の葉隠れ!」


 アウラ殿の声を聴いた瞬間、目の前にグレイウルフの牙が見える。
 そして、赤い液体が拙者の前を飛び散った。


「ぐっ」
(アウラ殿!)

 
 アウラ殿は冒険者たちの前に躍り出ると、自らの左腕でグレイウルフの牙を受け止めたのだ。
 マズい、アウラ殿のHPでは!


 名前 アウラ=ヘルベール?
 種族 黒狐
 年齢:16
 レベル:3
 HP:1/7
 MP:0/0
 力: 1
 器用:1
 頑丈:1
 俊敏:1
 魔力:0
 知力:1
 運:-60
 状態 弱体の呪い 女神の封印
 スキル:木遁の術lv1 火遁の術lv3 鑑定


 ステータスを確認するとアウラ殿の命は風前の灯火でござったが残っている。


(火遁:龍炎纏でござる!)
「・・・っ火遁:龍炎纏!!!」


 炎がアウラ殿の体を包み込む。
 アウラ殿の左腕に噛みついていたグレイウルフは纏った炎が燃え移り、消し炭となる。
 
『レベルが上がりました』

 頭の中に声が響く・・・どうやら今度こそ終わったでござるな。
 アウラ殿が膝から地面に崩れ落ちる。息を切らし、汗だくになりながら拙者を見ると無理に笑顔を作る。
 まったく、無茶な娘でござる。死んでもおかしくな勝手でござるよ。
 現代忍者である拙者はここまで必死に何かをしたことはないでござる。
 修行も特に力を入れなくても才能があったのか里の若者では一番でござった。
 死んだときも自分の不注意でござるしな・・・。
 だが、アウラ殿の今の姿は素直にかっこいいと思うでござるよ。


「あの・・・」


 確かヘナと言う冒険者の少女がアウラ殿に話しかけようとする。


「馬鹿、やめろ!そいつは半獣だぞ!」
「そうだ、半獣に関わると不幸になる!あのグレイウルフだってコイツのせいかもしれねぇ!」
「え、でも・・・」


 ・・・殺されたいでござるか?
 必死に自分たちを護った相手になんたる無礼・・・許せん。


「ひっ、なんか寒気がする!」
「逃げるぞ!!」


 くそっ、なぜ拙者の体は動かないでござるか!!
 あのような者たち・・・拙者の体が動けば!


(待つでござる!!)
「い、いいんですのよ」


 怒る拙者をアウラ殿の優しい手が包み込む。


(良くはないでござる!アウラ殿が命を懸けて護ったというのに!)
「構いませんわ。半獣を見た人たちの反応としては正しいんですのよ」
(そんな迷信に踊らされて!)
「優しいんですのねカゲトラ様は」


 違う、拙者は優しくなんてないでござる。
 だが、あのような不義理・・・。


「仕方ないのは『今』だけですわ」
(今だけとは?)
「ワタクシは冒険者になると決めましたわ。冒険者として活躍し、人々を助ければ半獣だからと怖がる方も蔑む方もいなくなりますわ」


 だが、それまではずっとあのような態度を取られるという事ではござらんか。
 命を懸けて助けても礼も言われず、怖がられて・・・そんなのあんまりでござる!


「ワタクシは負けませんわ。それに迫害されるのはお兄様で慣れておりましてよ♪」


 そう言いながら微笑むアウラ殿の手は震えていた。
 弱体の呪いなどというものを掛けられ、女神には何かを封印されており、その上で半獣と罵られて震えていて・・・・心では泣いているはずでござる。なぜこの娘はここまで強くいられるでござるか?
 拙者には解らないでござる。


「カゲトラ様?どうしたんですの?」


 そのような状態で・・・拙者がいなければ戦う力もないではないでござるか。
 拙者は手伝う気はないでござるよ・・・。


「カゲトラ様?」
「・・・あの」


 しまった、考えに集中して周りを警戒していなかったでござる。
 先ほどのヘナという少女が戻ってきていた。
 いかんでござる、今襲われればアウラ殿のHP無くなるでござる!


「助けてくれてありがとうございました!すごく強くてカッコよかったです!」
「い、いいえ、お気になさらずですわ」


 驚いた顔をしているのはアウラ殿だけではない。
 拙者も恐らく驚いた表情をしているのであろう・・・顔と呼べる部分はないでござるが。
 少女はそれだけ言うと、走り去ってしまった。


「お礼を言われるというのは嬉しいものですわね。冒険者とはいつもこんな思いが出来るのでしょうか」


 アウラ殿の頬を一筋の涙が伝っている。
 辛い目にあっても泣かなかったアウラ殿が笑いながら涙をこぼしていた。
 その姿を見て、拙者は一つため息を吐く。
 アウラ殿に呆れたわけではない。拙者自信にため息を吐いたのだ。
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