忍者刀に転生した現代忍者と追放された黒狐の貴族令嬢

遙かなた

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1章

7話

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 気持ちいい風でござる。
 懐かしい木々の香りでござるな、そう、懐かしいでござる。
 拙者の育った隠れ里。
 里では子供たちが忍術の練習をしているでござる。
 皆、必死に己を鍛え上げお役目に着く為に頑張っているでござる。
 拙者も子供の頃はそうでござった。
 必死に鍛え、将来は立派な主の忍として日ノ本を良くする助力になればと思っていたでござる。
 そんなある日、拙者は自分たちの主になる者たちがどんなに素晴らしい人間か見に行ったでござる。
 しかし、そこで見たのはあまりにも醜悪なものでござった。
 互いに貶めあい、いかに自分が避難を浴びず得をするかの算段や他人任せの者……。

 あのような者たちを護るために拙者は厳しい修行に耐えたのかそう思ってしまったでござる。
 それから、まともに修行する気にもなれなかったでござるが今まで培ったものが無くなるわけでもなく、拙者はお役目に着くことになったでござる。相手は有名な政治家の娘でござった。女子であったのは唯一の救いでござるとあの頃の拙者は思っていたでござるな。

 安全な日ノ本でそうそう事件があるわけでもない。拙者のいる意味なんてほとんど無かったでござる。でも、それは間違っていたでござる。新たな世界にやってきても人間は腐っていた……いや、そう思いたかったでござる。お役目なんてまともにやっても意味はない。だからお役目の途中で死んでしまった自分は悪くないと。

 でも違うでござるな。他人など関係ないでござる。自分の信念……それが大事でござるよ。
 アウラ殿は決して信念を曲げないでござる。少々おバカなところはあるでござるが、それは彼女の優しさと冒険者になるという信念から来ているでござる。拙者にもあれ程の愚直さがあれば……自分の主を信じ、日ノ本を変えようと思えたであろうに……。

 しかし、新しい世界でも拙者は駄目でござった。油断……いいや、覚悟が足りなかったでござる。どこかでアウラ殿がいなくなっても次がある、そう思ってしまっていたでござる。なのに、いざアウラ殿が危機に瀕したら拙者は焦り、柄にもなく怒鳴ったりしたでござる。

 いや、違うでござるな。あれが拙者の心の叫びでござる。
 拙者はアウラ殿に死んでほしくないでござるな。ただの偶然に出会っただけの少女……否、運命の出会いでござる。唯のおバカな少女……否、尊敬すべき優しさを持つ主にござる。無力な優しさだけの少女……否、勇敢で心の強い女性でござる。あの方の力になりたいでござる。


 拙者は、まだ死ねぬでござる!


(ここは……どこでござるか?)


 冷たい地面、低い天井……いや、岩でござるか?
 

「カゲトラ様!!!!」
(うおお!?耳元で叫ばないで欲しいでござるよ主殿!!!)
「良かった、良かったですわぁあああああ」


 主殿が号泣している。そういえば、レッドオーガの斧をこの身で受け気絶したんでござったな。
 どうやら主殿はあの場から逃げおおせたようでござる。
 ここはどこかの洞穴でござろうか?熊とかいないでござるよな?主殿は運が悪いでござるし。


(主殿、無事でよかったでござる)
「わ、ワタクシではありませんわ!カゲトラ様こそ、無事でよかったですわあああああ!」
(拙者は武器でござるしな、死んだりはせんでござるよ)
「でも、ヒビが……あら?無くなっていますわ?」


 ヒビ?拙者はあの攻撃でヒビが入ったでござるか?それは、危なかったでござるな。

 LV  4
 種類 忍者刀
 名前 カゲトラ
 攻撃力 24
 装備者使用可能スキル 木遁の術Lv1 火遁の術Lv3 鑑定
 使用可能スキルポイント 0


 拙者はステータスを念じて出現させる自分を確認する。
 だが、主殿やモンスターと違って大した情報が無い為、よく解らない。


「カゲトラ様、大丈夫ですの?」
(大丈夫でござるよ!ピンピンしてるでござる!)


 拙者が黙ってしまったせいで主殿を心配させてしまったでござるな。
 主殿のステータスを鑑定にて確認すると

 名前 アウラ
 種族 黒狐
 年齢:16
 レベル:3
 HP:5/7
 MP:0/0
 力: 1
 器用:1
 頑丈:1
 俊敏:1
 魔力:0
 知力:1
 運:-60
 状態 弱体の呪い 女神の封印
 スキル:木遁の術lv1 火遁の術lv3 鑑定


 多少HPが減っているが状態などは変化が無かった。
 しかし、弱体の呪いのせいでとても低いステータスでござる。
 これでレッドオーガに勝つにはスキルを増やすしかないでござるな。
 しかし、鑑定は取っておいて正解でござった。これがなければ……おや?

 そういえば、自分のステータスを確認するときはステータスと念じているだけでござったな。
 自分に鑑定を使うとどうなるんでござろう?
 そう思った拙者はすぐさま自分に鑑定を使った。


 LV  4
 種類 忍者刀
 名前 カゲトラ
 攻撃力 24
 耐久力 101/130
 装備者使用可能スキル 木遁の術Lv1 火遁の術Lv3 鑑定
 使用可能スキルポイント 0
 固有能力 自動修復(小) 念話lv1 
 固有スキルポイント 4


 と、少し変わったでござるな。
 なるほど、この耐久力が拙者のHPと言ったところでござろうか?
 レッドオーガの攻撃で拙者の耐久力が一気に削られたのでござろう。固有能力というのは武器である拙者の能力というわけでござるか。念話の部分を集中してみると『念話lv1:装備者とのみ念話が出来る』と表示された。

 これのおかげで主殿と会話が出来るんでござるな。そして、自動修復のおかげで死なずに済んだでござる。それより気になるのは固有スキルポイントでござるな。もしかして拙者、拙者自信も強化出来るでござるか?

 むぅ、もっと早く気づけていれば。そう思いながら拙者は獲得できる固有スキルを見始めたのだった。
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