忍者刀に転生した現代忍者と追放された黒狐の貴族令嬢

遙かなた

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1章

8話

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 『現在獲得可能な固有スキルはこちらになります』

 拙者の頭の中に声が響く。
 『現在獲得可能な固有スキル』
 切れ味アップ小 自動修復(中) 念話lv2 変化の術Lv1


 と、どうやら獲得できるのはこの四つのようだ。
 獲得可能スキルのところに『現在』と書かれているという事はレベルなどの条件でこれから増えることもあるのだろうか?一番気になるのは変化の術でござるな。
 刀である拙者が術を使えるというのも気になるが、何に変化できるかでござるな。人の体に変化できるのであればいざという時に拙者自信が戦えるということでござる。後は念話のレベルでござるか?これを上げていけば主殿以外にも会話できるようになるかもしれんでござるな。

 まずは変化の術を調べてみるでござる。

『変化の術』
 レベルが上がるごとに特殊な武器に変化可能になる。
 レベルが最大になると条件を満たした武器にも変化可能。
 変化の術Lv1 鎖鎌


 ふむ、鎖鎌は便利でござるな。しかし、今の主殿に扱えるかどうか。
 レベルが最大になった時の能力も気になるでござる。
 念話の方はどうでござるか?


『念話lv2』
 装備者との友愛度が80以上の者と念話を出来る。

 友愛度というのが解らんでござるが、これはすぐには意味ないでござろうな。
 要は主殿との信頼関係の高いものと喋れるようになるという事でござるだろうし。
 主殿…見るからに友達いなそうでござるしなぁ。

 他のスキルは見た通りでござるな。
 ふむ、念話は後回しにして他の三つを取ってみるでござる。

 LV  4
 種類 忍者刀
 名前 カゲトラ
 攻撃力 24+10
 耐久力 107/130
 装備者使用可能スキル 木遁の術Lv1 火遁の術Lv3 鑑定
 使用可能スキルポイント 0
 固有能力 自動修復(中) 念話Lv1 変化の術Lv1 切れ味アップ(小)
 固有スキルポイント 1

 切れ味アップ(小)で上がる攻撃力は10でござるか、多少の底上げにはなるでござるな。
 自動修復も早速効果を実感できるくらい耐久力が回復してるでござる。
 新しくスキルを習得することでスキルが増えないか期待したでござるが残っているのは念話Lv1とLv1を取ったことで増えた変化の術Lv1でござるな。
 自動修復と切れ味アップは次のスキルが出なかったところを見ると拙者のレベル不足でござろうか?


 しかし、これではレッドオーガに勝てるとは思えんでござるな。やはりレベル上げをして主殿が使える術を増やすでござる。


(主殿、先ずはレベルを上げて力を高めるでござる……って主殿おおおおおおお!?)


 スキルと格闘していて気づかなかったでござるが、主殿ずっと泣いているでござる!?
 涙で顔がぐしゃぐしゃでござるよ!


(どうしたでござるか!?)
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 
 い、一体どうしたでござるか?何を謝って……。


「ワタクシのせいでカゲトラ様を死なせるところでしたわ」
(!!)
「カゲトラ様の言う事をちゃんと聞いていれば……ちゃんと考えようと思うのに、なぜワタクシは……」


 弱体の呪いで知力が低くなっているからでござろう。
 考えたくても考えられず体が動いてしまうのでござろうな。
 主殿のせいではござらんというのは簡単でござるが、それでは結局引け目を感じてしまうでござるよな。ふむ。


(拙者も申し訳ありませぬ)
「え、なんでカゲトラ様があやまるんですの!悪いのはワタクシですわ!」
(拙者も油断があったでござる。それに拙者がもっと優秀な武器であれば主殿にそんな思いをさせずに済んだものを……)
「違いますわ!ワタクシが考えなしなのがいけないんですのよ!」
(いや、拙者の力不足でござる!)
「ワタクシですわ!」
(拙者でござる!)


 美少女と刀が睨みあうが、目もない刀を睨みつける美少女も、可愛らしいふくれっ面で睨んでくる美少女をどこにあるかわからない目で睨みつける刀も滑稽すぎて、二人して笑いだしてしまう。


「もう目はどこですの、にらめっこにもなりませんわよ」
(主殿こそ、そのような可愛らしい顔では迫力がありませんよ)


 お互いに憎まれ口をたたきながらも笑いあう。主殿は笑顔の方がいいでござるな。


「ワタクシ、もっと強くなりたいですわ。どんな相手とも戦えるくらい強く」
(主殿ならなれるでござるよ)
「だといいのですけれど。ところで気になっていたんですけれど主殿ってワタクシのことですの?」
(そうでござるよ、拙者が認めた主殿でござる)


 などと、拙者が勝手に決めただけでござるがな。
 拙者はこの少女の心に惹かれたでござる。


(改めて、この不肖忍者刀のカゲトラ。拙者のすべてを主殿に捧げるでござる)
「な、なんかプロポーズみたいですわ」


 頬を赤らめながらそっぽを向き、手でパタパタと顔に風を送っている。


(主殿の本願を達成するために拙者は微力ながら力を尽くすでござる)
「微力なんてとんでもないでございますわ!カゲトラ様がいなければワタクシはとっくに死んでいますもの。カゲトラ様はワタクシの恩人ですわ。そんな方の主なんて……ワタクシにそんな価値ありませんわ」
(あるでござるよ。主殿の心が……信念が、優しさが、拙者の心を動かしたでござる)


 拙者はいろいろ諦めて、逃げていたでござる。自分を変えようとも何かを変えようともせず、周りのせいにし自分で動かなかった。他人に絶望していたんじゃないでござる。自分に絶望していたでござる。他人を正すことも出来ず、やる前から諦めて……そんな情けない男でござった。だが、主殿は違うでござるよ。


(主殿は他人の為に動き、前を見れるそのような人間でござる。力は今は無くともその志があればいずれ夢を叶えられるでござる……いや、拙者が叶えさせてみせるでござるよ)
「ワタクシは……私はそんな立派な人間じゃない」
(そうでござるな)
「……え?」


 さっきまで言っていたことを360度変えた拙者の言葉に主殿は鳩が豆鉄砲喰らったような顔でこちら見る。


(拙者は主殿を立派な人間とは言っていないでござるよ?)
「え?え?」
(良く言えば主殿は優しく、勇敢で献身的な人間でござる)
「そ、そんなことは……」
(悪く言えばお人好しで、弱いのに立ち向かう猪武者でござるな)
「あ、あう……」
(でも、そんな主殿を拙者好きになったでござる)
「え、好き!?」
(拙者もまだまだ未熟者でござるが、一緒に夢を叶えるでござるよ)
「馬鹿なワタクシと一緒に居てくれるんですの?」
(主殿は馬鹿ではござらんよ。拙者の誇りでござる)

 主殿はまたしても泣き出してしまう。
 きっと主殿もずっと何かを抱えて生きて来たのでござろう。
 泣きたいときは泣いていいんでござるよ。主殿。
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