忍者刀に転生した現代忍者と追放された黒狐の貴族令嬢

遙かなた

文字の大きさ
20 / 29
1章

12話

しおりを挟む
「これで最後よぉん!」

 主殿に纏わりついた禍々しいオーラを放つ鎖を引きちぎったマリア殿。
 最後に残った一歩を鷲掴み先ほどまでと同じように引きちぎろうとする。
 両手を盛大に広げ脆くも鎖は引きちぎられたが……。


「どういう事ん?」


 一度は引きちぎられた鎖が再びもとに戻ってしまった。
 拙者は慌てて主殿のステータスを確認する。


 名前 アウラ
 種族 黒狐
 年齢:16
 レベル:3
 HP:18/18
 MP:0/0
 力: 12
 器用:14
 頑丈:13
 俊敏:15
 魔力:0
 知力:1
 運:-60
 状態 繧「繧ヲ繝ゥ?の呪い 女神の封印
 スキル:木遁の術lv1 火遁の術lv3 鑑定


 確認すると主殿のステータスは一つを除いてアップしており、弱体の呪いがなにやらバグったように文字化けしていた。これはいったいどういう事でござる?


「一体どうなりましたの?」
「わからないわん、こんなこと初めてよ」


 何度も何度も主殿に纏わりついた鎖を引きちぎっていたマリア殿だったが、諦めたかのように大きくため息を吐くとお手上げと言わんばかりに両手を上げた。


「ワタクシの呪いは解けませんの?」
(いや、大体は解けているでござる。ですが、完全には解けなかったようでござるな)
「大体は解けているんですのね?」
「あらそうなのん?セレナちゃん、鑑定のオーブを使わせてん」


 マリア殿に促されてセレナ殿はギルド登録の時に使った鑑定のできるオーブを持ってくる。
 主殿が再び、そのオーブに手をかざすとステータスが現れた。


「確かに知力だけ低いままですが他の呪いは解けてますね」
「よく解ったわねんアウラちゃん。それにしても、なんで知力だけ呪われたままなのかしら?しかも呪いの文字が化けるなんて……こんなの初めてよん」


 確かに、これも女神の封印が関係していたりするんでござろうか?
 それとも別の理由?考えても解らぬが、一つ言えることは高レベルのマリア殿ですら解けない呪いが主殿を苦しめているという事でござる。この呪いをかけた主殿の兄上を許せないでござる。


「こうなったら、アウラちゃんに呪いをかけた張本人を探して呪いを解かせるしかないわね」
「そうね、ところでマリア。これって解呪は失敗って事じゃない?」
「そうねん、これじゃ報酬は貰えないわん」


 セレナ殿がちょっと悪い顔をしながらマリア殿に顔を近づけると、マリア殿はため息を吐きながらしっしっと手を振った。


「ごめんなさいねアウラちゃん。呪いをちゃんと解いてあげられなくて」
「そんなですわ。ほとんど解けたようなものですし、ワタクシお金を払いますわよ!」
「いいえ、さすがにそれは私のプライドが許さないわ。呪いという邪悪からあなたを救えなかったんですもの。聖職者として失格だわ」


 その見た目の方が聖職者失格のような気がするでござるが、心根は優しいのでござるなゴンザレス殿は。


「だからその名で呼ぶなって言ってるしょおおおおおおお!後誰が見た目は森の賢者よ!ドラミングするわよ!」
「そんなこと言ってませんわあああああ!?」


 ゴリラとまでは言ってないでござる!?怖いでござるよ!!!!
 本当に聞こえてないでござるか?いや、そもそも念話を使ってないのでこの声は主殿にすら聞こえてない筈でござる。聞こえてるはずないでござるが……よし、ちょっと確認してみようでござる。

 主殿ー、聞こえてたら『カゲトラ様大好き』って言って欲しいでござる。

 ……………よし、聞こえてないでござるな。という事はやはり勘でござるか。怖いでござる。



「とにかく今回は報酬はいらないわん。でも私に解呪できないって事はこの街にいる聖職者じゃ無理でしょうね」
「仕方ありません、とりあえずはこれでギルド証を発行致します」


 なるほど、セレナ殿が神官を紹介してくれたのはギルド証の登録の為だったでござるか。唯の優しさかと思っていたでござる。


「呪われた状態ですと登録できませんの?」
「いえ、ギルド証に登録された情報は誰でも見れますので呪われているなんてアウラさんが見られたくないでしょうから」


 ただの優しさでござった……女神でござるか?


「では、登録してきますので少々お待ちください」


 そう言うと、セレナ殿はギルドの奥へと入っていった。
 しかし、知力だけ戻らぬとは賢い主殿も見て見たかったでござるが仕方ないでござるな。ここは脳筋忍者でいくでござるか。

 だが、妙でござるな。知力1でも言葉は喋れるんでござるよな。ちょっと考え無しでござるが人間らしい行動をしてるでござるし。ゴブリンは知力5だったでござるが言葉を喋ってなかったでござる……。いや、あの『グギャギャ』っていうのがゴブリン語の可能性はあるでござるか。もしくは種族としての数値なのかもしれないでござるな。あまり深く考えても答えは出ないでござる。


「それじゃあ、私は教会に帰るわん。アウラちゃん頑張ってね♪」
「はい!ありがとうございますわ!」


 そう言って、マリア殿はギルドを後にした。マリア殿とすれ違った冒険者の男女が驚愕の顔を浮かべている。その気持ちはよく解るでござる。そして、その男女の冒険者が受付に近づいてくると主殿がいることに気づき嫌悪の目を向けてきた……ぶっ殺すでござるよ?


「お待たせしました、アウラさん。こちらがアウラさんのギルド証になります」
「これがワタクシのギルド証……」


 感動で主殿が目をキラキラと輝かせる。それを見てセレナ殿は微笑む。やはり女神か。


「ギルド証には現在のランクとアウラ様のお名前が書きこまれております」


 ギルド証を確認してみると確かにその二つだけ書き込まれていた。あれ?情報が見れるんじゃなかったでござるか?


「魔力を通すと先ほど登録された情報が見れます」


 なるほど、常時見れるわけではないでござるな。いやいや、魔力でござるか!?


「ワタクシ、魔力が無いんですけれど……」
「もちろん本人の魔力でなくても大丈夫ですので情報を見なければいけないときは誰かに頼めば問題ありません」


 なるほど、冒険者同士で仲間を組む時にお互いの強さを知りたいとなったら相手にこれを渡して見てもらうでござるな。


「登録内容はいつでも更新できますので、更新したいときは声をかけてください」
「解りましたわ!」


 更新は自動ではされないんでござるな。
 さて、これで主殿は晴れて冒険者でござる。
 今後のことを主殿と話し合わなければいけないでござるな。


「早速冒険したいですわ!依頼はありますの?」
「ふふっ、では見繕ってくるのでお待ちくださいね」
「はいですわ!」


 ……知ってたでござる。道すがら話し合うでござるかな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...