371 / 412
2部 4章
第二幕 4章 11話 出発
しおりを挟む
ジェラーノにより、領主の館を崩壊させられ、私達は今、冒険者ギルドにあるギルドマスターフランクの部屋へと来ていた。
「まさか、あのジェラーノ様が……」
「お父様はお母様を亡くして変わってしまったのです……」
アンリエッタたちもエリンシア達のお陰で無事に逃げられている。
だが、館は崩壊してしまった為、今私達はフランクの部屋で話し合いをしていた。
「ジェラーノに逃げられてしまったけれど得た情報もあるわね」
「狂人……そして邪鬼へ変貌する力をレンシア、もしくはジーニアス宰相が持っているということだね」
ディータとクオンの言う通りである。
以前、戦った兵士がすべて狂人や邪鬼になっていたなかったところをみると誰にでも使えるものではないのかもしれない。もしくは、まだその力は完成しておらず、ジェラーノ達は実験に使われただけなのかも……もし後者だとすると相手に時間を与えるわけにはいかない……いかないのだが、すぐに攻められるほど私たちの戦力は大きくもないのだ。
となれば、一刻も早くローランシアに行かなければならないだろう。
「急いでローランシアに行かないとだね」
「でも、何度も使者を送っておりますのに、その使者が誰も戻ってきておりませんわ……もしかしたら、ローランシアがすでに堕とされている可能性もありますわよ?」
エリンシアの言う通りだ。
送った使者が戻ってこない理由は殺されたか捕らえられたかの二つだろう。
どちらにしても、同盟国のやることではない。
「でも、行ってみないと解らないし、まだ完全に堕ちたとは決まっていないよ」
「肯定だ、まだローランシアが堕ちたと決まったわけではない」
国一つを完全に潰すというのはそう簡単な事ではない。
国中の人間すべてを皆殺しにでもしたというのならともかく、生きている人がいればその人たちは逆転の手を考えるだろう。もし戦う道を選ばなかったとしても国を逃げ出し、どこかへ逃げ延びる者もいるはずだ。だが、まだローランシアが堕ちたという報せはどこにも出ていない。
「予定通り、このまま私達はローランシアに行こうと思う……ジェラーノの事があるからちょっと心配だけど……」
「大丈夫よぉん、私達が頑張って護るわぁん」
「ああ、俺たち冒険者ギルドも協力する……それに」
「アタシもいるぜ」
「ララ王女!」
「今回は偶々ギルドに用事があったから出遅れちまったけど、今度からは出来るだけアンリエッタの傍にいるつもりさ」
ララ王女は先ほどの事件の時、冒険者ギルドにいたらしい。
館の方で大きな爆発音を聞いた後、街の人達の避難を手伝っていたのだという。
確かに、ララ王女やレディ……それにコハクやリーナ達もいればそうそうは問題ないだろう。
「うん、任せるよ……それじゃ、皆。疲れてると思うけどこのまま行こうと思うんだけどいいかな?」
「そうね、あまり悠長にはしていられないもの行動しましょう」
ディータに続いて、皆が賛成してくれる。
みんなの返事を確認すると、私はララ王女たちにラリアスを任せ、ローランシアへと出発するのであった。
ローランシアでは一体何が起きているのだろう……正直あまりいい予感はしない。
というか、こっちの大陸に来てからあまりいい出来事って起きてないよね……とほほ。
先行きの暗さに不安を思いつつ、私達はローランシアへと足を進めるのであった。
「まさか、あのジェラーノ様が……」
「お父様はお母様を亡くして変わってしまったのです……」
アンリエッタたちもエリンシア達のお陰で無事に逃げられている。
だが、館は崩壊してしまった為、今私達はフランクの部屋で話し合いをしていた。
「ジェラーノに逃げられてしまったけれど得た情報もあるわね」
「狂人……そして邪鬼へ変貌する力をレンシア、もしくはジーニアス宰相が持っているということだね」
ディータとクオンの言う通りである。
以前、戦った兵士がすべて狂人や邪鬼になっていたなかったところをみると誰にでも使えるものではないのかもしれない。もしくは、まだその力は完成しておらず、ジェラーノ達は実験に使われただけなのかも……もし後者だとすると相手に時間を与えるわけにはいかない……いかないのだが、すぐに攻められるほど私たちの戦力は大きくもないのだ。
となれば、一刻も早くローランシアに行かなければならないだろう。
「急いでローランシアに行かないとだね」
「でも、何度も使者を送っておりますのに、その使者が誰も戻ってきておりませんわ……もしかしたら、ローランシアがすでに堕とされている可能性もありますわよ?」
エリンシアの言う通りだ。
送った使者が戻ってこない理由は殺されたか捕らえられたかの二つだろう。
どちらにしても、同盟国のやることではない。
「でも、行ってみないと解らないし、まだ完全に堕ちたとは決まっていないよ」
「肯定だ、まだローランシアが堕ちたと決まったわけではない」
国一つを完全に潰すというのはそう簡単な事ではない。
国中の人間すべてを皆殺しにでもしたというのならともかく、生きている人がいればその人たちは逆転の手を考えるだろう。もし戦う道を選ばなかったとしても国を逃げ出し、どこかへ逃げ延びる者もいるはずだ。だが、まだローランシアが堕ちたという報せはどこにも出ていない。
「予定通り、このまま私達はローランシアに行こうと思う……ジェラーノの事があるからちょっと心配だけど……」
「大丈夫よぉん、私達が頑張って護るわぁん」
「ああ、俺たち冒険者ギルドも協力する……それに」
「アタシもいるぜ」
「ララ王女!」
「今回は偶々ギルドに用事があったから出遅れちまったけど、今度からは出来るだけアンリエッタの傍にいるつもりさ」
ララ王女は先ほどの事件の時、冒険者ギルドにいたらしい。
館の方で大きな爆発音を聞いた後、街の人達の避難を手伝っていたのだという。
確かに、ララ王女やレディ……それにコハクやリーナ達もいればそうそうは問題ないだろう。
「うん、任せるよ……それじゃ、皆。疲れてると思うけどこのまま行こうと思うんだけどいいかな?」
「そうね、あまり悠長にはしていられないもの行動しましょう」
ディータに続いて、皆が賛成してくれる。
みんなの返事を確認すると、私はララ王女たちにラリアスを任せ、ローランシアへと出発するのであった。
ローランシアでは一体何が起きているのだろう……正直あまりいい予感はしない。
というか、こっちの大陸に来てからあまりいい出来事って起きてないよね……とほほ。
先行きの暗さに不安を思いつつ、私達はローランシアへと足を進めるのであった。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる