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2部 4章
第二幕 4章 40話 女神の加護
しおりを挟む「闇の刃!」
「変則合成魔法」
「ふっ……はぁっ!」
「ちょっ!?」
合成し強化されたオプスラミナをルークードは弾き返す。
嘘でしょ……さっきは押し勝ったのに今度は弾き返されるなんて……!
「同じ技は効かないってことね……」
「そう言うことだ……さあ、次はどうする?俺をもっと楽しませてみろ!」
くっ……それなら!
「カモメ!」
「うん!」
「闇の牢爆!」
「変則合成魔法!」
今度はオプスマインの変則合成魔法だ!
ディータの放った闇の魔法がルークードに襲い掛かる。
ルークードはオプスマインを切り払おうとするが、長刀に接触した瞬間、強化されたオプスマインは炸裂した。
「その長刀……もらったぁ!」
今回の狙いはルークード自身ではない、彼の持っている長刀だ。
強化したオプスマインの威力で長刀を使い物にならなくしようという作戦である。
いくらあの男でも武器が無くなれば戦えないだろう……。
オプスマインの炸裂で巻き起こった煙が徐々に晴れてくる。
そこには当然のように健在のルークードの姿が、そして折れた長刀……あれ?
「ちょっ、どういうこと!?」
「折れるどころか傷もついてないよ……」
いやいや、いくら何でも……もしかしてあの長刀って伝説の刀だったりとかするの?
「なるほど、確かに刀を奪われればいくら俺でも貴様らに勝てんだろう……だが、我が愛刀を砕くことは出来なかったようだな」
「何って刀なのよ!」
正直、今度こそ行けると思ったんだけど……ホント……どうしよう……って、もうあれをやるしかないか……。
「ディータ……光と闇の合成魔法を使うよ」
「なっ、駄目よカモメ!」
「でも、もうそれしか……」
「うっ……でも、あれはあなたの体に負担が……いえ、そうよ……なら一緒にやるわよ!」
「一緒にって私とディータで光と闇の合成魔法を?」
「ええ、レナともやれたのよ……きっと出来るわ!」
「……解った」
確かに、それなら私にかかる負担はなくなるだろう。
私が使うのは光の魔法だけだ。
「いくわよ、カモメ!」
「うん!」
「ほう、まだ何かをする気か?面白い……」
「闇魔滅砲!」
「変則合成魔法!!」
ディータの放った闇の魔法に私が光の魔法を合成する。
合成自体は上手く行った……ただ、これ……。
「むっ!?」
光と闇の合成魔法がルークードに襲い掛かる。
合成された魔法は私が使う光と闇の合成魔法と同じくらいの威力になっている。
威力で言えば 混沌消滅破並みである……けれど……これって……。
正直、ディータの魔法に合成した後に気づいた……。
合成魔法はルークードを飲み込みそのまま威力を落とさずに突き進む。
そう、後ろにある家や塀……その他もろもろを吹き飛ばしながら……。
これって……戦いが終わった後、ドーガ達怒るんじゃ……。
「よし、これならどう!」
私たちの魔法が通った後には瓦礫の山が残っていた……ルークードの姿は見当たらない……まさか避けられた?……それとも……。
跡形もなく消えてしまったのか?と思ったその次の瞬間、地面に散乱する瓦礫の下からルークードが這い出してきた。
「これでも、駄目なの?」
「いえ、そうでもないみたいよ」
え?……と思い、私はルークードを見る。
見ると先ほどまでの余裕の顔はルークードから消えていた。
そして、その体中には多くの傷と血が流れている……かなりのダメージの様だ。
良かった、光と闇の合成魔法ならダメージを与えられる。
「………」
「あら、さっきまでのおしゃべりはどうしたのかしら?余裕がなくなった?」
「今の魔法はなんだ?」
「私たちのとっておきよ」
「……我が加護の結界を消し飛ばすとは」
加護の結界?……ナニソレ?
「加護ですって……?」
「加護って何?」
「恐らく女神の加護よ……」
女神の加護?この大地の女神の加護ってこと?なんで、あんな人に?
「加護ってどんな力なの?」
「女神が認めた人間に与える力よ………なんだって、あんな奴に!」
「それって、ディータも使えるの?」
「残念だけど、私もレナも今は純粋な女神ではないから使えないわ……使えるのならとっくにあなたにあげているわよ」
残念……でも、なぜルークードにそんなものが付いているんだろう。
白の傭兵団の一員である彼になぜ?
「なぜ、貴方に女神の加護がついているのかしら?」
「ほう……加護の存在を知っている人間がいるとはな……別に大した理由ではない、女神が俺を認め与えてきたというだけだ」
「ふざけないで!貴方みたいに殺戮を楽しむ男に女神が靡くとは思えないわ!」
「そんなことは俺は知らん……選んだ女神に聞け……俺が望んだわけでもない」
どういうこと……それって、本当にこの大地の女神があの男を選んだってこと?
何のために?
解らないけど……なるほど、あの男が異常に頑丈だった理由がわかったよ……。
「だが、その加護を消せる魔法を使うとはな……俺も本気で行くしかないようだ」
「何ですって?今まで本気じゃなかっ……がはっ!?」
「ディータ!!」
ボロボロの身体なのに一瞬にしてディータに詰め寄り、拳を鳩尾へと打ち込んだルークード。
その速さは尋常ではない……私でさえ、目で追えなかったのだ。
「死んでおけ」
「させない!魔水風圧弾!」
「無駄だ」
あろうことか私のアクアウィレスをルークードは片手を突き出すだけで受け止めてしまう……そうか、加護の力か……それなら!
「混沌消滅破ぁああ!」
「何!?ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
はあ……はあ……光と闇の合成魔法が効くなら……出し惜しみなんてしてられない……。
くっ……私は軽く立ち眩みを起こす……やっぱり……光と闇の合成魔法を使うと影響が出るようになってしまったようだ……でも今はそんなこと言ってられない。
「か、カモメ!」
「ごめんディータ……でも、他に手がないよ」
「くっ……」
使うなとさんざん言われている光と闇の合成魔法を使ってしまった。
でも、これしか有効だがないのなら仕方がない……後、町がさらに壊れてしまったが仕方ないよね。ごめん、ローランシアの人達……。
「ちっ……一人でも使えるのか……」
「はあ……はあ……しぶといっ!」
光と闇の合成魔法を二発も直撃しているはずなのに……私の魔力も限界が近い……次で決めないと……。
「貴様から殺す」
「お断りだよ」
次で確実に倒さなければならない……私は、両手に魔力を集中し、ルークードを見据えるのであった。
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