闇の魔女と呼ばないで!

遙かなた

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2章

優しき王

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次の日、私は大きく背伸びをしならがらカーテンを開け、朝日を浴びた。
久しぶりのベッドであったため、驚くほどぐっすりと眠ってしまった。やっぱりふかふかのベッドはいいねぇ。
逃亡生活の最中は殆ど野宿だったし、いつ誰に襲われるかもわからなかったからしっかりと眠ることが出来なかった。
か弱い女の子にはつらかったよ・・・。


「はあ、ベッドって素晴らしいね」
『よく眠れたみたいね』
「うん♪」


私がベッドの柔らかさの余韻に浸っていると扉を軽くたたく音が聞こえる。


「あ、はーい」
「失礼、よく眠れましたか?」


ソフィーナさんだった、昨日の食事の時に彼女が騎士団の団長であることを聞いて驚いた。
グランルーンで言うところのラインハルトさんと同じ立場の人なんだ・・・そんな人に、部屋の案内をさせてしまったり、食堂へ案内させてしまったりしていたのか・・・。
でも、ここってメイドさんとかいないのかな?グランルーンには結構な数の執事やメイドさんがいたんだけど。
まあ、辺境の国だしそんなもんなのかな?・・・あれ?でもこのお城に戻ってきたときメイドさんらしき人いたような?
ソフィーナさんが好きでやってるのかな?まあ、いっか。


「はい、よく眠れました。久しぶりのベッドだったので!」
「それはよかった、それで早速申し訳ないのですが今日の予定をお知らせしたいとのことで朝食の後、王が話したいと申しております」
「あ、わかりました。じゃあ、クオンと行きますね」
「お願いします」


そう言うと一礼をしてソフィーナさんは部屋を出ていった。
騎士団長ってのも大変なんだなー、伝言までしないといけないなんて。
私は着替えを始める。
そういえばこの服もかなりボロボロになってきた。
4年前からこの服を着ているのだが、戦闘で切れてしまったり、汚れてしまったりしているのでそういうところは布でつぎはぎして使っている。
その為、かなりみすぼらしい。でも、街で服を買うこともできないので私もクオンも騙し騙し着るしかないのだ。
とはいえ、私も女の子だ、少しくらいはオシャレがしたい。なので少しでもオシャレに見えるように改良を加えている・・・クオンが。
クオンは手先も器用だよねぇ・・・でも、そろそろ新しい服買わないとな・・・。
まあ、今はそれを気にしてる場合ではない・・・もしかしたらまた冒険者になれるかもしれないのだ!

私は気合を入れて部屋から出た。・・・その時、仕事をしているメイドの人とばったりと会ってしまった。


「わっ、っとと」


危うくぶつかりそうになったが寸でのところで止まった。
メイドさんは私を見て固まっている。どうしたんだろ?っていうかやっぱりメイドさんいたんだね。


「大丈夫?」
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


私が声を掛けるとメイドさんは悲鳴を上げて逃げていった。その光景を見て私は思い出す。
フィルディナンド王やソフィーナさんが普通に話してくれていたから忘れていたが私は闇の魔女として指名手配されている身なのだ。
この国に来るまでは私が闇の魔女と呼ばれていることを知っている人間は私を怖がるのがあたりまえだ。
王様や騎士団長の反応でこの国の人は違うのかなと思っていたがあの二人が特別なだけだったのだ。


「そっか・・・だから、ソフィーナさんが案内してくれたり起こしに来てくれたりしたんだね」
『カモメ』
「だいじょーぶだよ、いつものことじゃん♪」
『・・・・・・そうね』


私は気を取り直してクオンの部屋に寄り、食堂へ向かった。
食堂ではソフィーナさんがいてくれて、一緒に用意された食事をとった。
そして、食事の後は会議室のようなところへ案内される、その中にはフィルディナンド王が奥の椅子に座っていた。


「今朝は済まなかったな、ウチのメイドが嫌な思いさせたようだ」
「あ、ううん、そんなことないよ」


私が笑顔で言うとフィルディナンドは「そうか」と一言だけ言った。
そして、早速今日もウェアウルフの襲撃があった場合の対策を練ることになる。
でも、対策というほどの事はなく、作戦は簡単だ、来た敵を数匹残してぶったおす。
そして、逃げた敵の後を追い、黒幕の元に案内させる。それだけである。

後はどういう布陣にするかだが・・・クオンが私と二人で前に出て兵士のみんなには門を護ってもらうことになった。
私たちが撃ち漏らしたウェアウルフを兵士たちに倒してもらおうということだ。
まあ、余程の事が無いと撃ち漏らすなんてこと無いと思うけどね。


「じゃ、こんな感じでいいかな?」
「うむ、殆ど頼りきりになってしまうが頼むぞ」
「りょーかい♪」


確かにこれだとほとんど私とクオンだけが戦って終わることになるかもしれない。
でも、まあ、冒険者にまたなる為だ頑張るよ♪


「魔女の強さもう一度見せてもらうぞ」


フィルディナンド王が何か言ったが声が小さくて良く聞こえなかった。


「では、ソフィーナ。兵士や冒険者への説明は頼んだ、俺は門に行って様子を見てくる」
「何を言っているのですかアホ王、門へお一人で行かれるなど許可できません」
「何、魔女殿達についてきてもらうから問題ない・・・というか今アホ王とか言わなかったか?」


言ってた。小声で言っていたのであまりよく聞き取れなかったがそう言ってたと思う。
王様はソフィーナの頭に手を置いて力を込める。


「あだっ!あだだだだだだ!!!」


ソフィーナの頭からはきしむような音が聞こえていた・・・うん、ナカイイネーコノフタリ。
ソフィーナが動かなくなったのでそれを床に捨てた王様は、気を取り直して私達と一緒に門へと向かう。
私とクオンはフード付きのマントを渡された。街の人たちが怯えない為である。
うう・・・これじゃあ、たとえ冒険者登録できてもまともに活動できないかも・・・。


そんな不安を思いながら門へと向かった私だが、門へ向かう最中、街の人たちが王様に気軽に声を掛けてきた。


「王様、いつも守ってくれてありがとうよ!いい肉が入ったから持っていきな」
「悪いな、ここの肉は美味いからな有難くいただく」

「おーさまー、あそぼー!」
「すまん、今日は仕事があるのでな、また今度だ」

「王様、今日は寄っていかないのかい?」
「ふむ」


王様は街の人たちに人気があるんだね、会う人会う人声を掛けてくるよ。
こうしてみていると王様というよりみんなお兄さんって感じなのかな?なんか暖かい感じだ。
グランルーンの大臣とは大違いだね。
・・・というか、酒場に入ろうとしてるよこの人!?


「ちょ、ちょっと王様、どこいくつもりなの!?」
「む、すまん、野暮用がな」
「何が野暮用なの!?そこ酒場でしょーが!」


お酒が好きなのか王様は酒場に引き寄せられていく。
言葉で止めても止まらないので仕方なく腕を引っ張って酒場から遠ざけた。
なんというか、騎士団長だけじゃなくこの王様もかなりの変わり者っぽいね・・・。



門へ着いた私とクオンはとりあえず、門の中にある休憩室で待機する。
周りにいる兵士たちはどことなく私たちを気にしているようだ。
まあ、フードを取ってしまっている為、私が闇の魔女だというのはバレているのだろう。
遠巻きに様子を伺っていると言う感じである。


『興味半分、恐怖半分ってところかしらね』


ディータの言う通りであった。
私たちが昨日、ウェアウルフから王様を救ったところを見ていた兵士もいるのだろう。
メイドの人みたいにあからさまに怖がったりはしていないけど、完全に信用されているわけでもなさそうだ。
王様の近くにいるので、私が王様に何かしないか見張っている感じの者もいる。

私が意心地悪そうにしていると王様は話しかけてきた。


「すまんな、しかし、まだ皆、噂に惑わされているのだ」
「ううん、大丈夫です。それが普通ですし」
「ええ、それに少しでも僕らの評判を良くする為にこうして王様は一緒にいてくれるのでしょうから」
「ふ・・・」


え、そうなの?
特に何も考えず、一緒にいるのかと思ったよ。


「そうなんだ?」
『まあ、私たちをなぜ信用しているのかはわからないけど、もし身の危険を感じていたら騎士団長と別行動はしないでしょうね』


確かに、なぜこの人は私たちを信用しているのだろう?
まあ、確かに昨日助けたのでそのおかげかも知れないけど・・・気になる。


「王様はなぜ私たちを信用するの?」
「ん?・・・・・・ほう」


私が問うと王様は面白そうに口をニヤリと挙げた。


「なに、街を護る為にお前たちを利用しようと思っているだけだ、別に信用などしていないぞ?」
「え、そうなの?でも・・・ならなんでソフィーナを別行動させたんです?」
「・・・・・・ほほう」


ニヤリと笑っていた口元がさらに吊り上がった。
心底面白そうにしている。


「なかなか、目ざといな。クオン殿ならともかく魔女殿はのほほんとしていると思っていたのだが」
「ひどいよ!?」


私は抗議の声を上げた。
わたしだってちょっとくらいは考えるよ!と私が思っていると頭の中でディータが『現に気付いてなかったものね』と面白そうに言った。
続けて『そこがかわいいんだけど』と言っていた・・・ディータもひどい。



私たちが話をしていると、兵士の一人が王様の元に報告へやってくる。


「フィルディナンド様、少しよろしいでしょうか」
「ん、どうした?」


兵士の人が私の方をちらりと見る。
どうやら、私たちが居るのに話していいのか迷っているようだ。


「外す?」
「いや、よい。気にせず報告しろ」
「はっ、実は怪しい女が魔女を出せと言ってきておりまして」
「へ、私を?」


どういうこと?もしかしてグランルーンの追手かな?だとしたらまずい。
出せって言っているということは私がここにいるのがバレているってことだ。
うーん、門に入るときに見られたのかな?門に着いた時にはフードを取っていたし。


「どんな女だ?グランルーンの者か?」
「何処の者かはわかりませんが、旅の者かと・・・。」
「そうか、ならば追い返せ。魔女はここにはおらぬと言えばよい」
「はっ」


兵士の人はお辞儀をすると休憩室の外に出ていった。


「いいの?」
「構わん」


腕を組みながらそういった。
そして、今度は慌てた様子の先ほど度は別の兵士がここに入ってきた。


「なんだ?」
「ウェアウルフが・・・ウェアウルフがきました!!」


律儀にも今日も襲撃をしてきたようだ。
私とクオンは頷きあい席をたった。
さあ、冒険者になる為にがんばるぞー!
 
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