55 / 412
2章
ツァインの危機
しおりを挟む
ツァインの街を護る門、そこには多くの兵士が交代でその門を守護している。
門を通ろうとする人間はここが辺境の国である為、それほど多くはない。
他の国から追い出された人間や、自分の実力を上げる為、魔物が強力であるこの国に来る冒険者、後は商人くらいである。
とはいえ、ここに来るのも命がけである為、商人の数もあまり多くない。
その為、この門を護る兵士の大半は魔物が来た時に撃たする為の要員であった。
だが、魔物が毎日のように門に近づいてくるわけでもない、この間のウェアウルフ事件はこの国でも異常な事であった。
ウェアウルフ事件があった為、警戒を強めており、門の中には騎士団長であるソフィーナも門の護りについている、だが、今日は平穏そのものである。
「暇だなー、ウェアウルフたちは闇の魔女が退治してくれたんだろう?」
「ああ、だが、黒幕はまだ捕まっていないらしいぞ?」
「でも、闇の魔女がいるんだ、また襲ってきても簡単に追い返してくれるんじゃないか?」
「だろうな、以前、ウェアウルフたちと戦っているところ見たがあれはもう化け物だろう・・・」
「けどよぉ、見た目は普通の女の子だぜ?騎士団長たちと話してるところ見たけど性格だって年相応だ。」
「確かに、噂を聞いた時はどんな化け物なのかと思ったが、本人はちっちゃな女の子だったもんな・・・王様が今までの噂は全て濡れ衣だと言ってたけど、本当にそうなのかもな」
「いや、もしかしたら化け物が化けてるのかも・・・なんて最初は思ったんだけど今はもうそう思わないんだよな・・・知ってるか?魔女はこの頃、溝の魔女なんて呼ばれてるんだぜ?」
「なんだそれ?」
「なんか、冒険者ギルドに入った溝掃除や、溝に落ちて見つからなくなった物を探す依頼を片っ端からやってるらしい」
「ぷ・・・あははは!ホントなんだそれ!極悪非道っていわれた闇の魔女が街の人と依頼で溝掃除?」
「おかしいだろ?駆け出しの冒険者かっての・・・けどそのせいか街の人たちからあまり怖がられなくなってきてるんだってよ」
「お、魔女の策略か?」
「いや、それならもっと他の方法とるだろ?溝の魔女って・・・」
「あはは、そりゃそうだ!」
「仕事中だぞおまえら」
男の兵士たちがいつの間にか話に夢中になり周りに気づかず大声で話していると、凛とした女性の声が聞こえてくる。
ツァインの騎士団長である、ソフィーナだ。
「団長!申し訳ありません」
椅子に座っていた男たちが即座に立ち上がり敬礼をする。
普段、王やカモメ達と話している時の情けない感じやお茶目なところを見せず、騎士然とした立ち振る舞いで部下を注意している様は立派な騎士団長である。
だが、王様に突っ込みを入れられたり、カモメに魔法で吹き飛ばされて転がっているのに兵士たちに見向きもされなかったりと色々と残念なところを持っている彼女である。
しかし、その残念さは部下たちから親しみをもたれ(呆れられてもいるが)騎士や兵士たちの信頼も厚い。
「今、魔女殿は冒険者の仕事でこの街にはいないのだ。私達がしっかりしないでどうする」
「はっ、申し訳ありません」
「ソフィーナさま!」
「ん、どうした慌てて!?」
兵士が一人慌てて、ソフィーナを探しに来た。
「わかりません!」
「はあ?」
何か言いたいことがあるのかと思えば、いきなり解りませんという兵士にソフィーナはつい素っ頓狂な声を上げてしまう。
「あ、いえ、申し訳ありません。その何かわからないのですが飛行する何かがこのツァインに向かっているのを見張りの兵士が見つけまして」
飛行する何か?魔女殿が空を飛んで帰ってきたのではと一瞬思ったが、もしそうだとしても他のメンバーを置いて戻ってくるということは何かあったのかもしれない。
「とりあえず、私も門の上に行こう」
「はい、お願いします」
「お前たちもついてこい!」
「「はっ」」
話をしていた兵士たち二人を連れてソフィーナは門の上へと急いで移動した。
上へあがると飛行してきたものが何かわかる・・・目の前にすでにいたのだ。
兵士の話だと、見えたのは豆粒くらいの状態でかろうじでこちらに何かが向かってきているという距離だったらしい。
その距離で見つけた兵士を褒めるべきであったのだが、その褒めるべき兵士は死体となって転がっていた。
目の前にいる赤い魔物のような者がやったのであろう、上半身と下半身を引きちぎられ目を開いたまま何が起きたわからないような顔で絶命している。
「・・・・・な・・・っ」
声を絞り出すので精一杯であった。
目の前にいるソレを見た瞬間、恐怖が全身を支配したのだ。
今までどんな魔物を見てもここまでの恐怖を覚えたことが無い。
この間、魔女殿についていった時もランクAの魔物であるルー・ガルーを見たが、その時でもこれほどの怖さはなかった。
ランクS・・・いや、それ以上の魔物であろうか・・・いや、そもそも魔物なのか?こんな魔物を自分は見たことが無いし来たことも無い。
まるで、赤い悪魔のような姿をしたそれはニヤリと笑い、こちらに目を向けた。
目が合った瞬間、心臓が止まるのではないかというくらいの恐怖が私を支配する。
いや、私だけではない、一緒に上がってきた三人の兵士たちはその姿を見て腰が抜けたのかすでに立ち上がることも出来な程、戦意を失っていた。
戦意・・・そうだ、目の前のこれは我が国の兵士を殺している・・・つまり敵なのだ。
そう思い、恐怖に負けそうであった心に小さな火を灯す。
ソフィーナは腰につけた剣に手をかけ臨戦態勢をとるが、その体はがくがくと震えていた。
「き、貴様は何者だ」
震えながらも何とか問を口にする。
「魔人である・・・我が血肉となりし生贄、ゴンザの願いを聞きこの国に滅びを与えにやってきた」
魔人がそう答えた。
その声を聞いただけでも腹の底からこの場から逃げたいという気持ちが湧き上がってくる。
しかし、その魔人の言ったゴンザという名にソフィーナは聞き覚えがあった。
たしか、フィルディナンド王の兄上がその名だったはずだ。
ゴンザ王子は確かお父上であられる前王に見限られ、この国を追われたはず。
フィルディナンド王とは違い、民を下に見て、王子という権力を使いやりたい方だったのだ、その為、王位継承権を剥奪された。
しかし、そのことが気に入らなかったのか、ゴンザ王子はフィルディナンド王を暗殺しようとした・・・だが、我が王は剣の使い手として凄腕である、多少魔術に長けていただけのゴンザ王子は返り討ちにあったというのだ。
そして、そのことが明るみ出てこの国までをも追われたのだが・・・なぜ、その王子名前が?
「どういうことだ?」
「どうもない、我はこの国を滅ぼすそれだけよ」
そういうと、魔人は手に集めた魔力の塊のようなものを下に叩き付けた。
そして、それだけで門は崩れてしまったのだ。
「なっ!?」
「「「うわあああああ!」」」
空を飛べる魔人は悠々とその翼を使い上空に浮かび続けるが、翼を持たないソフィーナ達は、崩れる門と共に落ちていった。
「さて・・・滅亡の時よ」
とてつもない衝撃と共に門が崩れるのをツァインの街の人たちは驚きの表情で見ている。
今の今までとても平和な日常であったのに門が崩れるその光景を見て、恐怖を覚えたのだ。
そして、それは城にいたフィルディナンドの眼にも入る。
「な、何事だ!?」
「フィルディナンド王!」
「門で何が起きた!」
「わ、わかりません・・・いきなりの轟音と共に崩れて・・・もしや、またウェアウルフが」
「ウェアウルフにあのような真似が出来るか!・・・くっ、門へ向かうぞ!」
「き、危険です!」
「そんなことは知っている!」
そう言い残しフィルディナンドは剣を腰につけ走り出した。
「な、なにが起きてんでい!」
「も、門が崩れてなくなっちまったぁ・・・」
「おかーさん」
「ど、どうしたらいいの・・・」
「ねえ、おかーさん」
「な、なに?」
「お空に人が浮いてるよ」
「え?」
少女が指を指した方を見ると赤い悪魔のような者が空中に浮いていた。
その姿を見た街の人たちが恐怖し錯乱する。
「あ、悪魔だああああ!」
「あれが門を壊したの!?」
「あばばばっばばばば」
逃げ惑う人々を見下ろし、魔人はニヤリと笑みを浮かべる。
そして、片手を上げると大きな火の塊が出現し火球となった。
片腕を振り下ろすと火球は下にいる少女と母親をめがけて飛んでいく。
「いやああああ!」
母親が少女を庇いながらも悲鳴をあげる・・・が、火球は母親に届く前に何かにぶつかった。
母親が目を開けると、そこには背中を焦がしながらも母親と少女を庇う女性騎士の姿があった、ソフィーナである。
門の崩落に巻き込まれながらも必死で街へと走り、駆け付けたのだ。
「そ、ソフィーナさま!」
「皆のもの城に逃げろ!この魔人を城には決して近づけぬ!だから城に退避するのだ!」
ソフィーナは声を張り上げ、街の人に指示を出した。
人々はその指示を聞き、城へと逃げ出す。
その光景を見ながらソフィーナは剣を構え、魔人を睨みつけた。
恐怖はまだある、戦っても勝てぬだろう・・・だが、騎士としてここは退くわけにはいかないのだ。
「ツァイン王国、騎士団長ソフィーナだ、この国を滅ぼしたければまずは私を滅ぼして見せよ」
「ほう」
ニヤリと笑い先程の火球を今度は複数発生させる、魔人。
そして、その火球をソフィーナめがけて放つ。
ソフィーナはその火球を避けながらも魔人に向かって突撃をする。
そして、剣を振り、魔人に一撃を与える・・・が、その刃は魔人の皮膚を傷つけることすら出来なかった。
「なんだと!?」
「ふははは、我が肉体を傷つけるにはお粗末な武器と力よ」
魔人がソフィーナを蹴り飛ばし、自分から離れたところに再び、火球を複数発生させ、今度はソフィーナに直撃させる。
「ぐあああああ!」
火球はその一つ一つで岩をも破壊してしまいそうな破壊力があるのだがその火球を複数纏めて、直撃してしまったソフィーナは民家を壊しながらも激しく吹き飛ばされた。
「ふん、つまらん」
そう言い、再び上空へ移動し城を目指そうとする魔人に剣が投げつけられる。
その剣を掴み、顔の眼の前で止める魔人は剣の飛んできた方を見た。
そこにはボロボロになりながらも立ち上がるソフィーナの姿があった。
「悪いが魔人殿・・・私は頑丈さには自信があるのだ・・・今しばらく付き合ってもらうぞ?」
肩で息をしすでに満身創痍のソフィーナであるがその瞳はの奥の光にはまだ力が籠っていた。
魔人はそんなソフィーナに無言で再び火球を浴びせる。
ソフィーナは転がりながらも必死にその火球を避けた。
そして・・・火球を避けるのに夢中になっていたソフィーナに鈍い音と共にお腹に痛みが走る。
痛みの走った腹を見てみると先ほど投げだ自分の剣が突き刺さっていた。
「がはっ」
そして、動きの止まったソフィーナに再び火球が降り注ぐのだった。
「あああああああ!」
絶叫が辺りに木霊する。
魔人は詰まらないものを見るように蔑んだ目でソフィーナを見ていた。
力の差は歴然であるにも関わずみじめにあがくその姿を軽蔑していたのだ。
そして、今度こそ、その惨めな女を灰にし、城に眼をやったその眼の端に立ち上がる影を見つける。
その姿を見て魔人は苛立ちを覚えた。
ソフィーナは腹に剣を突き刺され、火球により体全てがすでにボロボロの状態であるが戦意はまだ失っていない。
自分の腹から剣を引き抜き、構える。
しかし、腹の傷は深い・・・いや、致命傷ともいえる傷である、今まで剣が刺さったままであることで出血も抑えられていたがそれを抜いてしまったため出血もひどい、だが、剣が無ければ攻撃ができないのだ。
なら、引き抜くしかない。
もう、呼吸をするのも辛い状態である・・・だが、負けるわけにはいかない、あの魔人はすぐにでもこのツァインを滅ぼすことができるのだ。
だから、この国の騎士である私は負けるわけにはいかない・・・命を懸けてこの国を民を・・・王を魔物が私の役目なのだ!
「どうした・・・魔人殿・・・私はまだ・・・負けていないぞ・・・私を滅ぼせぬものがこの国を滅ぼせると思うな!」
その言葉に魔人はピクリと眉を上げ、そして、先ほどまでの火球の三倍はあろう大きさの火球を手の上に発生させた。
「なっ・・・」
そして、その火球をソフィーナ目掛けて放とうとしたその時。
「はああああああああ!!」
一陣の剣筋が魔人に繰り出された。
その剣は魔人の翼に当たるもソフィーナの攻撃同様傷を付けられず弾き返される。
「ちっ」
舌打ちをした男性に魔人は回転をしながら翼で男を叩き落とした。
「ぐぁっ」
「な・・・何をやっているのです王よ!」
「それは俺のセリフだ!」
ボロボロの体を引きずりながらも王の元へ近寄るソフィーナに王は怒声を浴びせる。
「ソフィーナお前、死ぬつもりか!」
「当然です、この国を護る為に命をかけるのが私の仕事です!」
「馬鹿が!死んだら護れんだろうが!」
「そんなことわかってますよ!でも、命を懸けることしかできないくらい敵が巨大なのですよ!」
「知るか!敵が強かろうが命を掛けずになんとかしろ!」
「出来るわけないでしょう!」
なぜか痴話げんかのような子供の喧嘩のようなものが始まる。
が、魔人は表情も変えず再び大火球を作り出した、そして今度は邪魔されることも無く下の二人へと放つのだった。
「ちっ!」
「王、なにをっ!!」
「うるさい!」
フィルディナンドはソフィーナを庇うように抱き目をつぶった。
そして、火球の衝撃を自分の体だけでなんとか耐える、耐えて見せると心で叫んだのだが。
火球はいつまでたってもやってくることはなかった。
まさか、ソフィーナがいつの間に自分の腕の中から抜け、火球を受けたのではと眼を開き確認するが・・・。
「王様・・・痛いです」
顔を赤くしながら呑気なことを言う・・・急いでできたためいつも常備しているハリセンを忘れてきたのが悔やまれる。
しかし、だとしたらなぜ、火球が来ないのだろう、そう思い後ろを振り返るとそこには小さな少女が風を纏いながら腕を組み余裕の表情で魔人を見ていた。
「魔女殿?」
「大丈夫、二人とも?・・・ってソフィーナすごい怪我!?」
カモメは慌てて、ソフィーナに治癒魔法を掛けた。
そして、再び魔人を見据えて今度は怒りに満ちた顔を見せるのだった。
門を通ろうとする人間はここが辺境の国である為、それほど多くはない。
他の国から追い出された人間や、自分の実力を上げる為、魔物が強力であるこの国に来る冒険者、後は商人くらいである。
とはいえ、ここに来るのも命がけである為、商人の数もあまり多くない。
その為、この門を護る兵士の大半は魔物が来た時に撃たする為の要員であった。
だが、魔物が毎日のように門に近づいてくるわけでもない、この間のウェアウルフ事件はこの国でも異常な事であった。
ウェアウルフ事件があった為、警戒を強めており、門の中には騎士団長であるソフィーナも門の護りについている、だが、今日は平穏そのものである。
「暇だなー、ウェアウルフたちは闇の魔女が退治してくれたんだろう?」
「ああ、だが、黒幕はまだ捕まっていないらしいぞ?」
「でも、闇の魔女がいるんだ、また襲ってきても簡単に追い返してくれるんじゃないか?」
「だろうな、以前、ウェアウルフたちと戦っているところ見たがあれはもう化け物だろう・・・」
「けどよぉ、見た目は普通の女の子だぜ?騎士団長たちと話してるところ見たけど性格だって年相応だ。」
「確かに、噂を聞いた時はどんな化け物なのかと思ったが、本人はちっちゃな女の子だったもんな・・・王様が今までの噂は全て濡れ衣だと言ってたけど、本当にそうなのかもな」
「いや、もしかしたら化け物が化けてるのかも・・・なんて最初は思ったんだけど今はもうそう思わないんだよな・・・知ってるか?魔女はこの頃、溝の魔女なんて呼ばれてるんだぜ?」
「なんだそれ?」
「なんか、冒険者ギルドに入った溝掃除や、溝に落ちて見つからなくなった物を探す依頼を片っ端からやってるらしい」
「ぷ・・・あははは!ホントなんだそれ!極悪非道っていわれた闇の魔女が街の人と依頼で溝掃除?」
「おかしいだろ?駆け出しの冒険者かっての・・・けどそのせいか街の人たちからあまり怖がられなくなってきてるんだってよ」
「お、魔女の策略か?」
「いや、それならもっと他の方法とるだろ?溝の魔女って・・・」
「あはは、そりゃそうだ!」
「仕事中だぞおまえら」
男の兵士たちがいつの間にか話に夢中になり周りに気づかず大声で話していると、凛とした女性の声が聞こえてくる。
ツァインの騎士団長である、ソフィーナだ。
「団長!申し訳ありません」
椅子に座っていた男たちが即座に立ち上がり敬礼をする。
普段、王やカモメ達と話している時の情けない感じやお茶目なところを見せず、騎士然とした立ち振る舞いで部下を注意している様は立派な騎士団長である。
だが、王様に突っ込みを入れられたり、カモメに魔法で吹き飛ばされて転がっているのに兵士たちに見向きもされなかったりと色々と残念なところを持っている彼女である。
しかし、その残念さは部下たちから親しみをもたれ(呆れられてもいるが)騎士や兵士たちの信頼も厚い。
「今、魔女殿は冒険者の仕事でこの街にはいないのだ。私達がしっかりしないでどうする」
「はっ、申し訳ありません」
「ソフィーナさま!」
「ん、どうした慌てて!?」
兵士が一人慌てて、ソフィーナを探しに来た。
「わかりません!」
「はあ?」
何か言いたいことがあるのかと思えば、いきなり解りませんという兵士にソフィーナはつい素っ頓狂な声を上げてしまう。
「あ、いえ、申し訳ありません。その何かわからないのですが飛行する何かがこのツァインに向かっているのを見張りの兵士が見つけまして」
飛行する何か?魔女殿が空を飛んで帰ってきたのではと一瞬思ったが、もしそうだとしても他のメンバーを置いて戻ってくるということは何かあったのかもしれない。
「とりあえず、私も門の上に行こう」
「はい、お願いします」
「お前たちもついてこい!」
「「はっ」」
話をしていた兵士たち二人を連れてソフィーナは門の上へと急いで移動した。
上へあがると飛行してきたものが何かわかる・・・目の前にすでにいたのだ。
兵士の話だと、見えたのは豆粒くらいの状態でかろうじでこちらに何かが向かってきているという距離だったらしい。
その距離で見つけた兵士を褒めるべきであったのだが、その褒めるべき兵士は死体となって転がっていた。
目の前にいる赤い魔物のような者がやったのであろう、上半身と下半身を引きちぎられ目を開いたまま何が起きたわからないような顔で絶命している。
「・・・・・な・・・っ」
声を絞り出すので精一杯であった。
目の前にいるソレを見た瞬間、恐怖が全身を支配したのだ。
今までどんな魔物を見てもここまでの恐怖を覚えたことが無い。
この間、魔女殿についていった時もランクAの魔物であるルー・ガルーを見たが、その時でもこれほどの怖さはなかった。
ランクS・・・いや、それ以上の魔物であろうか・・・いや、そもそも魔物なのか?こんな魔物を自分は見たことが無いし来たことも無い。
まるで、赤い悪魔のような姿をしたそれはニヤリと笑い、こちらに目を向けた。
目が合った瞬間、心臓が止まるのではないかというくらいの恐怖が私を支配する。
いや、私だけではない、一緒に上がってきた三人の兵士たちはその姿を見て腰が抜けたのかすでに立ち上がることも出来な程、戦意を失っていた。
戦意・・・そうだ、目の前のこれは我が国の兵士を殺している・・・つまり敵なのだ。
そう思い、恐怖に負けそうであった心に小さな火を灯す。
ソフィーナは腰につけた剣に手をかけ臨戦態勢をとるが、その体はがくがくと震えていた。
「き、貴様は何者だ」
震えながらも何とか問を口にする。
「魔人である・・・我が血肉となりし生贄、ゴンザの願いを聞きこの国に滅びを与えにやってきた」
魔人がそう答えた。
その声を聞いただけでも腹の底からこの場から逃げたいという気持ちが湧き上がってくる。
しかし、その魔人の言ったゴンザという名にソフィーナは聞き覚えがあった。
たしか、フィルディナンド王の兄上がその名だったはずだ。
ゴンザ王子は確かお父上であられる前王に見限られ、この国を追われたはず。
フィルディナンド王とは違い、民を下に見て、王子という権力を使いやりたい方だったのだ、その為、王位継承権を剥奪された。
しかし、そのことが気に入らなかったのか、ゴンザ王子はフィルディナンド王を暗殺しようとした・・・だが、我が王は剣の使い手として凄腕である、多少魔術に長けていただけのゴンザ王子は返り討ちにあったというのだ。
そして、そのことが明るみ出てこの国までをも追われたのだが・・・なぜ、その王子名前が?
「どういうことだ?」
「どうもない、我はこの国を滅ぼすそれだけよ」
そういうと、魔人は手に集めた魔力の塊のようなものを下に叩き付けた。
そして、それだけで門は崩れてしまったのだ。
「なっ!?」
「「「うわあああああ!」」」
空を飛べる魔人は悠々とその翼を使い上空に浮かび続けるが、翼を持たないソフィーナ達は、崩れる門と共に落ちていった。
「さて・・・滅亡の時よ」
とてつもない衝撃と共に門が崩れるのをツァインの街の人たちは驚きの表情で見ている。
今の今までとても平和な日常であったのに門が崩れるその光景を見て、恐怖を覚えたのだ。
そして、それは城にいたフィルディナンドの眼にも入る。
「な、何事だ!?」
「フィルディナンド王!」
「門で何が起きた!」
「わ、わかりません・・・いきなりの轟音と共に崩れて・・・もしや、またウェアウルフが」
「ウェアウルフにあのような真似が出来るか!・・・くっ、門へ向かうぞ!」
「き、危険です!」
「そんなことは知っている!」
そう言い残しフィルディナンドは剣を腰につけ走り出した。
「な、なにが起きてんでい!」
「も、門が崩れてなくなっちまったぁ・・・」
「おかーさん」
「ど、どうしたらいいの・・・」
「ねえ、おかーさん」
「な、なに?」
「お空に人が浮いてるよ」
「え?」
少女が指を指した方を見ると赤い悪魔のような者が空中に浮いていた。
その姿を見た街の人たちが恐怖し錯乱する。
「あ、悪魔だああああ!」
「あれが門を壊したの!?」
「あばばばっばばばば」
逃げ惑う人々を見下ろし、魔人はニヤリと笑みを浮かべる。
そして、片手を上げると大きな火の塊が出現し火球となった。
片腕を振り下ろすと火球は下にいる少女と母親をめがけて飛んでいく。
「いやああああ!」
母親が少女を庇いながらも悲鳴をあげる・・・が、火球は母親に届く前に何かにぶつかった。
母親が目を開けると、そこには背中を焦がしながらも母親と少女を庇う女性騎士の姿があった、ソフィーナである。
門の崩落に巻き込まれながらも必死で街へと走り、駆け付けたのだ。
「そ、ソフィーナさま!」
「皆のもの城に逃げろ!この魔人を城には決して近づけぬ!だから城に退避するのだ!」
ソフィーナは声を張り上げ、街の人に指示を出した。
人々はその指示を聞き、城へと逃げ出す。
その光景を見ながらソフィーナは剣を構え、魔人を睨みつけた。
恐怖はまだある、戦っても勝てぬだろう・・・だが、騎士としてここは退くわけにはいかないのだ。
「ツァイン王国、騎士団長ソフィーナだ、この国を滅ぼしたければまずは私を滅ぼして見せよ」
「ほう」
ニヤリと笑い先程の火球を今度は複数発生させる、魔人。
そして、その火球をソフィーナめがけて放つ。
ソフィーナはその火球を避けながらも魔人に向かって突撃をする。
そして、剣を振り、魔人に一撃を与える・・・が、その刃は魔人の皮膚を傷つけることすら出来なかった。
「なんだと!?」
「ふははは、我が肉体を傷つけるにはお粗末な武器と力よ」
魔人がソフィーナを蹴り飛ばし、自分から離れたところに再び、火球を複数発生させ、今度はソフィーナに直撃させる。
「ぐあああああ!」
火球はその一つ一つで岩をも破壊してしまいそうな破壊力があるのだがその火球を複数纏めて、直撃してしまったソフィーナは民家を壊しながらも激しく吹き飛ばされた。
「ふん、つまらん」
そう言い、再び上空へ移動し城を目指そうとする魔人に剣が投げつけられる。
その剣を掴み、顔の眼の前で止める魔人は剣の飛んできた方を見た。
そこにはボロボロになりながらも立ち上がるソフィーナの姿があった。
「悪いが魔人殿・・・私は頑丈さには自信があるのだ・・・今しばらく付き合ってもらうぞ?」
肩で息をしすでに満身創痍のソフィーナであるがその瞳はの奥の光にはまだ力が籠っていた。
魔人はそんなソフィーナに無言で再び火球を浴びせる。
ソフィーナは転がりながらも必死にその火球を避けた。
そして・・・火球を避けるのに夢中になっていたソフィーナに鈍い音と共にお腹に痛みが走る。
痛みの走った腹を見てみると先ほど投げだ自分の剣が突き刺さっていた。
「がはっ」
そして、動きの止まったソフィーナに再び火球が降り注ぐのだった。
「あああああああ!」
絶叫が辺りに木霊する。
魔人は詰まらないものを見るように蔑んだ目でソフィーナを見ていた。
力の差は歴然であるにも関わずみじめにあがくその姿を軽蔑していたのだ。
そして、今度こそ、その惨めな女を灰にし、城に眼をやったその眼の端に立ち上がる影を見つける。
その姿を見て魔人は苛立ちを覚えた。
ソフィーナは腹に剣を突き刺され、火球により体全てがすでにボロボロの状態であるが戦意はまだ失っていない。
自分の腹から剣を引き抜き、構える。
しかし、腹の傷は深い・・・いや、致命傷ともいえる傷である、今まで剣が刺さったままであることで出血も抑えられていたがそれを抜いてしまったため出血もひどい、だが、剣が無ければ攻撃ができないのだ。
なら、引き抜くしかない。
もう、呼吸をするのも辛い状態である・・・だが、負けるわけにはいかない、あの魔人はすぐにでもこのツァインを滅ぼすことができるのだ。
だから、この国の騎士である私は負けるわけにはいかない・・・命を懸けてこの国を民を・・・王を魔物が私の役目なのだ!
「どうした・・・魔人殿・・・私はまだ・・・負けていないぞ・・・私を滅ぼせぬものがこの国を滅ぼせると思うな!」
その言葉に魔人はピクリと眉を上げ、そして、先ほどまでの火球の三倍はあろう大きさの火球を手の上に発生させた。
「なっ・・・」
そして、その火球をソフィーナ目掛けて放とうとしたその時。
「はああああああああ!!」
一陣の剣筋が魔人に繰り出された。
その剣は魔人の翼に当たるもソフィーナの攻撃同様傷を付けられず弾き返される。
「ちっ」
舌打ちをした男性に魔人は回転をしながら翼で男を叩き落とした。
「ぐぁっ」
「な・・・何をやっているのです王よ!」
「それは俺のセリフだ!」
ボロボロの体を引きずりながらも王の元へ近寄るソフィーナに王は怒声を浴びせる。
「ソフィーナお前、死ぬつもりか!」
「当然です、この国を護る為に命をかけるのが私の仕事です!」
「馬鹿が!死んだら護れんだろうが!」
「そんなことわかってますよ!でも、命を懸けることしかできないくらい敵が巨大なのですよ!」
「知るか!敵が強かろうが命を掛けずになんとかしろ!」
「出来るわけないでしょう!」
なぜか痴話げんかのような子供の喧嘩のようなものが始まる。
が、魔人は表情も変えず再び大火球を作り出した、そして今度は邪魔されることも無く下の二人へと放つのだった。
「ちっ!」
「王、なにをっ!!」
「うるさい!」
フィルディナンドはソフィーナを庇うように抱き目をつぶった。
そして、火球の衝撃を自分の体だけでなんとか耐える、耐えて見せると心で叫んだのだが。
火球はいつまでたってもやってくることはなかった。
まさか、ソフィーナがいつの間に自分の腕の中から抜け、火球を受けたのではと眼を開き確認するが・・・。
「王様・・・痛いです」
顔を赤くしながら呑気なことを言う・・・急いでできたためいつも常備しているハリセンを忘れてきたのが悔やまれる。
しかし、だとしたらなぜ、火球が来ないのだろう、そう思い後ろを振り返るとそこには小さな少女が風を纏いながら腕を組み余裕の表情で魔人を見ていた。
「魔女殿?」
「大丈夫、二人とも?・・・ってソフィーナすごい怪我!?」
カモメは慌てて、ソフィーナに治癒魔法を掛けた。
そして、再び魔人を見据えて今度は怒りに満ちた顔を見せるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる