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3章
英雄の仲間
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意識不明事件から数日が経ち、私たちは今、お城で王様と謁見をしている。
ギルドでなにか依頼を受けようとしていたところに、お城の兵士の人が王様が呼んでいると伝えに来てくれたのだ。
今日こそは冒険しようと思ってたのになぁ。
冒険者になってから、冒険者らしい自由な冒険をしていない気がする・・・事件はいっぱい起きているのに・・・なぜだ。
「それで王様、何かあったんですか?」
「ああ、実はな、魔女殿達に会いたいという者がいてな、紹介するために来てもらったのだ」
「私達に?」
「うむ、本来であればそんな事はしないのだが、相手が相手だったのでな。魔女殿には悪いが呼び出させてもらった」
「誰なんです?」
この王様が気にするほどの相手となるとどこかほかの国の王様?
いやいや、この国では恐怖されることが無くなったとはいえ、他の国では未だに指名手配されている極悪人扱いなのだ。
どこかの王様が自ら私に会いに来るなんてことはないだろう。
使者の類ならこの王様は追い返しているだろうし・・・。
「心配しなくて大丈夫ですよ、あなた方を敵視している方ではありませんから」
「ソフィーナも知っている人なの?」
「ええ、私を育ててくれた恩人であり家族であり、そして剣の師匠でもあります」
「そうなんだ?」
ふーん、ってことはソフィーナの知り合いってことかな?
ああ、王様にとっても知り合いという事か・・・でも、なんでそんな人が?
「でも、その方がどうしてカモメさんに?」
「ああ、アネル殿という者でな、元冒険者なのだが、最近はベラリッサ法国に行っていたのだが、先日戻られたのだ」
元冒険者なのか・・・なんでベラリッサに行ってたんだろう?
「ところで、先ほどから気になっているのだが魔女殿の横に浮いているぬいぐるみみたいなのはなんなのだ?」
「え、あっと・・・」
どうしよう、王様たちにはディータが女神だって事話しておいた方がいいかな?
黙っている必要はない気がするし・・・。
私が答えに悩んでいるとディータが代わりに答えた。
「カモメの新しい仲間のディータよ。よろしく」
「ほう、これまた珍妙な仲間が出来たものだな」
「ちんみょっ!?」
王様が面白そうに言うとディータのこめかみに青筋が立つのが見える。
「王、失礼ですよ・・・こんなに可愛らしいではないですか」
今度はソフィーナがそう言うとディータを抱きかかえる。
「はなせええええええ!」
小さな手足をばたつかせながらディータはソフィーナの腕の中でもがいていた。
あはは・・・どうやら、ディータ的には教えない方がいいと判断したようだ・・・なぜだろう?
後で聞いてみたが、コハクたちの時はすでに事情をほとんど知っているような状態だったので仕方なかったが、魔王がすでに復活しているとわかった以上、闇の女神の存在を多くの人間に知られるわけにはいかないらしい。
ディータや私たちには特に問題ないが知っていることで魔族に狙われる可能性も出てくるからだ。
なるほど・・・そこまでは考えられなかったよ、さすがディータだね。
「それで、カモメに会いたいという方はどこに?」
「ああ、この城にいる。今、呼びに行かせているから少し待ってもらえるか?」
「りょーかい」
ディータがソフィーナにもみくちゃにされているのを見ながら少し待っていると、謁見の間の扉が開く。
「おっと、来たようだな」
「すみません、お待たせしました」
入ってきたのは緑髪の長髪が神秘的で絵にかいたような美女と言える女性である。
歩く姿にも気品があり、ニコリ微笑む姿は私が男だったら見惚れてしまっただろう。
ハッと、不安になりクオンの方を見てみると、クオンは入ってきた女性そっちのけでディータをからかっていた・・・。
安心したけど、男としてそれでいいの・・・クオン。
「アネル殿、こちらが魔女殿だ」
「まあ、ソフィーナの言う通りとても可愛らしい方ね」
「え、あ・・・どうも」
優しい微笑みを浮かべながら私の方へと近寄ってくる。
なんというか、理想の女性が目の前にいる。そんな感じだ。
「初めまして、私はアネルって言うの」
「あ・・・カモメ=トゥエリアです」
「ふふふ・・・ほんとアスカにそっくりね」
「え・・・お母さん?お母さんを知ってるんですか?」
いきなりお母さんの名前が出てきてびっくりする。
元冒険者って言っていたし、冒険者時代のお母さんを知っているんだろうか?
「知っているわ、アスカもヴィクトールも、だって、同じパーティだったもの」
「え!?」
お父さんたちと同じパーティだったということは邪竜を倒した英雄のパーティだったということだ。
お父さんたちはそのパーティ以外にパーティを組んだことが無いと言っていた。
「ヴィクトールさんと同じということは英雄のパーティですの?」
「ええ、そう言われているわね・・・みんなただ、がむしゃらに守りたいものの為に戦っただけなんだけどね」
英雄のパーティと聞いて、ディータとじゃれていたクオンもこちらを向いた。
そして、その隙を狙って襲い掛かってくるディータを見もせずに躱すクオン。
クオンに躱され、勢い止まらずディータはこちらに転がってきた。
「ちょっと、避けるんじゃないわよ!」
「あら?」
「あ、ごめんなさい、私の仲間のディータです。」
「え・・・・・・・・・ディータ?」
「もう、ディータ、少し大人しくしててよー」
「あの根暗坊主が悪いのよ・・・って、なによ?」
驚いた表情でディータを見ているアネルさん。
それに気づいたディータがぶっきらぼうにそう言った。
「あなた・・・ディータっていうの?」
「そうよ・・・何か問題でもあるのかしら?」
「・・・・・・いえ、なんでもないわ。ふふふ、可愛い仲間ね」
少し難しい顔をした後、アネルさんはこちらを向いて再び笑顔で言ってきた。
「立ち話もなんだし、どこかで食事でもしましょう?アスカとヴィクトールの結婚後の事をもっと聞きたいわ」
「あ、私も冒険者時代のお父さんたちの事をもっと聞きたい!」
「嬉しいわ、それじゃあ、私のおすすめのお店があるからそこでどう?」
「是非、みんなもいいかな?」
「ええ、構いませんわ」
「僕も問題ないよ」
「私もいいわよ」
皆も快くオーケーしてくれたので私たちは城を後にし、ご飯を食べることにした。
丁度お昼時だったのでよかった。
私達が、食事処に向かって歩いていると、街の大通りで騒いでいる人たちがいた。
「なんだろ、喧嘩かな?」
この街でも時折、喧嘩や騒ぎが起きるときがある。
ただ、大抵すぐに兵士さんがやってきてその場を収めてくれるのだが・・・。
「揉めている相手は兵士だね・・・」
クオンの言う通り、私たちの所から兵士さんがいるのが見えるのだが、その兵士さんがなにやらもめているようだ。
相手はここからの位置だとよく見えないが小柄な人物のように見える。
女性か・・・それとも子供かな?
「ちょっと様子を見に行ってみましょう」
「そだね」
アネルさんの言う通り、私たちはその騒ぎの中心へと向かう。
近づくと兵士の人のもめている相手が見えてきた。
白い服に茶髪の男の子が兵士に文句を言っているのだ。
「じゃから、余は魔女を探しているだけだといっているだろう!」
「ふざけるなっ、貴様は昨日の魔物使いではないか!そんな奴がどうやってこの街に入ったのだ!」
「余は魔物使いではないぞ・・・まったく、供がいては入れぬというから余、一人で来たのではないか・・・普通に通してくれたぞ」
「馬鹿な、貴様の人相はすでに伝えて通さぬよう言っておいたはずだ、通れるわけがない!」
「ははは、ついでにちょっと見た目を変えたのだ、余はすごいだろう?」
よくわからない会話をしているが、どうやらあの少年は私を探しているらしい、見覚えは無いけど、誰だろう?
「あの・・・」
「これは、魔女殿・・・それにアネル殿まで!」
「なにか、あったのですか?」
アネルさんは街の人や兵士にも人気らしく、先ほどからアネルさんの存在に気が付いた街の人たちも注目していた。
「それが・・・」
「おお、そなたが魔女か?」
「えっと・・・うん、そうだけど?」
「ほうほう、レディの奴の言う通りなかなか強そうではないか!」
レディ・・・え、今レディって言った?
「レディを知ってるの?」
「む、おお、知っておるぞ、今は余の元におる」
「どういうこと?」
「ふむ、知りたいか?」
ニヤリと子供らしくない笑いをして少年は私の眼を見る。
「知りたいのであれば余と戦うのじゃ」
「え?・・・・なんで?」
「余が戦いたいからじゃ」
「いやいや、意味が解らないよ」
「じゃが、レディの事を知りたいのじゃろう?もしかしたら余の元で捕まって拷問を受けているかもしれんぞ?」
「なっ」
レディが・・・?
あのレディが捕まるとは思えない・・・でも、もし本当にそうなら助けてあげないと。
レディには返しても返しきれないほどの恩もある・・・それに友達だ。
「レディに何をしたの?」
「ほう・・・いい目になったのう、じゃが、さっきから行っておるじゃろう?余と戦え、でなければ教えんぞ?」
「駄目よ、カモメちゃん。こんなところで戦ったら街の人が・・・」
「う・・・」
そうだ、アネルさんの言う通りここで戦ったら街の人を巻き込んじゃうし、街も壊してしまうだろう。
「ギルドに移動しましょう、あそこなら訓練場があるわ。そこを貸し切るからそこでやりなさい」
「そうね、それがいいわカモメ・・・見たところただ者じゃなさそうだしね」
そう、この小さな少年から溢れる魔力はただ者ではない・・・この少年ならレディを捕らえることもできるのではないだろうか・・・。
子供の頃の私から見ても規格外の力を持ったレディ・・・もし本当にレディを捕らえているなら・・・私は勝てるの?
でも、ここで逃げるわけにはいかないのだ、それなら・・・必ず勝つ!
「それでいい?」
「余は構わぬぞ!」
私は兵士さんにこの事を王様に伝えるように頼んでギルドへと移動することにした。
ギルドの訓練場はかなりの広さがある為、派手に暴れても問題はないだろう。
まあ、黒炎滅撃《フレアザード》とか街ごと破壊しそうな魔法は使えないけどね。
「ふふふ、楽しみじゃの~♪」
見た目通り子供の用にはしゃぎながら少年は私たちの後を付いてきた。
一体、何が目的なのか・・・そして、レディは無事なのだろうか・・・?
ギルドでなにか依頼を受けようとしていたところに、お城の兵士の人が王様が呼んでいると伝えに来てくれたのだ。
今日こそは冒険しようと思ってたのになぁ。
冒険者になってから、冒険者らしい自由な冒険をしていない気がする・・・事件はいっぱい起きているのに・・・なぜだ。
「それで王様、何かあったんですか?」
「ああ、実はな、魔女殿達に会いたいという者がいてな、紹介するために来てもらったのだ」
「私達に?」
「うむ、本来であればそんな事はしないのだが、相手が相手だったのでな。魔女殿には悪いが呼び出させてもらった」
「誰なんです?」
この王様が気にするほどの相手となるとどこかほかの国の王様?
いやいや、この国では恐怖されることが無くなったとはいえ、他の国では未だに指名手配されている極悪人扱いなのだ。
どこかの王様が自ら私に会いに来るなんてことはないだろう。
使者の類ならこの王様は追い返しているだろうし・・・。
「心配しなくて大丈夫ですよ、あなた方を敵視している方ではありませんから」
「ソフィーナも知っている人なの?」
「ええ、私を育ててくれた恩人であり家族であり、そして剣の師匠でもあります」
「そうなんだ?」
ふーん、ってことはソフィーナの知り合いってことかな?
ああ、王様にとっても知り合いという事か・・・でも、なんでそんな人が?
「でも、その方がどうしてカモメさんに?」
「ああ、アネル殿という者でな、元冒険者なのだが、最近はベラリッサ法国に行っていたのだが、先日戻られたのだ」
元冒険者なのか・・・なんでベラリッサに行ってたんだろう?
「ところで、先ほどから気になっているのだが魔女殿の横に浮いているぬいぐるみみたいなのはなんなのだ?」
「え、あっと・・・」
どうしよう、王様たちにはディータが女神だって事話しておいた方がいいかな?
黙っている必要はない気がするし・・・。
私が答えに悩んでいるとディータが代わりに答えた。
「カモメの新しい仲間のディータよ。よろしく」
「ほう、これまた珍妙な仲間が出来たものだな」
「ちんみょっ!?」
王様が面白そうに言うとディータのこめかみに青筋が立つのが見える。
「王、失礼ですよ・・・こんなに可愛らしいではないですか」
今度はソフィーナがそう言うとディータを抱きかかえる。
「はなせええええええ!」
小さな手足をばたつかせながらディータはソフィーナの腕の中でもがいていた。
あはは・・・どうやら、ディータ的には教えない方がいいと判断したようだ・・・なぜだろう?
後で聞いてみたが、コハクたちの時はすでに事情をほとんど知っているような状態だったので仕方なかったが、魔王がすでに復活しているとわかった以上、闇の女神の存在を多くの人間に知られるわけにはいかないらしい。
ディータや私たちには特に問題ないが知っていることで魔族に狙われる可能性も出てくるからだ。
なるほど・・・そこまでは考えられなかったよ、さすがディータだね。
「それで、カモメに会いたいという方はどこに?」
「ああ、この城にいる。今、呼びに行かせているから少し待ってもらえるか?」
「りょーかい」
ディータがソフィーナにもみくちゃにされているのを見ながら少し待っていると、謁見の間の扉が開く。
「おっと、来たようだな」
「すみません、お待たせしました」
入ってきたのは緑髪の長髪が神秘的で絵にかいたような美女と言える女性である。
歩く姿にも気品があり、ニコリ微笑む姿は私が男だったら見惚れてしまっただろう。
ハッと、不安になりクオンの方を見てみると、クオンは入ってきた女性そっちのけでディータをからかっていた・・・。
安心したけど、男としてそれでいいの・・・クオン。
「アネル殿、こちらが魔女殿だ」
「まあ、ソフィーナの言う通りとても可愛らしい方ね」
「え、あ・・・どうも」
優しい微笑みを浮かべながら私の方へと近寄ってくる。
なんというか、理想の女性が目の前にいる。そんな感じだ。
「初めまして、私はアネルって言うの」
「あ・・・カモメ=トゥエリアです」
「ふふふ・・・ほんとアスカにそっくりね」
「え・・・お母さん?お母さんを知ってるんですか?」
いきなりお母さんの名前が出てきてびっくりする。
元冒険者って言っていたし、冒険者時代のお母さんを知っているんだろうか?
「知っているわ、アスカもヴィクトールも、だって、同じパーティだったもの」
「え!?」
お父さんたちと同じパーティだったということは邪竜を倒した英雄のパーティだったということだ。
お父さんたちはそのパーティ以外にパーティを組んだことが無いと言っていた。
「ヴィクトールさんと同じということは英雄のパーティですの?」
「ええ、そう言われているわね・・・みんなただ、がむしゃらに守りたいものの為に戦っただけなんだけどね」
英雄のパーティと聞いて、ディータとじゃれていたクオンもこちらを向いた。
そして、その隙を狙って襲い掛かってくるディータを見もせずに躱すクオン。
クオンに躱され、勢い止まらずディータはこちらに転がってきた。
「ちょっと、避けるんじゃないわよ!」
「あら?」
「あ、ごめんなさい、私の仲間のディータです。」
「え・・・・・・・・・ディータ?」
「もう、ディータ、少し大人しくしててよー」
「あの根暗坊主が悪いのよ・・・って、なによ?」
驚いた表情でディータを見ているアネルさん。
それに気づいたディータがぶっきらぼうにそう言った。
「あなた・・・ディータっていうの?」
「そうよ・・・何か問題でもあるのかしら?」
「・・・・・・いえ、なんでもないわ。ふふふ、可愛い仲間ね」
少し難しい顔をした後、アネルさんはこちらを向いて再び笑顔で言ってきた。
「立ち話もなんだし、どこかで食事でもしましょう?アスカとヴィクトールの結婚後の事をもっと聞きたいわ」
「あ、私も冒険者時代のお父さんたちの事をもっと聞きたい!」
「嬉しいわ、それじゃあ、私のおすすめのお店があるからそこでどう?」
「是非、みんなもいいかな?」
「ええ、構いませんわ」
「僕も問題ないよ」
「私もいいわよ」
皆も快くオーケーしてくれたので私たちは城を後にし、ご飯を食べることにした。
丁度お昼時だったのでよかった。
私達が、食事処に向かって歩いていると、街の大通りで騒いでいる人たちがいた。
「なんだろ、喧嘩かな?」
この街でも時折、喧嘩や騒ぎが起きるときがある。
ただ、大抵すぐに兵士さんがやってきてその場を収めてくれるのだが・・・。
「揉めている相手は兵士だね・・・」
クオンの言う通り、私たちの所から兵士さんがいるのが見えるのだが、その兵士さんがなにやらもめているようだ。
相手はここからの位置だとよく見えないが小柄な人物のように見える。
女性か・・・それとも子供かな?
「ちょっと様子を見に行ってみましょう」
「そだね」
アネルさんの言う通り、私たちはその騒ぎの中心へと向かう。
近づくと兵士の人のもめている相手が見えてきた。
白い服に茶髪の男の子が兵士に文句を言っているのだ。
「じゃから、余は魔女を探しているだけだといっているだろう!」
「ふざけるなっ、貴様は昨日の魔物使いではないか!そんな奴がどうやってこの街に入ったのだ!」
「余は魔物使いではないぞ・・・まったく、供がいては入れぬというから余、一人で来たのではないか・・・普通に通してくれたぞ」
「馬鹿な、貴様の人相はすでに伝えて通さぬよう言っておいたはずだ、通れるわけがない!」
「ははは、ついでにちょっと見た目を変えたのだ、余はすごいだろう?」
よくわからない会話をしているが、どうやらあの少年は私を探しているらしい、見覚えは無いけど、誰だろう?
「あの・・・」
「これは、魔女殿・・・それにアネル殿まで!」
「なにか、あったのですか?」
アネルさんは街の人や兵士にも人気らしく、先ほどからアネルさんの存在に気が付いた街の人たちも注目していた。
「それが・・・」
「おお、そなたが魔女か?」
「えっと・・・うん、そうだけど?」
「ほうほう、レディの奴の言う通りなかなか強そうではないか!」
レディ・・・え、今レディって言った?
「レディを知ってるの?」
「む、おお、知っておるぞ、今は余の元におる」
「どういうこと?」
「ふむ、知りたいか?」
ニヤリと子供らしくない笑いをして少年は私の眼を見る。
「知りたいのであれば余と戦うのじゃ」
「え?・・・・なんで?」
「余が戦いたいからじゃ」
「いやいや、意味が解らないよ」
「じゃが、レディの事を知りたいのじゃろう?もしかしたら余の元で捕まって拷問を受けているかもしれんぞ?」
「なっ」
レディが・・・?
あのレディが捕まるとは思えない・・・でも、もし本当にそうなら助けてあげないと。
レディには返しても返しきれないほどの恩もある・・・それに友達だ。
「レディに何をしたの?」
「ほう・・・いい目になったのう、じゃが、さっきから行っておるじゃろう?余と戦え、でなければ教えんぞ?」
「駄目よ、カモメちゃん。こんなところで戦ったら街の人が・・・」
「う・・・」
そうだ、アネルさんの言う通りここで戦ったら街の人を巻き込んじゃうし、街も壊してしまうだろう。
「ギルドに移動しましょう、あそこなら訓練場があるわ。そこを貸し切るからそこでやりなさい」
「そうね、それがいいわカモメ・・・見たところただ者じゃなさそうだしね」
そう、この小さな少年から溢れる魔力はただ者ではない・・・この少年ならレディを捕らえることもできるのではないだろうか・・・。
子供の頃の私から見ても規格外の力を持ったレディ・・・もし本当にレディを捕らえているなら・・・私は勝てるの?
でも、ここで逃げるわけにはいかないのだ、それなら・・・必ず勝つ!
「それでいい?」
「余は構わぬぞ!」
私は兵士さんにこの事を王様に伝えるように頼んでギルドへと移動することにした。
ギルドの訓練場はかなりの広さがある為、派手に暴れても問題はないだろう。
まあ、黒炎滅撃《フレアザード》とか街ごと破壊しそうな魔法は使えないけどね。
「ふふふ、楽しみじゃの~♪」
見た目通り子供の用にはしゃぎながら少年は私たちの後を付いてきた。
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