闇の魔女と呼ばないで!

遙かなた

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6章

闇の女神復活

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「ディータさん、そのお姿……」


 エリンシアがあっけにとられた表情で目の前の黒い長髪の女性を見る。


「アークミスラの置き土産かしらね……変身の魔法が使えるようになったみたい……お陰で元の姿に戻れたわ」
「ほう、それが闇の女神の本来の姿なのじゃ?」
「ええ、そうよ……美人でビックリしたかしら?」
「うむ、ちびっこい方がディータっぽいのじゃ!」
「あんたねっ!」


 美人の姿になってもやはり中身は変わらないディータにエリンシアは呆れ半分、安心半分という表情で二人を見ていた。


「さあ、そんなことをしている場合ではありませんわよ、カモメさんの所に急ぎますわよ」
「そうね、エリンシア、今の私ならあなたを抱えて空を飛ぶことが出来るわ。ラガナ、アナタは自分でついてきて」
「了解なのじゃ」


 そう言うと、ディータはエリンシアを抱えて急ぎ、カモメのいる広場へと向かうのであった。
 ディータ達が飛び立った後、ラガナはアークミスラのいた場所に向かって手を合わせる、そして……。


「レガロール、じっさまの後は任せたのじゃ」
「ラガナ……アークミスラ様の後はお前が……」
「無理じゃ、余では竜達を導くことは出来ん、人間たちが余を異常種と呼ぶように、普通の竜とはちょっと違うようじゃからな」
「だが、私では……」
「お主なら出来るのじゃ!」



 そう言うと、ラガナは魔法で羽を生やし、飛び立っていってしまった。


「ま、待て!……くっ」


 一人その場に取り残されたレガロールはアークミスラのいた場所を見つめながら、一筋の涙を流すのであった。








「カモメ!戻ってくるんだ!」


 所変わり、広場ではカモメ(魔)とクオンが激しい戦いを繰り広げていた。
 戦いとは言えども、クオンはカモメを傷つけることは出来ない、その為一方的にカモメ(魔)が攻撃をし、それをクオンが躱すという状況が続いていた。



「無理無理~♪、もう、あの子は出てこれないよ~♪」
「そんなことはない!カモメはお前なんかに負けたりはしない!」
「唯の人間が『魔』の力に勝てるわけないって~♪」
「カモメなら勝てる!!」
「ムカつくなー」


 無数の黒い刃がクオンに襲い掛かる、まともに当たってしまえばその時点でクオンは一巻の終わりである。だが、クオンはその黒い刃をクレイジュを使い悉く打ち払う。


「むぅ……人間の癖にぃ~」
「カモメ!気を操るんだ!自分のここに正直になって!」
「うるさいなぁ……いいや、この広場ごと破壊しちゃおう……闇魔滅砲イビルスレイヤー!!」
「なっ!?」


 巨大な闇の塊がクオン目がけて襲い掛かる。
 カモメ(魔)の言う通り、もしこれをそのまま炸裂させれば、この広場ごと吹き飛ぶことになるだろう。
それ程の威力だ。


(相棒やべぇぜ、相棒だけなら問題ねぇが、このままじゃ広場ごと竜達が吹き飛んじまう)
「くっ」
(どうする、竜達は諦めるか?)
「駄目だ、カモメに竜達を傷つけさせるわけにはいかない!」


 とはいえ、クオンはこれだけの広範囲の魔法を相殺できるような技を持っていない。
 目の前の闇の塊を斬り裂き自分に当たらないようにすることは容易いのだが、それでは広場にいる竜達に大きな被害が出る。なんとかしてこの目の前の魔法を相殺しなければ、そう考えるクオンだが目の前の魔法を相殺する方法を思いつかない。


(どうする、相棒!……相棒っ!!)
「くっ……」
「なぁに、やってるのよ!闇魔滅砲イビルスレイヤー!!」


 突如現れた、黒髪の女性がクオンとカモメ(魔)の放った魔法の間に現れる。
 そして、カモメと同じ魔法を使いカモメ(魔)の放った魔法を相殺したのだった。


(誰だ…?)
「あ、ありがとう……」


 クオンもクレイジュも目の前に現れた女性が誰か分からない、分からないが自分たちが助けられたことだけは分かる為、その女性にクオンはお礼を言う。


「あら、根暗坊主もたまには殊勝になるのね?」
「誰が根暗坊主だ!……って、え!?」
「ディータさんですわよ、その方」
「ええ!?」
(おいおい、マジかよ?)


 目の前にいる女性がディータであることに驚くクオン。だが、自分の事を根暗坊主と呼ぶ相手は確かに憎たらしいぬいぐるみ姿のディータだけである。


「一体、何が?」
「これが私の本来の姿よ……って、そんなことより、やっぱり嫌な予感って当たるわね」
「ですわね……あの禍々しい魔力を放っているのがカモメさんですの?」
「うん……でもカモメはまだ必死に戦っている、それに一度は正気を取り戻したんだ」
「そう、ならカモメが元に戻るまでカモメの体を使っているアイツを押さえつければいいのね?」
「うん!」
「なら、行くわよ!」


 3人が、カモメを抑えるために各々、構える。

 そして、その頃、カモメの中では不思議なことが起こっていた。
 そしてそれが、カモメの力を覚醒させるのであった。
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