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6章
砦の戦い
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「ソフィーナ様!門が破られました!」
「くっ……いや、良く持った方か……」
国境近くにある砦では砦を覆いつくすほどの帝国の兵が叫びながら砦へと雪崩れ込んでいた。
先ほどまで堅牢な扉であった物の残骸が倒れ、その下にはツァインの兵士が何人か下敷きになってしまっている。下敷きになり、身動きの取れない状態のツァインの兵士に帝国の兵士はいやらしい笑みを浮かべ手に持ったナイフで止めを刺していた。
「殺せ、殺せええええ!!」
まるで獣のように目についたツァインの兵士に襲い掛かる。
ツァインの兵士も応戦するが扉が破られ中に侵入されてしまった以上、数の差もあり一人、また一人とその命を散らせていく。
「ふんぬぅうううう!!」
「にゃあああああ!!」
「二連射!」
そんな中、三つの人影が迫りくる帝国の兵士を次々と葬っていった。
レディ、ミャア、コハクの三人である。
三人は砦の中に入る入り口を護っている、その後ろでは傷ついた兵士を癒す、コロとリーナの姿もあった。
「ここは通さないわよぉん!」
レディのハルバードが数人の帝国兵を薙ぎ払う、しかし、すぐにまた数人の帝国兵士が入口へと群がってきた。
「キリがないニャア……」
「ですが、逃げるわけにはいきません!」
うんざりと言う表情でミャアが数人を殴り倒し、その隣でコハクの弓がまた二人の兵士を射貫いた。
「でも、このままじゃまずいわねぇん」
「カモメさんやエリンシアさんみたいに一発で敵を大勢吹き飛ばせる技でもあればいいんですけどね」
「皆、対人向けの技ばっかりだもんニャア……」
レディにしろ、ミャアにしろ単体の敵に関しては無類の強さを誇るが敵が大勢となるとそれを一掃する術を持たない、少人数であれば纏めて吹っ飛ばすことも出来るが、敵が砦を覆いつくしても余るほどの数となると簡単にはいかないのだ。だからと言ってこの入り口を離れて敵の将軍を倒しに向かえばその間に他のツァインの兵士やリーナ達は命を失うだろう。
そうなれば、例え戦いに勝てたとしても手放しで喜ぶことが出来ないのだ。
「殺すううううう!!!」
「コハク!」
「しまったっ!?」
死体の中に死んでいない敵の兵士がいた。
コハクが別の所に意識を向けている隙を見計らい、起き上がり、持っていた剣を振りかぶったのだ。
完全に注意を他に向けていたコハクは不意を突かれ、避けることも出来ない。
帝国の兵士が剣を振り下ろす、コハクは目を瞑り、覚悟をしたが……痛みはやってこなかった。
「こら、いくらピンチだからって戦いの最中に目を瞑ったりしたら駄目じゃないか」
(そうだぜ兄ちゃん、諦めなければ何とかなるかもしれねぇぜ?)
聞きなれた声、コハクが尊敬し、共にダンジョンにも潜って色々と教えてもらった男性の声である。
「え……クオンさん?」
「怪我はないかい?」
笑顔でそう尋ねてくるクオンの後ろには剣で斬り裂かれた帝国の兵士が何体も横たわっていた。
「あらぁん、クオンちゃん助けに来てくれたのぉん?」
「ええ、もちろん、僕だけじゃありませんよ」
その言葉と同時に砦の外でとてつもなく大きな爆音が木霊する……それも、同時に三つもである。
一つは砦の壊れた門の前で、一つは帝国の兵士の一番後方がいるであろう場所に、もう一つはその扉と後方のちょうど真ん中らへんである。
「レディ~!助けに来たよー!」
壊れた扉のある場所の上空に一人の女の子が空を浮かんでいた。
「あらぁん、カモメちゃんも来てくれたのね」
「後、エリンシアとディータも来ています、僕は広範囲の技を持っていないのでこちらの守備の手伝いに」
「なるほどニャ」
そして、再び爆音。
だが、帝国の兵士の士気は落ちてはいない、殺せだの殺すだの叫びながら未だに砦の中へと突き進んでくる。
「そ~れ、もういっちょー!」
カモメの魔法が近くにまとまっていた帝国の兵士を一気に吹き飛ばした。
同じくエリンシアもディータも次々と帝国ん兵士の数を減らしていく。
だが、それでもやはり、帝国の兵士の数は多い。かなりの数を減らしてはいるが、それでもまだ、最初の数の五分の一も減らしていないのではないだろうか。
「とんでもない数が来てますわね……というより……」
エリンシアがあることに気付く。
それは、兵士の格好や男女比、そして年齢である。
「鎧を来てない人もおりますわ……それに女性の数が多い……老人や子供のように見える者まで……」
そう、兜だけを被っている人がいる、鎧を用意するのが間に合わなかったのだろうか?
いや、なら、これほどの数を無理やり投入する理由も無いはずだ。
さらには女性が男性と同じくらいの数いる……戦う女性が珍しいわけではないがそれでも、兵士というのは男性の方が多いのが普通である、それに老人や子供、明らかに戦える年齢ではないものまでいる。
しかも、その全員がこちらに敵意をむき出しにしていた。
「どうも、おかしいわね」
敵の後方を撹乱するために暴れているディータも同じように疑問に思っている。
だが、たとえ女子供とはいえ、これだけの殺気を持って向かってくる相手を野放しには出来ない。
ディータもエリンシアも攻撃の手を緩めたりしなかった。
ディータ達が疑問に思った通り、攻めてきている帝国の兵士は普通の状態ではなかった。
目の前の敵を殺す、それだけしか考えられない……自分たちが何を目的にしているのか、自分たちが誰を襲っているのか、それすらも理解していないのだ。いや、すでに自分が誰かすらも解っていないだろう。
彼らは唯の踊る人形のようになっていたのだ……そして、今ここにいるのは兵士だけではない……エリンシア達が思った通り、明らかにおかしな年齢の者もいる……それもそのはずだ、ここにいるのは帝国に住む人間、全てなのだ……唯の主婦も、引退した老人も、まだ遊び盛りの子供も赤ん坊などの動けない物を覗いて、皆ここにいた。
そして、その操り糸を操る人影が、砦から少し離れた森の中にいる。
人間たちがお互いに傷つけあう姿を見てさも楽しそうに笑っているのだった。
「くっ……いや、良く持った方か……」
国境近くにある砦では砦を覆いつくすほどの帝国の兵が叫びながら砦へと雪崩れ込んでいた。
先ほどまで堅牢な扉であった物の残骸が倒れ、その下にはツァインの兵士が何人か下敷きになってしまっている。下敷きになり、身動きの取れない状態のツァインの兵士に帝国の兵士はいやらしい笑みを浮かべ手に持ったナイフで止めを刺していた。
「殺せ、殺せええええ!!」
まるで獣のように目についたツァインの兵士に襲い掛かる。
ツァインの兵士も応戦するが扉が破られ中に侵入されてしまった以上、数の差もあり一人、また一人とその命を散らせていく。
「ふんぬぅうううう!!」
「にゃあああああ!!」
「二連射!」
そんな中、三つの人影が迫りくる帝国の兵士を次々と葬っていった。
レディ、ミャア、コハクの三人である。
三人は砦の中に入る入り口を護っている、その後ろでは傷ついた兵士を癒す、コロとリーナの姿もあった。
「ここは通さないわよぉん!」
レディのハルバードが数人の帝国兵を薙ぎ払う、しかし、すぐにまた数人の帝国兵士が入口へと群がってきた。
「キリがないニャア……」
「ですが、逃げるわけにはいきません!」
うんざりと言う表情でミャアが数人を殴り倒し、その隣でコハクの弓がまた二人の兵士を射貫いた。
「でも、このままじゃまずいわねぇん」
「カモメさんやエリンシアさんみたいに一発で敵を大勢吹き飛ばせる技でもあればいいんですけどね」
「皆、対人向けの技ばっかりだもんニャア……」
レディにしろ、ミャアにしろ単体の敵に関しては無類の強さを誇るが敵が大勢となるとそれを一掃する術を持たない、少人数であれば纏めて吹っ飛ばすことも出来るが、敵が砦を覆いつくしても余るほどの数となると簡単にはいかないのだ。だからと言ってこの入り口を離れて敵の将軍を倒しに向かえばその間に他のツァインの兵士やリーナ達は命を失うだろう。
そうなれば、例え戦いに勝てたとしても手放しで喜ぶことが出来ないのだ。
「殺すううううう!!!」
「コハク!」
「しまったっ!?」
死体の中に死んでいない敵の兵士がいた。
コハクが別の所に意識を向けている隙を見計らい、起き上がり、持っていた剣を振りかぶったのだ。
完全に注意を他に向けていたコハクは不意を突かれ、避けることも出来ない。
帝国の兵士が剣を振り下ろす、コハクは目を瞑り、覚悟をしたが……痛みはやってこなかった。
「こら、いくらピンチだからって戦いの最中に目を瞑ったりしたら駄目じゃないか」
(そうだぜ兄ちゃん、諦めなければ何とかなるかもしれねぇぜ?)
聞きなれた声、コハクが尊敬し、共にダンジョンにも潜って色々と教えてもらった男性の声である。
「え……クオンさん?」
「怪我はないかい?」
笑顔でそう尋ねてくるクオンの後ろには剣で斬り裂かれた帝国の兵士が何体も横たわっていた。
「あらぁん、クオンちゃん助けに来てくれたのぉん?」
「ええ、もちろん、僕だけじゃありませんよ」
その言葉と同時に砦の外でとてつもなく大きな爆音が木霊する……それも、同時に三つもである。
一つは砦の壊れた門の前で、一つは帝国の兵士の一番後方がいるであろう場所に、もう一つはその扉と後方のちょうど真ん中らへんである。
「レディ~!助けに来たよー!」
壊れた扉のある場所の上空に一人の女の子が空を浮かんでいた。
「あらぁん、カモメちゃんも来てくれたのね」
「後、エリンシアとディータも来ています、僕は広範囲の技を持っていないのでこちらの守備の手伝いに」
「なるほどニャ」
そして、再び爆音。
だが、帝国の兵士の士気は落ちてはいない、殺せだの殺すだの叫びながら未だに砦の中へと突き進んでくる。
「そ~れ、もういっちょー!」
カモメの魔法が近くにまとまっていた帝国の兵士を一気に吹き飛ばした。
同じくエリンシアもディータも次々と帝国ん兵士の数を減らしていく。
だが、それでもやはり、帝国の兵士の数は多い。かなりの数を減らしてはいるが、それでもまだ、最初の数の五分の一も減らしていないのではないだろうか。
「とんでもない数が来てますわね……というより……」
エリンシアがあることに気付く。
それは、兵士の格好や男女比、そして年齢である。
「鎧を来てない人もおりますわ……それに女性の数が多い……老人や子供のように見える者まで……」
そう、兜だけを被っている人がいる、鎧を用意するのが間に合わなかったのだろうか?
いや、なら、これほどの数を無理やり投入する理由も無いはずだ。
さらには女性が男性と同じくらいの数いる……戦う女性が珍しいわけではないがそれでも、兵士というのは男性の方が多いのが普通である、それに老人や子供、明らかに戦える年齢ではないものまでいる。
しかも、その全員がこちらに敵意をむき出しにしていた。
「どうも、おかしいわね」
敵の後方を撹乱するために暴れているディータも同じように疑問に思っている。
だが、たとえ女子供とはいえ、これだけの殺気を持って向かってくる相手を野放しには出来ない。
ディータもエリンシアも攻撃の手を緩めたりしなかった。
ディータ達が疑問に思った通り、攻めてきている帝国の兵士は普通の状態ではなかった。
目の前の敵を殺す、それだけしか考えられない……自分たちが何を目的にしているのか、自分たちが誰を襲っているのか、それすらも理解していないのだ。いや、すでに自分が誰かすらも解っていないだろう。
彼らは唯の踊る人形のようになっていたのだ……そして、今ここにいるのは兵士だけではない……エリンシア達が思った通り、明らかにおかしな年齢の者もいる……それもそのはずだ、ここにいるのは帝国に住む人間、全てなのだ……唯の主婦も、引退した老人も、まだ遊び盛りの子供も赤ん坊などの動けない物を覗いて、皆ここにいた。
そして、その操り糸を操る人影が、砦から少し離れた森の中にいる。
人間たちがお互いに傷つけあう姿を見てさも楽しそうに笑っているのだった。
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