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6章
援軍に
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「え~っと、王様、怒ってる?」
何に対してというのは街の出現した魔族をカモメが魔法で倒し、その余波で城の一角を吹き飛ばしてしまった事である。だが、幸い、人的被害はなく、城が少し形を変えただけで済んでいた。
「いや、怪我をしたものもいないからな、その事はいい。それよりも魔女殿には至急、国境近くにある砦に向かってもらいたのだ……魔力は戻ったのだよな?」
「うん、魔力はばっちりだよ。でもどうして国境に?」
「レディやコハクたちが居ないことに関係しているのかしら?」
「その通りだ……と、その前に、そちらの方は新しい仲間か?」
フィルディナンドの見知らぬ顔、今この場にはカモメの他にはエリンシアとクオン、そしてディータしかいない。皆、フィルディナンドとは面識があるはずなのだが……以前あった時とは風貌が全然違う物がいる。
「ああ、そういえば、この姿のままだったわね」
そう言うと、ディータはソウルイーターの姿へと戻る。
アークミスラの魂を喰らい、生前に近い魔力を手に入れたディータは魔法で元の姿に戻っていただけである、その為、ソウルイーターの姿に戻ろうと思えば戻れるのであった。
「んなっ!?」
「驚いた?さっきまでのが私の本来の姿よ♪」
「あ、ああ……そうか、ディータ殿は女神であったな……その姿が板につきすぎていて忘れていた」
「あんですって……?」
自分の本来の姿より、今のソウルイーターの姿が板についていると言われ蟀谷に青筋を立てるディータ。
「いや、すまん……それで、話を戻すが、ディータ殿の言う通り現在レディ殿たちには国境付近に攻めてきた帝国の兵を抑えてもらっている」
「敵の数は?」
「こちらの十倍以上だ」
「十倍!?」
個人同士の戦いや小規模同士の戦いであれば一人、極端に強いものが居ればどうにかなってしまう事も多い。だが、大規模な軍同士の戦いとなると、一人ではどうしようもないのだ、大軍の一角を倒している間に残りの敵軍が他の味方の軍を倒し、自分たちの国へと攻め込まれてしまえば後は後手後手……戦いに敗れるのは眼に見えている。
「レディ殿とソフィーナが何とか国境沿いの砦に籠城をし、持ちこたえているがこのままではいずれ……」
「わかった、私達でその砦に向かうよ!」
「すまん、頼む」
「任せて!」
そう言うと、カモメはすぐさま部屋を出ていった。
エリンシア達もカモメの後に続き部屋の外へ出るのだが、部屋の扉の外に一人の女性が立っており、部屋を飛び出したカモメとぶつかってしまった。
「アイタタ……」
「あら、ごめんなさいね」
「……え?メリアンナ女王?」
扉の外にいたのはカモメ達が来る前までフィルディナンドと話をしていたメリアンナ女王であった。
カモメ達に話をする為に一度、別の部屋に待機してもらっていたのだが……。
「あら、魔女さんは私の事を知っているのね、光栄だわ」
「メリアンナ女王、どうされたのだ?あちらの部屋で待っていて欲しいと言ったはずだが」
「ごめんなさい、噂の魔女さんを見てみたくて……そう、貴方が……」
「えっと……」
「あらあら、ごめんなさい、邪魔をしてしまったわね……頑張ってくださいね」
「う、うん」
カモメはメリアンナ女王の不思議な雰囲気に戸惑いながらも、メリアンナ女王の脇を抜け、再び走り出した。エリンシア、クオンも続いて頭を下げ挨拶をしながらカモメの後を追う。
「あら?」
そんな中一人だけ、その場に残り、メリアンナ女王を見る者がいた。
「光の女神を崇拝しているらしいわね?」
いつの間に戻ったのか女神の姿でメリアンナ女王に話しかけるディータ。
「ええ、崇拝しておりますわ」
「なぜ、光の女神を?」
「それは、光の女神様こそ私たちを導いてくれるお方ですので」
「そう……あなたは光の女神の化身なんて呼ばれてるみたいだけど?」
「ふふふ、恐れ多いことです。ですが、そう呼んでくれいてる方々の為にも尽力するつもりです」
「そう……邪魔したわね」
そう言うと、ディータはその場を後にする。
ディータからしてみれば妹を崇拝し、宗教国としてまで大きくなっていることを嬉しくも思う。
だが、妹の名前を使われているような気もするので正直複雑な気持ちなのかもしれない。
もし、彼女たちが光の女神の名前を使い、自分たちの都合のいいようにしているのであれば、ディータはそれを許すことは無いだろう。だからこそ、気になり話しかけたディータであった。
それに気づいてか気づかないでかメリアンナは走り去るディータを意味ありげな表情で見ているのであった。
何に対してというのは街の出現した魔族をカモメが魔法で倒し、その余波で城の一角を吹き飛ばしてしまった事である。だが、幸い、人的被害はなく、城が少し形を変えただけで済んでいた。
「いや、怪我をしたものもいないからな、その事はいい。それよりも魔女殿には至急、国境近くにある砦に向かってもらいたのだ……魔力は戻ったのだよな?」
「うん、魔力はばっちりだよ。でもどうして国境に?」
「レディやコハクたちが居ないことに関係しているのかしら?」
「その通りだ……と、その前に、そちらの方は新しい仲間か?」
フィルディナンドの見知らぬ顔、今この場にはカモメの他にはエリンシアとクオン、そしてディータしかいない。皆、フィルディナンドとは面識があるはずなのだが……以前あった時とは風貌が全然違う物がいる。
「ああ、そういえば、この姿のままだったわね」
そう言うと、ディータはソウルイーターの姿へと戻る。
アークミスラの魂を喰らい、生前に近い魔力を手に入れたディータは魔法で元の姿に戻っていただけである、その為、ソウルイーターの姿に戻ろうと思えば戻れるのであった。
「んなっ!?」
「驚いた?さっきまでのが私の本来の姿よ♪」
「あ、ああ……そうか、ディータ殿は女神であったな……その姿が板につきすぎていて忘れていた」
「あんですって……?」
自分の本来の姿より、今のソウルイーターの姿が板についていると言われ蟀谷に青筋を立てるディータ。
「いや、すまん……それで、話を戻すが、ディータ殿の言う通り現在レディ殿たちには国境付近に攻めてきた帝国の兵を抑えてもらっている」
「敵の数は?」
「こちらの十倍以上だ」
「十倍!?」
個人同士の戦いや小規模同士の戦いであれば一人、極端に強いものが居ればどうにかなってしまう事も多い。だが、大規模な軍同士の戦いとなると、一人ではどうしようもないのだ、大軍の一角を倒している間に残りの敵軍が他の味方の軍を倒し、自分たちの国へと攻め込まれてしまえば後は後手後手……戦いに敗れるのは眼に見えている。
「レディ殿とソフィーナが何とか国境沿いの砦に籠城をし、持ちこたえているがこのままではいずれ……」
「わかった、私達でその砦に向かうよ!」
「すまん、頼む」
「任せて!」
そう言うと、カモメはすぐさま部屋を出ていった。
エリンシア達もカモメの後に続き部屋の外へ出るのだが、部屋の扉の外に一人の女性が立っており、部屋を飛び出したカモメとぶつかってしまった。
「アイタタ……」
「あら、ごめんなさいね」
「……え?メリアンナ女王?」
扉の外にいたのはカモメ達が来る前までフィルディナンドと話をしていたメリアンナ女王であった。
カモメ達に話をする為に一度、別の部屋に待機してもらっていたのだが……。
「あら、魔女さんは私の事を知っているのね、光栄だわ」
「メリアンナ女王、どうされたのだ?あちらの部屋で待っていて欲しいと言ったはずだが」
「ごめんなさい、噂の魔女さんを見てみたくて……そう、貴方が……」
「えっと……」
「あらあら、ごめんなさい、邪魔をしてしまったわね……頑張ってくださいね」
「う、うん」
カモメはメリアンナ女王の不思議な雰囲気に戸惑いながらも、メリアンナ女王の脇を抜け、再び走り出した。エリンシア、クオンも続いて頭を下げ挨拶をしながらカモメの後を追う。
「あら?」
そんな中一人だけ、その場に残り、メリアンナ女王を見る者がいた。
「光の女神を崇拝しているらしいわね?」
いつの間に戻ったのか女神の姿でメリアンナ女王に話しかけるディータ。
「ええ、崇拝しておりますわ」
「なぜ、光の女神を?」
「それは、光の女神様こそ私たちを導いてくれるお方ですので」
「そう……あなたは光の女神の化身なんて呼ばれてるみたいだけど?」
「ふふふ、恐れ多いことです。ですが、そう呼んでくれいてる方々の為にも尽力するつもりです」
「そう……邪魔したわね」
そう言うと、ディータはその場を後にする。
ディータからしてみれば妹を崇拝し、宗教国としてまで大きくなっていることを嬉しくも思う。
だが、妹の名前を使われているような気もするので正直複雑な気持ちなのかもしれない。
もし、彼女たちが光の女神の名前を使い、自分たちの都合のいいようにしているのであれば、ディータはそれを許すことは無いだろう。だからこそ、気になり話しかけたディータであった。
それに気づいてか気づかないでかメリアンナは走り去るディータを意味ありげな表情で見ているのであった。
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