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8章
『世界』
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カモメ達はラガナの後を付いていき、レガロールのいる隠れ里の奥に向かった。
途中、カモメ達の存在に気付いた竜達が、カモメ達を警戒している表情を見せる。
「嫌われたものね」
「仕方ないよ、『魔』に乗っ取られた時の私は酷かったし」
「でも結局、竜達を攻撃していなかったでしょう?」
「それはそうだけど、クオンがいなかったらどうなってたか……」
そして、そのクオンは今は居ない……不安なのは竜達だけじゃないのかもしれないな……。
「さあ、ついたのじゃ」
以前、来たときにも竜の王に会うために訪れた六角形の建物へとやってきた。
魔族との戦いの時の名残であろう、あちこちがボロボロに崩れており、その周りで竜達が必死に補修をしている。
「レガロールの意見でな、城よりも先に街の修繕を優先したのじゃ……その為、まだここは建て直せておらんのじゃ」
レガロールは自分よりも先に民の事を想いやれる長のようである。
そのレガロールに会うために、六角形の建物の中に入っていくカモメ達、一番奥の部屋に入ると、中にはレガロールと二体の人型に変身した竜達がいた。
「む……お前は……」
「闇の魔女だと!?ラガナ殿……どういうことです!」
「どういう事も何もレガロールに客を連れてきたのじゃ」
「馬鹿な、闇の魔女が客など……」
「やめろ」
槍を構えようとする竜族の二人に、低くドスのきいた声でレガロールがその行動を制止する。
「何度も言っているだろう……その者たちは里の恩人だ……無礼は許さぬ」
「はっ……しかし……」
「外に出ていろ、私はその者たちと話がある」
「ですが、危険では……」
「……はあ、もしその者たちが私に危害を加えるつもりがあるのならとっくにこの里ごと葬っている……」
「じゃな♪」
レガロールの発言に、ラガナは楽しそうに返すが……そんな物騒な事はしないよ!?
「命令だ、下がっていろ」
「……はっ」
里ごと葬れると聞いて顔を青くした二人の竜族たちが、レガロールに促され、部屋から出ていった。
「すまないな、里の者たちには言っているのだが……」
「ううん、私が『魔』に飲み込まれたのがいけないんだし……仕方ないよ」
「そう言ってくれると助かる……それで、今回はどうしたのだ?」
以前より、態度が軟化しているレガロールが、早速、話を促してくる。
「実は……」
カモメ達は、そんなレガロールに、ヴァルネッサで起きた出来事を説明した。
「魔族は滅びたが、『魔』は健在というわけか」
「うん、でもリーンが何を狙っているのか全然分からないんだよね」
「ふむ……恐らく……いや、『世界』から直接聞いた方がいいだろう……ついてこい」
何か思い当たることがあるのか、レガロールはリーンの目的に見当がついているようであった。
そして、席を立つと、部屋の扉を出て、カモメ達についてくるように促した。
レガロールが連れて行ったのは以前も来たことがある、竜の秘宝がある部屋だ。
「直接、『世界』に聞いてみることだ……恐らく奴の狙いがわかる」
リーンの狙いが解る……だが、ここに行けと言ったのはリーン自身だ。
リーンは自分の狙いが解っても問題ないと思っているという事だろうか?
疑問がわいてきたが、解決することは出来そうにないので、とにかく、『世界』に謎の大陸に行く方法を聞いてみることにしたカモメは、オーブのような竜の秘宝に、依然と同じく手をかざすのであった。
そして、オーブに触れた瞬間、依然と同じ、一面真っ暗になると、世界の声が聞こえてきた。
だが、今回は以前とは違い、カモメの心の中ではないようだった。
「これは……」
「どういうことですの?」
ディータとエリンシア、そしてレガロールもいる。
どうやら、部屋にいた全員が同じように世界の声が聞こえているようだった。
「必要だと思い、全員に話しかけています」
澄んだ声が、カモメ達の頭の中に直接声を響かせる。
「これが『世界』の声ですの?」
「みたいね」
以前はカモメ一人で『世界』と会話したのだ、その為、ディータ達は『世界』の声を初めて聞く。
「『世界』!謎の大陸に行くにはどうしたらいいの!」
「謎の大陸には行けません」
「……え?」
カモメの問いに帰ってきた答えは予想外の言葉であった。
謎の大陸に行く方法を知るために来たのに、行くことが出来ない…?
もしそれが本当なら、クオン達は……。
一体どうしたらいいの?
途中、カモメ達の存在に気付いた竜達が、カモメ達を警戒している表情を見せる。
「嫌われたものね」
「仕方ないよ、『魔』に乗っ取られた時の私は酷かったし」
「でも結局、竜達を攻撃していなかったでしょう?」
「それはそうだけど、クオンがいなかったらどうなってたか……」
そして、そのクオンは今は居ない……不安なのは竜達だけじゃないのかもしれないな……。
「さあ、ついたのじゃ」
以前、来たときにも竜の王に会うために訪れた六角形の建物へとやってきた。
魔族との戦いの時の名残であろう、あちこちがボロボロに崩れており、その周りで竜達が必死に補修をしている。
「レガロールの意見でな、城よりも先に街の修繕を優先したのじゃ……その為、まだここは建て直せておらんのじゃ」
レガロールは自分よりも先に民の事を想いやれる長のようである。
そのレガロールに会うために、六角形の建物の中に入っていくカモメ達、一番奥の部屋に入ると、中にはレガロールと二体の人型に変身した竜達がいた。
「む……お前は……」
「闇の魔女だと!?ラガナ殿……どういうことです!」
「どういう事も何もレガロールに客を連れてきたのじゃ」
「馬鹿な、闇の魔女が客など……」
「やめろ」
槍を構えようとする竜族の二人に、低くドスのきいた声でレガロールがその行動を制止する。
「何度も言っているだろう……その者たちは里の恩人だ……無礼は許さぬ」
「はっ……しかし……」
「外に出ていろ、私はその者たちと話がある」
「ですが、危険では……」
「……はあ、もしその者たちが私に危害を加えるつもりがあるのならとっくにこの里ごと葬っている……」
「じゃな♪」
レガロールの発言に、ラガナは楽しそうに返すが……そんな物騒な事はしないよ!?
「命令だ、下がっていろ」
「……はっ」
里ごと葬れると聞いて顔を青くした二人の竜族たちが、レガロールに促され、部屋から出ていった。
「すまないな、里の者たちには言っているのだが……」
「ううん、私が『魔』に飲み込まれたのがいけないんだし……仕方ないよ」
「そう言ってくれると助かる……それで、今回はどうしたのだ?」
以前より、態度が軟化しているレガロールが、早速、話を促してくる。
「実は……」
カモメ達は、そんなレガロールに、ヴァルネッサで起きた出来事を説明した。
「魔族は滅びたが、『魔』は健在というわけか」
「うん、でもリーンが何を狙っているのか全然分からないんだよね」
「ふむ……恐らく……いや、『世界』から直接聞いた方がいいだろう……ついてこい」
何か思い当たることがあるのか、レガロールはリーンの目的に見当がついているようであった。
そして、席を立つと、部屋の扉を出て、カモメ達についてくるように促した。
レガロールが連れて行ったのは以前も来たことがある、竜の秘宝がある部屋だ。
「直接、『世界』に聞いてみることだ……恐らく奴の狙いがわかる」
リーンの狙いが解る……だが、ここに行けと言ったのはリーン自身だ。
リーンは自分の狙いが解っても問題ないと思っているという事だろうか?
疑問がわいてきたが、解決することは出来そうにないので、とにかく、『世界』に謎の大陸に行く方法を聞いてみることにしたカモメは、オーブのような竜の秘宝に、依然と同じく手をかざすのであった。
そして、オーブに触れた瞬間、依然と同じ、一面真っ暗になると、世界の声が聞こえてきた。
だが、今回は以前とは違い、カモメの心の中ではないようだった。
「これは……」
「どういうことですの?」
ディータとエリンシア、そしてレガロールもいる。
どうやら、部屋にいた全員が同じように世界の声が聞こえているようだった。
「必要だと思い、全員に話しかけています」
澄んだ声が、カモメ達の頭の中に直接声を響かせる。
「これが『世界』の声ですの?」
「みたいね」
以前はカモメ一人で『世界』と会話したのだ、その為、ディータ達は『世界』の声を初めて聞く。
「『世界』!謎の大陸に行くにはどうしたらいいの!」
「謎の大陸には行けません」
「……え?」
カモメの問いに帰ってきた答えは予想外の言葉であった。
謎の大陸に行く方法を知るために来たのに、行くことが出来ない…?
もしそれが本当なら、クオン達は……。
一体どうしたらいいの?
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