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2部 1章
クエスト
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うう……周りの目が痛い。
私達は訓練場での天啓スキルの確認を終え、元のカウンターまで戻ってきた。
恐らく、訓練場での騒ぎがここまで届いているのだろう。
訓練場にいなかった冒険者達も私を見て魔女だと噂していた。
「そ、それでは手続きを続けますね……」
「はい……すみません」
私はやり過ぎたことを後悔し、ちっちゃくなっている……。
元からちっちゃいとか言ったら怒るよ?
「とは言っても、後は簡単に終わります、皆さんの年齢と後、パーティ名があるのであればお聞きしてもよろしいでしょうか?」
どうやら、そこら辺は結界の中のギルドと変わらないらしい。
「パーティ名は今までと同じで良い?」
「もちろんですわ」
「構わないわよ」
「うん」
「了解」
皆異論がないということで、今まで通りパーティ名は『星空の太陽』となった。
だが、結界の中ではギルドに登録するも冒険者らしい冒険をしていなかったので星空の太陽として活動したことがほとんどない……なので、ここからが本当の星空の太陽の第一歩となるのかな。
そう考えるとワクワクしてきた。
「では、カモメさん、クオンさん、エリンシアさんが17歳、そしてディータさんが21歳。パーティ名は『星空の太陽』ですね」
「はい」
……………ここぞとばかりにディータがサバを読んだ。
21歳て………本当は1000歳を余裕で超えてるのに……。
まあ、見た目は若いからバレないとは思うけど……。
ディータは見た目だけで言えば綺麗な長い黒髪でスタイルもスラッとしていてかなりの美人さんである。
21歳と言っても誰も疑わないであろう美貌の持ち主だ……まあ、女神だしね。
そして私達も少し前に17歳を超えた……皆でツァインで過ごし始めてもう一年もたっているのだ……いや、まだ一年と言うべきだろうか……すごく濃密な一年だった気がする。
「それでは冒険者プレートを発行いたしますので少々お待ちくださいませ」
「はーい」
「それじゃあ、俺は門に戻るとするか」
「あ、モルバ、ありがとう」
「気にすんなよ、お前らが悪人じゃねぇか確認するのも仕事のうちだったんでな」
なるほど、唯の親切から案内してくれたわけじゃないのか、もし私たちに前科があった場合その場で捕縛できるようについてきたんだろう、ってことはモルバって結構この街では強い方なのかな?クオンに簡単に負けてたけど……。
こっちの大陸の強さの基準が分からないが……まあ、あの驚き用から言って私達は規格外なのだろう……人間の強さは結界の中と同じくらいなのだろうか……結界のなかでも私達は規格外だったしね。
モルバと別れ、そんなことを考えているとミオンが戻ってきた。
「では、こちらが皆様の冒険者プレートとなります」
ミオンは私達に金属プレートのようなものを渡す。
「へー、これが冒険者の証になるのか」
「そうでしたね、カモメさん達は偽の冒険者ギルドに騙されていたんでした……ということは、冒険者ギルドについて1から説明し直した方がよろしいですか?」
「あ、うん、お願い」
結界の中とは冒険者ギルドの内容も違う可能性があるからね、ここはちゃんと聞いておかないと。
「では、説明させていただきます」
そう言って、ミオンは冒険者ギルドについて教えてくれた。
こちらの大陸の冒険者ギルドはこんな感じである。
冒険者のランクはFからSS……ここは向こうと変わらない。
だが、この大陸にSSランクの冒険者はたったの二人しかいないらしい。
そしてその下のSランク冒険者も5人だけだという……どうしてそんなに少ないのか気になって聞いてみたが、どうやら、この世界のランクは強ければ上がるという単純なものではないらしい。
ランクを上げる為にはランクアップの試験と言う物が存在し、それに合格しないとランクアップできないとのこと、なので私達も全員ランクFである。
そして、SSランクというの全世界の王に認められるくらいの功績を上げていないとなれないらしい。
確かにそれは大変である……そいう意味では二人もいることに驚くくらいだ。
なのでこの大陸の冒険者の中が目指すランクは主にAランクだと言う。
そして、そのAランクに上がるのもかなりの功績を上げないとなれないらしい。
「なるほど、まあでも、そんなにランクアップを気にしなくてもいいよね?」
「どうだろうね、ランクが上がると何かメリットがあるんですか?」
「それはもちろん、名声が上がるというのは当然ですが、そのほかにも受けられるクエストに制限があります」
制限、つまりはランクFでは受けられないクエストがあるというのだ……なるほどそれはきついね。
「その他にも魔石の買い取り値段が上がったり、後はダンジョンに入るにはCランク以上と言う制限もあります」
「げっ」
うわぁ、ダンジョンに入るのも制限があるんだ……それはやだなぁ。
ダンジョンには聖武具などの素晴らしいアイテムが眠っている……冒険者としてはやっぱり挑戦したいよね。
「となると、とりあえずは目指せCランクかな?」
「だね」
クエストやギルドからの依頼に関しては特になくてもいいしね……名声もいらないかな……どうせ『魔女』だし……。
絶対、名声があがるとしたら魔女としての名声である……私は知っている……お父さんが拳のオーガと呼ばれていたのと同じようにこういう肩書は簡単に広まるのだ……うう、もっと可愛いのがいいよう。
「ランクを上げるにはどうしたらいいのかな?」
「一番はそこのクエストボードに貼ってあるクエストをこなしていき、ギルドがランクを上げてもいいというくらいの功績をあげることですね」
「そっか、じゃあ、そこの依頼を受けてみよっか」
「そうしましょう」
ディータが同意してくれた。
そう言って私達はざっとクエストボードを見てみると、確かにクエストランクCとか明記されている。
つまりこのランクが自分たちのランクより上だと受けられないということなのだろう。
なんとなく、向こうのギルドより窮屈かもしれないね。
「魔物討伐のクエストもあるみたいだね……ミオンさんこのクエストはいくつまで同時に受けられるのですか?」
「多くても3つですね……ですが、余り複数受けるのは勧められません、クエストに失敗してしまうと評価は下がってしまいますから」
あまり欲張って、クエストを受注し、もしも、やれなかったらしばらくの間Fランクのままということもあるみたいだ。
「なるほど、では、パーティのメンバーが分担してクエストを受けることも可能ですか?」
「それは問題ありません、ですが単純に戦力が半減するとおもいますのであまりお勧めはしませんが……」
あれ、なんかクオンが意外にやる気なようだ。
「どうしたのクオン、なんかやる気じゃない?」
「ん、あはは、ごめんごめん、なんかこういう、地道に経験を積んでランクが上がっていくってシステム楽しくない?」
「えー、そうかな?」
私にはよくわからないが、クオンはこういうのが楽しく感じるみたい。
私は面倒くさいなぁと思ってしまったのだが……そうか、こういうのが好きな人もいるんだね。
まあ、確かに、頑張れば結果がついてきて、それがランクアップと言う形で現れるのだからやりがいはあるのかもしれない。
珍しいクオンを見たと思いながら私はふと、隣のボードに眼をやる。
「うわ、ナニコレ……」
隣を見ると、ボードからはみ出すくらいに一杯のクエストが貼ってあった。
「そちらは魔物討伐のクエストとなります……そちらのクエストにはランクの制限がありません」
え、ランクの制限がないの?なのにこんなに溢れるくらいクエストがある?……なんでだろう。
「お恥ずかしながら、このラリアスの冒険者ギルドにはランクC以上の冒険者のパーティが2つしかないのです」
え……そんなに少ないの?……SやSSになるのはものすごく難しいって言うのは聞いたけど、C以上になるのすらそんなのに大変なのだろうか?
「Cランク以上になるのはそんなに大変なのですか?」
「いえ、Cランクであれば地道に続けていれば1年くらいで上がれると思われます、早い方でしたら半年ほどで……ですが、このラリアスは辺境に位置する街です……腕に自信のある冒険者はもっと王国近い場所や大きなギルドのある街へと移ってしまうのです」
そういえば、モルバもここのギルドは人手不足と言っていたね……なるほど、強い人がどんどんいなくなっちゃうなら討伐系のクエストを受ける人は少ないのか……腕に自信がない人がわざわざ討伐系のクエストをうけるわけないもんね……。
クエストボードを見ると、インプの討伐からワーウルフの討伐など様々な討伐系、クエストがあった。
「それじゃ、討伐系やろっか?」
「そうだね、どうする、二手に分かれる?」
「あら、一人で十分じゃありません?」
「でしょうね、でも、ここらへんの地理に私達はあまり詳しくないわ……それなら空を飛べる私とカモメがいる方が安心……ということでしょ?」
「うん、迷ったら空からこの街を探せばいいかなと」
なるほど、確かにそれはそうだ、そしてそうなると自然に私とクオン、ディータとエリンシアと言うパーティになるだろう……それなら私やディータが暴走しても残りの二人が止めてくれるだろうしね。
「それに僕たちのいた場所と魔物の強さが同じとは限らないからね、念には念を入れてだよ」
まあ、多少強くなったくらいじゃどうということはないけど確かに、その方が安心だ。
「討伐依頼を受けてくださるのですか?」
「うん、魔物が多いと街の人も怖いだろうしね」
「ありがとうございます」
それに見てみると討伐系のクエストは基本的に報酬が多い……この世界のお金を持っていない私達はそっちの方が好都合なのだ……なにせ、ここしばらく、ここに着いた時にお爺さんにもらったスープしか食べてないのだ……お腹がすいた!!!
「じゃあ、僕たちはこれを受けよう」
クオンが取ったのはオークの討伐である。数は20体、オークの魔石を20個持ってくることで完了するらしい。
オークと聞くと異常種のレディの事を思い出すが、本来のオークはレディのように優しい魔物ではない、人間を見れば襲って、食料にしようとする危険な存在である。
そのオークの報酬は20000セルトと書いてあった……このセルトというのが恐らくこの大陸のお金なんだろう……。
「なら、ワタクシ達はこれですわね」
エリンシア達が取ったのはワーウルフを20体討伐と言うクエストである……ワーウルフもオーク同様に人間を襲う危険な魔物である。とはいえ、エリンシア達にとっては20どころか100体いても問題のない相手である。
ということで、私達は各々の討伐クエストへと出かけることになった。
本来であればFランクの冒険者が受けるクエストではないのだろう、ミオンはすごく心配そうな顔をしていたが、私たちが受けると言って聞かなかったのだ。
ごめんね、ミオン。でも大丈夫だよ!
私達は、お金のために……ご飯の為に行かねばならないのです!
そうして、魔物討伐へと出かけるのであった。
私達は訓練場での天啓スキルの確認を終え、元のカウンターまで戻ってきた。
恐らく、訓練場での騒ぎがここまで届いているのだろう。
訓練場にいなかった冒険者達も私を見て魔女だと噂していた。
「そ、それでは手続きを続けますね……」
「はい……すみません」
私はやり過ぎたことを後悔し、ちっちゃくなっている……。
元からちっちゃいとか言ったら怒るよ?
「とは言っても、後は簡単に終わります、皆さんの年齢と後、パーティ名があるのであればお聞きしてもよろしいでしょうか?」
どうやら、そこら辺は結界の中のギルドと変わらないらしい。
「パーティ名は今までと同じで良い?」
「もちろんですわ」
「構わないわよ」
「うん」
「了解」
皆異論がないということで、今まで通りパーティ名は『星空の太陽』となった。
だが、結界の中ではギルドに登録するも冒険者らしい冒険をしていなかったので星空の太陽として活動したことがほとんどない……なので、ここからが本当の星空の太陽の第一歩となるのかな。
そう考えるとワクワクしてきた。
「では、カモメさん、クオンさん、エリンシアさんが17歳、そしてディータさんが21歳。パーティ名は『星空の太陽』ですね」
「はい」
……………ここぞとばかりにディータがサバを読んだ。
21歳て………本当は1000歳を余裕で超えてるのに……。
まあ、見た目は若いからバレないとは思うけど……。
ディータは見た目だけで言えば綺麗な長い黒髪でスタイルもスラッとしていてかなりの美人さんである。
21歳と言っても誰も疑わないであろう美貌の持ち主だ……まあ、女神だしね。
そして私達も少し前に17歳を超えた……皆でツァインで過ごし始めてもう一年もたっているのだ……いや、まだ一年と言うべきだろうか……すごく濃密な一年だった気がする。
「それでは冒険者プレートを発行いたしますので少々お待ちくださいませ」
「はーい」
「それじゃあ、俺は門に戻るとするか」
「あ、モルバ、ありがとう」
「気にすんなよ、お前らが悪人じゃねぇか確認するのも仕事のうちだったんでな」
なるほど、唯の親切から案内してくれたわけじゃないのか、もし私たちに前科があった場合その場で捕縛できるようについてきたんだろう、ってことはモルバって結構この街では強い方なのかな?クオンに簡単に負けてたけど……。
こっちの大陸の強さの基準が分からないが……まあ、あの驚き用から言って私達は規格外なのだろう……人間の強さは結界の中と同じくらいなのだろうか……結界のなかでも私達は規格外だったしね。
モルバと別れ、そんなことを考えているとミオンが戻ってきた。
「では、こちらが皆様の冒険者プレートとなります」
ミオンは私達に金属プレートのようなものを渡す。
「へー、これが冒険者の証になるのか」
「そうでしたね、カモメさん達は偽の冒険者ギルドに騙されていたんでした……ということは、冒険者ギルドについて1から説明し直した方がよろしいですか?」
「あ、うん、お願い」
結界の中とは冒険者ギルドの内容も違う可能性があるからね、ここはちゃんと聞いておかないと。
「では、説明させていただきます」
そう言って、ミオンは冒険者ギルドについて教えてくれた。
こちらの大陸の冒険者ギルドはこんな感じである。
冒険者のランクはFからSS……ここは向こうと変わらない。
だが、この大陸にSSランクの冒険者はたったの二人しかいないらしい。
そしてその下のSランク冒険者も5人だけだという……どうしてそんなに少ないのか気になって聞いてみたが、どうやら、この世界のランクは強ければ上がるという単純なものではないらしい。
ランクを上げる為にはランクアップの試験と言う物が存在し、それに合格しないとランクアップできないとのこと、なので私達も全員ランクFである。
そして、SSランクというの全世界の王に認められるくらいの功績を上げていないとなれないらしい。
確かにそれは大変である……そいう意味では二人もいることに驚くくらいだ。
なのでこの大陸の冒険者の中が目指すランクは主にAランクだと言う。
そして、そのAランクに上がるのもかなりの功績を上げないとなれないらしい。
「なるほど、まあでも、そんなにランクアップを気にしなくてもいいよね?」
「どうだろうね、ランクが上がると何かメリットがあるんですか?」
「それはもちろん、名声が上がるというのは当然ですが、そのほかにも受けられるクエストに制限があります」
制限、つまりはランクFでは受けられないクエストがあるというのだ……なるほどそれはきついね。
「その他にも魔石の買い取り値段が上がったり、後はダンジョンに入るにはCランク以上と言う制限もあります」
「げっ」
うわぁ、ダンジョンに入るのも制限があるんだ……それはやだなぁ。
ダンジョンには聖武具などの素晴らしいアイテムが眠っている……冒険者としてはやっぱり挑戦したいよね。
「となると、とりあえずは目指せCランクかな?」
「だね」
クエストやギルドからの依頼に関しては特になくてもいいしね……名声もいらないかな……どうせ『魔女』だし……。
絶対、名声があがるとしたら魔女としての名声である……私は知っている……お父さんが拳のオーガと呼ばれていたのと同じようにこういう肩書は簡単に広まるのだ……うう、もっと可愛いのがいいよう。
「ランクを上げるにはどうしたらいいのかな?」
「一番はそこのクエストボードに貼ってあるクエストをこなしていき、ギルドがランクを上げてもいいというくらいの功績をあげることですね」
「そっか、じゃあ、そこの依頼を受けてみよっか」
「そうしましょう」
ディータが同意してくれた。
そう言って私達はざっとクエストボードを見てみると、確かにクエストランクCとか明記されている。
つまりこのランクが自分たちのランクより上だと受けられないということなのだろう。
なんとなく、向こうのギルドより窮屈かもしれないね。
「魔物討伐のクエストもあるみたいだね……ミオンさんこのクエストはいくつまで同時に受けられるのですか?」
「多くても3つですね……ですが、余り複数受けるのは勧められません、クエストに失敗してしまうと評価は下がってしまいますから」
あまり欲張って、クエストを受注し、もしも、やれなかったらしばらくの間Fランクのままということもあるみたいだ。
「なるほど、では、パーティのメンバーが分担してクエストを受けることも可能ですか?」
「それは問題ありません、ですが単純に戦力が半減するとおもいますのであまりお勧めはしませんが……」
あれ、なんかクオンが意外にやる気なようだ。
「どうしたのクオン、なんかやる気じゃない?」
「ん、あはは、ごめんごめん、なんかこういう、地道に経験を積んでランクが上がっていくってシステム楽しくない?」
「えー、そうかな?」
私にはよくわからないが、クオンはこういうのが楽しく感じるみたい。
私は面倒くさいなぁと思ってしまったのだが……そうか、こういうのが好きな人もいるんだね。
まあ、確かに、頑張れば結果がついてきて、それがランクアップと言う形で現れるのだからやりがいはあるのかもしれない。
珍しいクオンを見たと思いながら私はふと、隣のボードに眼をやる。
「うわ、ナニコレ……」
隣を見ると、ボードからはみ出すくらいに一杯のクエストが貼ってあった。
「そちらは魔物討伐のクエストとなります……そちらのクエストにはランクの制限がありません」
え、ランクの制限がないの?なのにこんなに溢れるくらいクエストがある?……なんでだろう。
「お恥ずかしながら、このラリアスの冒険者ギルドにはランクC以上の冒険者のパーティが2つしかないのです」
え……そんなに少ないの?……SやSSになるのはものすごく難しいって言うのは聞いたけど、C以上になるのすらそんなのに大変なのだろうか?
「Cランク以上になるのはそんなに大変なのですか?」
「いえ、Cランクであれば地道に続けていれば1年くらいで上がれると思われます、早い方でしたら半年ほどで……ですが、このラリアスは辺境に位置する街です……腕に自信のある冒険者はもっと王国近い場所や大きなギルドのある街へと移ってしまうのです」
そういえば、モルバもここのギルドは人手不足と言っていたね……なるほど、強い人がどんどんいなくなっちゃうなら討伐系のクエストを受ける人は少ないのか……腕に自信がない人がわざわざ討伐系のクエストをうけるわけないもんね……。
クエストボードを見ると、インプの討伐からワーウルフの討伐など様々な討伐系、クエストがあった。
「それじゃ、討伐系やろっか?」
「そうだね、どうする、二手に分かれる?」
「あら、一人で十分じゃありません?」
「でしょうね、でも、ここらへんの地理に私達はあまり詳しくないわ……それなら空を飛べる私とカモメがいる方が安心……ということでしょ?」
「うん、迷ったら空からこの街を探せばいいかなと」
なるほど、確かにそれはそうだ、そしてそうなると自然に私とクオン、ディータとエリンシアと言うパーティになるだろう……それなら私やディータが暴走しても残りの二人が止めてくれるだろうしね。
「それに僕たちのいた場所と魔物の強さが同じとは限らないからね、念には念を入れてだよ」
まあ、多少強くなったくらいじゃどうということはないけど確かに、その方が安心だ。
「討伐依頼を受けてくださるのですか?」
「うん、魔物が多いと街の人も怖いだろうしね」
「ありがとうございます」
それに見てみると討伐系のクエストは基本的に報酬が多い……この世界のお金を持っていない私達はそっちの方が好都合なのだ……なにせ、ここしばらく、ここに着いた時にお爺さんにもらったスープしか食べてないのだ……お腹がすいた!!!
「じゃあ、僕たちはこれを受けよう」
クオンが取ったのはオークの討伐である。数は20体、オークの魔石を20個持ってくることで完了するらしい。
オークと聞くと異常種のレディの事を思い出すが、本来のオークはレディのように優しい魔物ではない、人間を見れば襲って、食料にしようとする危険な存在である。
そのオークの報酬は20000セルトと書いてあった……このセルトというのが恐らくこの大陸のお金なんだろう……。
「なら、ワタクシ達はこれですわね」
エリンシア達が取ったのはワーウルフを20体討伐と言うクエストである……ワーウルフもオーク同様に人間を襲う危険な魔物である。とはいえ、エリンシア達にとっては20どころか100体いても問題のない相手である。
ということで、私達は各々の討伐クエストへと出かけることになった。
本来であればFランクの冒険者が受けるクエストではないのだろう、ミオンはすごく心配そうな顔をしていたが、私たちが受けると言って聞かなかったのだ。
ごめんね、ミオン。でも大丈夫だよ!
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そうして、魔物討伐へと出かけるのであった。
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