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2部 3章
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帝国の兵士たちを撃退した私達は、村の人や近衛隊の人を連れて、ラリアスに帰還した。
村の人達は、クオン達が逃げてきたせいで自分たちの住む村を失う羽目になったと言う人もいたが、大半の村人たちはアンダールシアが自分たちにした行為を許せないと憤っていた。
そして、今の王が偽物で、王妃が殺されたことを説明すると、さらに憤慨する。
彼らもまた、メリッサのお父さんやお母さんを慕っていたのだ。
国民の暮らしの事を真摯に考え、自分たちに気を使っていてくれたことを感謝していた。
それなのに、その王や王妃を奪ったレンシアと今のアンダールシアが許せないと憤ったのだ。
彼らはそんな想いもあってか、このままラリアスで暮らすことにするようだ、中には兵士になりたいと志願してくれる者もいた。
そして、ギリアムたち近衛隊の者も無事250名がラリアスに到着した。
彼らはそのまま私達に力を貸してくれるようだ。
そして、ララ王女率いる獣王国の兵士3000もラリアスに残って協力してくれることとなった。
「メリッサ姫……ご無事でなによりです」
「ギリアム……貴方達こそ、無事でよかった」
「……ふっ、この短期間のうちに随分と成長されたような気がいたしますな」
「カモメ様に鍛えてもらっておりますから」
「……なるほど」
カモメの強さはギリアムも先の戦いで目の当たりにしている。
そのカモメに鍛えられているのだ、幼いメリッサの顔つきが妙に引き締まって見えるのも頷ける。
「それで、クオンとディータって言ったか?アンダールシアに行ってたみたいだけど何か解ったのか?」
クオンとディータとは初対面であるララ王女が二人に尋ねる。
クオン達はアンダールシアに潜入して手に入れた情報を教えた、知りえた限りの敵の将と名前、そして、アンダールシアの現状……アンダールシアは今の所、平穏であった。近衛隊の離脱や姫の指名手配など事件はあったものの、国民の暮らしがひどくなっているということは無い。これは恐らく、国民などの反乱を危惧してのものであると言える。レンシアにどんな狙いがあるかは定かではないが、いずれにしてもレンシアが表立って動くまではアンダールシアの国情を悪くすると言うことは無いだろう。
これは私達としても安堵できるものでもあったが、同時に自分たちの言葉に応えてくれるものが減るということでもある。
下手をすると今以上に私たちの味方が増えることは無いかもしれない……それはさすがに困る。
とはいえ、平和に暮らしている人たちを巻き込むというのも嫌なので、どうしようもないと言えるのだけど……ただ、その平和に暮らしていただけの村の人達に山賊を襲わせたりする今のアンダールシアを信用することだけは出来ない。国民にひどいことをし始める前に何とかしないとね。
そして、ディータが敵の将の一人であるドルボルアを倒したこと、クオンが紅の傭兵団の副隊長と引き分けたことを聞くと、ララたちはドルボルアを倒したことに驚き、私達はクオンが引き分けたということに驚いた。
「あのドルボルアを打倒したのか……カモメの仲間は凄いな」
「クオンさんが引き分けるほどの強い人間が敵にいるんですのね……」
ララの言う通り、ディータもクオンも驚くほど強い。
それなのに、そのクオンが引き分ける程の人間が敵にいたことは私達に驚きの事だった。
正直、1対1なら負けることは無いだろうと思っていたのだ……くう。
「もう一つ、僕が狂人を倒した後、邪鬼が現れました」
「なんだと!?」
そう、クオンは最後に邪鬼にあったと言っていた……つまり、レンシアないしアンダールシアに邪鬼が協力しているということだ……これが一番まずい。
邪鬼の強さはこのラリアスで戦っときに十分理解している。
もし邪鬼が敵の軍にいるのだとしたら、今の私達では到底勝ち目がない……たとえ、協力している邪鬼が1体だったとしても、私のパーティメンバー全員がその邪鬼の相手をすることになる。そうなれば、兵士の数が圧倒的に少ない私達に勝ち目はないのだ。
やっぱり、他からも協力を得ないと危険である……先ずはローランシアからの使者を待ちたいのだが……ローランシアからはなかなか使者が来ない……それなら先に森の中に住むエルフたちに協力を願いに行った方がいいのかな……、もしくは別の国か……ああ、どれが一番いいのか解らないよ……。
それに、邪鬼や紅の傭兵団の副団長のような人がいるのなら、私たち自身ももっと強くならないといけないよね。
「とりあえず、ラリアスの護りは私に任せな……同時にローランシアからの使者を待つのもな……カモメ達は森に住むエルフに協力を要請しに行くといいさ」
私が悩んでいるとララ王女がそう言ってくれた。
確かに彼女が護ってくれるのであれば私達は自由に動ける……なら、森のエルフに会いに行くの悪くはないだろう……。
「解った、そうしてみる」
ここは彼女の言葉に甘えることにした……森のエルフが協力してくれるといいんだけどな……私の知っているエルフはコハクとリーナくらいである。あの二人の明るく屈託のない笑顔を思い浮かべながら私は森に住むエルフがどんな人なのかを想像していた。
いい人たちだといいなぁ。
村の人達は、クオン達が逃げてきたせいで自分たちの住む村を失う羽目になったと言う人もいたが、大半の村人たちはアンダールシアが自分たちにした行為を許せないと憤っていた。
そして、今の王が偽物で、王妃が殺されたことを説明すると、さらに憤慨する。
彼らもまた、メリッサのお父さんやお母さんを慕っていたのだ。
国民の暮らしの事を真摯に考え、自分たちに気を使っていてくれたことを感謝していた。
それなのに、その王や王妃を奪ったレンシアと今のアンダールシアが許せないと憤ったのだ。
彼らはそんな想いもあってか、このままラリアスで暮らすことにするようだ、中には兵士になりたいと志願してくれる者もいた。
そして、ギリアムたち近衛隊の者も無事250名がラリアスに到着した。
彼らはそのまま私達に力を貸してくれるようだ。
そして、ララ王女率いる獣王国の兵士3000もラリアスに残って協力してくれることとなった。
「メリッサ姫……ご無事でなによりです」
「ギリアム……貴方達こそ、無事でよかった」
「……ふっ、この短期間のうちに随分と成長されたような気がいたしますな」
「カモメ様に鍛えてもらっておりますから」
「……なるほど」
カモメの強さはギリアムも先の戦いで目の当たりにしている。
そのカモメに鍛えられているのだ、幼いメリッサの顔つきが妙に引き締まって見えるのも頷ける。
「それで、クオンとディータって言ったか?アンダールシアに行ってたみたいだけど何か解ったのか?」
クオンとディータとは初対面であるララ王女が二人に尋ねる。
クオン達はアンダールシアに潜入して手に入れた情報を教えた、知りえた限りの敵の将と名前、そして、アンダールシアの現状……アンダールシアは今の所、平穏であった。近衛隊の離脱や姫の指名手配など事件はあったものの、国民の暮らしがひどくなっているということは無い。これは恐らく、国民などの反乱を危惧してのものであると言える。レンシアにどんな狙いがあるかは定かではないが、いずれにしてもレンシアが表立って動くまではアンダールシアの国情を悪くすると言うことは無いだろう。
これは私達としても安堵できるものでもあったが、同時に自分たちの言葉に応えてくれるものが減るということでもある。
下手をすると今以上に私たちの味方が増えることは無いかもしれない……それはさすがに困る。
とはいえ、平和に暮らしている人たちを巻き込むというのも嫌なので、どうしようもないと言えるのだけど……ただ、その平和に暮らしていただけの村の人達に山賊を襲わせたりする今のアンダールシアを信用することだけは出来ない。国民にひどいことをし始める前に何とかしないとね。
そして、ディータが敵の将の一人であるドルボルアを倒したこと、クオンが紅の傭兵団の副隊長と引き分けたことを聞くと、ララたちはドルボルアを倒したことに驚き、私達はクオンが引き分けたということに驚いた。
「あのドルボルアを打倒したのか……カモメの仲間は凄いな」
「クオンさんが引き分けるほどの強い人間が敵にいるんですのね……」
ララの言う通り、ディータもクオンも驚くほど強い。
それなのに、そのクオンが引き分ける程の人間が敵にいたことは私達に驚きの事だった。
正直、1対1なら負けることは無いだろうと思っていたのだ……くう。
「もう一つ、僕が狂人を倒した後、邪鬼が現れました」
「なんだと!?」
そう、クオンは最後に邪鬼にあったと言っていた……つまり、レンシアないしアンダールシアに邪鬼が協力しているということだ……これが一番まずい。
邪鬼の強さはこのラリアスで戦っときに十分理解している。
もし邪鬼が敵の軍にいるのだとしたら、今の私達では到底勝ち目がない……たとえ、協力している邪鬼が1体だったとしても、私のパーティメンバー全員がその邪鬼の相手をすることになる。そうなれば、兵士の数が圧倒的に少ない私達に勝ち目はないのだ。
やっぱり、他からも協力を得ないと危険である……先ずはローランシアからの使者を待ちたいのだが……ローランシアからはなかなか使者が来ない……それなら先に森の中に住むエルフたちに協力を願いに行った方がいいのかな……、もしくは別の国か……ああ、どれが一番いいのか解らないよ……。
それに、邪鬼や紅の傭兵団の副団長のような人がいるのなら、私たち自身ももっと強くならないといけないよね。
「とりあえず、ラリアスの護りは私に任せな……同時にローランシアからの使者を待つのもな……カモメ達は森に住むエルフに協力を要請しに行くといいさ」
私が悩んでいるとララ王女がそう言ってくれた。
確かに彼女が護ってくれるのであれば私達は自由に動ける……なら、森のエルフに会いに行くの悪くはないだろう……。
「解った、そうしてみる」
ここは彼女の言葉に甘えることにした……森のエルフが協力してくれるといいんだけどな……私の知っているエルフはコハクとリーナくらいである。あの二人の明るく屈託のない笑顔を思い浮かべながら私は森に住むエルフがどんな人なのかを想像していた。
いい人たちだといいなぁ。
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