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第三回 コクルマガラス
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「ミライちゃん、可愛いデチュね~」
籠に入って惰眠を貪る私は、ぎゅっという圧力と頬ずりと甲高い声とふわっとした花の匂いで目が覚める。
サラお姉ちゃんだ。ニコニコとこちらを見ている。可愛い。絵に描いたような可愛さだ。思わず、こちらもニコニコする。
「さーねー。」(サラお姉ちゃん可愛い。」
「まー、ミライちゃんのほうが可愛いわよ~。」
多分、一歳は過ぎたんじゃないかな?よくわからないけど、大きなお祭りっぽいのが2回あって、だんだん寒くなってきてるからね。生まれたばかりの頃はよくわからないけど、暑い季節が過ぎて寒くなってきているから、多分そうなのだと思う。誕生日というのは特に記念日でもないのだろうか。
学校とかそういうのがないのか、お姉ちゃんは頻繁に会いにやって来る。お母さんもおっぱいを私に与えるため、何度もやってくる。でもお母さんだけでなく、もっと年若そうな乳母がいて、その人もおっぱいをくれる。ナダという名前で、15歳位では?と思うのだがよくわからない。シュッとしている。おっぱいはお母さんのほうが美味しく感じるが、ナダのが不味いわけでもない。お腹が減ったら呼ぶと来てくれる。これ、乳飲み兄弟がいるはずだよね?どんな子なのだろう。
とても寒い日。ああ、雪が降るんだねえ。タナタナが窓を開けると、キラキラした白い光が入ってくる。ガラスはないから、吹きさらしだ。ぬくぬくとした寝床から、ぐいっと起き出す。
「あらおはようございますねー。寒いですよー。ちょっと待っててくださいねー。」
お母さんを起こしに来たのだな。
隣のベッドで布にくるまったお母さんがむにゃむにゃ言ってる。本当にむにゃむにゃ言うんだ。
猫のクロは今日はベッドにいなかった。あまりの寒さに火のあるところに避難したかな。
「あー……。おはよう、タナ。」
「奥様おはようございます。積もっていますよ。」
「……まあ、ホント。寒いわねえ。」
いつ見てもお母さんは美人だ。素晴らしい。
「おはぉ、おはぉ」(おはようお母さん。おはようタナタナ。)
「はい、おはようございます。」
「…おはようミライ。」
ほっぺをツンツンされて、なんだか嬉しくてきゃらきゃら笑うと、より深い微笑みが返ってくる。
タナタナは盥に白湯を持ってきてくれたようで、お母さんが顔と手を洗っている。次いで私の顔を洗ってくれる。ぷっひー、息ができなかった。
窓を見ると、鳥がいた。顔と羽が黒っぽくて胴体が黒い。じっとこっちを見てる。きれいだ。ハトより少し大きい。何ていう鳥だろう。
「おはぉ、とりしゃん。」(おはよう、鳥さん、きれいねえ。どこから来たの?)
「かーがぁ」(おはよう。いいこですね。東から来たのよ。)
「うん。みらぃ。さむぅ。」(へー、私はミライっていうの、あなたは?それより寒くないの?入ったら?)
「くぁー。」(大丈夫?いいのかい?私はラウム。よろしくね。)
ふぁさっとベビーベッドの枠にラウムが飛び移る。ああ、きれいだねえ。私は起き上がって鳥さんの頭を撫でる。くーくーいっている。
あ、忘れてた。お母さんとタナタナが目を見開いてこっちを見ながら固まってる。
「白黒のカーガ……。」
「……まあ。珍しいカーガね。」
「かーが。」(カーガっていうのね。よろしくね。)
「くぁー。」(烏の仲間だと思うよ。こちらこそ。)
そうか、烏さんか。そりゃあ頭いいよね。ていうか、きれいだね、パンダカラス。
「奥様、あのぅ、大丈夫でしょうか。」
「……そうねぇ。うふふ。ミライにとっても懐いてるわ。大丈夫じゃないかしら。」
「でも、ちょっと汚いというか、そのまま触るのは良くない気がしますが……。」
「がぁーがぁー。」(何か私の悪口を言っているようだが、私は悪くないぞ。)
「だいじょうぶ、きれい。」(大丈夫よ。とても清潔できれいな頭のいい鳥よ。)
「ほら、あの子も大丈夫って言ってるわ。」
「そうですかねぇ。……まあ、危なくなければいいですが……。」
こうしてラウムと友だちになった。
ラウムは親烏の記憶があまりないらしい。物心ついたときから、一人だったそうだ。自分と同じような柄の鳥もいるのだが、自分ほど色が明確でなく、ちょっと違うような気がしてボッチだそうだ。
「かー。」(ぼっちではないよ。今はミライがいるからな。)
「うふー。」(そういわれると、とっても嬉しいわ。)
ラウムはオスのようだ。だから卵は産まない。だから巣は必要ないので、作らない。庭の菩提樹に大体いるようだ。私が呼ぶと来てくれる。サラお姉ちゃんやお母さんにも直ぐ懐いた。でもアヤタお兄ちゃんやアタお父さんにはもう一つ言うことを聞かない。やっぱりオスだからかな?
餌は自分で取ってくるみたいだけど、朝は必ず何かあげるようにしている。果物とか、パンとか、チーズとか、何でも食べる。後、糞は外でしてくれるので助かるってタナタナが言ってる。やっぱり賢いね。
籠に入って惰眠を貪る私は、ぎゅっという圧力と頬ずりと甲高い声とふわっとした花の匂いで目が覚める。
サラお姉ちゃんだ。ニコニコとこちらを見ている。可愛い。絵に描いたような可愛さだ。思わず、こちらもニコニコする。
「さーねー。」(サラお姉ちゃん可愛い。」
「まー、ミライちゃんのほうが可愛いわよ~。」
多分、一歳は過ぎたんじゃないかな?よくわからないけど、大きなお祭りっぽいのが2回あって、だんだん寒くなってきてるからね。生まれたばかりの頃はよくわからないけど、暑い季節が過ぎて寒くなってきているから、多分そうなのだと思う。誕生日というのは特に記念日でもないのだろうか。
学校とかそういうのがないのか、お姉ちゃんは頻繁に会いにやって来る。お母さんもおっぱいを私に与えるため、何度もやってくる。でもお母さんだけでなく、もっと年若そうな乳母がいて、その人もおっぱいをくれる。ナダという名前で、15歳位では?と思うのだがよくわからない。シュッとしている。おっぱいはお母さんのほうが美味しく感じるが、ナダのが不味いわけでもない。お腹が減ったら呼ぶと来てくれる。これ、乳飲み兄弟がいるはずだよね?どんな子なのだろう。
とても寒い日。ああ、雪が降るんだねえ。タナタナが窓を開けると、キラキラした白い光が入ってくる。ガラスはないから、吹きさらしだ。ぬくぬくとした寝床から、ぐいっと起き出す。
「あらおはようございますねー。寒いですよー。ちょっと待っててくださいねー。」
お母さんを起こしに来たのだな。
隣のベッドで布にくるまったお母さんがむにゃむにゃ言ってる。本当にむにゃむにゃ言うんだ。
猫のクロは今日はベッドにいなかった。あまりの寒さに火のあるところに避難したかな。
「あー……。おはよう、タナ。」
「奥様おはようございます。積もっていますよ。」
「……まあ、ホント。寒いわねえ。」
いつ見てもお母さんは美人だ。素晴らしい。
「おはぉ、おはぉ」(おはようお母さん。おはようタナタナ。)
「はい、おはようございます。」
「…おはようミライ。」
ほっぺをツンツンされて、なんだか嬉しくてきゃらきゃら笑うと、より深い微笑みが返ってくる。
タナタナは盥に白湯を持ってきてくれたようで、お母さんが顔と手を洗っている。次いで私の顔を洗ってくれる。ぷっひー、息ができなかった。
窓を見ると、鳥がいた。顔と羽が黒っぽくて胴体が黒い。じっとこっちを見てる。きれいだ。ハトより少し大きい。何ていう鳥だろう。
「おはぉ、とりしゃん。」(おはよう、鳥さん、きれいねえ。どこから来たの?)
「かーがぁ」(おはよう。いいこですね。東から来たのよ。)
「うん。みらぃ。さむぅ。」(へー、私はミライっていうの、あなたは?それより寒くないの?入ったら?)
「くぁー。」(大丈夫?いいのかい?私はラウム。よろしくね。)
ふぁさっとベビーベッドの枠にラウムが飛び移る。ああ、きれいだねえ。私は起き上がって鳥さんの頭を撫でる。くーくーいっている。
あ、忘れてた。お母さんとタナタナが目を見開いてこっちを見ながら固まってる。
「白黒のカーガ……。」
「……まあ。珍しいカーガね。」
「かーが。」(カーガっていうのね。よろしくね。)
「くぁー。」(烏の仲間だと思うよ。こちらこそ。)
そうか、烏さんか。そりゃあ頭いいよね。ていうか、きれいだね、パンダカラス。
「奥様、あのぅ、大丈夫でしょうか。」
「……そうねぇ。うふふ。ミライにとっても懐いてるわ。大丈夫じゃないかしら。」
「でも、ちょっと汚いというか、そのまま触るのは良くない気がしますが……。」
「がぁーがぁー。」(何か私の悪口を言っているようだが、私は悪くないぞ。)
「だいじょうぶ、きれい。」(大丈夫よ。とても清潔できれいな頭のいい鳥よ。)
「ほら、あの子も大丈夫って言ってるわ。」
「そうですかねぇ。……まあ、危なくなければいいですが……。」
こうしてラウムと友だちになった。
ラウムは親烏の記憶があまりないらしい。物心ついたときから、一人だったそうだ。自分と同じような柄の鳥もいるのだが、自分ほど色が明確でなく、ちょっと違うような気がしてボッチだそうだ。
「かー。」(ぼっちではないよ。今はミライがいるからな。)
「うふー。」(そういわれると、とっても嬉しいわ。)
ラウムはオスのようだ。だから卵は産まない。だから巣は必要ないので、作らない。庭の菩提樹に大体いるようだ。私が呼ぶと来てくれる。サラお姉ちゃんやお母さんにも直ぐ懐いた。でもアヤタお兄ちゃんやアタお父さんにはもう一つ言うことを聞かない。やっぱりオスだからかな?
餌は自分で取ってくるみたいだけど、朝は必ず何かあげるようにしている。果物とか、パンとか、チーズとか、何でも食べる。後、糞は外でしてくれるので助かるってタナタナが言ってる。やっぱり賢いね。
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