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第2話 朝ごはん

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「もう、ぼうっとしてないで早く朝ごはん読んじゃいなさい」

よ・ん・じゃ・な・さ・い? ここは普通食べちゃいなさいじゃないのか。

「よ、読むって何を?」

おそるおそる聞いてみる。

「何言ってるのよ、読まなきゃ食べられないでしょ。早くテーブル行って」

しょうがなく、行ってみることにする。そんなに広くない家だったので、テーブルの場所はすぐわかった。

途中迷い込んだ部屋で、俺(っていうか私?)に弟がいることが判明した。

普通、皿や茶わんや箸が並んでいるはずのテーブルには、人数分の分厚い本が閉じたまま置かれていた。

「いただきます」

父親らしき人物が唱えると、全員がハモった。しょうがなく、半テンポ遅れて真似してみる。

うーん、苦手だ、こういうの。朝ごはんは基本食べないし、食事は基本コンビニのパンを歩きながら食べるか、カップラーメンを自分の部屋でひとりで食べるスタイルだ。

 
5分くらいすると、俺(っていうか私? まどろっこしいからとりあえず俺でいいか)以外の全員が本を閉じ、閉じた途端に本が消えて、それぞれ違うメニューがランチョンマットの上に現れた。
 
「まあ、栞、早くしないと遅れるわよ、今日から新しい学校だからしっかり食べなくちゃ」
 
俺って、栞っていう名前なんだ。そして、今日から転校するらしい。
 
仕方なく最初のページを開いて読み始めた。うつ、字しかない。イラストとか写真とかないのかよ。
 
とりあえず読み始めたけど、多分、目玉焼きの説明。説明する必要性を微塵も感じないが。



目玉焼きは、卵を使った日本料理の一つであり、朝食や定食などでよく食べられる人気のある料理です。目玉焼きは、卵を割ってフライパンで焼きながら、卵黄を中心にして白身が固まった状態で作られます。

目玉焼きの作り方は比較的シンプルで、以下の手順に従って作ることが一般的です。

フライパンを熱し、中火から弱火にしておきます。
卵をボウルに割り入れ、軽く溶きます。卵白と卵黄が混ざる程度で構いません。
フライパンに適量の油(一般的には植物油やごま油など)を加え、広がるようになじませます。
溶き卵をフライパンに流し入れ、円形に広げます。
卵の白身が固まり始めたら、中央に卵黄を落とします。卵黄が中心にくるように注意しましょう。
卵黄を乱さないように、フライパンの周囲に白身を押し寄せるように焼きます。卵黄は固まらず、トロリとした状態が目指されます。
卵白が十分に固まったら、フライパンから取り出します。
目玉焼きは、その見た目がまるで目のように見えることからその名がついた料理です。半熟の卵黄が特徴であり、トロリとした卵黄が口の中でとろける食感を楽しむことができます。

目玉焼きは、ご飯やパンと一緒に食べたり、丼物や焼きそばなどの具材と一緒に使われたりすることもあります。また、ソースやしょうゆ、塩などで味付けされることもありますが、シンプルな味わいを楽しむこともできます。

目玉焼きは日本料理の定番として親しまれており、朝食やランチ、晩ご飯など、さまざまな場面で楽しむことができます。


漢字が3/2くらいしか読めない。なんとか目玉焼きとの説明を読み終えるとすごく不格好な目玉焼きが現れた。

「どうしたの? お姉ちゃん。いつも一番早いのに。それにおかず目玉焼きだけじゃん。ぐちゃぐちゃだし。食欲ないの?」

「やっぱり、昨日の事故の後遺症かしらね。まったく、私が医者でよかったわ」

うん? この母親らしき女は医者なのか? 昨日の事故っていったけど、この体の持ち主は昨日事故にあったのか。で、死んだ体に俺の魂が乗り移ったみたいなことなのか?

じゃあ、俺の体は? やっぱり死んだのか?


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