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結果報告
フレデリカ様に実技試験に合格したことを直接報告したくて、私はオルティス侯爵家を訪れていた。
応接室の方に案内されると、フレデリカ様の他にセルゲイも待っていた。
オルティス侯爵家の応接室は、装飾品一つとってもとても高級そうで、私は二人の前の席に緊張しながら座った。
「エヴァちゃん、手紙でも伝えたけれど、改めて合格おめでとう」
紅茶で口を潤した後、フレデリカ様がお祝いの言葉をかけてくださった。
「ありがとうございます! これもフレデリカ様が訓練をつけてくださったおかげです!」
私はお礼を言った後、実技試験当日のことをいろいろと話した。
試験前に軽く魔術属性と魔力量を測ったこと、魔術師団長様と副団長様が試験官を務められたこと、試験内容が単なる的当てではなくて動く的に魔術を当てていくものだったこと、それからたくさんいたギャラリーの様子などなど……
フレデリカ様は「あら、大変だったわね」と労ってくださって、セルゲイも遅ればせながら「とにかく、合格おめでとう」と祝ってくれた。
まだこれから面接試験が残っていて、黒の塔入れるとは完全に決まったわけではなかったけれど、二人に認められたようでなんだか嬉しかった。
「それで、呪い返しの方はどうだ?」
「ゔっ……」
ほこほこと嬉しい気持ちを味わっていたのに、セルゲイが無情にも水を差してきた。
……そうよね。合格しちゃったら、余計に必要になってくるわよね……
「サイモンに確認したら、今度会った時にみてくれるそうだ」
セルゲイは私の煮え切らない態度に小さく溜め息を吐いた後、教えてくれた。
呪い魔術の専門家の方にみていただけるなら、ありがたいわ! サイモンさんにも、何かお礼を用意しなくちゃね!
「次はテオドール殿下の面接ね」
フレデリカ様がおっしゃった。
フッフッフッ。こんな時こそ、私のスキル「占い」の腕の見せどころよ!
私はおもむろにポケットからタロットカードの束を、スッと取り出した。
「あら」「お?」と、フレデリカ様もセルゲイも珍しいスキルが見れるためか、どこか嬉しそうに目を見開いた。
テーブルの上を少し片付けてもらい、私はタロットカードの束をシャッフルし始めた。
もちろん、占う内容は「面接試験のアドバイスをください」だ。
いつも通りの手順で一枚引くと、『愚者』のカードだった。
緑色の服を着た愚者が伸びやかに両手両脚を伸ばしている姿が、カードのまん真ん中に堂々と描かれている。
あれ……?
のびのびと私らしく面接を受けて来いってこと……?
いや、そういうことを聞きたいわけでは……
でもこの感じ、何を準備してもあまり効果がなさそうよね。もう出たとこ勝負で柔軟に対応していくしかないというか……
私は息を整えて、『愚者』のカードを元の束に戻した。
またもう一度入念にシャッフルをして、カードを引く。
「うん? もう一回引くのか?」
セルゲイが不思議そうに尋ねてきた。
「え、えぇ……」
私は誤魔化し笑いをした。
本当は同じ質問内容で二回引くのは良くない。結局、一回目で引いたカードの結果の方が正しいと言われているし、こんなことを続けていくと、タロットカードとの信頼関係が崩れてきて的中率が下がってしまうのだ。
それから、もし同じ質問内容でカードを引きたい場合は、しっかりと時間をあけてから引くものだ。
でも私は「いや、もっと他にアドバイスがあるでしょう!?」という気持ちで、二回目を引いた。
──そして、テーブルの上に裏返しに出したカードをめくると、また『愚者』だった。
「また同じカードが出たな」
セルゲイが冷静に口にした。
……くぅううっ!
本来はタブーな二度引きまでやったのに、むしろ全く同じカードを出されて、占い結果を強調されてしまったわ!!
カードに描かれた愚者の表情は、まるで「楽しんで来いよ!」とでも今にも言ってきそうな、お気楽な雰囲気を醸し出していた。そんな顔を見ていたら、若干イライラしてきた。
キーッ! 完全にひと事だと思って!
面接官は王族なのよ!
そりゃあ、緊張するに決まってるじゃない!!
「エヴァちゃん、これはどういう意味かしら?」
フレデリカ様が、ドキドキそわそわした様子で尋ねられた。
「面接は、変に緊張したり萎縮したりせずに、のびのびと普段通りの心持ちで受けた方が良いみたいですね。むしろ、楽しむくらいの意気込みで挑んだ方がいいのかもしれません」
私はカードの説明ということもあり、占い師の「ステラ先生」モードに入った。もう職業病みたいなものね。
『愚者』は、新たな始まりや冒険を意味するカードだ。新しい世界に飛び込むには、時に大胆に行動する必要がある。
一方でこのカードは、そそっかしい面や、考え無しの無鉄砲さなんかも意味している。
……面接官は王族の方だ。いくら「私らしく」とはいえ、馴れ馴れしい失礼な態度や、マナー違反にあたるような愚かな言動は厳禁だ。
「面接官が王族の方なので、おそらく私が緊張し過ぎてしまうのかもしれないです……」
私は苦笑いで答えた。
「ただでさえ面接なんて緊張するのに、王族相手ではそうなるわよねぇ」
フレデリカ様が、うんうんと頷いて共感してくださった。
「所長は穏やかで優しい方だからな。それにとても聡い方だ。変に緊張や誤魔化しがあるよりも、そのままのエヴァの方が印象がいいだろう」
セルゲイも納得といった感じで相槌を打った。
……面接官の第三王子殿下を直接知ってるセルゲイがそう言うなら、そうなのかしら?
二回も同じカードが出たのだし、私ったら試験が始まる前から相当緊張しているみたいね……
「そういえば、グレースから相談を受けていたのよね。エヴァちゃんを守りたいって……」
「? 何かあったのか?」
フレデリカ様がそうおっしゃると、セルゲイが真剣な眼差しを私の方に向けてきた。
「ダルトン子爵家の者が、エヴァちゃんを無理やり呼び戻そうとしないか、念のために守りを固めておきたいんですって」
「……エヴァは、ダルトン家から追い出されたのだろう? 本当に奴らはそんなことをやりかねないのか?」
フレデリカ様の説明に、セルゲイが怪訝そうに首を傾げた。
……そうよね。普通に考えたら、役立たずだと言って追い出した人間をわざわざ呼び戻そうだなんて考えないものよね。
「彼らはものすごく自分本位で勝手なので、無きにしも非ずです……」
私は思わず渋い表情になって、頷いた。
もう私はハートネット家の養子になったのだし、今さらそんなことされても困るのだけれど、常識が通じない上に身勝手な彼らならやりかねないわ。
「エヴァちゃんが抜けて、ダルトン家の状況がどんどん悪くなっていっているらしいの。にっちもさっちもいかなくなったら、人間、何をやらかすか分からないわ……セルゲイ、何かいい魔道具とかある? 身を守ったり、危険を察知して知らせるようなものとか……」
フレデリカ様は肩をすくめて、呆れたように説明された。
セルゲイは「……そうか、少し考えておく」と呟いて、何やら考え事をし始めた。
「セルゲイは手先が器用だし、何かいい魔道具を思い付いてくれるかもね」
フレデリカ様は私を励ますように、優しくおっしゃってくれた。
私がハートネット家に帰ろうとすると、車寄せまでフレデリカ様とセルゲイが見送りに来てくれた。
私が馬車に乗り込もうとする前に、フレデリカ様が急に思い出したように尋ねられた。
「そうそう! エヴァちゃん、次のデビュタントに参加するのでしょう?」
「はい。でも、ドレスなどの準備が整えばですが……急にハートネット家の養子になったので、全く準備をしてなかったんですよね……」
「もうエスコートしてくれるパートナーはいるの?」
「そういえば、まだです……」
そうだった!
ああいった公式の社交場には、パートナーと参加するのが一般的だ。
ドレスだけじゃなくて、そっちの方も考えないとだった!
「だったら、うちのセルゲイが空いてるわよ!」
「は?」
フレデリカ様がセルゲイの背中をバシンッと勢いよく叩いた。
セルゲイも少し前のめりになって、ぽかんと呟く。
「えっ、でもご迷惑では……?」
「あら~、この子は他にお呼びもかからなくて暇してるんだし、連れて行ってあげて!」
私が二人を交互に見ながらおろおろと確認すると、フレデリカ様はニッといい笑顔で力強く返された。
「……俺は構わないが?」
「それなら、よろしくお願いします……」
セルゲイの方もいつも通りに淡々と返してきたから、私もそれならとお言葉に甘えた。
……とりあえず、一人で参加するようなことにはならなくて、良かったかも。
二人に見送られて、私はオルティス侯爵家から帰って行った。
応接室の方に案内されると、フレデリカ様の他にセルゲイも待っていた。
オルティス侯爵家の応接室は、装飾品一つとってもとても高級そうで、私は二人の前の席に緊張しながら座った。
「エヴァちゃん、手紙でも伝えたけれど、改めて合格おめでとう」
紅茶で口を潤した後、フレデリカ様がお祝いの言葉をかけてくださった。
「ありがとうございます! これもフレデリカ様が訓練をつけてくださったおかげです!」
私はお礼を言った後、実技試験当日のことをいろいろと話した。
試験前に軽く魔術属性と魔力量を測ったこと、魔術師団長様と副団長様が試験官を務められたこと、試験内容が単なる的当てではなくて動く的に魔術を当てていくものだったこと、それからたくさんいたギャラリーの様子などなど……
フレデリカ様は「あら、大変だったわね」と労ってくださって、セルゲイも遅ればせながら「とにかく、合格おめでとう」と祝ってくれた。
まだこれから面接試験が残っていて、黒の塔入れるとは完全に決まったわけではなかったけれど、二人に認められたようでなんだか嬉しかった。
「それで、呪い返しの方はどうだ?」
「ゔっ……」
ほこほこと嬉しい気持ちを味わっていたのに、セルゲイが無情にも水を差してきた。
……そうよね。合格しちゃったら、余計に必要になってくるわよね……
「サイモンに確認したら、今度会った時にみてくれるそうだ」
セルゲイは私の煮え切らない態度に小さく溜め息を吐いた後、教えてくれた。
呪い魔術の専門家の方にみていただけるなら、ありがたいわ! サイモンさんにも、何かお礼を用意しなくちゃね!
「次はテオドール殿下の面接ね」
フレデリカ様がおっしゃった。
フッフッフッ。こんな時こそ、私のスキル「占い」の腕の見せどころよ!
私はおもむろにポケットからタロットカードの束を、スッと取り出した。
「あら」「お?」と、フレデリカ様もセルゲイも珍しいスキルが見れるためか、どこか嬉しそうに目を見開いた。
テーブルの上を少し片付けてもらい、私はタロットカードの束をシャッフルし始めた。
もちろん、占う内容は「面接試験のアドバイスをください」だ。
いつも通りの手順で一枚引くと、『愚者』のカードだった。
緑色の服を着た愚者が伸びやかに両手両脚を伸ばしている姿が、カードのまん真ん中に堂々と描かれている。
あれ……?
のびのびと私らしく面接を受けて来いってこと……?
いや、そういうことを聞きたいわけでは……
でもこの感じ、何を準備してもあまり効果がなさそうよね。もう出たとこ勝負で柔軟に対応していくしかないというか……
私は息を整えて、『愚者』のカードを元の束に戻した。
またもう一度入念にシャッフルをして、カードを引く。
「うん? もう一回引くのか?」
セルゲイが不思議そうに尋ねてきた。
「え、えぇ……」
私は誤魔化し笑いをした。
本当は同じ質問内容で二回引くのは良くない。結局、一回目で引いたカードの結果の方が正しいと言われているし、こんなことを続けていくと、タロットカードとの信頼関係が崩れてきて的中率が下がってしまうのだ。
それから、もし同じ質問内容でカードを引きたい場合は、しっかりと時間をあけてから引くものだ。
でも私は「いや、もっと他にアドバイスがあるでしょう!?」という気持ちで、二回目を引いた。
──そして、テーブルの上に裏返しに出したカードをめくると、また『愚者』だった。
「また同じカードが出たな」
セルゲイが冷静に口にした。
……くぅううっ!
本来はタブーな二度引きまでやったのに、むしろ全く同じカードを出されて、占い結果を強調されてしまったわ!!
カードに描かれた愚者の表情は、まるで「楽しんで来いよ!」とでも今にも言ってきそうな、お気楽な雰囲気を醸し出していた。そんな顔を見ていたら、若干イライラしてきた。
キーッ! 完全にひと事だと思って!
面接官は王族なのよ!
そりゃあ、緊張するに決まってるじゃない!!
「エヴァちゃん、これはどういう意味かしら?」
フレデリカ様が、ドキドキそわそわした様子で尋ねられた。
「面接は、変に緊張したり萎縮したりせずに、のびのびと普段通りの心持ちで受けた方が良いみたいですね。むしろ、楽しむくらいの意気込みで挑んだ方がいいのかもしれません」
私はカードの説明ということもあり、占い師の「ステラ先生」モードに入った。もう職業病みたいなものね。
『愚者』は、新たな始まりや冒険を意味するカードだ。新しい世界に飛び込むには、時に大胆に行動する必要がある。
一方でこのカードは、そそっかしい面や、考え無しの無鉄砲さなんかも意味している。
……面接官は王族の方だ。いくら「私らしく」とはいえ、馴れ馴れしい失礼な態度や、マナー違反にあたるような愚かな言動は厳禁だ。
「面接官が王族の方なので、おそらく私が緊張し過ぎてしまうのかもしれないです……」
私は苦笑いで答えた。
「ただでさえ面接なんて緊張するのに、王族相手ではそうなるわよねぇ」
フレデリカ様が、うんうんと頷いて共感してくださった。
「所長は穏やかで優しい方だからな。それにとても聡い方だ。変に緊張や誤魔化しがあるよりも、そのままのエヴァの方が印象がいいだろう」
セルゲイも納得といった感じで相槌を打った。
……面接官の第三王子殿下を直接知ってるセルゲイがそう言うなら、そうなのかしら?
二回も同じカードが出たのだし、私ったら試験が始まる前から相当緊張しているみたいね……
「そういえば、グレースから相談を受けていたのよね。エヴァちゃんを守りたいって……」
「? 何かあったのか?」
フレデリカ様がそうおっしゃると、セルゲイが真剣な眼差しを私の方に向けてきた。
「ダルトン子爵家の者が、エヴァちゃんを無理やり呼び戻そうとしないか、念のために守りを固めておきたいんですって」
「……エヴァは、ダルトン家から追い出されたのだろう? 本当に奴らはそんなことをやりかねないのか?」
フレデリカ様の説明に、セルゲイが怪訝そうに首を傾げた。
……そうよね。普通に考えたら、役立たずだと言って追い出した人間をわざわざ呼び戻そうだなんて考えないものよね。
「彼らはものすごく自分本位で勝手なので、無きにしも非ずです……」
私は思わず渋い表情になって、頷いた。
もう私はハートネット家の養子になったのだし、今さらそんなことされても困るのだけれど、常識が通じない上に身勝手な彼らならやりかねないわ。
「エヴァちゃんが抜けて、ダルトン家の状況がどんどん悪くなっていっているらしいの。にっちもさっちもいかなくなったら、人間、何をやらかすか分からないわ……セルゲイ、何かいい魔道具とかある? 身を守ったり、危険を察知して知らせるようなものとか……」
フレデリカ様は肩をすくめて、呆れたように説明された。
セルゲイは「……そうか、少し考えておく」と呟いて、何やら考え事をし始めた。
「セルゲイは手先が器用だし、何かいい魔道具を思い付いてくれるかもね」
フレデリカ様は私を励ますように、優しくおっしゃってくれた。
私がハートネット家に帰ろうとすると、車寄せまでフレデリカ様とセルゲイが見送りに来てくれた。
私が馬車に乗り込もうとする前に、フレデリカ様が急に思い出したように尋ねられた。
「そうそう! エヴァちゃん、次のデビュタントに参加するのでしょう?」
「はい。でも、ドレスなどの準備が整えばですが……急にハートネット家の養子になったので、全く準備をしてなかったんですよね……」
「もうエスコートしてくれるパートナーはいるの?」
「そういえば、まだです……」
そうだった!
ああいった公式の社交場には、パートナーと参加するのが一般的だ。
ドレスだけじゃなくて、そっちの方も考えないとだった!
「だったら、うちのセルゲイが空いてるわよ!」
「は?」
フレデリカ様がセルゲイの背中をバシンッと勢いよく叩いた。
セルゲイも少し前のめりになって、ぽかんと呟く。
「えっ、でもご迷惑では……?」
「あら~、この子は他にお呼びもかからなくて暇してるんだし、連れて行ってあげて!」
私が二人を交互に見ながらおろおろと確認すると、フレデリカ様はニッといい笑顔で力強く返された。
「……俺は構わないが?」
「それなら、よろしくお願いします……」
セルゲイの方もいつも通りに淡々と返してきたから、私もそれならとお言葉に甘えた。
……とりあえず、一人で参加するようなことにはならなくて、良かったかも。
二人に見送られて、私はオルティス侯爵家から帰って行った。
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