異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜

海月 結城

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呼び出し

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 ギルドに着くと、クルーズさんが土下座をしていた。無視だ。その奥の受付には、少し申し訳なさそうな顔をしたシャルがいた。

「あ、シャル、クルーズさんが呼んでたって言われて来たんだけど、何処にいる?」
「え、ギルマスなら、カレンさんが踏んでるけど……」
「え!? やだなぁ。踏んでるって、下にあるのは床だよ。ほら、ね!!」

 そう言って、確認も兼ねて、足を上げ床を踏みつけた。なんか、グヘェ! って声が聞こえた気がするが、無視だ。

「ほら、何もないでしょ?」
「え、? そう......だね」

 シャルは思った。

(なにあれ! 笑顔で人を踏みつけるって怖すぎだよ! しかも、グリグリって踏みつけ始めたよ! 絶対にカレンさんを怒らせちゃいけないよ。怖いよ)

「さて、ギルマスが居ないみたいだし、部屋にいるから、ギルマスが戻って来たら、部屋に連れて来てね」
「......分かりました」

 カレンがギルマスの部屋に向かって、奥に行った後、ギルド、受付前では、

「あれって、今回の英雄様だよな、ギルマスが怒らせって言う」
「そうだぜ、ほら、まだあそこで土下座してるんだぜ」
「可愛い笑顔で踏みつけるって、えげつないな」
「そろそろ、部屋に向かわせた方が良いんじゃないか? 遅くて、怒られそうだよな」
「そうだな」

 こんな感じの会話がギルドの中で、話されていた。

「あ、あの、ギルマス。そろそろ行かないとまた踏まれますよ」
「そうだな、ちょっと行ってくるよ」

 そこで、みんな思った。

((((ギルマス、あの人、死んだな))))

「入るぞ」
「えぇ、どうぞ」

 もう、どちらがギルマスかわからなくなって来たな。

「ほんとに! すみませんでした!!」
「ん? なんの話ですか?」

 そこで私は、敢えてとぼけてみた。

「昨日のやつで、意味のわからない怒り方をしてしまって申し訳なかった」
「それだけですか?」
「え?」
「私、脅されて来たんだよなぁ。来なかったら、ギルド脱退とか言われてさ」

 そこで、ギルマスは思い出した。自分がなんて言って呼び出したのかを。

「あれは、なんて言うか。すみませんでした!!!」
「そうですね。許してあげなくもないですよ」
「ほんとか!?」
「もちろん、条件ありですがね」

1つ、今回倒した魔物の買取を色をつけて返すこと。
2つ、私をこのギルドに束縛しないこと。

「この2つ守ってくださいね」
「あ、あぁ、もちろんだ。それで、本題なんだが。今回の活躍で、この国の王様がお呼びだ。なので、王都に向かって欲しい」
「何か貰うんですか?」
「今回の活躍でのお金と、貴族の称号だろうな」
「貴族ですか」

 私は、あまり貴族になりたくはない。面倒くさいから。

「多分だが、名誉貴族だと思うぞ。だから、領地はないな、それに形だけだ」
「それなら安心ですね」
「今回の魔物の買取の前に、今回の活躍の報酬だ」
「お、沢山ありますね。最近お金を沢山使ったから、ありがたいですね」
「白金貨2枚と、金貨79枚が、中に入っている。そして、これが、ダンジョンに行くときに受けた以来での報酬、金貨12枚だ」
「忘れてた。ありがとうございます。王都には、いつ行けばいいですか?」
「1週間後までに来いだと。ついでに、護衛依頼でも受けたらいいんじゃないか?」
「そうですね、ありますか?」
「あるぞ、商人からの護衛依頼だな。明日朝に出発だ。東門に集合してくれよ」
「それ受けますね。それじゃ、今回のことは水に流さないので、きちんと反省してくださいね?」
「はい、ほんとうにすみませんでした」

 その後、ダンジョンで、倒した魔物を少しコネさんに出して、ギルドを出た。その時、コネさんが死にそうな顔をしていたが無視だ。

「いやー、少しだけスッキリしたなぁ。……さて、王都に行く準備でもしますか」

 それから、1週間分の食料と、調味料、下着などを買い、亜空間にしまった。野宿をすると思うが、テントなどは、全て亜空間の中に入っているので、安心だ。
 それから、することがなくなり、街中を歩いていると、裏路地に男3人と女の子1人が入って行くところを見つけた。

「あれは、助けないとなぁ」

 少し、様子を見ながらついて行くと、

「ちょっと、離してくださいよ!」
「別にいいじゃねぇかよ」
「そうだぜ、俺らと遊ぼうぜ」
「俺らと、楽しいことでもしようぜ」

 あー、これ完全にダメなやつだ。半殺し決定だよ。

「その汚い手で、その子に触れないでくれますか?」
「あぁ? 誰だテメェ!」
「お前も、可愛いじゃねぇかよ。可愛がられに来たのか? 嬢ちゃん?」
「そんなわけないでしょ? 助けに来たに決まってるでしょ!」
「だめ! この人たちに関わっちゃだめだよ!」
「大丈夫だよ。少しの間、目を瞑ってくれると嬉しいな」

 そう言うと、素直に頷き、女の子は目を瞑った。そこからは一瞬だった。全員のすねを蹴り、動けないようにして、そのまま縛り上げた。

「もう大丈夫だよ」
「ありがとう! お姉さん! アランはねアランって言うの」
「どういたしまして。私は、カレンよ。どうしてあんな事になったか、聞いてもいい?」

 それから、話を聞き、簡単にすると。
 パパとママと一緒に買い物をしていたのだが、いつのまにかはぐれてしまったらしい。そこで、腕を引っ張られ、逃げようとしたが力が敵わなくて、連れていかれそうになった。そこを、私が助けたと。

「なるほどね。もう大丈夫だよ。だから、こいつらは兵士に受け渡して、君をパパとママのところに連れて行くよ」
「ほんと!? ありがとう! お姉さん!」

 それから、3人を縛り上げたものを引きずりながら、兵士の居る兵舎まで連れて行った。そこで、さっきあったことを話し、兵舎を出た。

「アランちゃん、パパとママを探す前に、何か食べない? 私お腹空いちゃった」
「えへへ~、アランも~」
「そっか、あそこに行こうか」
「うん!」

 それから、日本でいうファミレスの様なところに入り、パスタの様なものを私は食べ、アランちゃんは、ドリアの様なものを食べた。

「さて、アランちゃん。パパとママを探そうか。先ずは、アランちゃんが、はぐれちゃったところに行こうか」
「うん!」

 そうして、アランちゃんの案内ではぐれたところに着いた。

「あ! パパ! ママ!」
「あ! アラン! よかった~、無事なのね」
「よかった~。君がアランをここまで連れてきてくれたのか、ほんとうにありがとう!」
「いえいえ、当然のことをしたまでです」
「そんな謙虚にならなくていいんですよ。何か、お礼をさせて欲しいんだが、私たちの家に招待させて欲しい」
「わかりました。今から行きますか?」
「あぁ。てことで、名乗ってなかったな。私は、サランプ商会の会長をやっている。ショーン・サランプだ。よろしく」
「私は、ショーンの妻のリサ・サランプよ。よろしくお願いします」
「私は、カレンです。よろしくです」
「それじゃ、行きますか」

 驚いたな、まさか、サランプ商会の人達だったとは。
 サランプ商会とは、この世界で、知らない人は居ない。世界一の商会の名前だ。なんでも取り揃えており、サランプ商会に行けば、なんでも揃うと言われている。

「さ、ここが、我が家です」

 そう言って、現れたのは、それはそれはとても綺麗な屋敷だった。
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