幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城

文字の大きさ
21 / 147

2人の感覚

しおりを挟む
 次の日。再びギルドに来た僕たちはギルドの前で待っていた受付嬢にギルドマスターの部屋に通された。

「あの、なんで僕たちこんな部屋に通されたんですか?」
「いやはや、まさか君たちのようの子供に負けてしまうとは、私も落ちぶれたね」

 副ギルドマスターはそう言って、大きな声で笑った。
 けれど、僕たちは一緒に笑っていられる程、この現状は許せるものでは無かった。

「「「……」」」
「そんな怖い顔で睨まないでくれ。何も君たちに手を出そうなんて考えていないさ。ただただ疑問なんだよ。何故君たちのような子供がそんなに強いのか」

 僕は笑みを浮かべて人差し指を口元に持ってきて答えた。

「いやー、すみません。秘密です」
「おじさん。力尽くではどうしようもないと思うよ。この中で一番弱いの、昨日戦ったこいつだから」
「ちょっと! 辞めてよ。弱いのは認めるけど……いいもん。フォレスが守ってくれるから」
「カリーナ?! ちょっと、抱きつくなって」

 僕たちのやりとりを見て、副ギルドマスターは乾いた笑みを浮かべている。

「ほら、早く外の人たちどうにかしてよ」

 リュクスがそういうと、驚いたように目を見開いて、けれど、納得したように口を開いた。

「みんな。帰ってくれ」

 天井や外からドタドタと何人もの足音が部屋の中に響いた。

「気付いていたのか?」
「まぁな。お昼頃だからって人が少ないのかもしれないが、全く人が居なかったからな」
「ハハハ、最初っから気付いていたのか」
「なぁ、なんであんな事したんだ?」

 ソファの後ろに立っていた受付嬢に確認をとって僕たちに話し始めた。

「そんな強さを持ってる謎の少年少女達。そんな3人が悪意を持って迫って来た人達にどんな行動を起こすのか気になったんだ。もし、その力を無闇矢鱈に振るうのであればこちらでどんな被害を出そうとも君たちを拘束していた」
「あはは、そんなことは大丈夫ですよ。フォレスがいるならどんな事があっても大丈夫ですよ」

 カリーナの言葉に受付嬢もギルドマスターも頭の上にハテナマークを浮かべていた。そして、僕たちの審査は行われずに終わった。なんでも、さっきのやり取りで本当に強いのが分かったかららしい。うん。良く分からない。

「はぁ、まさかあんな強さの少年少女が居るとはな。恐ろしい」
「まさか、あの3人が魔王か勇者だったり……」
「まさか。そんな訳ない……よな?」
「ま、今はそれよりも魔物の凶暴化です。10年前より始まった凶暴化に冒険者も国も苦労しています。そのせいで冒険者の数も徐々に減っています。それに、凶暴化した魔物も数が増えています。何か手を打たないといけません」
「分かってる。けど、上に報告しても何も起きてないんだから手を打てないと言ってるんだ。起きる前に手を打たないと行けないのに。はぁ」
「あの方が居たら、もうちょっと現状は変わっていたでしょうに」
「そうだな。ギルドマスター。早く戻って来て下さいよ」

 このギルドのギルドマスターは10年前。とある事件を期に何処かに消えてしまった。どの冒険者にもこの国の王様にも慕われていた。本当に良いギルドマスターだった。

「よし。今はできる事をやるしかないな。冒険者にも受付嬢にも今までよりも魔物の変な動きや数の上下。なんでも良いから教えてくれ」
「はい。分かりました」

 ギルドマスターの部屋から出た僕たちは、初めてのクエストを受けていた。

「なぁ、本当にこれやるのか?」
「私もやだー」
「だったら、2人ともやらなくて良いから僕が監視出来る場所に居てよ」
「「はーい」」

 2人とも戦闘狂な所があり、今回受けたクエスト薬草採取は嫌なようだ。僕はこういった同じ作業の繰り返しは好きだし、力を使わなくて良いので魔王も勇者もバレない。これでお金が貰えるので良い事づくしだ。2人はつまんなそうだけどね。

「なぁ、カリーナ」
「何?」
「なんかこの森変な感じしないか?」
「うーん。そうだね。あの森しか知らないけど、この森なんか殺伐としてるよね」
「うん。一応ギルドに報告しておく?」
「そうだな。フォレスのあれが終わったら話すか」

 クエストを終え薬草を渡す時、リュクスとカリーナが何か受付嬢に話していたが、僕は別の受付嬢の所にいたので何を話しているのか聞こえなかった。

「何言ってたの?」
「何でもないよ」
「??? カリーナ?」
「……な、何でもないよ」
「嘘じゃん。絶対嘘じゃん。嘘つくの下手かお前」
「う、うるさい。フォレスに嘘つくの嫌なんだよ」
「お前……はぁ。あれだよ、あの森の雰囲気なんか変だったってだけだよ」
「へー、そうだったんだ。全然気付かなかった」

 やっぱり2人は物凄い感覚を持っているんだと、僕は数日後に改めて感じる事が出来た。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!

飼猫タマ
ファンタジー
貧乏準男爵家の三男トト・カスタネット(妾の子)は、13歳の誕生日に貴族では有り得ない『握手』スキルという、握手すると人の名前が解るだけの、全く使えないスキルを女神様から授かる。 貴族は、攻撃的なスキルを授かるものという頭が固い厳格な父親からは、それ以来、実の息子とは扱われず、自分の本当の母親ではない本妻からは、嫌がらせの井戸掘りばかりさせられる毎日。 だが、しかし、『握手』スキルには、有り得ない秘密があったのだ。 なんと、ただ、人と握手するだけで、付随スキルが無限にゲットできちゃう。 その付随スキルにより、今までトト・カスタネットの事を、無能と見下してた奴らを無意識下にザマーしまくる痛快物語。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

最弱Sランク冒険者は引退したい~仲間が強すぎるせいでなぜか僕が陰の実力者だと勘違いされているんだが?

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
冒険者のノエルはSランクパーティーの荷物もちだった。 ノエル自体に戦闘能力はなく、自分のことを足手まといだとすら思っていた。 そして、Sランクになったことで、戦うモンスターはより強力になっていった。 荷物持ちであるノエルは戦闘に参加しないものの、戦場は危険でいっぱいだ。 このままじゃいずれ自分はモンスターに殺されてしまうと考えたノエルは、パーティーから引退したいと思うようになる。 ノエルはパーティーメンバーに引退を切り出すが、パーティーメンバーはみな、ノエルのことが大好きだった。それどころか、ノエルの実力を過大評価していた。 ノエルがいないとパーティーは崩壊してしまうと言われ、ノエルは引退するにできない状況に……。 ノエルは引退するために自分の評判を落とそうとするのだが、周りは勘違いして、ノエルが最強だという噂が広まってしまう。 さらにノエルの評判はうなぎのぼりで、ますます引退できなくなるノエルなのだった。 他サイトにも掲載

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...