幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城

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聖女の魔力を使ってみた

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「初めまして、わたくしセンリ・ノウェールと言います」

 自己紹介をすると、顔色がみるみる変わっていき、どんどん青くなっていった。

「え、ノウェールって、え? 本当!?」
「そうですね。元王女です」
「あ、あ、あ、あ、も、ももも申し訳ありませんでした!!!!」

 その子はベットの上で飛び跳ねて長座の姿勢から一瞬で土下座の姿勢に姿を変えた。
 一瞬の変化にメインドも驚いた表情をしていた。

「誠に申し訳ございませんでした!!!!!」

 私が何も言わないことに不安を持ったのか、更に謝罪をしてきた。

「ちょ、ちょっと待って、私はもう王女じゃないからそんなに謝らないで!」
「……怒って、ないんですか?」

 その子は、土下座の姿勢のまま顔を上げた。

「怒ってないよ。だから、その姿勢やめて欲しいんだけど……」
「!? はい!」

 姿勢を元に戻してもらい、自己紹介をしてもらった。

「私はサレイと言います。よろしくお願いします。センリ、様」
「さん。で、お願い」
「分かりました。センリ、さん」
「よろしい、よろしくね、サレイさん」
「あれ、年上なのサレイ様だよね?」

 その後もずっと、サレイがセンリにペコペコしながら話をしていた。
 それをメインドは何だか腑に落ちないように見ていた。

――あー! 何でこうなってるのよ!! 二人とも、甘やかしたいのと甘えたいのをずっと我慢しているの分かってるのよ!! もっと、自分をさらけ出しなさいよ!!

「私、追加のお菓子を持ってきますね」

 メインドはそう言って部屋を出て行った。
 部屋に残された私とサレイさんは少しの沈黙の後同時に口を開いた。

「「……あの」」
「「あ、どうぞ……」」

 共通の友人が居なくなり、会話が詰まった。まぁ、よくあることだ。
 それからも言葉に詰まりながら会話を続けた。

「センリさん、先にどうぞ」
「分かったよ。サレイさんは、メインドのことどう思ってますか?」
「どう、とは?」
「ほら、メインドってなんでも出来るでしょ? そこのところどう思ってるのかなって」
「そうなんですよ!! メインド凄いんですよね!! 料理も完璧、洗濯も完璧、今でも鍛錬を欠かさないんですよ!!」

 その後もメインド関係の会話で盛り上がり、私たちは打ち解けることに成功した。
 私がため口で距離を詰めていたが、サレイが敬語だった。それが今では二人ともため口で話せるようになっていた。
 メインドの思惑には未だ辿り着いてはいない。
 それからしばらくして、メインドがお菓子を持って戻ってきた。

「戻りまし……た」

 メインドが部屋に入ってきてメインドは驚いていた。
 ご主人であるサレイ様は日光に当たると呼吸困難になって倒れてします。
 それが今、換気のために取り付けてある窓を開けて外に出ようとしていた。

「ちょっ!! 何やってるんですか!? やめてください!! サレイ様は日光に弱いんです!! いくらセンリさんでも許しませんよ!!!」

 メインドは冒険者だったころの動きの速さで私たちの方に近づいてきた。 
 だが、サレイがそれを止めた。

「待って!!」

 途中まで来ていたメインドは足を止めた。

「な、何故止めるんですか!?」
「私の夢、覚えてる?」
「いきなりなんですか? もちろん覚えていますよ。外に出て、世界を旅することですよね?」
「そう、その一歩を踏み出そうとしてるところなんだよ」
「……え? どういう?」

 ちらっと私の方を見てきたメインドにウインクをして、少し見ててと眼で伝えた。
 サレイの方を見ると決意は決まっていても勇気が出せず窓を乗り越えそうなところで止まっていた。
 それから少しの静寂がその場を支配し、数分後サレイの声が静寂を切り裂いた。

「行きます」

 そして、サレイは窓を飛び越えた。
 何年振りかの太陽光を浴びたサレイ、体が少し震えていた。
 今までならこの時点で呼吸が荒くなっていたが、今はそんなことない。
 それに驚いていたのはサレイもそうだが、メインドも驚いていた。

「な、なんで……?」
「凄い、本当に治ってる!!」
「ちょっと! 説明してください!! 一生治らないと思っていたのに!! どうやって直したんですか!?」
「メインドには言ってなかったんだけど、私ね、聖女になったの」
「……聖女? 聖女って、あの聖女ですか?」
「うん、その聖女で間違ってないよ。私がその力で直したんだ」
「え? あ、え、あ、ありがとう、ございます」

 私の目に見える範囲の人だけでも幸せになって欲しい。
 まずはその手始めとして、サレイからだ。
 そのサレイは、外に出れた喜びでずっと踊っている。

「えっと、センリ、さん」
「センリ!」
「……センリ、一体どういうことですか?」
「どうもこうも、サレイに色々聞いて直せるかもって思って、やってみたら治ったんだよ」

 聖女の魔力は浄化の魔力でもある。だからだろ、サレイの話を聞きた段階で何となく直せそうな気がした。

「そんな、それだけの理由で……」

 確かにメインドの不安も分かる。けれど、直せる可能性を提示されたら誰だって掴みたくなる。
 今回は上手くいったけど、もしこれで治っていなかったら今頃サレイは呼吸困難で死んでいたかもしれない。
 そこで、サレイから声が掛かった。

「センリ!! ありがとう!!! この恩は絶対に返すからね!!!」

 その言葉を聞いたメインドはため息をついて苦笑いを浮かべていた。
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