幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城

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『ヘルヘイム』の過去とシュルイとの出会い①

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 『ヘルヘイム』の突撃攻撃によりカリーナたちは吹き飛ばされた。

「ふー、後は、森を燃やすだけだな。シュルイ!!」

 『ヘルヘイム』は、既に倒されリュクスに連れ去られてしまった仲間の名前を呼んだ。
 しかし、いつもなら直ぐに現れるシュルイが全く現れないことに驚きそして、悲しんだ。

「シュルイ、そうか、お前はもう……」

 『ヘルヘイム』とシュルイの出会いは八年前に遡る。

 その日は、雨が降っていた。
 魔王が倒されて七年の月日が経過し、『ヘルヘイム』は再び魔王が復活した時に魔王を倒し、封印するための修行を行っていた。
 魔王が死んだら、新たな魔王が復活する。けれど、その間には歴史が示すように十年の時が開いている。
 『ヘルヘイム』はその間に魔王を倒すための技術を学んでいた、しかし、『ヘルヘイム』は行き詰っていた。精霊に生まれたからこその能力の限界に……。

「俺様は精霊だ。生まれつき能力が決まっている。俺様はこれ以上強くはなれない」

 木々にもたれ掛かり沈んでいる『ヘルヘイム』に何者かが近づいていた。
 ゴソゴソと草をかき分けながら近づいてきたのは、錫色のスライムだった。
 そのスライムを見ると、『ヘルヘイム』はおもむろに手を伸ばした。
 スライムは驚いて飛び跳ねた後、自分の死を感じたのか、その場でフルフルと震えだした。

「……はぁ、今の俺様にはお前を殺す気なんてねぇよ。どっか行け」

 向けていた手のひらを下に向けて、あっち行けと手のひらをひらひらと動かした。
 普通のスライムや魔物だったら一目散に逃げるのに、このスライムはあろうことか『ヘルヘイム』の頭にちょこんと乗ったのだ。
 ぽよんぽよんと動くスライムは落ち込んでいる『ヘルヘイム』の頭を撫でようとしているのか、そんな優しさを持っていた。

「なんだ、お前……ったく、しょうがねぇ奴だな」

 『ヘルヘイム』はさっきまで考えていたことを頭の隅に追いやって、スライムを頭の上に乗せて家に帰った。
 『ヘルヘイム』は魔王の元四天王なので、良い家を魔王の側近に下賜され、魔王城の城下町に暮らしている。
 その為、多くの魔族に頭の上のスライムを見られてしまった。

「え、あの人って『ヘルヘイム』様よね。頭の上……」
「おい、馬鹿、指さすんじゃ、ねぇ、よ……え?」
「『ヘルヘイム』様って怖いイメージあったけど、意外に可愛いところあるのね」

 みんなが、『ヘルヘイム』に恐怖を感じているので遠くからひそひそと話しているだけだが、一人の少年が近づき、指を刺しながら話しかけた。

「わー! 『ヘルヘイム』様! そのスライムなんですか!?」

 『ヘルヘイム』はその少年を見て、ため息交じりに答えた。

「こいつは、殺すのが惜しいと思っただけ、それだけだ」
「へー、ねぇ、『ヘルヘイム』様、少し触ってみても良いですか?」
「良いぞ」

 『ヘルヘイム』が頭からスライムを降ろそうとするが、頭に引っ付いたように離れない。

「あ、あれ、取れない」

 引き離そうとするが、『ヘルヘイム』の力を以てしても引き離すことは叶わなかった。
 しょうがないので、『ヘルヘイム』自身がしゃがんでスライムを触らせてあげた。

「わー、もっちもち、可愛い」

 気が済むまで触らせてあげ、いろんな人たちに見られながら自宅に帰った。

「全く、お前のお陰で酷い目にあったよ」
「私に所為じゃありません!」

 今聞こえた声に『ヘルヘイム』は驚き、寝ていたベットから飛び跳ねるように起き上がった。
 周りを見渡しても今聞こえた女性の声の持ち主は見つからない。

「私はここです、あなたの頭の上です」
「え、は!?!?」

 頭の上って、上にはスライムしか……!?
 そのスライムを手に取って顔の前まで持ってきた。

「お前が、喋っているのか!?」
「えぇ、そうですよ」
「な、なな、ど、どうやって!?」
「覚えました。ここに来る途中に色々な言葉を聞きました。それで、覚えました。この言語じゃないとあなたと話すのは困難だと思ったので」

 このスライムの学習能力は異常だ。だが、このスライムにはまだまだ驚かされた。

「『ヘルヘイム』様、ご飯を作りました」

 翌日起きると、スライムが消えて美女がキッチンに立っていた。部屋も整理整頓され綺麗になっていた。

「お、お前誰だよ!」
「酷いです。『ヘルヘイム』様、一夜を共にした仲じゃないですか」
「俺様は、お前のことなんて知らん。さっさと出ていけ。ってか、あの、スライムはどこ行った」
「スライムをお探しですか? それならば、目の前にいるではありませんか」

 その美女のいう事に、『ヘルヘイム』は目を丸くして驚いた。

「い、いやいや、あり得ない。人化できるスライムなんて聞いたことない。いやでも、学習能力が高く、数時間で言葉を喋ることが出来るようになるスライムも聞いたことない。新種か、突然変異か……」
「どうしました?」
「いや、何でもない。分かった、お前はあのスライムなんだな」
「その通りです、『ヘルヘイム』様。これから、よろしくお願いします」

 いつも、一人だった自宅に一匹のスライムが転がり込んできた。
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