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シーシップへ
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ムーナさんに見送ってもらってラタンの東門を出た。
「海、一体どんなところなのでしょうか?」
「レイさんも海は見た事ないんでしたっけ?」
「そうですね。エルフの森から出たことが無かったので、海は初めてですね。それよりも!」
レイさんは仮面を脱いだ綺麗な顔を近づけてきて、僕の肩をグッと掴んだ。
その勢いに負けた僕は、裏返った返事を返した。
「ひゃい!」
「……私と話すときはお姉ちゃんと話しているように話しなさい!」
「え、どいういう事ですか?」
「少しの間だけど、一緒にいたんだし敬語は距離を感じるわ」
「そうだよ! レイお姉さんはタメ口を利いても怒らないよ。ね?」
「カリーナの言う通りよ。ほら、ほらほら……」
レイさんは来なよとでも言いたげな動きで、手を動かしている。
それに乗っかって、カリーナとノルメまでもがレイさんの動きを真似している。
「わ、分かりました」
そう返事をすると、三人の目が僕の目を貫いた。
「ん……分かったよ、レイさん」
「妥協点!」
レイさんから合格を貰った。
レイさん呼びは許してもらえたようだ。良かった。
時は数日遡る
「ご主人、良いんでしょうか?」
「あぁ、良いんだよ。いづれは離れようと思っていたからな、それが少し早まっただけだ」
「そうですか、それでは、今から帰りましょうか。私たちの土地、魔族領へ」
シュルイとリュクスはある場所から魔族領に戻った。
転移門は森の奥深い場所に存在している何処かの木の中に存在している。
転移門の衛兵に挨拶をすると、衛兵の二人は感じ取った魔力に即座に膝を付いた。
「皆様、こんにちは」
「……」
シュルイが挨拶をして、リュクスは挨拶を交わさずにそのまま通り過ぎた。
それが、当たり前かのように……。
二人が衛兵二人の横を通り過ぎるとき、衛兵たちが口を開いた。
「「お帰りなさいませ、魔王様。あなた様のご帰還心より感謝申し上げます」」
その二人を無視……しようとしたリュクスが立ち止まり、二人を見た。
「あぁ、ただいま」
リュクスのその一言に、三人はあの世に吹き飛ばされる勢いで驚いていた。
「「あ、あ、あ、あ、ありがたきお言葉!!!!!!!」」
魔王が、唯の衛兵に言葉を返すなど、今までのリュクスだったらあり得ない。
「お前たちも、偶には生き抜くしろよ」
衛兵に二人は、最近の忙しさで寝る時間を惜しんで働いていた。
それを瞬時に見抜いてそう声を掛けたリュクスはやはり、昔とは違うのだろう。
「シュルイ、行くぞ」
リュクスは大きなドラゴンの翼をはためかせて魔王城に向かった。
魔王が返ってきたという朗報は一瞬で魔族領に広がった。
その朗報に魔族全員が歓喜した。
「魔王様が返ってきたのですか!?」
「魔王様が帰ってきたらもう安心ですね!」
「魔王様、万歳! 魔王様、万歳!」
踊ったり、騒いだり、酒を浴びたり、多種多様な喜び方で嬉しさを溢れ出していた。
リュクスが魔王城の入り口に立った。
昔ならリュクスが魔王城の近くに来た時点で色々な人物が迎えをしてくれた。
けれど、今の魔王城はほぼ廃墟と言っていい。
魔王軍が攻めてくる時点で殆ど使われておらず、必要な部屋だけを掃除して使っていた。
そして、魔王軍が敗北したという報告を受けて、魔王軍は壊滅して魔王城から人は去って行った。
「まずは、人を集めるところからか」
「そうみたいですね」
元四天王は前勇者との戦いで殺されている。唯一生き残った奴も先の戦いでフォレスが殺した。
「二人だけの魔王軍も良いが、今回は意味が無い。最低でも、今のカリーナと同等かそれ以上の戦力が大量に必要になる。それに、果ての大陸にも行かないとな」
「そうですね。彼女が協力してくれたら大分楽になりますからね」
「鍵は彼女が握っている」
魔王城の内部に入る為、扉を開けると人影が見えた。
「お待ちしておりました。魔王様」
「お久しぶりです。魔王リュクス様」
そこにいたのは、髭を生やした白髪の執事と、金髪を首辺りから二つに分け、そこからパーマが掛かっているお嬢様だった。
「もしかして、セバスとパールか!?」
「はい」
「覚えていてくれたんですか!?!?」
「もちろんだよ。久しぶり、じゃないな。お待たせ、パール」
「!?!? 約束も……覚えて……!!」
パールと呼ばれた女性はリュクスの言葉を聞いて泣き崩れてしまった。
「お嬢様!」
セバスはその姿を見るや否や駆けつけようとしたが、パールが大丈夫と言って静止させた。
「お前たちは、どこまで知っている?」
「はい。戦う相手が勇者ではないことは存じております」
「そうか。はやり、パールを婚約者にしてよかったと、改めて思う」
「う、うぅ、リュクス様……!!!」
リュクスは、無言でパールを抱き寄せた。
その光景を見たシュルイは疎外感を味わい、リュクスを奪われるかもしれないという気持ちと、リュクスはご主人だからそう言った感情を持ってはいけないという気持ちに挟まれていた。
「海、一体どんなところなのでしょうか?」
「レイさんも海は見た事ないんでしたっけ?」
「そうですね。エルフの森から出たことが無かったので、海は初めてですね。それよりも!」
レイさんは仮面を脱いだ綺麗な顔を近づけてきて、僕の肩をグッと掴んだ。
その勢いに負けた僕は、裏返った返事を返した。
「ひゃい!」
「……私と話すときはお姉ちゃんと話しているように話しなさい!」
「え、どいういう事ですか?」
「少しの間だけど、一緒にいたんだし敬語は距離を感じるわ」
「そうだよ! レイお姉さんはタメ口を利いても怒らないよ。ね?」
「カリーナの言う通りよ。ほら、ほらほら……」
レイさんは来なよとでも言いたげな動きで、手を動かしている。
それに乗っかって、カリーナとノルメまでもがレイさんの動きを真似している。
「わ、分かりました」
そう返事をすると、三人の目が僕の目を貫いた。
「ん……分かったよ、レイさん」
「妥協点!」
レイさんから合格を貰った。
レイさん呼びは許してもらえたようだ。良かった。
時は数日遡る
「ご主人、良いんでしょうか?」
「あぁ、良いんだよ。いづれは離れようと思っていたからな、それが少し早まっただけだ」
「そうですか、それでは、今から帰りましょうか。私たちの土地、魔族領へ」
シュルイとリュクスはある場所から魔族領に戻った。
転移門は森の奥深い場所に存在している何処かの木の中に存在している。
転移門の衛兵に挨拶をすると、衛兵の二人は感じ取った魔力に即座に膝を付いた。
「皆様、こんにちは」
「……」
シュルイが挨拶をして、リュクスは挨拶を交わさずにそのまま通り過ぎた。
それが、当たり前かのように……。
二人が衛兵二人の横を通り過ぎるとき、衛兵たちが口を開いた。
「「お帰りなさいませ、魔王様。あなた様のご帰還心より感謝申し上げます」」
その二人を無視……しようとしたリュクスが立ち止まり、二人を見た。
「あぁ、ただいま」
リュクスのその一言に、三人はあの世に吹き飛ばされる勢いで驚いていた。
「「あ、あ、あ、あ、ありがたきお言葉!!!!!!!」」
魔王が、唯の衛兵に言葉を返すなど、今までのリュクスだったらあり得ない。
「お前たちも、偶には生き抜くしろよ」
衛兵に二人は、最近の忙しさで寝る時間を惜しんで働いていた。
それを瞬時に見抜いてそう声を掛けたリュクスはやはり、昔とは違うのだろう。
「シュルイ、行くぞ」
リュクスは大きなドラゴンの翼をはためかせて魔王城に向かった。
魔王が返ってきたという朗報は一瞬で魔族領に広がった。
その朗報に魔族全員が歓喜した。
「魔王様が返ってきたのですか!?」
「魔王様が帰ってきたらもう安心ですね!」
「魔王様、万歳! 魔王様、万歳!」
踊ったり、騒いだり、酒を浴びたり、多種多様な喜び方で嬉しさを溢れ出していた。
リュクスが魔王城の入り口に立った。
昔ならリュクスが魔王城の近くに来た時点で色々な人物が迎えをしてくれた。
けれど、今の魔王城はほぼ廃墟と言っていい。
魔王軍が攻めてくる時点で殆ど使われておらず、必要な部屋だけを掃除して使っていた。
そして、魔王軍が敗北したという報告を受けて、魔王軍は壊滅して魔王城から人は去って行った。
「まずは、人を集めるところからか」
「そうみたいですね」
元四天王は前勇者との戦いで殺されている。唯一生き残った奴も先の戦いでフォレスが殺した。
「二人だけの魔王軍も良いが、今回は意味が無い。最低でも、今のカリーナと同等かそれ以上の戦力が大量に必要になる。それに、果ての大陸にも行かないとな」
「そうですね。彼女が協力してくれたら大分楽になりますからね」
「鍵は彼女が握っている」
魔王城の内部に入る為、扉を開けると人影が見えた。
「お待ちしておりました。魔王様」
「お久しぶりです。魔王リュクス様」
そこにいたのは、髭を生やした白髪の執事と、金髪を首辺りから二つに分け、そこからパーマが掛かっているお嬢様だった。
「もしかして、セバスとパールか!?」
「はい」
「覚えていてくれたんですか!?!?」
「もちろんだよ。久しぶり、じゃないな。お待たせ、パール」
「!?!? 約束も……覚えて……!!」
パールと呼ばれた女性はリュクスの言葉を聞いて泣き崩れてしまった。
「お嬢様!」
セバスはその姿を見るや否や駆けつけようとしたが、パールが大丈夫と言って静止させた。
「お前たちは、どこまで知っている?」
「はい。戦う相手が勇者ではないことは存じております」
「そうか。はやり、パールを婚約者にしてよかったと、改めて思う」
「う、うぅ、リュクス様……!!!」
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