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最終決戦・フォレス~前編~
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扉に入ったフォレスを待ち受けていたのは、筋肉質な肉体を持つ男だった。
「待っていたぞ、イレギュラー」
「ん!?」
そいつが喋り始めた時、空気が重くなり、思わず膝を付きそうになった。
「よくぞ耐えた。これなら、俺も本気を出せるってもんだ」
そいつ一歩踏み込むたびに、僕は一歩後ろに下がった。
「何故、後ろに下がる。俺から逃げているのか?」
「さ、さぁ、どうだろうね。作戦かも知れないよ」
「そうか、作戦か……では、その作戦をぶち壊してあげよう!」
「!?!?」
その神は僕と神の距離を一瞬で詰めてきた。
距離を詰めた神は僕の顔面目掛けて拳を振ってきた。
その拳は僕の頬の薄皮一枚に傷を付けた。
「今のを避けるか」
僕は瞬時に距離を取った。それと同時に、火の魔法を神に向かって放った。
少しでも権勢になれば良いなと思って放った魔法だが、その魔法は神の『静止』という能力で空中に止まっていた。
「それが、『静止』。厄介な能力だな」
「この能力を見るのは初めてだよな。冥土の土産にこっちも見せてやる。『圧縮』」
神がそう言ったとき、空中で静止していた魔法が、魔法の中心に集まるように消えた。
それを見て、リュクスの言っていたことを思い出した。
「これじゃ、遠距離攻撃は無理だな」
その後は拳同士での戦いになった。
だが、肉弾戦でも神の方が強かった。僕はその神に遊ばれていた。
僕に出し惜しみできるほどの余裕は無かった。
重力魔法を中心にあらゆる属性の魔法を放ち続けながら、僕は神に拳を振るった。
その戦いは均衡を保ちながら、徐々に僕がどんどん不利になっていく。
(何か、突破口を見つけなければいけない!!)
神と戦いながら頭脳の数パーセントをそっちに割こうとしても、神の手数の多さとその威力をどうにか防ぐことで頭のリソースをすべて使い切ってしまっているので、そっちを考える余裕が無いのだ。
そして、その時はやって来た。
神の拳が僕のお腹を捉えたのだ。
神の拳によってお腹を潰され、更に遠くに飛ばされた。
何も障害物が無いその場所は地面に跳ねることでしか、威力を止める術を知らない。
「まさか、これで終わりじゃないよね?」
神はそう言いながら、僕の方に近づいてくる。
僕は神の拳をまともに喰らい、生まれたての小鹿のように足を震わせて立ち上がった。
だが、立ち上がっただけで神から逃げることも、神の拳を避けることも出来ず、只々その拳を顔面やお腹で受けるだけになってしまった。
「はぁ、神である俺たちに挑む奴らだと聞いていたから、どれだけ強いのかと思ったら、これっぽっちも強くないじゃないか。俺たちがイレギュラーと呼んだのも間違いだったかもしれないな」
神は最後の一撃を僕の顎目掛けて繰り出した。
僕はその大ぶりな一撃も避けることが出来ずに、地面に倒れてしまった。
「これで、終わりだな」
そう言って、神は僕のことを神の能力である『圧縮』で殺そうとした。
「? なんだ?」
だが、そこで不思議なことが起きた。
神の能力である『圧縮』が僕自身に効かないのだ。
「……何故だ?」
神は『圧縮』の威力を上げるが変わらず僕のことを『圧縮』出来ずにいた。
僕は途切れる間際の意識の中で『圧縮』の正体に気が付いた。
(この能力は、僕と同じかそれ以下じゃないか)
神の使う『圧縮』は僕の使う重力魔法とほぼ同じ原理だった。
僕の重力魔法はそこにあるベクトルを動かす魔法だ。神の使う『圧縮』も神の無意識下でそれが行われていたのだ。それが、分かれば『静止』もどんな能力なのか分かった。
(あとは、僕の気力の問題。だな。カリーナ、待っててくれよ。こいつを倒したら直ぐにお前の元に向かう)
そして、僕はカリーナに会いたいという一心で立ち上がった。
「な、何故!? 立ち上がれる!!! 何故、そんなにボロボロなのに俺に立ち向かえる!!!」
「り、理由は……一つ、はぁ、はぁ、愛する人の為」
その時だった。その空間に目の前にいる神とは違う神の気配を感じた。
「なんだ、もう終わりそうじゃないか。つまらないな」
その神は知性的で白衣を羽織った男性の神だった。
「何の用だ? こっちももう終わるから、今すぐにここから出て行ってくれないか?」
「おぉ、怖い怖い。分かった。出て行く」
筋肉質の神が、途中で入ってきた神を睨みながらそう言った、けれど、神は僕ことをジッと見つめながら動かない。
「お前は……誰だ?」
「……君か、あの女が言っていたフォレスという奴は」
「? お前は、カリーナが相手していた……? なんで、ここに……?」
「気になるか? では、教えてあげよう」
「あの女なら、私が殺してあげたよ」
その時、神が何を言っているのか意味が理解できなかった。
ーーえ? 殺した? あの女を……? あの女って誰だ? カリーナのことを言っているのか……?
「信じられないとでも言いたげな表情だね。だったら、証拠を見せてあげるよ」
神はそう言って、空中にモニターを映しだした。
そこには、神を自爆で殺そうとしているカリーナの姿だった。
「どうだ! 傑作だろう!! 自分の命を犠牲に戦うその姿!! まさに勇者に相応しい!!!!」
神は両手を広げながら気持ちの悪い笑みを浮かべた。
そこで、僕の中の何かがプツンと切れてしまった。
「待っていたぞ、イレギュラー」
「ん!?」
そいつが喋り始めた時、空気が重くなり、思わず膝を付きそうになった。
「よくぞ耐えた。これなら、俺も本気を出せるってもんだ」
そいつ一歩踏み込むたびに、僕は一歩後ろに下がった。
「何故、後ろに下がる。俺から逃げているのか?」
「さ、さぁ、どうだろうね。作戦かも知れないよ」
「そうか、作戦か……では、その作戦をぶち壊してあげよう!」
「!?!?」
その神は僕と神の距離を一瞬で詰めてきた。
距離を詰めた神は僕の顔面目掛けて拳を振ってきた。
その拳は僕の頬の薄皮一枚に傷を付けた。
「今のを避けるか」
僕は瞬時に距離を取った。それと同時に、火の魔法を神に向かって放った。
少しでも権勢になれば良いなと思って放った魔法だが、その魔法は神の『静止』という能力で空中に止まっていた。
「それが、『静止』。厄介な能力だな」
「この能力を見るのは初めてだよな。冥土の土産にこっちも見せてやる。『圧縮』」
神がそう言ったとき、空中で静止していた魔法が、魔法の中心に集まるように消えた。
それを見て、リュクスの言っていたことを思い出した。
「これじゃ、遠距離攻撃は無理だな」
その後は拳同士での戦いになった。
だが、肉弾戦でも神の方が強かった。僕はその神に遊ばれていた。
僕に出し惜しみできるほどの余裕は無かった。
重力魔法を中心にあらゆる属性の魔法を放ち続けながら、僕は神に拳を振るった。
その戦いは均衡を保ちながら、徐々に僕がどんどん不利になっていく。
(何か、突破口を見つけなければいけない!!)
神と戦いながら頭脳の数パーセントをそっちに割こうとしても、神の手数の多さとその威力をどうにか防ぐことで頭のリソースをすべて使い切ってしまっているので、そっちを考える余裕が無いのだ。
そして、その時はやって来た。
神の拳が僕のお腹を捉えたのだ。
神の拳によってお腹を潰され、更に遠くに飛ばされた。
何も障害物が無いその場所は地面に跳ねることでしか、威力を止める術を知らない。
「まさか、これで終わりじゃないよね?」
神はそう言いながら、僕の方に近づいてくる。
僕は神の拳をまともに喰らい、生まれたての小鹿のように足を震わせて立ち上がった。
だが、立ち上がっただけで神から逃げることも、神の拳を避けることも出来ず、只々その拳を顔面やお腹で受けるだけになってしまった。
「はぁ、神である俺たちに挑む奴らだと聞いていたから、どれだけ強いのかと思ったら、これっぽっちも強くないじゃないか。俺たちがイレギュラーと呼んだのも間違いだったかもしれないな」
神は最後の一撃を僕の顎目掛けて繰り出した。
僕はその大ぶりな一撃も避けることが出来ずに、地面に倒れてしまった。
「これで、終わりだな」
そう言って、神は僕のことを神の能力である『圧縮』で殺そうとした。
「? なんだ?」
だが、そこで不思議なことが起きた。
神の能力である『圧縮』が僕自身に効かないのだ。
「……何故だ?」
神は『圧縮』の威力を上げるが変わらず僕のことを『圧縮』出来ずにいた。
僕は途切れる間際の意識の中で『圧縮』の正体に気が付いた。
(この能力は、僕と同じかそれ以下じゃないか)
神の使う『圧縮』は僕の使う重力魔法とほぼ同じ原理だった。
僕の重力魔法はそこにあるベクトルを動かす魔法だ。神の使う『圧縮』も神の無意識下でそれが行われていたのだ。それが、分かれば『静止』もどんな能力なのか分かった。
(あとは、僕の気力の問題。だな。カリーナ、待っててくれよ。こいつを倒したら直ぐにお前の元に向かう)
そして、僕はカリーナに会いたいという一心で立ち上がった。
「な、何故!? 立ち上がれる!!! 何故、そんなにボロボロなのに俺に立ち向かえる!!!」
「り、理由は……一つ、はぁ、はぁ、愛する人の為」
その時だった。その空間に目の前にいる神とは違う神の気配を感じた。
「なんだ、もう終わりそうじゃないか。つまらないな」
その神は知性的で白衣を羽織った男性の神だった。
「何の用だ? こっちももう終わるから、今すぐにここから出て行ってくれないか?」
「おぉ、怖い怖い。分かった。出て行く」
筋肉質の神が、途中で入ってきた神を睨みながらそう言った、けれど、神は僕ことをジッと見つめながら動かない。
「お前は……誰だ?」
「……君か、あの女が言っていたフォレスという奴は」
「? お前は、カリーナが相手していた……? なんで、ここに……?」
「気になるか? では、教えてあげよう」
「あの女なら、私が殺してあげたよ」
その時、神が何を言っているのか意味が理解できなかった。
ーーえ? 殺した? あの女を……? あの女って誰だ? カリーナのことを言っているのか……?
「信じられないとでも言いたげな表情だね。だったら、証拠を見せてあげるよ」
神はそう言って、空中にモニターを映しだした。
そこには、神を自爆で殺そうとしているカリーナの姿だった。
「どうだ! 傑作だろう!! 自分の命を犠牲に戦うその姿!! まさに勇者に相応しい!!!!」
神は両手を広げながら気持ちの悪い笑みを浮かべた。
そこで、僕の中の何かがプツンと切れてしまった。
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追記:2025/09/20
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