世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月 結城

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side〜ルーク〜 謁見

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 セバの後ろを歩きながら、物珍しさにマリーは目を輝かせながらキョロキョロしている。
 それを見たメイドは、その可愛さに鼻を押さえてる。

「では、こちらにも準備がありますので、こちらのお部屋でお待ちください」

 連れてこられた部屋には、お菓子や何やらがたくさん置いてあった。

「何かありましたら、そちらのメイドにお申し付けください」

 セバは、部屋を出て行き、謁見の準備に向かった。

「ね、パパ。食べて、いい?」
「いいと思うぞ」

 その時、メイドが紅茶とジュースを持ってきてくれた。

「あり、がと」

 この世界のお菓子は、パサパサしているのが一般的だ。なので、飲み物は必ずいる。口の中の水分という水分を根こそぎ持っていくからな。
 それから、約20分後。セバが戻ってきた。

「謁見の準備が整いました。こちらへ」

 今までいた部屋を出て行き、王様がいる謁見の間に向けて歩き出した。

「マリー、大丈夫か?」
「ん。だい、じょう、ぶ」

 マリーはカタカタと震えながら答えた。

「どこも、大丈夫じゃないじゃないか」

 そして、謁見の間に着いた。

「王都の英雄のご入場です!!」

 扉の前にいた兵士が大声を出して、扉を開ける。
 そこには、真ん中にある大きな椅子に座ったおっさん。てか、王様。王様を中心として、左右に貴族と兵士が並んでいた。
 ルークとマリーは、真ん中に敷いてある赤い絨毯の上を歩いて、それが終わる少し手前のところで止まり、跪く。

「顔を上げよ。この度は、王都を魔物の軍勢から救っていただき、誠に感謝する」

 そう言って、王様は頭を下げた。
 その光景に貴族の一人が声をあげた。

「国王様!? 何故そのような愚民に頭をお下げになるんですか!?」

 その言葉を聞いた王様は、キッとその貴族を見て、こう言った。

「王都を救ってくれた、英雄に頭を下げるのは当たり前だろう! お前は、助けて頂いた方に感謝も言えない、そんな奴なのか?」

 それを聞いた貴族は、よく分からないが、こっちを睨んで静かになった。

「見苦しいところを見せてしまったな。して、そなたの名前は何と言う?」
「私は、ルークと言います。こちらは、相棒のマリーです」

 マリーは、少し頭を下げた。

「ルークとマリーか。何か、望むものはないか?」
「望むもの、ですか?」
「今回の報酬じゃ。何でもいいぞ」

 ルークは少し考え、ある答えを導き出した。

「では、ここの倉庫にある。アーティファクトを五つほど貰えないでしょうか?」
「ふーむ。アーティファクトか。確認しよう」

 王様は、ちらっと扉の近くにいたセバを見た。セバは、小さく頷いた。

「わかった。良かろう。して、そちらは?」

 王様の向いた方はマリーだった。
 まさか、自分に向けられるとは思っていなかったようで、素で「えっ?」と声を出してしまった。

「当たり前であろう。英雄の相棒に、報酬を出すのは」

 マリーは、考えた。そして、

「古代の魔道書が、三冊ほど、欲しいです」

 マリーが出せる、最大の声で答えた。それでも、小さい声だったが。

「魔道書か」

 さっきと同じようにセバに確認を取る。セバは、頷いた。

「よし、分かった。用意しよう。最後に、今回の一番の功労者のルーク殿。そなたには、アーティファクト五つ。マリー殿には、古代の魔道書三冊を此度の報酬としよう」

 こうして、今回の謁見は幕を閉じた。

 謁見の間を出る際の、きみの悪い視線は無視しといた。
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