世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月 結城

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旅立ちと別れと予兆

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 ルーク、マリー、カレンの三人は、ルークの鍛冶屋に戻っている。

「ここが、ルークさんのお店ですか。入りにくいですね」
「まぁな、それが売りだからな」
「それは、売りじゃないですよね。マイナスですよね」
「そこんところは気にするな」

 ルークとカレンで話していると、マリーが裾を掴んで、クイッとしてきた。

「どうしたんだマリー?」
「私、強く、なりたい。今までよりも、強く」
「強くなりたいなら、稽古をつけてやるぞ」

 ルークが提案すると、マリーは首を横に振った。

「パパは、一人でも、物凄く、強い。私も、そうなりたい。だから、旅に、出たい」
「旅って。一人で?」

 カレンが聞くと、コクッと頷いた。

「マリーを一人でか。心配すぎて、寝れなくなりそうだ」

 マリーは大切な存在だ。それを、一人で旅させるなんて出来ない。そこで、いい案を思いついた。

「一人だと不安だから、相棒を連れて行くといい」
「「相棒?」」
「そうだ。相棒だ。少し待ってろ」

 ルークがそう言って、絨毯ほどの大きさの紙を取り出し、魔法陣を書き始めた。
 
「なに、それ?」
「これはな。召喚陣だ。魔界、神界、精霊界から召喚することができ、それを仲間にすることが出来るんだ。ま、魔力の波長とか、量によって、召喚に応じる者も様々だから。本気でやれよ」
「分かった」

 出来上がった召喚陣に魔力を注ぐと、召喚陣が輝き始めた。
 マリーが、魔力をもっと注ぐ。すると、輝きは部屋全体を照らし、真っ白に塗りつぶした。

「貴方が私を召喚した者ですか?」

 そこに立っていたのは、真っ白な衣に身を包んだ天使だった。

「そう。私」

 マリーがそう言うと、天使はマリーをじっと見つめながら、周りを飛んで、マリーを抱きしめた。

「きゃーーー!! 何この子、可愛すぎるよ! 召喚に応じてよかったー!!」

 今までの、威厳があるような態度ではなく、はっちゃけている。どっちかと言うと、お姉さん的な感じだ。

「なまえは?」
「私は、七大天使の一人、命を司る天使、ミカエルよ。よろしくね」

 召喚したのはなんと、ミカエルだった。誰しもが一度は聞いたことがあるであろう。あの熾天使とも呼ばれる。ミカエルだった。

「それで、なんで召喚したの?」
「それは、俺から説明してもいいか?」
「誰よあn……。すみませんでした!!!」

 なぜか、いきなり謝られ、土下座をしてきた。

「なんで、土下座なんかするんだよ。俺は、お前なんて知らないぞ」
「し、しかし。邪神を倒した。世界の守護者のあなた様を敬わなければならないのに、本当に!! 申し訳ございません!!」
「パパ。なに、それ?」
「そのうち説明するよ。それよりも、顔を上げてくれ、説明の途中だ」

 ミカエルは、バッと、起き上がった。

「すみません!! あなた様のお話の邪魔をしました」
「いいから。で、今回呼んだのは、マリーで。マリーが旅したいって言うから、心配でな。相棒を付けたくて召喚したら、ミカエルが出てきたってわけだ。理解できてるか?」
「はい。マリー様と一緒に旅をして、見守っててほしい。そう言うことですよね?」
「あぁ、合ってる。んじゃ、これから、マリーのことはよろしく頼む」
「はい! 任せてください!」

 マリーの相棒は、熾天使であり、七大天使であり、命を司る天使、ミカエルに決まった。





 あるところでは、旅立ちの準備をしていた。

「ユリーカ。そろそろギルドに行きたいんだが、いいか?」
「はい!」

 ミカエルが召喚された三日後のお話。
 二人は、ユリーカのギルド登録をするために、ギルドに向かっていた。

「ユリーカが寝坊するから、お昼になっちゃったぞ」
「す、すみません」

 ユリーカは、顔を赤くして、謝ってきた。

「ま、いいけどな。なにも、急いでないしな」

 二人で出かけ、朝食兼お昼(ユリーカだけ)を食べて、ギルドに着いた。

「こんにちは」
「あら、こんにちはって! ちょっと、なんで聖女様がいるのよ!」
「カクカクシカジカで、一緒に旅に出ることになったんですよ」
「旅って。もしかして、どこかに行っちゃうの!?」
「はい。明日の朝に旅立つ予定です。一応。ユリーカのギルド登録をしたくて来ました」
「もう、なまえ呼びなのね」

 そこからは、特になにも起きず、ギルドの登録が完了した。もちろん。Fランクからのスタートだ。

「これで、ギルドの登録は完了よ」
「ありがとうございます。旅が終わったらたまに来ますから」
「本当よね!?」
「は、はい」

 気迫がとにかく凄かった。
 それからは、ユリーカと街で買い物をして、全部アイテムボックスに入れて、旅支度も終わった。そして、今は宿にいる。

「ねぇ、カルくん。次はどこに行くの?」
「次はね。強くなるためにダンジョンに潜ろうと思うよ」
「ってことは、ダンジョン都市のアンビレンスに行くのね」
「そうだよ。あそこを攻略できれば一番良いんだけどね」
「そう簡単にはいかないわよ。私は、カルくんと旅が出来れば、それで良いしね」
「ん? 何か言った?」

 カナハルムは、難聴系男子のようだ。
 ユリーカの想いはちゃんと伝わるのかな?

 翌朝。二人はギルドで、アンビレンスまでの護衛の依頼を受けて、アンビレンスに向かった。
 そこで待ち受けている大きな障害。新たなる出会い。そこには、なにが待っているのか。まだ誰も知らない。
 しかし、嵐の前の静けさは、いつしか、喧騒へと変わっていく。遠い未来であり、遠くない未来の物語。
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