世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月 結城

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ルークの過去lV

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 ルークは、彼女の夢のひとつ『世界樹を見に行く』と言う夢を叶えるためにエルフの里に向かった。

 ルークが隠れて暮らしていた家から相当遠い場所にあるエルフの里。その時のルークは鑑定を持っていたので、自分が時空魔術を使えることを知っていたが、その時は彼女と一緒に向かっていることを想像しながらエルフの里に歩いて向かっていた。

 途中途中に、街や村などを通り、人と接しながらゆっくりとゆっくりと歩いて、エルフの里に向かっている。

 それから15年と言う長い年月が経ち、エルフの里に着いた。

「ここに、君が見たかった世界樹があるのか。よし、行くか」

 そして、エルフの里に入ろうと里に近づくと、どこからか弓矢が放たれた。

 それを、手で受け止める。

「噂に聞いてた通り用心深いのか。てか、敵意むき出しって、酷いな」

 ルークはそのまま手に取った矢を持ちながらエルフの里に向かって歩き出す。

 そして、一歩踏み込むたびに一本の矢が放たれてくる。

 流石に全部を受け止めるのは面倒臭いので、自分の周りに風の防壁を張る。

 放たれた矢はルークに届く前に風の防壁に弾かれ地面に落ちる。それを一本一本拾って歩き出す。

 それから一時間、やっと弓矢の攻撃は止んだ。

 それは、木の上から飛び降りた人影が見えた。ルークの前に着地する。そこには、とても美人で耳の長い女性のエルフだった。

「お前、エルフの里に何用だ?」
「世界樹を見にきた」
「そ、そんな嘘が通るとでも思っているのか!?」
「嘘じゃないさ。ちょっとした用事で世界樹を見にきたんだよ」

  その女性はルークのことを頭からつま先までジーッと見つめ、こう言った。

「だったら、ここで少し待ってろ。族長に相談してくる」
「どれくらい待ってればいい?」
「そうだな、一週間ぐらいだな」
「長いな」
「そうか? 一週間なんてあっという間だろう?」

 エルフと人間では時を感じる時間がとても違うようだ。

「はぁ、分かったよ。俺はその間ここら辺で野宿してるから、ちゃんと帰ってこいよ」

 ルークは苦笑いしながら女性にそう言った。それを聞いたエルフは少し顔を赤らめながら里のある方に向かって帰っていった。

「ちゃんと帰ってきてくれるかな?」

 ルークは少しの不安を覚えながら一週間の野宿を開始した。

 野宿を開始してから三週間が経過した。

「おーい! 訪問者はいるか!?」

 三週間経ってやっと女性は戻ってきた。

「いるぞ~!」
「お、ここに居たか。すまない、少し遅刻した」
「まじか」

 流石のルークでも二週間の遅刻は驚いたようだ。

「ま、まぁ。それはいいか。で、族長とは話が終わったのか?」
「あぁ、終わったよ。ここで殺して来いとな」

 そして、エルフの女性は腰に刺してあった短剣を抜いた。
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