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2.ST莉々子は帰りたい
④
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その問いに、ユーゴはまるで良い質問だ、とでも言わんばかりに鷹揚に大きく一つ、頷いて見せた。
褒められたって、かけらも嬉しくはない。
「『落ち人』には、多属性持ちが多いのだ」
さっぱり意味がわからない。
「ええと、出来れば、もっと根本的なところから……」
「焦るな、今から説明する」
ユーゴはわかっていると言わんばかりに微笑んだ。
わかっているなら、もう少し混乱を避ける説明の仕方をしてくれ。
心の中でつぶやいた文句は、今回もユーゴに伝わってしまったのか、軽く睨まれた。
首をすくめる。
なんだ、千里眼か、テレパスなのか。
「先も説明した通り、俺の立場は微妙だ。引き取られたのは最近で、正直な話、まぁ、味方が足りない」
話をさっさと進めてしまいたかったのか、ユーゴは言葉を続けた。
「正直、貴族どものほとんどは、従兄殿の味方なのだ」
こればかりは、年数と立場で培われたものなので、太刀打ちできないのだ、とほぞを噛む。
それならば潔く諦めて、従兄殿に継いでもらえば良いではないか、莉々子はそんなことをぼんやりと思う。
すると、その思考さえも読んだのか、ユーゴはぎっ、と莉々子のことを睨んだ。
「俺は領主に成らねばならんのだ。あのような愚劣な者にこの地を任すわけにはいかぬ!」
そんなことを言われても、莉々子にはわからない。
「血をついでいる以上は、奴にも継ぐ権利がある。それは承知している。しかし、あのような輩に……」
そこまで言って、莉々子がぽかん、と惚けていることに気づいたのか、ユーゴは一つ、咳払いをした。
「貴様には、関係のない話だったな。まぁ、つまり、俺には取り急ぎ、有能な部下が必要なのだ」
目線が上げられる。
金色の瞳が、莉々子を射貫いた。
「決して裏切らない、味方が」
なるほど、そのための虚偽、そのための恩売りだったのか。
寄る辺がユーゴにしかないのであれば、確かに、なかなかに裏切りにくいだろう。
「そこで先刻の話に戻る。落ち人には、複数の魔法を使える者が多いと言われているのだ」
「まほう」
権力争いの話に、突然のRPGが出てきた。
いや、精霊うんぬんの話もあるのだから、突然でもないか。
「複数の魔法を使える者は少ないのですか」
「少ない。かく言う俺も、使えるのは闇魔法だけだ」
「やみまほう」
なんとも、不穏な響きだ。
しかしまぁ、誘拐犯にはお似合いの名称だろうか。
「一般に、使える属性が多いほど、多種多様の魔法が使えると言われている。まぁ、要するにおあつらえ向きだということだ」
「同じ事を企む輩がいそうですね」
思わず嫌みな口調になった。とっさに口をつぐむが、もう遅い。
出した言葉は戻らない。
しかし、ユーゴはあまり気にしなかったらしい。「それはない」とあっさりとした言葉を返すだけだった。
「落ち人を呼び寄せる方法自体はあまり有名ではないし、道具や条件を揃えるのにとても労力を要する。闇魔法の使い手の中でも一部の者にしかできんしな。そして、そもそも闇魔法の使い手は希だ」
なるほど。そんな稀少なアンラッキーによって、私はここに呼ばれたわけですね。
うんざりと莉々子は、自らの不運を呪った。
褒められたって、かけらも嬉しくはない。
「『落ち人』には、多属性持ちが多いのだ」
さっぱり意味がわからない。
「ええと、出来れば、もっと根本的なところから……」
「焦るな、今から説明する」
ユーゴはわかっていると言わんばかりに微笑んだ。
わかっているなら、もう少し混乱を避ける説明の仕方をしてくれ。
心の中でつぶやいた文句は、今回もユーゴに伝わってしまったのか、軽く睨まれた。
首をすくめる。
なんだ、千里眼か、テレパスなのか。
「先も説明した通り、俺の立場は微妙だ。引き取られたのは最近で、正直な話、まぁ、味方が足りない」
話をさっさと進めてしまいたかったのか、ユーゴは言葉を続けた。
「正直、貴族どものほとんどは、従兄殿の味方なのだ」
こればかりは、年数と立場で培われたものなので、太刀打ちできないのだ、とほぞを噛む。
それならば潔く諦めて、従兄殿に継いでもらえば良いではないか、莉々子はそんなことをぼんやりと思う。
すると、その思考さえも読んだのか、ユーゴはぎっ、と莉々子のことを睨んだ。
「俺は領主に成らねばならんのだ。あのような愚劣な者にこの地を任すわけにはいかぬ!」
そんなことを言われても、莉々子にはわからない。
「血をついでいる以上は、奴にも継ぐ権利がある。それは承知している。しかし、あのような輩に……」
そこまで言って、莉々子がぽかん、と惚けていることに気づいたのか、ユーゴは一つ、咳払いをした。
「貴様には、関係のない話だったな。まぁ、つまり、俺には取り急ぎ、有能な部下が必要なのだ」
目線が上げられる。
金色の瞳が、莉々子を射貫いた。
「決して裏切らない、味方が」
なるほど、そのための虚偽、そのための恩売りだったのか。
寄る辺がユーゴにしかないのであれば、確かに、なかなかに裏切りにくいだろう。
「そこで先刻の話に戻る。落ち人には、複数の魔法を使える者が多いと言われているのだ」
「まほう」
権力争いの話に、突然のRPGが出てきた。
いや、精霊うんぬんの話もあるのだから、突然でもないか。
「複数の魔法を使える者は少ないのですか」
「少ない。かく言う俺も、使えるのは闇魔法だけだ」
「やみまほう」
なんとも、不穏な響きだ。
しかしまぁ、誘拐犯にはお似合いの名称だろうか。
「一般に、使える属性が多いほど、多種多様の魔法が使えると言われている。まぁ、要するにおあつらえ向きだということだ」
「同じ事を企む輩がいそうですね」
思わず嫌みな口調になった。とっさに口をつぐむが、もう遅い。
出した言葉は戻らない。
しかし、ユーゴはあまり気にしなかったらしい。「それはない」とあっさりとした言葉を返すだけだった。
「落ち人を呼び寄せる方法自体はあまり有名ではないし、道具や条件を揃えるのにとても労力を要する。闇魔法の使い手の中でも一部の者にしかできんしな。そして、そもそも闇魔法の使い手は希だ」
なるほど。そんな稀少なアンラッキーによって、私はここに呼ばれたわけですね。
うんざりと莉々子は、自らの不運を呪った。
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