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第2章 人狼さん、冒険者になる
27話 人狼さん、親友を発見する
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さて、私専用の受付嬢になってくれたこのギルドのお姉さん、名前をニコラと言うらしい。
そう言えば自己紹介してませんでしたよね、と可愛らしく微笑えみながら教えてくれた。
その優し気な笑顔からは、冒険者を脳筋と言いかけたとは全く思えない。
私の空耳かとさえ思ってしまう程の、上品で優し気な女性だ。
ふむふむ。
私は中身女なので惑わされないけど、この人、自分の魅力をわかって使ってるよね。
メッチャ清楚で可憐な美人。
そのか弱そうな容姿から、守らなければという保護欲が湧き出てくる。
頼まれたら絶対断れないタイプだ。
困った顔でお願いされたら、速攻で頷いちゃいそう。
って、頷いたらダメじゃん。しっかりしろ、私。
そんなニコラだが、その上品な外見から想像できないエグイ事をさっきから平気で言ってくる。
昨日の冒険者達の更生案をいくつか聞いているんだけど、私なら耐えられないかも。
巨大昆虫が大量湧きしている森の掃除?
無理無理無理。絶っ対無理!
ほら、運転手さんも顔が青ざめてるよ!
「「こんばんは」」
耳を塞ぎたくなるようなニコラの話を半泣きで聞いていたら、後ろからルカ達に声をかけられた。
やった! これぞ天の助け!
待ってたよ、君達!
さあさあ、今日もどんどん食べなさい。
……私の食欲は彼方へと消えましたけどね。うん。
「ああ、来たのか。丁度真ん中が空いているから座るといい」
「うん。リリーお兄ちゃんの隣がいいな!」
「ああ、いいぞ」
「ちゃんと鍋を持ってきたかい?」
「はい、御馳走さまでした。お母さんも美味しいって食べてくれました!」
「食べきれたのか?」
「はい!」
「そうかい。良かったねぇ」
一気に賑やかになりながら、子供二人がベンチシートに追加される。
良かった。これで拷問のようなニコラの話から逃げられる……。
何故私がダメージを負わねばならないのか。解せぬ。
「この子達が、先程お話していたクロウさんのお知合いですか」
「ああ。昨日の冒険者達とのいざこざから、俺がしばらく食事の面倒を見ることになった。姉がルカ、妹がリリーだ。二人とも、彼女は冒険者ギルド職員のニコラだ」
「初めまして。クロウさんを担当することになりました。よろしくお願いしますね」
小首を傾げながらルカ達に微笑みかけるニコラ。
ルカ達も頬を染めながらニコラとやり取りをかわす。
こんなに清楚な美人なのに、なんであんなグロい案を一杯出せるんだろうね……。
私は絶対にこの人には歯向かわないと、今ここで誓うよ。うん。
二人が仲良く座り、運転手さんが早速料理を出してくれる。
昨日の残りの牛肉とジャガイモを使ったコロッケだと説明しつつ、さり気ない安いよアピール。
それを聞いたルカの顔が、安堵の色になる。
成程。ルカの心理的負担を減らす作戦か。流石運転手さん。
美味しそうに頬張る二人をほのぼのした気持ちで眺める。
やっぱり、ご飯をきちんと食べることが出来たからなのかな、昨日より元気そうだ。
これで母親が元気になれば、問題無いんだけどなぁ。
「ご馳走さまでした。美味しかったです」
「ごちそうさま!」
お腹いっぱい、と嬉しそうにリリーが見上げてくるので頷いて見せる。
うんうん、良いことだ。いっぱい食べて大きくなるといいね。
「どうする? すぐ母親の所に持っていくか?」
「出来ればそうしたいです……」
「わかった。じゃあ、用意してもらおう」
そう言って運転手さんに目を向けると、ドヤ顔でさっと並べられる。
おおう、流石運転手さん、仕事が早いよ。
「こっちがお母さんの分。あと、この箱に入ってるのは君達の分ね。冷めても美味しいから、明日はそのまま食べて大丈夫だよ」
「わあ、すごいね」
「有難うございます」
立ち上がり受け取る二人を見て、ニコラも立ち上がる。
「どうした?」思わず声をかけると、こちらを向き微笑む。
「私もそろそろ帰ろうかと。ついでにこの子達を送ってきます」
あ、それいいね。
初対面の子達なのに、送ってくれるなんて優しいなぁ。
出来れば、そのままルカ達の母親の状態を見てきてくれると助かるんだけど。
一応今の私は男だから、女所帯らしいルカ達の家に行くのは遠慮してるんだよね。
「じゃ、頼むか」
そう言って、テーブルの上に並んでいた食事をニコラに渡しながら、様子を見てきて欲しい旨を小声で囁く。
それに心得たように微笑み、頷いてくれる。
どうやら、彼女も同じ考えだったらしい。これは任せても安心だね。
「あ、あの! そんな、悪いです!」
「子供が遠慮しなくてもいいんですよ。それに、私が持った方が早く歩けますよ?」
「そうだな。ニコラに運んでもらうといい。ほら、ルカは母親の分を持つといいぞ」
「あ、ハ、ハイ!」
そう言って、戸惑うルカに軽めの荷物を持たせてやる。
「リリーはちゃんとルカの後について帰るんだぞ?」
「うん! わかったよ! お兄ちゃん、おじさん、ごちそうさまでした!」
「うん。明日もおいで」
「あ、私も! 有難うございました」
「うん。お母さんに宜しくね」
「気をつけろよ」
「はい!」
ルカを先頭に残りの二人が続く。
手を振るリリーに振り返しながら、再びベンチシートに座る。
これで、明日ギルドでニコラにどうだったのか聞けばいいよね。
「これでお母さんの状態がわかるといいねぇ」
「ああ。酷そうだったら医者に見せようかと思っていたんだが、それは結果を聞いてから考えるか……」
「そこまで考えてるのかい」
「乗り掛かった船というやつだ」
「またまた。気になるからだって素直に言えばいいのにねぇ」
「別にそういうわけでは無くてだな」
「うんうん。そういうことにしておこうか」
ちょ、適当に流さないでくれるかな。
人の話はちゃんと聞こうよ、運転手さん!
更に反論しようと口を開きかけた瞬間、私の耳が聞き慣れた声を拾う。
(?! この声……!)
慌てて声の主を探そうと周囲を見回し、視線が釘付けになる。
日本人にしては色素の薄い髪と瞳。
肩までの髪はくせ毛な為に、ウエーヴがかかったようにふわふわ揺れている。
そこから覗く大きな目。
小柄な為か小動物を思わせるような少女だ。
(ヒナ……?)
このひと月、忘れることのなかった従姉妹で親友の成瀬比奈。
別れ際と何も変わらずそこにいる。
夢じゃない、ちゃんと動いているし喋ってもいる。
間違いない。本物のヒナだ。
ようやく会えた!
そう言えば自己紹介してませんでしたよね、と可愛らしく微笑えみながら教えてくれた。
その優し気な笑顔からは、冒険者を脳筋と言いかけたとは全く思えない。
私の空耳かとさえ思ってしまう程の、上品で優し気な女性だ。
ふむふむ。
私は中身女なので惑わされないけど、この人、自分の魅力をわかって使ってるよね。
メッチャ清楚で可憐な美人。
そのか弱そうな容姿から、守らなければという保護欲が湧き出てくる。
頼まれたら絶対断れないタイプだ。
困った顔でお願いされたら、速攻で頷いちゃいそう。
って、頷いたらダメじゃん。しっかりしろ、私。
そんなニコラだが、その上品な外見から想像できないエグイ事をさっきから平気で言ってくる。
昨日の冒険者達の更生案をいくつか聞いているんだけど、私なら耐えられないかも。
巨大昆虫が大量湧きしている森の掃除?
無理無理無理。絶っ対無理!
ほら、運転手さんも顔が青ざめてるよ!
「「こんばんは」」
耳を塞ぎたくなるようなニコラの話を半泣きで聞いていたら、後ろからルカ達に声をかけられた。
やった! これぞ天の助け!
待ってたよ、君達!
さあさあ、今日もどんどん食べなさい。
……私の食欲は彼方へと消えましたけどね。うん。
「ああ、来たのか。丁度真ん中が空いているから座るといい」
「うん。リリーお兄ちゃんの隣がいいな!」
「ああ、いいぞ」
「ちゃんと鍋を持ってきたかい?」
「はい、御馳走さまでした。お母さんも美味しいって食べてくれました!」
「食べきれたのか?」
「はい!」
「そうかい。良かったねぇ」
一気に賑やかになりながら、子供二人がベンチシートに追加される。
良かった。これで拷問のようなニコラの話から逃げられる……。
何故私がダメージを負わねばならないのか。解せぬ。
「この子達が、先程お話していたクロウさんのお知合いですか」
「ああ。昨日の冒険者達とのいざこざから、俺がしばらく食事の面倒を見ることになった。姉がルカ、妹がリリーだ。二人とも、彼女は冒険者ギルド職員のニコラだ」
「初めまして。クロウさんを担当することになりました。よろしくお願いしますね」
小首を傾げながらルカ達に微笑みかけるニコラ。
ルカ達も頬を染めながらニコラとやり取りをかわす。
こんなに清楚な美人なのに、なんであんなグロい案を一杯出せるんだろうね……。
私は絶対にこの人には歯向かわないと、今ここで誓うよ。うん。
二人が仲良く座り、運転手さんが早速料理を出してくれる。
昨日の残りの牛肉とジャガイモを使ったコロッケだと説明しつつ、さり気ない安いよアピール。
それを聞いたルカの顔が、安堵の色になる。
成程。ルカの心理的負担を減らす作戦か。流石運転手さん。
美味しそうに頬張る二人をほのぼのした気持ちで眺める。
やっぱり、ご飯をきちんと食べることが出来たからなのかな、昨日より元気そうだ。
これで母親が元気になれば、問題無いんだけどなぁ。
「ご馳走さまでした。美味しかったです」
「ごちそうさま!」
お腹いっぱい、と嬉しそうにリリーが見上げてくるので頷いて見せる。
うんうん、良いことだ。いっぱい食べて大きくなるといいね。
「どうする? すぐ母親の所に持っていくか?」
「出来ればそうしたいです……」
「わかった。じゃあ、用意してもらおう」
そう言って運転手さんに目を向けると、ドヤ顔でさっと並べられる。
おおう、流石運転手さん、仕事が早いよ。
「こっちがお母さんの分。あと、この箱に入ってるのは君達の分ね。冷めても美味しいから、明日はそのまま食べて大丈夫だよ」
「わあ、すごいね」
「有難うございます」
立ち上がり受け取る二人を見て、ニコラも立ち上がる。
「どうした?」思わず声をかけると、こちらを向き微笑む。
「私もそろそろ帰ろうかと。ついでにこの子達を送ってきます」
あ、それいいね。
初対面の子達なのに、送ってくれるなんて優しいなぁ。
出来れば、そのままルカ達の母親の状態を見てきてくれると助かるんだけど。
一応今の私は男だから、女所帯らしいルカ達の家に行くのは遠慮してるんだよね。
「じゃ、頼むか」
そう言って、テーブルの上に並んでいた食事をニコラに渡しながら、様子を見てきて欲しい旨を小声で囁く。
それに心得たように微笑み、頷いてくれる。
どうやら、彼女も同じ考えだったらしい。これは任せても安心だね。
「あ、あの! そんな、悪いです!」
「子供が遠慮しなくてもいいんですよ。それに、私が持った方が早く歩けますよ?」
「そうだな。ニコラに運んでもらうといい。ほら、ルカは母親の分を持つといいぞ」
「あ、ハ、ハイ!」
そう言って、戸惑うルカに軽めの荷物を持たせてやる。
「リリーはちゃんとルカの後について帰るんだぞ?」
「うん! わかったよ! お兄ちゃん、おじさん、ごちそうさまでした!」
「うん。明日もおいで」
「あ、私も! 有難うございました」
「うん。お母さんに宜しくね」
「気をつけろよ」
「はい!」
ルカを先頭に残りの二人が続く。
手を振るリリーに振り返しながら、再びベンチシートに座る。
これで、明日ギルドでニコラにどうだったのか聞けばいいよね。
「これでお母さんの状態がわかるといいねぇ」
「ああ。酷そうだったら医者に見せようかと思っていたんだが、それは結果を聞いてから考えるか……」
「そこまで考えてるのかい」
「乗り掛かった船というやつだ」
「またまた。気になるからだって素直に言えばいいのにねぇ」
「別にそういうわけでは無くてだな」
「うんうん。そういうことにしておこうか」
ちょ、適当に流さないでくれるかな。
人の話はちゃんと聞こうよ、運転手さん!
更に反論しようと口を開きかけた瞬間、私の耳が聞き慣れた声を拾う。
(?! この声……!)
慌てて声の主を探そうと周囲を見回し、視線が釘付けになる。
日本人にしては色素の薄い髪と瞳。
肩までの髪はくせ毛な為に、ウエーヴがかかったようにふわふわ揺れている。
そこから覗く大きな目。
小柄な為か小動物を思わせるような少女だ。
(ヒナ……?)
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