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第2章 人狼さん、冒険者になる
33話 人狼さん、案内してもらう
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えーと、今この幻獣さん、何て言ったかな?
自力で戻れないって聞こえたんだけど、空耳かな。
せっかくヒナを見つけてこれから接触しようと思ってたのに、こんな所に迷い込んだ挙句に出られないとか、運が悪すぎませんか。
見えない何かの嫌がらせを感じるんだけど、被害妄想かな!
「大丈夫だニャ。僕が出口まで送っていくから、安心するニャ。せっかく出来た知り合いが死ぬのは忍びないニャ」
そう言ってニケが腰に手を当て、胸を張る。
う、うん、そうだね。私もまだ死にたくないかな。
「そうか。俺もまだ死にたくない。すまないが案内を宜しく頼む」
「任せるニャー」
そう言いながら手招きし、ポテポテ歩き出すニケについていく。
尻尾をゆらゆらと振りながら歩く姿がこれまた可愛い。
なんかこう、見てるだけで荒んでいた心が落ち着いてくる。アニマルセラピーってこんな感じかも。
幽世か……別名天国ってことでいいかな……。うん。
「しかし、こんな風に簡単に人が入り込むものなのか? 俺なんて、ただ歩いていただけだぞ」そう話しかけながら、ニケの隣を歩く。
「滅多にないニャー。僕ら幻獣は妖精の道を頻繁に使うけど、生きている人族はまず入り込むことが無いニャ。多分、クロウは死んだ体を復元しているせいかもしれないニャ」
「成程。何かしら影響があってもおかしくないのか」
実験体だから、そんなこともあるのかもしれないね。
思わず納得してしまう。
「そうだニャ。でも、クロウは運が良かったニャ。丁度僕が近くを散策していて、懐かしい気配に誘われたから良かったものの、運が悪ければ誰にも会えず餓死だったニャ」
「……それは本当に運が良かったんだな……」
いや本当、歩いているだけで迂闊に死にかけるとか、マジで勘弁してもらいたい。
なんてデンジャーな世界なんだ。
「それより、クロウの話が聞きたいニャ。送る間に色々話して欲しいニャー」
「俺の話か? そんなのでいいのか」
「勿論だニャ。異世界の生き物がこの世界にやってくるなんて多分初めてニャ。興味が尽きないニャ」
そんな目をキラキラさせて見つめられたら断れないので、分かったと頷く。
そっかぁ。初めてで珍しいのか。
だからこんなにフレンドリーなのかな?
その後は、ニケが私の生活に興味を示して色々質問してくるので、それに応えながら森の小道を歩く格好になった。
彼曰く、私の住む現世とやらは変化の多い世界らしい。なので、ニケ達若い幻獣の暇つぶしに良い場所なのだそうだ。
ただ、人間に見つかると大ごとになる為、あまり顔を出せないらしい。
確かにこの幽世という世界、綺麗なんだけど静かすぎるんだよね。元気な子には暮らしにくそう。
それにここって、生き物の気配が薄くて活気が感じられないせいか、なんだか変化に乏しい気がする。なんていうのかな、空気が落ち着き過ぎるっていうか……。
そうニケに伝えると、それは神域だからだという回答が返ってきた。
よく分からないけど、神様とか偉い生き物が住んでいる世界はそういうものなんだろうか。
凡人には暮らしにくそうな環境だね。
イヴァリースとの出会いからクラスメイト達への所業、そして私への性別詐欺と話していくと、興味深そうにフムフムとニケが頷く。
そして、この世界に降り立ってからの世界の人々の反応や、説明された以上の状況の悪さなどを聞かれたままに話していく。
「……というわけで、俺は今、友人のヒナをどうにかしなくてはいけないわけだ」
「成程ニャー。予想以上に大変だったんだニャ」
「そう思うか」
「うんうん。まさか、性別を考慮しなかったとは思わなかったニャ。そこが一番最悪だニャ」
「だろう?!」
わかってくれるんだ。
女子高生が男の体になるって、ホント大変だよ。
今はなんとか慣れたけど、現実を直視したくなかったことが何度あった事か……!
トイレと風呂なんて、全然良い思い出が無いからね。
それに、今はオリジナルの仕草や口調が反映されているからおかしな所は無いけど、いつボロが出るか分からない。
ノアの前では誤魔化せたけど、実際に一度やっちゃてるわけだし、これでも結構緊張しながら人と交流してるのだ。
この強面の人狼さんが、きゃあとか女の子みたいな悲鳴を上げる想像してご覧んなさい。確実に社会的地位を失うね。
「クロウは慣れない体で頑張ってると思うニャ。早くその子と一緒になれるといいニャ」
そう言って、背伸びをしながら私を労わる様に、二の腕をポンと叩いてくれた。
……そのムチムチプニプニの肉球でな!!
「っ……!」
ぐっはぁっ。
ナニ、この可愛い生き物! 背伸びとか、最っ高なんですけど!
あまりの可愛さに脱力してしゃがみ込んでしまう。
これは犬派の私を猫派にしようという、何者かの策略なのか?
いや、どっちも大好きだけども!
あ、ヤバい。鼻血出そう。
これはアレか。
日頃から頑張っている私への、神様からのご褒美的なモノですか。
自分で言うのもなんだけど、結構頑張ってると思うんだ、私。
イヴァリース以外からのご褒美ならありがたく受け取りますよ。むしろ、もっとくれてもいい。
「クロウもまだまだ子供だからニャ。ここはうんと僕に甘えるといいニャ!」
そう言って、プニプニの肉球でポンポンと頭を撫でられる。
え? ニケってお兄ちゃんポジなんだ?
っていうか、この外見で甘えるとか、無理だと思うよ!
自力で戻れないって聞こえたんだけど、空耳かな。
せっかくヒナを見つけてこれから接触しようと思ってたのに、こんな所に迷い込んだ挙句に出られないとか、運が悪すぎませんか。
見えない何かの嫌がらせを感じるんだけど、被害妄想かな!
「大丈夫だニャ。僕が出口まで送っていくから、安心するニャ。せっかく出来た知り合いが死ぬのは忍びないニャ」
そう言ってニケが腰に手を当て、胸を張る。
う、うん、そうだね。私もまだ死にたくないかな。
「そうか。俺もまだ死にたくない。すまないが案内を宜しく頼む」
「任せるニャー」
そう言いながら手招きし、ポテポテ歩き出すニケについていく。
尻尾をゆらゆらと振りながら歩く姿がこれまた可愛い。
なんかこう、見てるだけで荒んでいた心が落ち着いてくる。アニマルセラピーってこんな感じかも。
幽世か……別名天国ってことでいいかな……。うん。
「しかし、こんな風に簡単に人が入り込むものなのか? 俺なんて、ただ歩いていただけだぞ」そう話しかけながら、ニケの隣を歩く。
「滅多にないニャー。僕ら幻獣は妖精の道を頻繁に使うけど、生きている人族はまず入り込むことが無いニャ。多分、クロウは死んだ体を復元しているせいかもしれないニャ」
「成程。何かしら影響があってもおかしくないのか」
実験体だから、そんなこともあるのかもしれないね。
思わず納得してしまう。
「そうだニャ。でも、クロウは運が良かったニャ。丁度僕が近くを散策していて、懐かしい気配に誘われたから良かったものの、運が悪ければ誰にも会えず餓死だったニャ」
「……それは本当に運が良かったんだな……」
いや本当、歩いているだけで迂闊に死にかけるとか、マジで勘弁してもらいたい。
なんてデンジャーな世界なんだ。
「それより、クロウの話が聞きたいニャ。送る間に色々話して欲しいニャー」
「俺の話か? そんなのでいいのか」
「勿論だニャ。異世界の生き物がこの世界にやってくるなんて多分初めてニャ。興味が尽きないニャ」
そんな目をキラキラさせて見つめられたら断れないので、分かったと頷く。
そっかぁ。初めてで珍しいのか。
だからこんなにフレンドリーなのかな?
その後は、ニケが私の生活に興味を示して色々質問してくるので、それに応えながら森の小道を歩く格好になった。
彼曰く、私の住む現世とやらは変化の多い世界らしい。なので、ニケ達若い幻獣の暇つぶしに良い場所なのだそうだ。
ただ、人間に見つかると大ごとになる為、あまり顔を出せないらしい。
確かにこの幽世という世界、綺麗なんだけど静かすぎるんだよね。元気な子には暮らしにくそう。
それにここって、生き物の気配が薄くて活気が感じられないせいか、なんだか変化に乏しい気がする。なんていうのかな、空気が落ち着き過ぎるっていうか……。
そうニケに伝えると、それは神域だからだという回答が返ってきた。
よく分からないけど、神様とか偉い生き物が住んでいる世界はそういうものなんだろうか。
凡人には暮らしにくそうな環境だね。
イヴァリースとの出会いからクラスメイト達への所業、そして私への性別詐欺と話していくと、興味深そうにフムフムとニケが頷く。
そして、この世界に降り立ってからの世界の人々の反応や、説明された以上の状況の悪さなどを聞かれたままに話していく。
「……というわけで、俺は今、友人のヒナをどうにかしなくてはいけないわけだ」
「成程ニャー。予想以上に大変だったんだニャ」
「そう思うか」
「うんうん。まさか、性別を考慮しなかったとは思わなかったニャ。そこが一番最悪だニャ」
「だろう?!」
わかってくれるんだ。
女子高生が男の体になるって、ホント大変だよ。
今はなんとか慣れたけど、現実を直視したくなかったことが何度あった事か……!
トイレと風呂なんて、全然良い思い出が無いからね。
それに、今はオリジナルの仕草や口調が反映されているからおかしな所は無いけど、いつボロが出るか分からない。
ノアの前では誤魔化せたけど、実際に一度やっちゃてるわけだし、これでも結構緊張しながら人と交流してるのだ。
この強面の人狼さんが、きゃあとか女の子みたいな悲鳴を上げる想像してご覧んなさい。確実に社会的地位を失うね。
「クロウは慣れない体で頑張ってると思うニャ。早くその子と一緒になれるといいニャ」
そう言って、背伸びをしながら私を労わる様に、二の腕をポンと叩いてくれた。
……そのムチムチプニプニの肉球でな!!
「っ……!」
ぐっはぁっ。
ナニ、この可愛い生き物! 背伸びとか、最っ高なんですけど!
あまりの可愛さに脱力してしゃがみ込んでしまう。
これは犬派の私を猫派にしようという、何者かの策略なのか?
いや、どっちも大好きだけども!
あ、ヤバい。鼻血出そう。
これはアレか。
日頃から頑張っている私への、神様からのご褒美的なモノですか。
自分で言うのもなんだけど、結構頑張ってると思うんだ、私。
イヴァリース以外からのご褒美ならありがたく受け取りますよ。むしろ、もっとくれてもいい。
「クロウもまだまだ子供だからニャ。ここはうんと僕に甘えるといいニャ!」
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