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第3章 人狼さんと薬師のヒナ
42話 人狼さん、提案される
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声の方に視線を向けると、そこには紅潮した顔でクラスメイト達と対峙しているヒナがいた。
どうやら声の主はヒナで間違いないようだ。
人前で声を荒げるとか珍しい。何があったんだろうか。
「話が違うって言われてもさぁ、状況が変わっちゃったじゃん?」
軽そうな外見通りに軽い口調で話すのは、クラスメイトの西宮君だ。
「この前のオークの襲撃でさ、ヒナちゃん達を無理に連れ出したあいつらを追い出して、人数が減ったでしょ? 人数が減った分、戦力が落ちてこの街じゃやってけない状態なんだよ」
「そうそう。だから、この街より初心者の依頼が多い町に移ろうって言ってるのよ。まだ死にたくないもの」
でしょ? と小首を傾げてくるのは、クラス一美人の藤咲さん。
その隣に座り、無言で成り行きを眺めているのが元近君だ。ガタイの良いヤンキー風な風貌で、ちょっと苦手なタイプなんだよね。
この三人は幼馴染だそうで常に一緒にいる。
これにヒナと舞ちゃんで、テーブルに座っているのは5人。
確かヒナを見つけた時、屋台で一緒に食事していたクラスメイトはもっといたはず。
最低でも二、三人はいたような気がする。
「でも、」
「あんな奴らと仕事したいの? また私達が見てない所で無理やり連れていかれるかもよ? そして今回みたく同じように見捨てて逃げるに決まってる。次は偶然助けが入るなんてこと無いんじゃない?」
呆れた風に、藤咲さんがヒナの言葉を遮る。
話からすると、そいつらがヒナ達を街の外に連れ出したせいで、襲われたようだ。で、彼らのグループから追い出されたっぽい。
成程。だから冒険者業が休みのはずなのに城壁の外にいたんだね。
ヒナと、困ったように成り行きを見守っている舞ちゃんを見る。
薬師と回復師。回復役として連れ出されたのかな。っていうか、見捨てて逃げたのか、そいつら。
一旦深呼吸をして、気を落ち着かせたヒナが口を開く。
「あいつらと仕事をする気は無いよ。ただ私は生産でこの街にとどまりたいだけ。それに最初に組んだ時の話だと、しばらくはこの街で活動していくって言ってたよね? だから組むことにしたんだけど? 話が違うよね」
「確かにあの時はそう言ったけど、壮太が言った通り状況が変わったのよ。生活しなきゃならないんだから、仕事が出来る場所に移動するしかないでしょ」
状況ねぇ。この街、新人冒険者にはキツイみたいだからなぁ。
そういえば登録時にニコラが言ってたけど、登録した所がしばらく拠点になって移動不可能なんだよね。冒険者としてやっていけるとギルドが判断したら、自由に拠点を変えれるらしい。
どうやら彼らは移動できるようだし、人数減って大変なら活動場所を変えるのが利口だろうね。
「私がアヤを探してるのは知ってるよね?」
「……立花さんね。確認できない最後の一人」
「そうだよ。ここは皆が最初に降り立った街だから、ここにいればアヤに会える確率が高い。街から出て行った他のクラスメイト達にも、アヤを見かけたらこの街に来てほしいと伝言しているんだよ。だから私はここでアヤを待つ。移動はしない」
藤咲さんを見ながらヒナが言い放つ。
そうか。ヒナも探してくれてたんだね。凄い嬉しい。
なんか感動したよ。
でも、私のせいでみんなと一緒に移動できないってことだよね? ……それってちょっと不味くない?
「なら、好きにやれよ。もう面倒は見ねーよ」
「! 圭吾!」
突然、今まで黙っていた元近君がそう宣言し、立ち上がる。
え、ヒナを置いていく気なんだ。
「俺はこのまま街を出る。これ以上この街にいても稼げねーだろ。ついてくる気がある奴だけ来いよ」
皆を一瞥し、そのまま背を向けてギルドを出て行く。
それに続いて、ため息をつきながら藤咲さんと西宮君が立ち上がる。
「……じゃ、そういうことだから。体に気をつけてね。バイバイ」
「あー、何か色々ごめんね?」
そう言い残して二人も背を向け、出口へと向かう。
ええ、薄情すぎる気がするんだけど、これって普通なのかな。稼げないって言っていたし、生活がかかってるならしょうがないのかな?
「ヒナ……」困惑顔の舞ちゃんが、焦ったようにヒナに声をかける。
「舞はどうする?」
「ヒナはどうするの。一人で大丈夫なの?」
「私は生産職だから街で仕事はあるし、問題無いよ。舞は回復師なんだから、みんなについていった方がいいと思う。信用できる仲間を見つけるのは大変でしょ?」
平然と話すヒナに、最初からこの状況を覚悟していた節がうかがえる。
そんなヒナの言葉にしばし悩んだ後、舞ちゃんが立ち上がる。
「ごめん、ヒナ」
「気にしなくていいって。早く行かないと置いてかれるよ」
「本当にごめんねっ」
そう言ってヒナに頭を下げ、小走りにギルドを出て行く。
……これは不味い。
非力な女の子一人を置き去りにするとか、どんな暴挙だよ。あまりのことに茫然とする。
いや、この街でやっていけないんだから別の場所に移るのはわかるよ。生活かかってるもんね。けど、これは酷くないかな。
ああ、でもヒナの我が儘で残るんだからしょうがないのか。でもその我が儘も私を待つという理由なんだよね。
どうしよう。
『立花あやめ』の私はもういないんだよって、今すぐ言いたい。待っていても無理なんだよ、ヒナ……。
「クロウさん、あの少女のこと、随分気にしてますね?」
「へ?」
声をかけられ顔を向けると、ニコラと目が合う。
そうだった。ニコラと会話中だったんだ。
「いや、そんなことは無い」
「そうですか? その狼の耳、あの子の声に反応してますよ?」
「え?!」
指を指されて慌てて頭の上の獣耳を押さえる。
うそ。そんなにバレバレだったわけ?!
「……顔赤いですけど、そんなに動揺することなんですか?」
「……!」
動揺するに決まってるよ。
人狼は、感情が出やすい獣耳や尻尾をコントロールして一人前なんだよ。私も獣化の訓練と一緒に、感情が現れないように訓練したんだから。
習得できるまで、里でどんなに弄られてきたかを思い出すと引きこもりたくなるぐらいだ。
この外見で、年上のお姉さん達や年端も行かない子供達に可愛いと揶揄われ続けるるわけですよ。どんな黒歴史だ。
それなのにヒナの声に反応してたとか……! 恥ずかしすぎる。
「そうですか。そんなに恥ずかしいんですね? 成程」
そんな、おもちゃを見つけたような楽しそうな目をしないで欲しい。
心配そうな顔してるけど、目が笑ってるよね。
「まぁ、それは置いときましょう。それより、あの少女のお話をしませんか」
「……話?」
揶揄うような気配が消えたので頭から手を放し、ニコラと共にヒナの様子を伺う。
一人座ったまま、口元に手をやり動かないヒナ。
あれは真剣に考えている時の癖だ。
頭の中で、今後の計画を立ててるんだろう。
「実はあの子、異界から来た集団の一人なんです」
「知ってる」
「え?」
「いつも食事をしている屋台の男も同じ出身で、身の上を聞いたことがある」
「ああ、あの方もそうでしたね」
まぁ、異界から来た元凶は私だから一番詳しいんですけどね。
そんな話は出来ないので運転手さんを情報源にしてみたけど、不審がられてはいないようだ。
「それなら詳しい話は飛ばします。それでですね、彼女は『薬師』の恩恵持ちで、戦闘がメインの冒険者ギルドではとても貴重な子なんですよ」
「ほう」
「出来れば怪我をせずに無事に育って欲しい職なので、ギルド職員一同で陰ながら見守ってきたんです」
「そんなに貴重なのか」
「ええ。普通は同じ恩恵持ちに弟子入りするので、うちとは接点が少ないんですよ」
「まぁ、そうなるな」
思わず頷く。
戦闘系の恩恵が無いんだから、戦えないもんね。私でも弟子入りの方を勧めるよ。
ただ気になるのは、ヒナが『錬金術』を持っていることは知られてないみたいだ。やっぱり、切り札みたいな感覚で隠してるのかな?
「うちとしてはですね。冒険者として活動してもらって、その伝手で薬を安くギルドに卸してもらいたいわけです。薬師の店から傷薬を格安で仕入れていますが、常に不足気味なので、別ルートが欲しいのですよ」
ほうほう。成程ね。
そういえば、ギルドで安く傷薬を買えるんだよね。それを買ってみんな仕事に向かうから、品薄になるのはいただけない。
これ、普通に薬屋で買うと、正規の値段で高いからなぁ。
薬屋から買うことになると、怪我を気にして依頼をこなすのが滞りそうだよね。
ああ、だからギルドで格安で売ってるのか。
「そういうわけで、彼女……ヒナさんですが、無事に冒険者として育て上げなければなりません。今までは仲間の彼らに託してましたが、事情が変わりました」
「一人取り残された状態だからな」
「そうなんです。なので、クロウさんにヒナさんと仕事を組んでもらいたいのです」
「……は?」
え、私?
つい最近まで怖がられてた人狼に、そんな大事な子を任せるの?
思わずニコラを凝視してしまうが、至ってまともな表情だ。えぇ……本気なんだ?
「このままおかしな冒険者に声をかけられるわけにはいきません。若い女の子一人なんて危険すぎますから」
「俺はいいのか」
「信用できるので頼んでます」
言い切ったよ、この人!
いやいや、良く知りもしない相手にそんな事を言ったらダメでしょ。
何かあったらどうやって責任持つの……って、そっか、私だから大丈夫じゃん。私がヒナを危険にさらすわけ無いよねー。
それに外見男だけど中身女だし、間違いが起こるわけ無いし。
そこまで知ってるわけ無いのに、私なら大丈夫だと思ったのか。
ニコラには私がどう映ってるんだろ。
兎に角、信用されているのはわかったし、期待には応えたい。
それに、渡りに船とはこのことだよね。
ニコラに頼まれたということで、不自然じゃなくヒナに接触できるよ! 素晴らしい。
あ、ついでに人狼の里に『立花あやめ』がいる設定にして、クロウの私が代わりに探しに来たことにしたらどうだろ。
これなら、今まで見つからなかった理由にもなるよね。
ニコラには人捜しに来たって言ってあるし、信じてもらえそう。
そうすれば、私がヒナを気にして聞き耳立ててた事もおかしくないし、ヒナが待つ理由も無くなる。
おぉ、中々良い案ではないでしょうか!
よし、この案でいってみようかな。
どうやら声の主はヒナで間違いないようだ。
人前で声を荒げるとか珍しい。何があったんだろうか。
「話が違うって言われてもさぁ、状況が変わっちゃったじゃん?」
軽そうな外見通りに軽い口調で話すのは、クラスメイトの西宮君だ。
「この前のオークの襲撃でさ、ヒナちゃん達を無理に連れ出したあいつらを追い出して、人数が減ったでしょ? 人数が減った分、戦力が落ちてこの街じゃやってけない状態なんだよ」
「そうそう。だから、この街より初心者の依頼が多い町に移ろうって言ってるのよ。まだ死にたくないもの」
でしょ? と小首を傾げてくるのは、クラス一美人の藤咲さん。
その隣に座り、無言で成り行きを眺めているのが元近君だ。ガタイの良いヤンキー風な風貌で、ちょっと苦手なタイプなんだよね。
この三人は幼馴染だそうで常に一緒にいる。
これにヒナと舞ちゃんで、テーブルに座っているのは5人。
確かヒナを見つけた時、屋台で一緒に食事していたクラスメイトはもっといたはず。
最低でも二、三人はいたような気がする。
「でも、」
「あんな奴らと仕事したいの? また私達が見てない所で無理やり連れていかれるかもよ? そして今回みたく同じように見捨てて逃げるに決まってる。次は偶然助けが入るなんてこと無いんじゃない?」
呆れた風に、藤咲さんがヒナの言葉を遮る。
話からすると、そいつらがヒナ達を街の外に連れ出したせいで、襲われたようだ。で、彼らのグループから追い出されたっぽい。
成程。だから冒険者業が休みのはずなのに城壁の外にいたんだね。
ヒナと、困ったように成り行きを見守っている舞ちゃんを見る。
薬師と回復師。回復役として連れ出されたのかな。っていうか、見捨てて逃げたのか、そいつら。
一旦深呼吸をして、気を落ち着かせたヒナが口を開く。
「あいつらと仕事をする気は無いよ。ただ私は生産でこの街にとどまりたいだけ。それに最初に組んだ時の話だと、しばらくはこの街で活動していくって言ってたよね? だから組むことにしたんだけど? 話が違うよね」
「確かにあの時はそう言ったけど、壮太が言った通り状況が変わったのよ。生活しなきゃならないんだから、仕事が出来る場所に移動するしかないでしょ」
状況ねぇ。この街、新人冒険者にはキツイみたいだからなぁ。
そういえば登録時にニコラが言ってたけど、登録した所がしばらく拠点になって移動不可能なんだよね。冒険者としてやっていけるとギルドが判断したら、自由に拠点を変えれるらしい。
どうやら彼らは移動できるようだし、人数減って大変なら活動場所を変えるのが利口だろうね。
「私がアヤを探してるのは知ってるよね?」
「……立花さんね。確認できない最後の一人」
「そうだよ。ここは皆が最初に降り立った街だから、ここにいればアヤに会える確率が高い。街から出て行った他のクラスメイト達にも、アヤを見かけたらこの街に来てほしいと伝言しているんだよ。だから私はここでアヤを待つ。移動はしない」
藤咲さんを見ながらヒナが言い放つ。
そうか。ヒナも探してくれてたんだね。凄い嬉しい。
なんか感動したよ。
でも、私のせいでみんなと一緒に移動できないってことだよね? ……それってちょっと不味くない?
「なら、好きにやれよ。もう面倒は見ねーよ」
「! 圭吾!」
突然、今まで黙っていた元近君がそう宣言し、立ち上がる。
え、ヒナを置いていく気なんだ。
「俺はこのまま街を出る。これ以上この街にいても稼げねーだろ。ついてくる気がある奴だけ来いよ」
皆を一瞥し、そのまま背を向けてギルドを出て行く。
それに続いて、ため息をつきながら藤咲さんと西宮君が立ち上がる。
「……じゃ、そういうことだから。体に気をつけてね。バイバイ」
「あー、何か色々ごめんね?」
そう言い残して二人も背を向け、出口へと向かう。
ええ、薄情すぎる気がするんだけど、これって普通なのかな。稼げないって言っていたし、生活がかかってるならしょうがないのかな?
「ヒナ……」困惑顔の舞ちゃんが、焦ったようにヒナに声をかける。
「舞はどうする?」
「ヒナはどうするの。一人で大丈夫なの?」
「私は生産職だから街で仕事はあるし、問題無いよ。舞は回復師なんだから、みんなについていった方がいいと思う。信用できる仲間を見つけるのは大変でしょ?」
平然と話すヒナに、最初からこの状況を覚悟していた節がうかがえる。
そんなヒナの言葉にしばし悩んだ後、舞ちゃんが立ち上がる。
「ごめん、ヒナ」
「気にしなくていいって。早く行かないと置いてかれるよ」
「本当にごめんねっ」
そう言ってヒナに頭を下げ、小走りにギルドを出て行く。
……これは不味い。
非力な女の子一人を置き去りにするとか、どんな暴挙だよ。あまりのことに茫然とする。
いや、この街でやっていけないんだから別の場所に移るのはわかるよ。生活かかってるもんね。けど、これは酷くないかな。
ああ、でもヒナの我が儘で残るんだからしょうがないのか。でもその我が儘も私を待つという理由なんだよね。
どうしよう。
『立花あやめ』の私はもういないんだよって、今すぐ言いたい。待っていても無理なんだよ、ヒナ……。
「クロウさん、あの少女のこと、随分気にしてますね?」
「へ?」
声をかけられ顔を向けると、ニコラと目が合う。
そうだった。ニコラと会話中だったんだ。
「いや、そんなことは無い」
「そうですか? その狼の耳、あの子の声に反応してますよ?」
「え?!」
指を指されて慌てて頭の上の獣耳を押さえる。
うそ。そんなにバレバレだったわけ?!
「……顔赤いですけど、そんなに動揺することなんですか?」
「……!」
動揺するに決まってるよ。
人狼は、感情が出やすい獣耳や尻尾をコントロールして一人前なんだよ。私も獣化の訓練と一緒に、感情が現れないように訓練したんだから。
習得できるまで、里でどんなに弄られてきたかを思い出すと引きこもりたくなるぐらいだ。
この外見で、年上のお姉さん達や年端も行かない子供達に可愛いと揶揄われ続けるるわけですよ。どんな黒歴史だ。
それなのにヒナの声に反応してたとか……! 恥ずかしすぎる。
「そうですか。そんなに恥ずかしいんですね? 成程」
そんな、おもちゃを見つけたような楽しそうな目をしないで欲しい。
心配そうな顔してるけど、目が笑ってるよね。
「まぁ、それは置いときましょう。それより、あの少女のお話をしませんか」
「……話?」
揶揄うような気配が消えたので頭から手を放し、ニコラと共にヒナの様子を伺う。
一人座ったまま、口元に手をやり動かないヒナ。
あれは真剣に考えている時の癖だ。
頭の中で、今後の計画を立ててるんだろう。
「実はあの子、異界から来た集団の一人なんです」
「知ってる」
「え?」
「いつも食事をしている屋台の男も同じ出身で、身の上を聞いたことがある」
「ああ、あの方もそうでしたね」
まぁ、異界から来た元凶は私だから一番詳しいんですけどね。
そんな話は出来ないので運転手さんを情報源にしてみたけど、不審がられてはいないようだ。
「それなら詳しい話は飛ばします。それでですね、彼女は『薬師』の恩恵持ちで、戦闘がメインの冒険者ギルドではとても貴重な子なんですよ」
「ほう」
「出来れば怪我をせずに無事に育って欲しい職なので、ギルド職員一同で陰ながら見守ってきたんです」
「そんなに貴重なのか」
「ええ。普通は同じ恩恵持ちに弟子入りするので、うちとは接点が少ないんですよ」
「まぁ、そうなるな」
思わず頷く。
戦闘系の恩恵が無いんだから、戦えないもんね。私でも弟子入りの方を勧めるよ。
ただ気になるのは、ヒナが『錬金術』を持っていることは知られてないみたいだ。やっぱり、切り札みたいな感覚で隠してるのかな?
「うちとしてはですね。冒険者として活動してもらって、その伝手で薬を安くギルドに卸してもらいたいわけです。薬師の店から傷薬を格安で仕入れていますが、常に不足気味なので、別ルートが欲しいのですよ」
ほうほう。成程ね。
そういえば、ギルドで安く傷薬を買えるんだよね。それを買ってみんな仕事に向かうから、品薄になるのはいただけない。
これ、普通に薬屋で買うと、正規の値段で高いからなぁ。
薬屋から買うことになると、怪我を気にして依頼をこなすのが滞りそうだよね。
ああ、だからギルドで格安で売ってるのか。
「そういうわけで、彼女……ヒナさんですが、無事に冒険者として育て上げなければなりません。今までは仲間の彼らに託してましたが、事情が変わりました」
「一人取り残された状態だからな」
「そうなんです。なので、クロウさんにヒナさんと仕事を組んでもらいたいのです」
「……は?」
え、私?
つい最近まで怖がられてた人狼に、そんな大事な子を任せるの?
思わずニコラを凝視してしまうが、至ってまともな表情だ。えぇ……本気なんだ?
「このままおかしな冒険者に声をかけられるわけにはいきません。若い女の子一人なんて危険すぎますから」
「俺はいいのか」
「信用できるので頼んでます」
言い切ったよ、この人!
いやいや、良く知りもしない相手にそんな事を言ったらダメでしょ。
何かあったらどうやって責任持つの……って、そっか、私だから大丈夫じゃん。私がヒナを危険にさらすわけ無いよねー。
それに外見男だけど中身女だし、間違いが起こるわけ無いし。
そこまで知ってるわけ無いのに、私なら大丈夫だと思ったのか。
ニコラには私がどう映ってるんだろ。
兎に角、信用されているのはわかったし、期待には応えたい。
それに、渡りに船とはこのことだよね。
ニコラに頼まれたということで、不自然じゃなくヒナに接触できるよ! 素晴らしい。
あ、ついでに人狼の里に『立花あやめ』がいる設定にして、クロウの私が代わりに探しに来たことにしたらどうだろ。
これなら、今まで見つからなかった理由にもなるよね。
ニコラには人捜しに来たって言ってあるし、信じてもらえそう。
そうすれば、私がヒナを気にして聞き耳立ててた事もおかしくないし、ヒナが待つ理由も無くなる。
おぉ、中々良い案ではないでしょうか!
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