ネコの運ぶ夢

Kalra

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第9話:お仕事ネコ

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~The cat is working~

「市ノ瀬さんのお仕事場に行きたいです!」

ここ数日、音子が騒ぐ。
大抵は朝出勤するときに言うが、帰ってきてから「明日こそは!」と言うこともあった。

その度に「またな」「今度な」「いつかな」とのらりくらりとかわしていたが、あまりにも何度も言うので、ついに折れてしまった。

考えてみれば、この間の残業事件(?!)があってから言い出したということもあり、俺としても若干罪悪感が刺激されていたというのもある。

もちろん、くだんの事件の後、悲劇を繰り返さないためにも、音子用にスマホ(一番安いヤツ、かつ、俺とのデータシェアで通信料はかからないようにしている)を購入するなど対策は取ったが、音子としては昼間に俺がどこで働いているかをちゃんと確認したいと思っているらしいのだ。

『よか・・・た・・・市ノ瀬・・・さんが、帰ってこなかったらどうしようって・・・私・・・』

音子はあの時そう言った。『俺が帰ってこない』という事態を恐れたのだ。

彼女の過去に何があったかは知らないが、もしかしたら周囲にいる人が絶対に帰ってくる、と信じることすらできないような環境だったのかもしれない。

一度見せれば安心するだろう、という見通しもあったので、来週の水曜日に連れて行くと約束をした。当たり前だが、部外者を会社の中に入れることはできないので、そのことは重々説明をしておいた。

実は、俺が指定した日は、珍しく俺が外で仕事をする日でもあった。
なので、仕事をしているところを見たい、という音子の要望にも答えることができるのである。

☆☆☆
約束の日、当日。
音子は俺が出勤準備をするのに合わせて服を着替え、髪をとかしている。鼻歌混じりに上機嫌で準備をしているところを見ると、一緒に家を出られるのが相当嬉しいらしい。
その姿は正直微笑ましく、可愛らしいのだが、極力見ないようにする。

俺はいつものワイシャツ、パンツ姿だ。
一方、音子は薄いブルーのワンピースに白いつば広帽、それに、この間購入したネコの絵をあしらった日傘という出で立ちだ。正直、夏っぽく、爽やかでかわいい。目の毒だ。

家を出ると、すかさず腕を組んできたので、とりあえず引き離す。

「えーなんでですか!」と不服な声を上げるが、そんな姿で出勤して、万が一職場の同僚などに見られた日には永遠の慰み物になりかねない。

「市ノ瀬さんのお仕事場って、どんな感じですか?」
「市ノ瀬さんって、どんなお仕事なんですか?」
「お昼はどうするんですか?」
「お休み時間はあるんですか?」

などなど・・・駅に向かう道すがら、音子は興奮冷めやらぬのか、ずーっと喋っていた。
それに対して、俺は、「まあ普通の職場だ」「イベント企画したり、実行したり」「食堂だ」「ある」と当たり障りなく答えていく。

こいつ、ものすごいウキウキしている。
あまりのテンションの高さに、若干俺は辟易した。

駅に到着し、電車に乗り込む。最寄り駅から会社までは地下鉄に乗っていく。この時間、いつも結構混んでいる。音子はどうやら満員電車というものに乗り慣れていないらしく、乗り込むときにまんまと人波に押し流され、あっという間にはぐれてしまう。
一体どこに行った!?

「いーちーのーせーさーん!たーすーけーてー!!!」

困ったのもつかの間だった。電車が動き出すと、遠くの方でぴこぴこと手を振り、助けを求める声がする。音子だ。やめろ、ものすごく恥ずかしい。なんだ!?お前。

次の駅までの間、ずーっとその調子で助けを求め続けたので、たまらない。停車したタイミングでなんとか人波をかき分け、音子の近くまで寄っていき保護する。そうしたら、今度はガシッと抱きついてくる。「こ、こら・・・」と引き離そうとするが、音子は無言で首をふるふる振って離そうとしない。あまり動くわけにもいかず、結局、電車の中での『羞恥抱きつきの刑』に耐える羽目になってしまった。先程の騒ぎをみんな見聞きしている。周囲の人がクスクスと笑っている気がしてならない。いや、実際笑っていた。

30分ほど電車に揺られ、やっと会社最寄り駅にたどり着いた。

ああ・・・どっと疲れた・・・。
朝なのに、一日の体力の八割方消費した気分だ。

「ここが俺の仕事場だ」
目の前のビルを音子に示す。音子は「ほえー」とビルを見上げて感嘆の声を上げる。

「市ノ瀬さんの会社は大きいですねぇ。ここの何階ですか?」
「9階だ」
「じゃあ、万が一のことがあったら、ここで市ノ瀬さんを呼ぶことにします。
 『9階の市ノ瀬直行さん』って言えば分かりますか?」
いや、マンションの呼び出しじゃないんだから、と思うが、面倒なので、そのままにすることにした。

感心している音子に今後の予定を手短に伝える。先にも言ったように、今日は外での仕事だ。一般市民向けの講演会を行うための準備をするのと、一応、開会の挨拶も俺がやる。その会場と時間を音子に教える。

「いいか、何かあったら、俺に電話するんだぞ」
「はい!」
音子はポーチに入っている買ったばかりのスマホをぽんと叩く。これも音子のお気に入りだ。
なんでも「いつでも市ノ瀬さんと繋がれます。最高です!」だそうだ。そんなことをいい笑顔で言われたら鼻血出そうになる。やめてほしい。

準備のために俺が会社ビルから外に出るまでには、まだ2時間程度ある。それまで、音子には近くの図書館にでも行っていてもらうことにした。

☆☆☆
「ああ、朝霞くんと庄司くんは受付の確認を。それから山口は講師控室の準備。山内と木下は機材点検を。後の者は配布資料のセットを頼む。」

部下に指示を出す。ホテルのホール横の大会議室を借り出しての講演会だ。公募で申し込んできた一般市民が対象なので、なにかトラブルがあるといけない。一応現場責任者としてあちこちに目を光らせる。

会場準備は良さそうだな。受付は・・・。

「課長、ちょっといいですか?」
受付の確認をしようと立ち寄ったとき、朝霞くんが寄ってくる。
朝霞くんはうちの部署のナンバー2。俺の直属の部下の中でも優秀な女性だ。30代後半ですらっと背が高く、キビキビとよく動いてくれる。ユーモアのセンスもあり、後輩の面倒見も良い。うちの課になくてはならない人物だ。
「名簿のチェックをしていたのですが、どうも一枚足りないようで・・・」
「それは困ったな・・・誰か手の空いているやつに取りに行かせようか」
俺は、椅子を運んでいた大田に声をかけ、オフィスに取りに行くように指示した。
大田を見送りながら、見ると、入口入ってすぐの柱の陰に見慣れた影がある。

「・・・音子!?」
まだ準備中だ。大人しく図書館にでもいろよ。
心の中で念じるが、音子は柱の陰から、じーっとこっちを見ている。

「え?ネコちゃん?」
朝霞くんがキョロキョロとあたりを見渡す。
「いや・・・猫じゃなくて・・・」
「ああ!本当だ!課長、本当にネコ好きなんですね!」
朝霞くんの視線を追うと、ホテルのガラス戸の向こうに黒猫がゆうゆうと歩いていた。本当に居たよ、ネコ。
「ああ・・そ、そうなんだ。猫好きでね・・・ついね・・・」

「課長!席次の指定表なのですが・・・」
別方向から今度は庄司くんが声をかけてくる。彼女は中堅の女性だ。ハーフアップの髪で愛嬌がある。見た目は活発な印象だが、話してみるとおっとりしている。若干ぽやっとしているところはあるが、真面目だし、手堅く仕事をしてくれる。
「どうした?」
「貼り付ける場所は前後2箇所でいいですか?」
「ああ。いいと思うよ」
「分かりました。あ、課長・・・スーツにホコリついてますよ」
そう、俺は開会の挨拶があるので、この暑い中、スーツにネクタイという姿に着替えている。会社に置きっぱなしにしているスーツだったので、ホコリまで気づかなった。
少しかがむと、襟についたホコリを庄司くんがそっと取ってくれる。
「取れましたよ。挨拶、がんばってくださいね!」
「お、おう・・・。」

その瞬間、ゾクリと背筋が冷たくなる。
なんだ・・・この悪寒は・・・。
朝霞くんや庄司くんに気取られないように、そっと背後を確認すると、音子がギュッと柱を掴んでじーっとこっちを見ている。

「大体、準備が終わりました。課長も休憩されますか?」
庄司くんが言う。
「課長、ネコちゃんと遊んできてもいいですよ?」
朝霞くんがいたずらっぽく笑う。「あ、でも」
「お外のネコちゃんと遊ぶと、お家のネコちゃんが嫉妬しちゃうかもですね。うちで昔飼っていたネコもそうだったんですけど、他のネコを撫でたりすると、その匂いがするのか、フーって威嚇されたりしましたもの」
嫉妬・・・まさかな・・・。朝霞くんの言葉を受けて、若干、背後から感じる音子の視線がまるで自分に突き刺さっているような気になるが・・・そんなわけないよな。うん、ないない。

「えー課長、ネコ飼ってるんですか?今度写真見せてくださいよぉ」
庄司くんが無邪気に言う。
「ああ・・・特に写真とかないから・・・」
適当に笑ってごまかすしかない。写真など、見せられるわけがないからだ。

☆☆☆
「ここに、市民講演会を開催いたします。
 本講演が皆様の日頃の生活を潤す一助となれば幸いです。
 それでは、少し長丁場になりますが、ご清聴のほど、よろしくお願いします」

舞台上で頭を下げる。これで、俺の出番は大体終わりだ。
あとは、招聘した大学の先生の講演の後、先生へ御礼の言葉の一つでも述べれば管理職としては役割を果たしたことになる。

音子は会場の一番うしろにちまっと座っている。一般市民講座なので、ドサクサに紛れてひとりぐらい多く座っていてもわかりゃしない。ちなみに俺の開会の挨拶の時、一番うなずいていたのが音子だった。

大学教授の先生の講演のテーマは「犯罪と都市環境づくり」だ。犯罪が起きにくい環境を市民みんなで作りましょう、というお話だ。俺は面白いと思って聞いていたのだが、音子には退屈だったらしく、ものすごい勢いで船を漕いでいた。

まあ、こんなわけで、あれやこれやと細かなことは色々あったが、とりあえず、大きなトラブルがなく、ここのところのメインの仕事である、市民講演会は無事閉会を迎えた。

☆☆☆
講演会の片付けを終え、責任者である俺と朝霞くん、庄司くんなどのメインスタッフ以外のほとんどは現地解散となった。俺たちは一旦会社に戻って終了報告くらいはしないといけない。

まあ、それでも退社時間はいつもと同じくらいだ。
会社のエントランスで、適当な言い訳を付けて朝霞くんと庄司くんを引き離すと、俺は音子との待ち合わせ場所に急いだ。
あまり待たせると、また不安になるかも知れないと思い、自然と足が早まる。

待ち合わせ場所が近づくと、音子がベンチに座っているのが見えた。よかった。普通にちゃんといた。安心して歩調を緩める。

音子も俺に気づいたようで、ぱっとこっちを見たので、軽く手を振った。
音子も大きく手を振る。

「いーちーのーせーさーん!!!」

大声で俺の名を呼ぶと、ダダダダダダ~っと猛然とダッシュしてくる。

なんだ!?抱きついてくるのか!?

ところが、飛びつかんばかりに突っ込んできた音子だったが、予想に反して俺の胸元を両手でガシッと掴む。

え?!

そしてそのまま顔をぐっと胸元に近づけると、くんくんと匂いを嗅ぎだした。
「ちょ・・・おま・・・何して・・・?」
あまりの戸惑いに言葉にならない。しばらくくんくんとすると、「うーむ」と唸り、やっと解放された。

なんだ、なんだ!?

「いや、変な匂いがついてないかと・・・」

なんだ・・・変な匂いって・・・。
そして、どうやらその「変な匂い」とやらはついていなかったようだ。

これで終わりか、と思ったのだが、一緒に帰る道すがら、地下鉄の中、歩いている時、事あるごとに、

「今日は、両手に花でしたね」
「美人さんが多いですね」
「お洋服直してもらっていましたね」
「みんな優しそうな女の子ばかりですね」
「音子とは手も繋いでくれなかったのに・・・」
などなど・・・。

こ・・・これは・・・。

『お外のネコちゃんと遊ぶと、お家のネコちゃんが嫉妬しちゃうかもですね。』
朝霞くんの言葉が鮮明に蘇る。

こんなふうになるものなのか。ヤキモチってやつか!?

最寄り駅を出ると、「手繋いで」「腕組んで!」とさらに身体を近づけてくる。なんとか、引き離そうとする。

「うう・・・会社の子の方がかわいいんだ・・・」
「音子は・・・音子は・・・」

こっちを見ずに、ぶつぶつと言う。
俺は軽く頭を押さえる。

「会社の子とお前は違う!」
「そもそも手を繋がなくても、お前は朝抱きついてただろ」
ツッコミどころ満載だ。
それに、今日に限らず、夜は腕枕だし、たまに抱きついて寝てるし・・・

そう言っても、「でもでも・・・」と音子のヤキモチは家に帰るまで続き、寝るときに至っても、

「今日、音子は市ノ瀬さんのお仕事いっぱい見学して、疲れたので、抱っこして寝たいです!」
と断固主張し、断る隙も与えないまま、ぎゅぎゅぎゅーっと抱きついたまま眠りについた。

額をグリグリと俺の胸にこすりつける姿は、まるで、本当の猫が主人に自分の匂いをつけようとしているかのようだった。

そして、いつものように、音子はあっという間に眠りについた。
疲れていたというのは本当のようだ。

☆☆☆
音子はスースーと気持ちよさそうに寝息を立てているが、ギュッと抱きしめられたままのせいか、一方の俺はなかなか眠れなかった。

目を開けると、目の前には音子の頭頂部が見える。
この子はいったいなんなんだろう。

音子がうちに来てからというもの、幾度ともなく抱いた疑問だ。

こんなおじさんに、こんなに好き好きアピールをして。
手をつなぎたがったり、一緒に寝たがったり。
俺がもし、お前のことを襲ったらどうするつもりだ!?

「音子は全然構いません!」
とか言うのか?言いそうだな。

ただな・・・。お前の未来に俺の入る余地はないよ。
年齢が違いすぎるだろ・・・。

それなのに・・・

俺は今日ことを思い出す。俺が他の女性と話しただけであんなにヤキモチを焼くとは。
正直、ちょっと面倒くさい。
ただ、なぜだかちょっと、ほんのちょっとだけだけど、嬉しかった。

こんなに大事に思われてると感じたのはいったい何年ぶりだろうか?
もしかしたら、前の妻との間でもこんな感じを抱くことはなかったかもしれない。

周囲の人が俺に求めているのは、「機能」で、俺の「存在」じゃない。
金を稼ぐ機能、
仕事をする機能、
自分の都合よく何かをしてくれる、そんな「機能」。

機能は代替が効く。
いい例が前妻だ。金さえ払ってくれればいいと言う。

でも、音子は俺そのものを求めている。俺の「存在」をひたすらに求める。
それが、俺にとって、どんなに嬉しいことか、音子はわかるだろうか。

ああ、まずいな・・・。俺は音子を『愛おしい』と思い始めてしまっている。
未来なんてないのに・・・、苦しい結末になるのは分かっているのに・・・。

でも・・・。ここまでひとりで頑張ってきたんだ。こうして目の前にある、こんなにも温かい気持ちを、もう少しだけ、感じてもいいのではないだろうか。

傷つけないから、絶対、悲しませないから。
だから、すまない・・・、ちょっとだけ、わがままをさせて欲しい。

この日、俺は初めて、音子の身体に腕を回して、そっと自分の身に抱き寄せてしまった。
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