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溶
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週末の日が暮れる頃になると君からの連絡を無意識に待っている。
無意識に、と言うには都合が良過ぎるかも知れないが、例えば朝起きて歯を磨くのと同じくらいには習慣になっている。
「夜うちで飲む?」や「映画を観よう」などという誘いを快諾し、本音と建前が心地よく溶けあった温い会話を交わす。
気がつけば互いの視線が熱く絡まり合い、求め合い、抱き合い、果てる。
君は疲れたのか、はたまた用済みだと言わんばかりに背を向け眠ろうとする。
そんな君の背を見つめる事しか出来ず、1人微睡む。
そして日が昇れば、今度は自分が君に背を向け家を出て、孤独にかえる。
2人で過ごすには狭い部屋、徒歩10分のコンビニまでの道のりに君との思い出が半年分。
たかが数時間、週に1回、月に2、3回、半径1km以内の小さな世界の話。
そんな世界に希望を持った。
いつかきっと君と笑い合える日々を過ごし、数年後、数十年後の未来を誓い合う。
それはただの妄想に過ぎなかった。
いつか必ず大人になり海を悠々と漂うことを信じて疑わないマンボウの卵の様に愚かだった。
次の週末。
君からの連絡を待たないように意識する。
必死に手を動かし、気を紛らわせる。
震えた携帯を手に取った後に「しまった」と気づく。
「今日一緒に映画見る?」
君は変わらない。
「忙しいから行けない。」
自分は変われる。
「君の好きな監督の作品なのにな」
「ざんねん」
君は変わらない。
「ありがとう。」
自分が変わるしかない。
「また来週だね。」
「楽しみ。」
君はどんな時も変わらない。
君はどんな時も素直だ。
その素直さが好きで好きで、嫌いだ。
「 」
自分は変われ
無意識に、と言うには都合が良過ぎるかも知れないが、例えば朝起きて歯を磨くのと同じくらいには習慣になっている。
「夜うちで飲む?」や「映画を観よう」などという誘いを快諾し、本音と建前が心地よく溶けあった温い会話を交わす。
気がつけば互いの視線が熱く絡まり合い、求め合い、抱き合い、果てる。
君は疲れたのか、はたまた用済みだと言わんばかりに背を向け眠ろうとする。
そんな君の背を見つめる事しか出来ず、1人微睡む。
そして日が昇れば、今度は自分が君に背を向け家を出て、孤独にかえる。
2人で過ごすには狭い部屋、徒歩10分のコンビニまでの道のりに君との思い出が半年分。
たかが数時間、週に1回、月に2、3回、半径1km以内の小さな世界の話。
そんな世界に希望を持った。
いつかきっと君と笑い合える日々を過ごし、数年後、数十年後の未来を誓い合う。
それはただの妄想に過ぎなかった。
いつか必ず大人になり海を悠々と漂うことを信じて疑わないマンボウの卵の様に愚かだった。
次の週末。
君からの連絡を待たないように意識する。
必死に手を動かし、気を紛らわせる。
震えた携帯を手に取った後に「しまった」と気づく。
「今日一緒に映画見る?」
君は変わらない。
「忙しいから行けない。」
自分は変われる。
「君の好きな監督の作品なのにな」
「ざんねん」
君は変わらない。
「ありがとう。」
自分が変わるしかない。
「また来週だね。」
「楽しみ。」
君はどんな時も変わらない。
君はどんな時も素直だ。
その素直さが好きで好きで、嫌いだ。
「 」
自分は変われ
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