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7話 妖精の瞳3
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ちっとも楽しくない朝食の時間が終わった。だが、両親とシエナは楽しそうだ。
「さあ、リビングルームへ移り、二人の結婚式の予定でも立てようか」
「そうね」
両親はまだ楽しそうに会話している。
「け、結婚式!」
シエナだけ結婚式が非現実的みたいに慌てる。
「いやね、シエナ。今更恥ずかしがって。あなた、今日おかしいわよ」
ころころと声を上げて、母親が笑った。
「あ、そうですね」
シエナは取り繕うように笑んだ。ハリーだけが分かっていた。シエナは、自分の本当の婚約者ではないと。
(今日のおかしなことが本当にシエナのせいか、確認しないと!)
「シエナ……。話があるんだが」
シエナはぽかんとしている。今からリビングルームへ行こうとしていたのだろう。
「え。でもこれからおば様とおじ様と」
「いいから!」
シエナの腕を掴み、ハリーは研究室のある四階へと続く螺旋階段をずかずかと昇っていく。ばんと研究室の扉を開いて、シエナの腕を離す。ハリーはシエナに向き直る。
「ハリー様、どうしたのですか?」
不思議そうに下からハリーを金色の瞳で見上げる。ハリーは、その不安に揺れる金色の瞳に囚われそうな心地に陥った。
(わ、私はどうしたのだ。私らしくもない)
ハリーは、ぶんぶんと首を勢い良く振り、己を正気に戻す。話を切り出さなくてはいけない。
「シエナ。私は朝から鳥の声を聴いたり、妖精の姿を見たり、おかしいんだ! 昨日まではこんなことはなかった! それにシエナ、君は誰だ! 私に昨日まではシエナなどという婚約者はいなかった!」
シエナは驚いたように金色の瞳を瞬かせた。そして、くすりと微笑する。その笑顔が先ほどまでの麗しいハリーの婚約者のシエナではなかった。
「まあ。私の魔法が効いてない。すごいわ」
ふふふと笑うシエナは、被っていた淑女の仮面をかなぐり捨てていた。
「にゃあ」
ラブが飛びあがって、シエナの肩に乗る。
「ね、猫!」
腰を抜かしそうな程怖いが、ハリーはぴんと背筋を伸ばした。恐怖心に打ち負けてはいけない。
「あら。ハリー様は猫がお嫌いで?」
くすくす笑うシエナに馬鹿にされているようでハリーはかちんときた。
「そうだ! 昔、猫に噛まれてから猫は嫌いだ!」
シエナの醸し出す空気に圧倒されまいと大声を上げる。
『失礼ね! 私は猫じゃないわよ! シエナの使い魔よ!』
白いマンチカンの姿の猫が喋ったのだ。ハリーは呆然とした。
「そうよね。失礼よね」
シエナは肩に乗る己の相棒を指で撫でた。
「ね、猫が喋った?」
絶句するハリーにシエナは笑い声を上げた。
「改めて初めまして、ハリー。私は魔女のシエナよ。あなたの運命の相手よ」
「はあ?」
自己紹介で運命の相手と言われるとは思わないハリーは、思考停止した。
「あなたは、妖精が見えて、鳥の声が聞こえたんでしょう? それは『妖精の瞳』を手に入れたのよ。あなたは神によって私の運命の相手に選ばれたのよ」
シエナは、訳の分からない用語を駆使して、話していた。ハリーは今日の鳥の声が聞こえてから我慢していたが、限界を迎えていた。
「運命の相手? 魔女? 『妖精の瞳』? どういうことだ!」
切れたハリーにシエナは言葉を返す。
「まあ、落ち着いて」
「これが落ち着けるか!」
シエナはふうと嘆息すると、話し始めた。
「私は塔に住む魔女よ。昔、魔女は神と人を繋ぐシャーマンだったの。それが人間は科学を作り出して、神や自然から心が離れてしまったの。それからシャーマンたちは『魔女』という存在になった。そして、静かに森や神殿に隠れ住んでいた私たちを人間たちは狩りだしたのよ。『魔女狩り』という名でね。今、私たちは人間界と神の世界の狭間にある塔という場所に集まってくらしているわ」
シエナは言葉を選びながらハリーに説明していた。だが、ハリーは我慢できない。
「魔女が私と何の関係が!」
「まあ、待って。私は人間界に忍んでやってきたの。舞踏会で人間に紛れて遊んでいたの。そしたら舞踏会からバルコニーへ抜け出てきたあなたに一目惚れしたの。それで魔女は、人間の瞳には映らないわ。私、あなたの瞳に映りたくて、『愛の囁き』の魔法を使ったの。魔女が『愛の囁き』を囁くと、相手が魔女の運命の相手ならば、神から祝福の力が贈られるの。それが『妖精の瞳』という魔女や妖精が見える瞳よ」
シエナはハリーに分かるように話してくれているが、ハリーは首を傾げた。
「『愛の囁き』?」
ハリーは確認するかのように単語を反芻する。
「魔女が、好きになった相手にその言葉通り、愛を囁くことよ。あなたが神様から祝福を贈られるなんて! あなたが私の運命の相手なんて幸せ!」
シエナは、完璧自分の世界に入り込んでいる。頬を染めて、下を向いた。対して、ハリーも完璧混乱していた。
「さあ、リビングルームへ移り、二人の結婚式の予定でも立てようか」
「そうね」
両親はまだ楽しそうに会話している。
「け、結婚式!」
シエナだけ結婚式が非現実的みたいに慌てる。
「いやね、シエナ。今更恥ずかしがって。あなた、今日おかしいわよ」
ころころと声を上げて、母親が笑った。
「あ、そうですね」
シエナは取り繕うように笑んだ。ハリーだけが分かっていた。シエナは、自分の本当の婚約者ではないと。
(今日のおかしなことが本当にシエナのせいか、確認しないと!)
「シエナ……。話があるんだが」
シエナはぽかんとしている。今からリビングルームへ行こうとしていたのだろう。
「え。でもこれからおば様とおじ様と」
「いいから!」
シエナの腕を掴み、ハリーは研究室のある四階へと続く螺旋階段をずかずかと昇っていく。ばんと研究室の扉を開いて、シエナの腕を離す。ハリーはシエナに向き直る。
「ハリー様、どうしたのですか?」
不思議そうに下からハリーを金色の瞳で見上げる。ハリーは、その不安に揺れる金色の瞳に囚われそうな心地に陥った。
(わ、私はどうしたのだ。私らしくもない)
ハリーは、ぶんぶんと首を勢い良く振り、己を正気に戻す。話を切り出さなくてはいけない。
「シエナ。私は朝から鳥の声を聴いたり、妖精の姿を見たり、おかしいんだ! 昨日まではこんなことはなかった! それにシエナ、君は誰だ! 私に昨日まではシエナなどという婚約者はいなかった!」
シエナは驚いたように金色の瞳を瞬かせた。そして、くすりと微笑する。その笑顔が先ほどまでの麗しいハリーの婚約者のシエナではなかった。
「まあ。私の魔法が効いてない。すごいわ」
ふふふと笑うシエナは、被っていた淑女の仮面をかなぐり捨てていた。
「にゃあ」
ラブが飛びあがって、シエナの肩に乗る。
「ね、猫!」
腰を抜かしそうな程怖いが、ハリーはぴんと背筋を伸ばした。恐怖心に打ち負けてはいけない。
「あら。ハリー様は猫がお嫌いで?」
くすくす笑うシエナに馬鹿にされているようでハリーはかちんときた。
「そうだ! 昔、猫に噛まれてから猫は嫌いだ!」
シエナの醸し出す空気に圧倒されまいと大声を上げる。
『失礼ね! 私は猫じゃないわよ! シエナの使い魔よ!』
白いマンチカンの姿の猫が喋ったのだ。ハリーは呆然とした。
「そうよね。失礼よね」
シエナは肩に乗る己の相棒を指で撫でた。
「ね、猫が喋った?」
絶句するハリーにシエナは笑い声を上げた。
「改めて初めまして、ハリー。私は魔女のシエナよ。あなたの運命の相手よ」
「はあ?」
自己紹介で運命の相手と言われるとは思わないハリーは、思考停止した。
「あなたは、妖精が見えて、鳥の声が聞こえたんでしょう? それは『妖精の瞳』を手に入れたのよ。あなたは神によって私の運命の相手に選ばれたのよ」
シエナは、訳の分からない用語を駆使して、話していた。ハリーは今日の鳥の声が聞こえてから我慢していたが、限界を迎えていた。
「運命の相手? 魔女? 『妖精の瞳』? どういうことだ!」
切れたハリーにシエナは言葉を返す。
「まあ、落ち着いて」
「これが落ち着けるか!」
シエナはふうと嘆息すると、話し始めた。
「私は塔に住む魔女よ。昔、魔女は神と人を繋ぐシャーマンだったの。それが人間は科学を作り出して、神や自然から心が離れてしまったの。それからシャーマンたちは『魔女』という存在になった。そして、静かに森や神殿に隠れ住んでいた私たちを人間たちは狩りだしたのよ。『魔女狩り』という名でね。今、私たちは人間界と神の世界の狭間にある塔という場所に集まってくらしているわ」
シエナは言葉を選びながらハリーに説明していた。だが、ハリーは我慢できない。
「魔女が私と何の関係が!」
「まあ、待って。私は人間界に忍んでやってきたの。舞踏会で人間に紛れて遊んでいたの。そしたら舞踏会からバルコニーへ抜け出てきたあなたに一目惚れしたの。それで魔女は、人間の瞳には映らないわ。私、あなたの瞳に映りたくて、『愛の囁き』の魔法を使ったの。魔女が『愛の囁き』を囁くと、相手が魔女の運命の相手ならば、神から祝福の力が贈られるの。それが『妖精の瞳』という魔女や妖精が見える瞳よ」
シエナはハリーに分かるように話してくれているが、ハリーは首を傾げた。
「『愛の囁き』?」
ハリーは確認するかのように単語を反芻する。
「魔女が、好きになった相手にその言葉通り、愛を囁くことよ。あなたが神様から祝福を贈られるなんて! あなたが私の運命の相手なんて幸せ!」
シエナは、完璧自分の世界に入り込んでいる。頬を染めて、下を向いた。対して、ハリーも完璧混乱していた。
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