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20話 魔女らしくない彼女4
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シエナから預かった日傘を持ってハリーを案内していたメアリがやってくる。
「院長先生、また孤児院の方でお仕事をしていたのですか?」
「あら、おほほ」
呆れている口調のメアリに院長は笑って誤魔化す。
「ダドリー伯爵家の長子のラッセル男爵とその婚約者のシエナ様をお連れ致しました。全く」
ほぼ、さぼっている院長を見つけて、メアリはふうとため息を吐いた。
エミリーと子どもたちが、シエナへ楽しそうに鬼ごっこの遊び方を教えている。
「シエナ様が鬼! 隠れろっ!」
子どもたちがわーっと声を上げて、散り散りになった。
「いち、に、さん、し」
シエナが両手で目を隠して数を数えている。そこへハリーがやってきた。
「シエナ、君は何をしている?」
子どもたちと大真面目に遊んでいるシエナにハリーは呆気に取られていた。
「ハリー様! 子どもたちとかくれんぼをしてます!」
目隠しをしていた両手を外して、楽しそうに語る。
「あらあら。子どもたちと遊んでくださっているのね」
先ほど会った老婦人がシエナに微笑みかける。
「?」
誰だという顔をしたシエナにハリーは紹介をする。
「シエナ、こちらが院長先生だ」
老婦人が院長と知ったシエナは、あわあわと慌てた。
「も、申し訳ございません! ご挨拶もせず、シエナと申します」
院長は、シエナの先ほどの不躾な視線を気に留めず、笑っていた。
「院長のリリー=ノースと申します。慰問の貴族を嫌うあの子たちがあんなにシエナ様に懐いて……。シエナ様はとても魅力的な方ですね。ラッセル男爵は素敵な方を婚約者にされましたね」
ニコニコ笑う院長にシエナとハリーは仰天した。院長は、一見優しいが気難しいとダドリー伯爵夫人から聞いていたからだ。
「あ、ありがとうございます。子どもは大好きです。可愛くて、無邪気でこっちまで元気をもらえる存在です」
シエナの受け答えを受けて、院長は笑顔になる。
「ダドリー伯爵夫人があなたを気に入ったのがわかるわ。クッキーを作っているの。良かったら手伝って頂けると嬉しいわ」
破顔した院長にシエナは戸惑うが、首を縦に振った。
「あ、はい!」
かくれんぼの鬼が来ないので、待ちかねた子どもたちが、わらわら集まってくる。
「シエナ様、遅い!」
エミリーがシエナの手を引いて怒っているが、院長の次の科白を聞いてぱっと喜んだ。
「ふふ。シエナ様は院長先生とクッキーを焼くのよ」
「わーい! 院長先生のクッキー、大好き!」
エミリーはシエナの手を掴んでぴょんぴょんと跳ねた。子どもたちは大喜びだ。
「ラッセル男爵とそこの猫ちゃんのいらっしゃいな」
院長は手持ち無沙汰の二人を呼ぶのも忘れていなかった。
「あ、はい」
『にゃん』
ハリーの肩に乗っていたラブが、ぴょんと地面に降り立った。ご機嫌よく尻尾をゆらゆらしていたラブがその後、子どもたちのおもちゃにされたのは言うまでもない。
修道院のキッチンでシエナと院長はクッキーを作っていた。ボウルに溶かしたバターを混ぜて卵を割り入れ、砂糖と薄力粉を混ぜ入れる。そして、生地を伸ばし棒で伸ばして、型を整えて、オーブンに入れた。密閉式レンジにクッキーを入れて焼きあがった。
「あ~。院長先生、一部焦げてます!」
「あらあら」
シエナの楽し気な声がキッチンに響く。子どもたちはクッキーの焼きあがったいい匂いにつられて、キッチンを覗き込んでいた。
「ふふ~。ハリー様、ラブ。クッキーが焼けましたよ! はい!」
シエナは成功したクッキーをえいっとハリーとラブの口の中に放り込んだ。咀嚼すると、素朴な味が口いっぱいに広がる。
「ありがとう。美味しいな」
『にゃー』
ハリーとラブは笑顔でクッキーを食べた。
「あ! シエナ様と婚約者様、仲良し!」
クッキーを院長からもらって食べている子どもたちがわあーとシエナとハリーを囃し立てた。その言葉にシエナとハリーは顔を見合わせて、真っ赤になる。
「あらあら」
院長が子どもたちの中心にいる二人を優しく見守っていた。
「院長先生、また孤児院の方でお仕事をしていたのですか?」
「あら、おほほ」
呆れている口調のメアリに院長は笑って誤魔化す。
「ダドリー伯爵家の長子のラッセル男爵とその婚約者のシエナ様をお連れ致しました。全く」
ほぼ、さぼっている院長を見つけて、メアリはふうとため息を吐いた。
エミリーと子どもたちが、シエナへ楽しそうに鬼ごっこの遊び方を教えている。
「シエナ様が鬼! 隠れろっ!」
子どもたちがわーっと声を上げて、散り散りになった。
「いち、に、さん、し」
シエナが両手で目を隠して数を数えている。そこへハリーがやってきた。
「シエナ、君は何をしている?」
子どもたちと大真面目に遊んでいるシエナにハリーは呆気に取られていた。
「ハリー様! 子どもたちとかくれんぼをしてます!」
目隠しをしていた両手を外して、楽しそうに語る。
「あらあら。子どもたちと遊んでくださっているのね」
先ほど会った老婦人がシエナに微笑みかける。
「?」
誰だという顔をしたシエナにハリーは紹介をする。
「シエナ、こちらが院長先生だ」
老婦人が院長と知ったシエナは、あわあわと慌てた。
「も、申し訳ございません! ご挨拶もせず、シエナと申します」
院長は、シエナの先ほどの不躾な視線を気に留めず、笑っていた。
「院長のリリー=ノースと申します。慰問の貴族を嫌うあの子たちがあんなにシエナ様に懐いて……。シエナ様はとても魅力的な方ですね。ラッセル男爵は素敵な方を婚約者にされましたね」
ニコニコ笑う院長にシエナとハリーは仰天した。院長は、一見優しいが気難しいとダドリー伯爵夫人から聞いていたからだ。
「あ、ありがとうございます。子どもは大好きです。可愛くて、無邪気でこっちまで元気をもらえる存在です」
シエナの受け答えを受けて、院長は笑顔になる。
「ダドリー伯爵夫人があなたを気に入ったのがわかるわ。クッキーを作っているの。良かったら手伝って頂けると嬉しいわ」
破顔した院長にシエナは戸惑うが、首を縦に振った。
「あ、はい!」
かくれんぼの鬼が来ないので、待ちかねた子どもたちが、わらわら集まってくる。
「シエナ様、遅い!」
エミリーがシエナの手を引いて怒っているが、院長の次の科白を聞いてぱっと喜んだ。
「ふふ。シエナ様は院長先生とクッキーを焼くのよ」
「わーい! 院長先生のクッキー、大好き!」
エミリーはシエナの手を掴んでぴょんぴょんと跳ねた。子どもたちは大喜びだ。
「ラッセル男爵とそこの猫ちゃんのいらっしゃいな」
院長は手持ち無沙汰の二人を呼ぶのも忘れていなかった。
「あ、はい」
『にゃん』
ハリーの肩に乗っていたラブが、ぴょんと地面に降り立った。ご機嫌よく尻尾をゆらゆらしていたラブがその後、子どもたちのおもちゃにされたのは言うまでもない。
修道院のキッチンでシエナと院長はクッキーを作っていた。ボウルに溶かしたバターを混ぜて卵を割り入れ、砂糖と薄力粉を混ぜ入れる。そして、生地を伸ばし棒で伸ばして、型を整えて、オーブンに入れた。密閉式レンジにクッキーを入れて焼きあがった。
「あ~。院長先生、一部焦げてます!」
「あらあら」
シエナの楽し気な声がキッチンに響く。子どもたちはクッキーの焼きあがったいい匂いにつられて、キッチンを覗き込んでいた。
「ふふ~。ハリー様、ラブ。クッキーが焼けましたよ! はい!」
シエナは成功したクッキーをえいっとハリーとラブの口の中に放り込んだ。咀嚼すると、素朴な味が口いっぱいに広がる。
「ありがとう。美味しいな」
『にゃー』
ハリーとラブは笑顔でクッキーを食べた。
「あ! シエナ様と婚約者様、仲良し!」
クッキーを院長からもらって食べている子どもたちがわあーとシエナとハリーを囃し立てた。その言葉にシエナとハリーは顔を見合わせて、真っ赤になる。
「あらあら」
院長が子どもたちの中心にいる二人を優しく見守っていた。
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