Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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5章

37話「決戦」

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―ルッセルチーム―


「マスターあれは!」

 ルッセル達がシュヴァルツ・サーヴァラーに辿り着くと、セフィアが空を指さした。

「悪魔に見えますね。でも容姿はダスト殿です。賢神の力の影響と考えた方が無難ですね」
「全く、厄介な話よ」

 相手がウィザードである以上飛翔の術を絡めたある程度の空中戦は想定していたが、翼を生やした悪魔に近い姿になっていた事は予想外だった。
 ルッセル自身が持つ剣技も応戦可能だがこちら側が不利なのは明確だった。

「ダストの性格上、セザールタウンその物を支配したい事は確実でしょう」
「そうね。セザールタウン中央部に向けて魔法を撃ってるわ」

 セフィアが額に一筋の汗を伝わせながらゆっくりと告げた。

「皆さん、レジストを受け次第ダストに仕掛けます。私が先行しますので皆さんは私より後方に構えて下さい」

 同行したメンバーはルッセルの指示に従い準備を整えた。
 ハイ・プリーストが掛ける『魔法抵抗(レジスト)』の光がみなの身体を包み込んだ事を確認したルッセルは闘気を集め、上空に居るダスト目掛け跳躍した。


―ダスト―

「チッ! ゴミの分際で抵抗してんじゃねぇ!」

 早速賢神の石の力を試すべく、セザールタウン中央部に向け氷属性の魔法を放ったダストであるが、冒険者ギルドの要請により派遣されたプリースト達の手により街への被害が押さえられた事に対して悪態を付いている。

「糞が! 一般人如き逃がして何の意味がありやがる!」

 セザールタウンを歩く一般人は既に避難命令を受け安全な場所に退避していた。

「ケッ! 賢神の石つってもこの程度の力かよ!」

 ダストとしてはもっと強大な力が手に入る物だと思っている様だ。
 だが、ダストの魔法攻撃を受けたプリースト達の消耗は激しく彼自身が考えている以上にその魔力は強大であった。

「短絡的なのだな」
「うるせぇ! 俺様に指図するな!」

 ダストの近くを滞空している悪魔が放つ言葉に対しそれを全否定した

「まぁよい、セザールタウンを破壊出来るだけでも我々としては十分だ」
「だから俺様に指図するなつってんだろ!」

 ダストは再度魔法の詠唱をし炎の魔法を完成させると、それを再びセザールタウン中央部へ向けて放った。
 勿論、プリースト部隊が展開する『魔法抵抗(レジスト)』の前に先と同じく表立っての被害は生じていない。
 何重にも重ねられた魔法防御壁の前に目に見えた成果が上げられてない事に対してダストが悪態を付くが、悪魔が冷静に指摘をする。

「うるせぇ! それ位分かってるに決まってんだろ!」

 ダストは再度氷の魔法を完成させ放った。


―カイル―


 エリクがヴァイス・リッターへの帰還を促すとほぼ同時に、

「こっこっこーこひつじ♪」

 聞き覚えのあるおっさんの歌声が聞こえ、見上げると何処からともなく現れた仔羊仮面の姿を確認できた。

「ひっひっひーこひつじ♪」
「あなたは仔羊仮面!」

 エリクが敬礼をし、カイルも釣られ敬礼をする。

「じっじっじーこひつじ♪」

 仔羊仮面は毎度お馴染み鮮やかな着地を決めると人差し指を立て天高く手を突き上げる。

「ふーふっふふ。かーいる君の武器には賢神の石の力を封印するチカラを秘めてるんだなぁ」
「そうなんですか! でしたら僕が行きます!」
「俺もエリクさんの魔力ならこの武器の性能を最大限に引き出せると思います」
「のんのんのん。ほーるすそーら君は、かーいる君じゃないとダメなんだなぁ~」
「ですが、力を使った時の持続力はエリクさんの方が高かったですよ」
「しかたないんだな~きーすくれっせんと君にるっか君の魔力が乗ってるからなんだなぁ」
「それならどうして学長は俺達に委ねたんですか?SSSランクのカップルにでも委ねれば良かったんじゃないですか?」
「将来性を見越してなんだなぁ~それに、SSSランクの人達はこんな弱い武器使わないんだなぁ~。ほーるす君達は強い冒険者が嫌いみたいなんだなぁ~」
「それってどういう」
「武器に意思が宿ってるんだなぁ~。ほーるす君達はまだ人間の言葉を話せないんだなぁ。ぼぉくは分かるんだなぁ~」

 えっへんと得意げになる仔羊仮面。

「流石仔羊仮面ですね。僕程度ではホールス・ソーラの言葉は分かりません。ただ何となく僕を嫌がってる気はしました」
「そ~いう事なんだな! るっせる君にはボォクの方から伝えておくんだなぁ。かーいる君はるっせる君達のところにいくんだなぁ」
「分かりました」

 仔羊仮面はカイルに転移魔法を掛けた。


―ルッセル―


「テメェ! ルッセルか!」
「ダスト殿、貴方の野望もここまでです」

 闘気の力によりダストの元へ跳躍したルッセルが斬撃を仕掛けた。

「チィッ! 毎回毎回俺様の邪魔すんじゃねぇ!」

 ダストはルッセルの斬撃を鮮やかに回避、単体氷魔法を作成しルッセルに放つ。

「そうはいきません」

 無数の氷の刃がルッセルを襲うが、闘気の力を発揮し全て打ち払った。

「ふざけんな! どうせテメー等、国から大した金すら貰えねぇ癖に動いてるんだろ!」
「私の信念にお金など関係ありません!」

 ルッセルは、闘気の力で落下速度を減衰、空中を蹴り再度跳躍を見せダストに3連撃を放つ。

「ハッ! 何が信念だ笑わせんじゃねぇよ! 世の中金だろうが! そんな綺麗ごとで生きれる程あまかねぇぞ!」

 ダストは、ルッセルの初撃、2撃目を回避、3撃目を岩石の盾を産み出し防ぐ。

「我々は国王軍としての給金は十二分支払われています!」
「ハァァァ? お前、SSSランクの奴らがどれだけ金貰ってるのか知らねぇのかよ!」

 ダストは、ルッセルに雷魔法を発動。

「その程度存じております!」

 ルッセルは闘気の力をバリアとし、ダストの魔法を弾いた。

「だからテメーは馬鹿なんだよ! 冒険者の分際で国王軍の、それもギルドマスターの俺様よりたけぇ金貰ってやがんだぞ!」
「彼等は我々よりも優秀だからですよ!」

 ルッセルは3度空中を跳躍し、ダストの背後を取り斬撃を仕掛ける。

「ハッ! 笑わせんなよ! この俺様がセザールタウンを襲撃してるっつーのに、あの野郎共は金が安いつって故郷を平気で見捨てやがんぞ!」

 ダストが2M程急降下し、斬撃を回避。
 自分の上に居るルッセルに向け炎の魔法を放つ。

「その為に私が居ます!」

 ルッセルは、ダストの魔法を剣で切り裂き真っ二つにした。

「オメーのその偽善に反吐がでんだよ! 故郷を見捨てるクズ共の為にあんでテメーが命を張らなきゃなんねぇんだ!」
「それが国王軍だからです」

 ルッセルは、ダストの懐に潜り込み一閃を放つ。
 太刀筋にあわせて白い衝撃波がダストを襲う。

「ちっ! 俺様みてぇなリーダーが統率してっからあいつ等がのさばれるっつーんだよ! テメーはそんな事も分からねぇのか!」

 ルッセルの攻撃に対し、横方向へ急速移動、衝撃波目掛けて魔法を放ち威力の相殺を狙った。
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