【完結】婚約から逃げた魔付き令嬢はエッチな人形作りを手伝う。※R18

かたたな

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魔物に憑かれてウキウキ

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 神様!いえ、魔物様!本当にありがとうございます!



 アーシェリア・トランヴェジェールは本来なら憎むべき対象の魔物に対して感謝の念でいっぱいになっている。
 何かしらの魔物に取り憑かれたせいで、体は1ミリも動かせないけれど、周囲の状況が分かる不思議な状態を経験中。
 そんな私を背負い城内を走るのは、アーシェリア18年の人生で最も好みドストライクのローブを着た青年。

 (ローブの模様からして王城勤務の魔術師ね。人1人背負って走れるなんてかっこいい!)

 風で青年のローブに付いているフードが外れたのを良い事に、容姿をこれでもかと観察してみる。

 頭には立派な角、耳は物語のエルフの様に尖っている。
 人1人背負っている為に荒い呼吸をしている口元からチラリと見える牙はとてもセクシーだ。
 しかしこれらの特徴はこの国で【醜の象徴】とされている。

 だけどアーシェリアにはこの国基準の醜の象徴がいくら追加されようと関係ない。
 むしろ格好いい!!セクシー!!ワイルド!!と大興奮で起きているならば両手を振り上げて喜びたい!
 この国の感覚とは違う美醜の感覚を生まれながらに持っていて、それは微かに残る前世の記憶なのかもしれないと密かに思っている。

 (人の美醜だけを語るなら重要なのは目鼻立ちや配置。体格よね!!)

 この国で今人気の見た目は、男女共に【人族に近い】事が重要視されている。
 諸説あるが、この国の成り立ちが人族の作る物が好きで集まった種族達できた国だからという理由があるとか。

 昔から人族は多くの種族と関わりがあった為に今では純粋な血筋の人族はこの世界に居ないとされている。なので余計に人族に近い見た目に憧れを持つのだと思う。

 そんな人族に危害を加える魔物の特徴【ツノ・尖った耳・牙・鋭い爪・鋭い目】が濃く現れると嫌悪や恐怖の対象となり醜いとされている。
 人族は多くの種族を受け入れ、技術に惚れ込んだ種族が多く集まった為、この国の人々はこれらの要素を1つは持っている。それを髪型や手入れで隠せる程度なら美男美女枠。隠せない物でも1つの要素なら普通。それ以上増えるほど醜いとされる。

 アレコレこの国の美醜感を考えていると、見覚えのある扉の前にやって来た。
 青年の姿を見て一瞬顔を歪めた護衛の兵士に扉を開けて貰うと、客間で待たされていた両親が背負われた私を確認して慌てて近くへやってくる。

 「アーシェリア!!大丈夫か!?」

 驚かせてしまって申し訳ない。
 王城内という優秀な騎士や魔術師が居る安全地帯なのもあり、両親は別室で待機して私だけ第一王子の【婚約の儀】に向かったのだけど、他の婚約者候補に呼び出され、宮廷内の庭園に行くと魔物に取り憑かれて動けなくなってしまった。
 呼ばれた時点で何かあるな?とワクワクしていたが、家格的に逆らえなかったし今の状況は婚約者に選ばれたくない私にとって絶好のチャンスだった。

 (殿下は人族にそっくりというだけで絶世の美男子扱いだけど、私の好みでは無いんだよね。
 それでも候補に選ばれたからには頑張ろうと幼い頃から教育を受け、気持ちに寄り添おうとしてきたけど・・・。
 私が18歳になるこの時まで婚約者候補3人の中から誰も選べず来た異性に対する不誠実さが頂けない!!)

 「この方はアーシェリア・トランヴェジェール様で間違えありませんね?」

 青年が両親に私の身元を確認している。

 「ええ、間違いなく私達の娘です。」

 (醜の象徴が揃った彼を見ても態度を変えない両親は本当に尊敬するわ。この国は美醜に厳しい所があるから。)

 そう、とても美醜に厳しいこの国。
 人族文化を慕って来た種族で出来た国なので人族を守る意識も高い。
 人族の敵は魔物。その特徴を濃く持った者は危険=排除すべき。という長年の刷り込みのような物があるようだ。
 最近では両親の様に理性的に動ける人も増えてきたがそれでも厳しい。

 「早速ですがお嬢様の見た目に何か変化が無いか調べて下さい。
 それさえ分かればすぐにでも魔物を祓う事ができます。」

 疲れているはずなのに室内のソファーに私を下ろす青年の手つきは宝物を扱うかのように優しい。

 (そんな優しく扱われたら惚れてしまいます。見た目好みの異性に少しでも優しさにれたら惚れますから~。)


 それにしてもカッコいい。見た目はドストライク。
 助け起こされる時に、フードに隠されたお顔を近くで拝見した時なんて心臓飛び出すかと思った。
 猫の様に少しつり目の鋭い視線に紫の綺麗な瞳。さらりとした長めの髪。顔のバランスも何もかも私好みなんです。

 「良かった、一度魔憑きになれば殿下との婚約は出来ないだろうが大切な娘だ。元気になるのならそれで良い。」
 「そうね、見た目の変化でしたね。すぐに探します。」

 安心した様にお母様が私の体を覗き込み何かしらの変化を探すと程なくして見つけられた。
 
 「最下級の魔物の様ですね、良かった。すぐに祓いましょう。
 ・・・あ、いや。しかし私の様な者が触れるとお嬢様が嫌がるかもしれません。他の魔術師を呼びましょう。」

 「いや、貴方の事は噂で知っております。魔術師の中でも屈指の実力だと。それに娘は見た目で判断するような愚か者ではありません。」
 「そうですか・・・それでは始めさせて頂きます。」


 そう言ってからソファに横たわる私を覗き込む魔術師様。信じてませんって顔してる。



 私ことアーシェリア・トランヴェジェールは見目だけはとにかく良い。人族の先祖がえりとも言われている程なんの特徴も無い。
 これで殿下の婚約者を逃れたとしても、まだ両親が断り辛い高位貴族から縁談があるかもしれない。私はお兄様お姉様達の様に恋愛結婚をしたい。断れない縁談は魔憑きを理由に弾きたい。


 ともなれば!


 (数日はこの魔物を死守して見せます!!)




 私は抵抗に抵抗を重ね、魔術師様の魔物祓いを1ヶ月、力業で防いだのだった。
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