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お祭りは続く。
しおりを挟むラグラ様とご友人の人達はその後お祭り騒ぎだった。
息子であるルナスの結婚と20年ぶりに見えた世界に祝わずにはいられないと。
私とルナス様は美味しい料理でお腹いっぱいになり、動きたくないと思う程食べさせられた。
親心なのだろう。夜遅くなり眠くなってきた私はルナス様の研究室の隣の部屋に案内された。
「ここは今まで倉庫として使ってたのですが、父と片付けたんです。
明日からでも貴女の研究室として使えますよ。僕達と同じ部屋の構造になっていて、少し狭いですが仮眠室も付いてます。
トランヴェジェール様には連絡を入れておきますので今日はこの部屋に泊まっていくといいですよ。」
「ありがとうございます。」
部屋を見て見ると本当にルナス様やラグラ様と一緒の作りだった。だけど仮眠室の狭いベッドにはふかふかのお布団が。
ルナス様達が用意してくれたのだろうか。寝転ぶととても暖かい。幸せ。
少しだけ目を閉じた。
◆◆◆◆◆
ハッ!!
少し寝てしまっていた。今何時だっただろう。喉も乾いたな・・・共有のスペースに行って飲み物を少し貰おうかと思い暗い廊下に出る。
今日は精霊祭なので暗い廊下でも精霊達の輝きが幻想的で美しい。
(これなら怖くないわ。)
お客様は帰ったのか、それとも寝ているのか・・・静かに共有スペースに向かうとお風呂場のドアの隙間から光が漏れていた。
前を通りすぎた辺りでガチャと音を鳴らして開かれた。
「アーシェリアさん?」
濡れた頭をタオルで拭きながらルナス様がお顔を出した。
タオルでツノや耳は隠れているし、長めの髪が目元にかかりお顔がよく見えないけど声と体格でルナス様だと分かった。
「ルナス様、ラグラ様のご友人は・・・」
「皆さん帰りましたよ。」
「そうですか、結構寝ちゃったみたいですね。勿体ない事しました。今日は精霊祭なのに。」
「それならベランダに出て雰囲気だけでも楽しみますか?まだ精霊達は元気だから。」
「ルナス様が一緒に見てくれますか?」
やっぱり精霊祭は恋人と!が夢だった訳で。可能なら叶えたい。
「も、もちろんご一緒します。」
多分顔を赤くしているであろうルナス様。くそぅぅ。暗くて表情がよく見えない!!
ルナス様が雑に髪を拭いてからタオルを乾かす様に掛けた。
共有スペースから飲み物をカップに入れて二人でベランダに向かった。
綺麗だなぁと見ながら沈黙が続く。少し照れる。何か面白い話を・・・と考えてふと思い出した事がある。
「私が婚約者候補に選ばれる前の6才の時の話なのですが、とある事情があって泣いていた私を助けてくれた男の子が居たんですよ。
頭からタオル被って日陰で休んでいたので体調が悪いのかなって考えたのですが、その子しか助けを求められる子が居なくて。
さっきのルナス様凄く似てたので懐かしい事思い出してしまいました。」
「ふっははは、とある事情ですか?」
なんだかルナス様が意地悪な顔をしている気がする
。精霊の光でいつもより明るいけど暗さが憎い。
「とある事情です。泣くほどのデリケートな事情です。」
何故かルナス様にめっちゃ受けている。
そこまで笑う話だったかな。
「それで、その子は私のお話にもしっかり付き合ってくれて問題も解決したら颯爽と帰ってしまって。ヒーローみたいな子でしたよ。当時の同世代の男の子って乱暴な子が多くて、こんなクールな子もいるんだ!って感動したのを覚えてます。」
「そうですか。」
凄く受けていたので話を続けたらルナス様が何か遠くを見てる。チョイス間違えたかも知れない。
よく考えたらプロポーズされた日に子供とは言え男の子の話をしているんだ、心証が悪いかも知れない。
「えぇと。その子も格好いいと思いましたけど、今日のプロポーズしてくれたルナス様は私の人生で一番かっこ良かったです。」
「・・・それなら良かった。
僕も王城のガーデンパーティーには1つ楽しかった思い出があります。8才の時に。」
「王城のガーデンパーティーに参加されたんですか?」
「招待はされてなかったので隠れて見に行くだけのつもりでした。そうしたら綺麗に半分になったケーキが乗ったお皿を二皿持った女の子が話しかけてきて・・・」
「あーーーーーーー!!やめて下さい!!そう言う事でしたか!?だから笑ってたんですね!?あぁ、もう。忘れて下さい。」
察した。私の恥ずかしい過去の1つを知ってるなんて、あのお兄さんしかいない。
「忘れる訳にはいきません。大切な思い出なんです。」
なんてこった。あのお兄さんがルナス様。これって運命。だけど今は話題を変えたい。
そうだ、精霊祭だ。精霊祭の話で話題を変えよう!
「精霊祭って夜中もこんなに綺麗なんですね。夜更かしして見た事が無いのでこうして見れて嬉しいです。」
この言葉にルナス様は微笑んで私を見てくれた。
「僕は毎年夜遅くまで見ていたんです。最後の精霊がツガイを見つけて光るのを止めるまで。」
「それはなかなか夜更かしですね?」
「そうですね。だけど精霊って凄いんです。最後の最後まで周囲に光るのが自分一人になったとしてもツガイを見つけるまで諦めないで光続けるんです。」
「ふふふ、応援したくなりますね。」
「ええ、本当に。それでいつも最後になっても必ず何処からか別の精霊がやって来てツガイになって嬉しそうに光を増してから消えるんです。
僕が眺めていた限りではツガイを見つけられなかった精霊はいません。」
「凄い!努力が報われてるんですね。」
ははは、と笑ったルナス様の私を見る目が更に優しくなる。ドキリとしてしまう。目が離せない。
「僕にも見つかりました。夢のようです。
いや、精霊が醜い僕に情けで見せてくれる夢なのかも知れないと今でも思っています。
これが夢ならずっと目覚めなくていい。
父は目が見えるようになり、僕にはずっと憧れていた女の子がお嫁さんになるなんて。現実に戻ったら3日は落ち込みそうだ。」
「それじゃあ、頬っぺをつねってみましょうか?ルナス様の。」
「ははは、じゃあお願いします。」
冗談のつもりだったけど、私に頬っぺを差し出す様に寄せてくる。可愛い。そんな可愛い頬っぺに優しく指を添える。
「それじゃあ思いっきりつねっちゃいますよ。心の準備はいいですか?思いっきり行きますよ?」
「う、うん。お願いします。」
痛みを想像したのかギュッと目を閉じるお顔可愛すぎる。
こんなお顔見たらやることは決まっている。心なしか近寄ってきている精霊達のお陰でお顔がよく見えるからきっと成功する。
私はルナス様に自分の顔を寄せると。
ちゅっ
摘まむフリをした手を添えている頬とは逆の頬に唇をくっつけた。
初めてにしては良い感じです。
ルナス様の様子はというと、離れた時にはもう目を開けていた。
「やっぱり夢かも知れない。」
キスされた頬に触れながら呟いている。つい笑顔になってしまった。
「僕からも、いいですか?」
「私はルナス様ならいつでも大歓迎です。」
言ってから目を閉じてみると、肩にルナス様の手が添えられる。
なんだ、この妙な間は、ドキドキしてきた!!
目閉じてたままがいいよね?何も見えないからソワソワする。
すると私の頬に柔らかい物が触れた。
頬っぺかーーーーー!!
頬っぺだったかーーーーー!!
少し落ち込んでから離れたので目を開けようとした時。
ちゅっ
口に求めていた柔らかい感覚がやって来た。触れるだけのキスなのに痺れるような、甘いような感覚が体を支配する。
目を開けようとした時だったのでルナス様のお顔を見てしまった後、急いで閉じた。
ドストライク過ぎる。あぁ!!もう!!カッコいい!!ドキドキする。
今、私はドストライクの婚約者とキスしてます!!
幸せで胸がいっぱいだった。
数ヶ月、地道に距離を縮めてなんとか私の恋は成就しました。
離れても尚近い距離に恥ずかしくも幸せを感じながら、最後の精霊がツガイを見つけて美しく光輝き消えた。
「ルナス様、愛してます。心から。」
「僕も貴女を愛してます。何年先もずっと。」
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