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目が覚めたら色々解決してた。
しおりを挟むカチャ
扉を開く小さな音。落ち着く匂い。ふかふか。
「まだ起きないみたいね。それだけ疲れたのかも知れないわ。」
お母様の声。
「はい・・・本当に大丈夫でしょうか。」
手に感じる温かさ。心配そうなルナスの声も聞こえる。
「ラグラ様が先程も来て大丈夫と言っていたのですから問題ありませんよ。
それに貴方は一度王城に向かわれた方がいいわ。昨晩の貴方の行動で、魔王が王子を人質に現れたって騒ぎになっているもの。」
「不本意な話ですね。子供の不始末に親はどう対応するのか聞いただけなのですが。」
ルナスが王城で騒ぎを起こすとは・・・話の内容からして魔力暴走の事件では無さそうだけど。
「アーシェリア、少し行ってきますね。戻って来たら大切な話があるので聞いて下さい。」
大切な話!!!!!!!!
やだ!!!!王子が好きとか言うんでしょ!!私は起きないぞ!!!!!!
狸寝入りを決め込むしかない。
だけど、次の瞬間。
柔らかくて温かい何かがおでこに降ってきた。それがゆっくり離れる。
「すぐ戻ってきますね。愛してます、アーシェリア。」
「ふふふ、仲良しで親として安心するわ。」
「僕の女神ですから。大切で愛しくて仕方ありません。」
「あらあら」
ルナスが離れて行く気配がする。
カチャ。 パタン。
お?
ん?
私、
愛されてる!!!!!!!!
キスで王子には惹かれなかったという事?
昨日、朝まで愛してやるイベント起こったと思ったけど。夢だったのかな?
いやいやいや、そんなはず無い。目に焼き付いてるから!!二人の濃厚なキス見ちゃったから!!
ちくしょう!ちくしょう!経験の差をみせつけられた!!
・・・そうかわかったぞ。キスの後、私が倒れたからベッドイン出来なかった。だから心も体も奪われなかったという事だ。
私は阻止したのだ。やりきった!!
心の中で拳を振り上げていると。
「アーシェリア、今起きたでしょう。」
ひっ!!お母様、私寝てます。
「起きてるなら早く目を開けてあげないと、ルナスさんが可愛そうよ。」
うぐ、罪悪感。
「おはようございます。さ、さっき起きて・・・」
お母様には敵わない。恐る恐る目を開けてお母様の顔を見ると、いつもの優しい顔が見えた。
「えぇと今の状況は・・・?」
「ふふふ、気になるとは思うけど、きっとルナスさんが言いたいと思うの。
だからしっかりご飯を食べて、お風呂にゆっくり入るといいわ。何か食べれそう?」
「果物とか、軽いものなら。」
「わかったわ。用意させましょう。」
時間を見るとお昼の12時を過ぎた頃。
これはよく寝た。少し吐き気が残るけど、重い物でなければ食べられそう。
『僕の女神ですから。大切で愛しくて仕方ありません。』
さっきの言葉が心を温かくする。
ドキドキする胸に手を置いて大好きなルナスの顔を思い出した。
・・・狸寝入りなんてするんじゃなかった。
早くルナスに会いたい。
◆◆◆◆◆
「アーシェリア!!」
お母様に1日休むように言われた私は、部屋でゆっくり本を読んでいた。
そんな静かな空間にバタバタと走る音が聞こえたと思うとルナスが部屋に飛び込んできた。
「ルナス、お仕事?でしたよね。お疲れ様です。」
朝の言葉が嬉しくて照れながら言うと、ルナスの顔がパッと花開いたように明るくなり眩しい程の笑顔を見る事ができた。
ルナスは何故か両手いっぱいにぬいぐるみを抱えている。
「体調はどうですか?」
「今はなんともありません。明日からまた働けますよ。といってもご飯の準備やお人形の参考になる位ですけど。」
「そんな、危ない仕事させられません!」
あれ、危険な仕事だったの?
「昨日倒れたのは精神的ストレスと妊娠初期の悪阻によるものだそうです。」
「・・・ほー。ストレスと妊娠初期。」
呆気にとられていると、ニコニコと座っている膝の上にぬいぐるみを並べ始めるルナス。
ストレスと妊娠。妊婦にストレスは良くないね。うん。安定期までは油断ならないね。
・・・妊娠!?
「・・・本当ですか!?それは確かな情報です?多分そうだろうとかフワッとした判断では無くてですか!?」
「父さんがメメの目を借りて見たんです。これ以上確かな診断はないという状況です。」
私が妊娠!!ルナスとの子供を!?
「う、は、や、やったーーーーー!」
「ははは」
万歳した私の間抜けな反応にルナスがフワリと笑ってくれる。
「だから、アーシェリア。結婚式を挙げよう。」
「結婚式・・・でも私達は認められてないのでは・・・」
「昨日、王子を返すついでに穏便に認めて貰いました。」
「ルナス凄い!!」
「凄いでしょう。僕は貴方と子供の為なら魔王でも英雄にでもなれる気がします。」
魔王?英雄?そういえば、王城に魔王が出たって言ってたっけ?だけどその前に。
「魔王のルナスも英雄のルナスも格好いいと思うけど、私はいつもの普通のルナスが好きですよ。」
そう言えばニコリと微笑んで優しく抱き締めてくれる。やっぱり温かくて優しい普通のルナスが大好だ。
◆◆◆◆◆
「嘘!?ルナスとローエンスコット様が戦った!?」
「そうなの!!あれは面白い物が見れたわ!!」
ルナスが過保護だけど普通の日常に戻った日、倒れた事を聞いたココが泣きながら謝罪に来た。
ココのせいでは無いのに「私が余計な事を言ったから・・・」と責任を感じている様子だ。
そんなココに、昨日魔王が出たんだって?と話題を変えたくて軽く聞くとルナスの王子人質国王襲撃事件の話をしてくれた。
ローエンスコット様と一緒に居たココは、彼に入った緊急連絡を聞いたそうだ。
『魔王が王子を人質に現れた。至急王宮へ』と。
「ロマは安月給で魔王と戦わされるなんて・・・って言ってたわ。」
「最悪ね。でもそれルナスなんですよね?何で戦う事に?」
「何でも姿を見せたら最後、美女のお供に動けなくされるとか。
それで人形は術者が隠れれば戦えるから行けと上司に言われて、姿を隠しつつ相手の位置だけ把握して人形を操っていたから、相手がどんな姿がよく見えなかったそうよ。
私は別の場所に隠れて見てたのだけどそれはもう手に汗握る戦いだったわ!!」
「それは私も見たかったです・・・」
「ウォルズマー様凄かったわよ!王宮から出てくるところをロマが人形使って襲いかかったのだけど手を少し動かすだけで攻撃を弾くのよ。
だけど、隠れつつ戦って居たら急に後ろから『傀儡師見つけたじゃん』って聞こえてから何も覚えてないって。」
「ホラー的な終わり方ね・・・」
紅茶を飲みホッと息を漏らしたココが、紅茶を覗きながら「ロマ・・・格好よかったな。」と呟いていた。
私はその乙女な顔を微笑ましく眺める。
彼女たちにも沢山の変化があるようだ。
その後、数日はルナスについて何か処罰があったりしないかとヒヤヒヤしたものの。お酒の入ってない第一王子はまともで、自分の非を認め謝罪された上でルナスの行動も不問にしてくれた。
色々な問題が解決して、なるべく早く式を挙げたい私達は忙しいスケジュールの中、庶民的な結婚式の準備を進めながら幸せを感じる日々に心が満たされていった。
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