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幸せな未来【アーシェリア・ルナス編◆終り◆】
しおりを挟む待ちに待った結婚式当日。
「うん、とても美しいわ。」
「そうだな。これで子供達が全員巣立ったのか。早いものだ。」
今から仕立てたのでは式に間に合わないと気がついてから、母が昔結婚式で着たドレスのサイズを私に合わせて着せて貰う。まだスッキリして見えるお腹だけど、子供の為に締め付けないデザインに改良されている。
「こんな素敵なドレスをありがとうございます。お母様。お父様。」
本当に両親には迷惑をかけてばかりだと実感する。
「大切なドレスだけど、私はもう着れないもの。着て貰えて、その姿を見れて幸せなの。」
「あぁ、あの頃を思い出すな。」
笑い合う私達に神殿へ向かう馬車が到着したと知らせが入り、両親と共に向かう。
馬車が到着してみれば、知ってる人から知らない人まで沢山の人で溢れていた。
「話題の人物の結婚式だからね。お祭り騒ぎよー。おめでとう、アーシェリア。」
「美味しいオヤツも交じってて最高のお祭りじゃんー」
「おめでとう。」
馬車の扉を開けた時、ココとネム、ローエンスコット様が声をかけてくれる。
「ほら、ウォルズマー様が神殿の入り口で待ってるわよ。」
「き、緊張してきました!」
「大丈夫、今の貴女はまさに傾国の美女よ。隣に愛しの人がいれば何でも何とかしてしまうわ。」
「ふふふ、ありがとうココ。」
なるべく早く式を!と準備を進めた私達だけど、ここまでしっかりとした準備が出来たのはココのお陰だった。彼女の人脈と行動力で妥協の無い式が整っている。感謝してもしきれない。
馬車から一歩踏み出せば、野次馬から「おおー!」とか「綺麗ー!」と声が溢れ、一歩一歩踏み出す度に皆が道を開け行ってくれる。
そして人混みの先にやっと見えた愛しい人の姿。
「か、かっこいい・・・」
いつもローブ姿やラフな格好のルナスが、正装をして、綺麗な髪は整えてある。改めて見てもドストライク。
こちらを確認して、頬をほんのり赤くする姿は尊いという言葉がぴったりだ。
「アーシェリア、とても美しいですね。」
「ありがとうございます、ルナスもとってもとっても素敵です。」
「ありがとう。」
二人で隣に並び、ルナスの腕に手を回す。
その姿に、ルナスの側に居たラグラ様が少し潤んで見える目を細め笑顔で声をかけてくれた。
「ルナスに本当の家族ができるんだな。」
「父さんも本当の家族です。」
「ははは、そうだな。ルナスは私の自慢の息子だ。これからも何かあれば助けになるよ。ルナス、家族と幸せになるんだよ。」
「勿論。父さんの様な父親になれるように努力します。」
「私を越えた父になるさ。アーシェリアさん、ルナスを頼むよ。」
「はい。精一杯支えます。」
「メメも二人に何か言ってるのだけど、泣きすぎて何を言っているか分からない、すまないけど祝う気持ちだけ受け取ってくれ。」
「ありがとう、メメ。」
「ありがとう。」
神殿の鐘が鳴る。
「さぁ、時間だ。」
私達の背中を押してくれるラグラ様
神殿を見れば、女神像だけの誰もいない真っ白な空間になっている。婚約の儀の時は光がフワフワ舞って幻想的だ。この儀式には精霊達が寄ってくるそうだ。
二人だけで中を進み歩くと、愛を司る女神像の前にたどり着く。愛を信じ永遠を願う美しい女神像。そこには本当に女神様の力が宿っているとされている。
「アーシェリア。」
「はい、ルナス。」
そんな女神像の手に二人で触れ、誓う。私達が永遠に愛し合いお互いを支え合える存在になれるように。どんな困難も二人で協力して乗り越えられる様に。
【私達は永遠の愛を女神様に誓います。】
ただこれだけなのに、お互いの重ねた手に確かな契約が結ばれる。
精霊達がキャっキャと嬉しそうに輝き光が満ちる。
光で包まれたこの温かい契約はずっと切れる事は無いと今は信じられる。
お互いの顔を見合わせると自然と笑顔で見つめ合いキスをした。
「愛してる、アーシェリア」
「愛してます。ルナス」
◆◆◆
神殿の外に出ると第一王子が婚約者と居た。隣にこの世界基準の美形な護衛騎士もいる。
ルナスが王子から私を隠すように前に出たけど、私からするとルナスに前に出られる方がソワソワする。
「おめでとう!!二人の祝いに来てやったぞ!」
「どの面下げてアーシェリアに会いに来たんだと言いたいですが、祝いの言葉はありがとうと返しておきます。」
「あ、いえ。私は腕掴まれて色気ないって言われただけですから。特に何も・・・」
あの場で怖い思いをしたのはメメだと思う。
恋愛対象外の人にあんなに迫られたら怖いよね。
「やっぱり国外に飛ばしますか。」
「いやいやいや!本当に申し訳ないと思っているんだ!!だけど俺は真実の愛を見つけたのだ、もう他人に迷惑はかけないさ!」
得意げにする第一王子。それを冷たい目で見るルナス。その隣でポッと頬を染める婚約者と。あれ?心なしか騎士の頬も赤いような・・・
王子に挨拶をした後、お母様とお父様が苦笑いしながら私達の手を引いてくれた。
「さぁさぁ、次は貴方達の新居でガーデンパーティーよ。ガーデンパーティーといえば初恋の人と結婚できて良かったわね。」
「へ?初恋の人?」
「アーシェリア覚えてない?昔、王城のガーデンパーティーで男の子と仲良くケーキ食べてたじゃない。
あの後から貴方ずっとパーティーに行く度にあの子が居なかったって泣いてたから誰なのか探した事があったのだけど、ルナスさんだと分かった時には婚約者候補に指名されてね。本当ならもっと早く会えてたのにね。」
「・・・本当に済まなかった・・・。」
「いや、それは私が悪かった。殿下の婚約者候補と聞いて舞い上がってしまって、進めたのは私なのだから・・・」
しょんぼりする第一王子とお父様。
「初恋・・・」
ルナスはポッと赤くなる。何度見ても可愛い照れ顔。
「嘘!初恋の相手なの!!台本に追加シーンいれなきゃじゃない。燃えるわね。」
大好評だという事で長期に渡り続いている『傾国の美女と醜い魔術師』
舞台に追加要素を入れ、リピーターを増やそうとするココ。その姿を静かに見ているローエンスコット様
「ラグラっち。今日は沢山飲んで倒れてもアタシが介抱してやるじゃん。」
「ははは、頼もしいね。」
私よりラグラ様にべったりのネムと優しく微笑むラグラ様。
楽しいな。
「楽しいですね。アーシェリア。」
「私も同じこと考えていました。」
「アーシェリアと出会う前までは、ローブを着て姿を見せるだけでも嫌な視線を向けられ存在が否定されるように無視される事もよくあったんです。
だけどこの場では知らない人までローブで隠れてない僕に笑顔を向けてくれる人が沢山います。僕には信じられない光景です。
貴女に再会してから別の世界に迷い混んだみたいだ。」
ルナスがぼんやりと周囲を見た。
「この世界で共に生きましょうね。楽しい事、もっともっと経験しましょう。」
ルナスの手を握り、瞳を見つめると野次馬達に愛を見せつけるように軽く唇を重ねた。
すると周囲から「熱いねー」「真実の愛の瞬間を見たわーー」など声が聞こえワァーーー!!と盛り上がった。
「ありがとう、アーシェリア。世界を変える僕の女神。」
◆◆◆◆◆◆
華やかな式から月日は流れ。
「お父様ー、お母様も見て見てー」
5才の男の子、アルが駆け寄ってくる。
アルは顔がルナスにそっくりで、小さな角のある男の子だけど、髪型によっては隠れてしまう。
「アーシェリア、アルは天才かもしれません!!」
「ふふふ、そうですね。」
ルナスはアルに初歩的な魔術を教えては天才だとはしゃいでいた。
「お兄様は凄いですねー。ナーシェもやってみる?」
「すごーい!!やるー!!」
2番目に生まれた娘のナーシェは物語のハーフエルフの様な少し尖ったお耳をしている女の子。お兄様が大好きで後を追いかけ回している。
「そうか、ナーシェもおいで。」
顔をとろけさせながら、ルナスはナーシェを抱っこした。
すると同じくらいのタイミングで腕に抱いた温かい存在がムズムズと暴れだした。
「ふぇ・・・」
「奥様、そろそろリアス様の授乳の時間ですね。」
「もう時間なのね。ルナス、お家でリアスに授乳をしてきますね?そうだ、皆が来るのは午後でしたよね?」
リアスは生まれたばかりの女の子。
生まれたばかりなので、なんとも言えないが目つきが鋭い気がする。
雇っている優しいお手伝いさんとラグラ様の助けもあり、すくすくと成長する子供達。
今日は午後にラグラ様とネムが来てくれる。
今のネムは私への憑依を解いてから上級の魔物になった。
人形の体を自身の体の基盤として使い、今までの姿のまま、人に紛れて生活している。
勿論ラグラ様と一緒に。
だけど、上級になるには相性の良い私の魔力が大量に必要ということで『私達子孫を守る事、傷つけない事』を条件に契約をした。
その後、時間をかけて上級になれたと思ったら、すぐにラグラ様との子供が生まれると話された。驚きだ。生まれてからは年の離れた兄弟もしっかり可愛がっているルナス。
人間と魔物のハーフなのに【醜の象徴】が無い可愛らしい子供だ。【醜の象徴】なんて何の基準にもならないな。
ルナスが魔術に夢中になっている子供達から離れると私に駆け寄ってくる。
するとおでこにチュッと軽いキスをくれた。
「僕が父達を迎える準備をしておくよ。
あー、今日もどうしてこんなに可愛いんだろう。愛しい僕の女神。」
「ふふふ。ルナスは私を幸せにしてくれる達人ね。」
爽やかな空の元、慌ただしくも幸せな日々がここに続いていく。
ールナス・アーシェリア編。終わりー
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